空の蒼さを 見つめていると

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21th Century 週記 Art Cinema Comics Novel Word 小野不由美 
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2000年9月

9/30

 試験前なので、時間がない。という以上に、現実逃避したい気分が勝って、結局、こうして日記を書き始めたりする。



 とはいえ、基本的には試験勉強モードなので、大して書くほどのことは無し。試験用の写真を町まで撮りに行って、ついでに藤原カムイ「H2O Image」の凍結版や、山田章博「BEAST of EAST」の2巻や、今まで買いそびれていたこうの史代「ぴっぴら帳」1巻を買ってきたくらい。

 「H2O」は相変わらず、ほぼ全頁に渡って加筆訂正があるそうなのだが、一見しただけでは不明。徳間書店版はさすがに持ってないけど、一つ前のスコラ版は有るので、後で比較してみよう…って、今はそんな暇無いだろうが。

 とりあえず、「ぴっぴら帳」をパラパラ読んで、しばし和む。……はっ。だから、和んでいる場合では無いんだってば。

 

Novel 近藤史恵茨姫はたたかう 祥伝社文庫

 しばらく前に購入したまま忘れていた。あの知る人ぞ知る整体師ミステリの続編、というかこのシリーズ、そもそもミステリなのか?という気もするのだが、 私自身はミステリかどうかは割とどうでもいいので、これはこれでいいのではと。人物の設定がやや単純すぎるのが 気になったりもするけど。でも、こういう「嫌な女性」を描けるのはやはり作者が女性だからなのだろうか。 その辺の容赦の無さには割と好感。

 それにしても、(前にも書いたけど)整体を受ける、のが気持ち良さそうで羨ましい。このシリーズとかあるいは細野不二彦「S.O.S」 のように、馴染みの整体の先生がいたりするのって夢かも。…あっ、全然関係ないけど、両作品とも 何故かテーマがストーカーだ。

 

Novel 岩本隆雄鵺姫真話 ソノラマ文庫

 ……何か根本的なところで、間違っていると思う。おめでとう!パチパチなラストを導くためには、 上の「茨姫」以上にいわば駄目なヒロインが物語を通して成長するという話でなければならない筈なのだが、そもそも彼女は 成長するような設定ではないので、性格付けが中途半端に終わっているというか。あるいは、いくつかの場面だけが最初に存在していて、その間の話を何とか繋いでいる印象が強いというか。

 全体の構成は面白くないわけでもないので、少し残念… 読み返す時間はないので、ここまでの感想が正しいのかは分からないが。

 というわけで、蛇足だけ若干。これって、やはりあの「らん、らんらららんらん」な「金色の野原」がイメージの根源なのかと。 ところで先程「ピニェルの振り子」に入っていた折り込みチラシが出てきたのだけど、題名も「きんいろののはら(仮)」 となっている上に、ヒロインの名が里倉真依になっていますね。発売一ヶ月前でもまだ設定上のゆらぎが有ったんでしょうか。

 

Novel 梶尾真治おもいでエマノン 徳間デュアル文庫

 良い時代になったものだ。読むのが初めての者としては、この再刊に素直に感謝。内容も 期待通り過ぎるくらいの、梶尾真治らしい作品群。正直なところ、最初の「おもいでエマノン」が全て。というか後は要らないような気もするのだが、読めること自体は嬉しいので、 続巻の「さすらいエマノン」の方も早く読んでみたいのは言うまでもない。

 ところで、鶴田謙二版エマノン、って余りにイメージにはまり過ぎなので、 最初に、これで読んでしまった者にとってはそれ以外のエマノンは想像しがたいのだが、それはそれで幸福でもあり、 不幸でもあるような… 最初の単行本の表紙は高野文子だったんですって?



 今年の春の「アワーズ2001 」を出してきて、TAGRO「トリコの娘」を再読。なるほど。読み返すほどに、無駄のない傑作。

 あと、エマノン関連?では上遠野浩平 のブギーポップに登場する寺月恭一郎は「とまどいマクトゥーヴ」の神月潮一郎から取った名前だとどこかで読んだような気がしたので、あとがきを読み返してみたがそういった記述は発見出来ず。 ネットで見たんだっけ?

 

 ……あっ、ちょっと逃避の時間が長すぎ。いい加減、元に戻らないと。

 

9/24

 今週は落ち着いて更新する余裕はなかった/ないので、買い物メモ程度。



 本。恩田陸「光の帝国」佐藤忠男「完本 小津安二郎の芸術」(一応)、古浜逸郎「なぜ人を殺してはいけないのか」(何となく)。それとようやく梶尾真治「おもいでエマノン」を回収。ところで、佐藤忠男の「小津…」は基本的には駄目な著者による駄目な本なのだが、文庫だし目を通しておくか、という購入動機。なのに、レジで1100円と言われてややショック。そりゃ確かに厚いけどさ、千円以上出す価値のある本じゃなかったよな…

 Comics。この前の「サンデーGX」「ウルトラジャンプ」「メロディ」3誌に「アワーズライト」を追加。単行本は…「Papa told me」の最新刊くらい。一応、試験勉強週間なので、余り買わない/読まないように努めているのだった。



 ところで、最近、音楽を聴いていると、というか正確に言うと寝転がってCDを掛けていると、例外なく意識を失ってしまう。癒し系CDと言えなくもない菊池志穂「life」(最近、毎日掛けている)の場合は無理ないとしても、椎名林檎のライブsingleCD集の「絶頂集」でさえ、ヘッドホンで聴きながら寝てしまうとは… お陰で3枚組(なので、3連装CDデッキに入れている)の最後「発育ステータス」辺りが、どういう曲なのかは未だに不明。



 ちなみに来週は、それこそ試験なので、更新自体ない可能性大。仕事の方は珍しくやや落ち着いているのだけど…

 

9/16

 結局、柔道の2選手の試合を全て見てしまった、更にミーハーな私。というわけなので、又しても更新進まず。ていうか、仕事しろ<自分

 それにしても、夕方の雨(と雷)はこの地方ではついぞ見掛けない、「うわっ、こわっ」(おーさか)な激しさだった。2回も停電したし。

 

Novel 麻耶雄嵩メルカトルと美袋のための殺人 講談社文庫

 同じメルカトルの登場する「翼ある闇」には(文章がアレだし、謎解き至上主義なので)正直、余り良い印象を抱かなかったのだが、 この短編集くらいまで割り切れば、それはそれで好感が持てる、というか楽しめた。勿論、私は推理そのものには全然関心がないので、 もっぱら形式が内容に優先する作品=ギャグとして読んだ、ということなのだが。

 ところで「水難」での女中の話に登場する、滝川なんとかという坊さんって、 やっぱり「ぼーさん」だろう、と本筋とは関係ないところだけ反応する私は、駄目な読者なのかしらん…  でも、過去のミステリに対する隠された敬意を読みとる、とかいうのも本質的には同じことのような。

 

Novel 上遠野浩平ぼくらは虚空に夜を視る 徳間デュアル文庫

 同世代なのだな、と思った。どういうアニメを見て、どういう妄想(空想?)を抱いてきたのか、分かりすぎる位、分かってしまうというか。人によって印象が良し悪しな作品だとは思うけれど、私としては、割と好感を持った。作者本人の資質に近い作品のような気がするので。

 ちなみに、先行する二作品の世界と繋がっていることが一つの話題となっている本作だが、その繋ぎ方は…余り、上手くない。

 

Novel 竹岡葉月ウォーターソング 集英社 コバルト文庫

 多分、語られていることはそんなに多くはない。けれど、多くのことを語ろうとして、結果として既存のイメージを安易に借りて、世界と話を語ってしまう作家が(特にこのジャンルには)多い中、語れることを語るために、必要なキャラクターと文体と話を適切に配置してみせてくれたのは、素晴らしいと思う。特に、そうやって書かれたものが、愛すべき物語であれば。

 収録された二作品を通して登場する少女アサヒが今後さらに、その世界で活躍していくであろうように、作者もきっと更に素敵な作品を生みだしていってくれるに違いない。何と言っても、デビュー作がこれだけ魅力に満ちているのだから。

 

9/15

 結局、開会式を全て見てしまった、割とミーハーな私。というわけなので、余り更新進まず。しかし、、明日以降は仕事と試験勉強が…

 

9/13

 久々に「バーズ」を買う。一つには八重樫サンのピンナップ(^^;、もう一つは、いよいよ再開された、藤原カムイ「H2O image」の続編を読むため。

 …ええとこれって、前のラストからそのまま続いているの? もう一度読み返してみないとよく分からない(^^;;; それにしても世界の「繰り返し」ネタというのは、藤原カムイのやはり得意技なのか。「チョコ・パ」も確か最後そのような話になっていたような…(よく覚えていない)

 

9/12

 私たちが遭遇する筈の雨はこれだったのか!という今更ながらの恐怖に襲われる(謎)

 

9/10

 朝、起きる。ホテルの朝食といえば、大体、和洋中選べるようになっていて、今回も洋中の選択肢は有ったのだけど、いつもバイキング形式の洋食を選んでしまうのは、貧乏性のせい? でも、そういえば、白飯食べる〜の人もふと見ると、隣のテーブルに居たのは不思議。

 午前中は高山市内の散策。まぁ、普通に市内をウロウロと。途中、召集?が掛かって、観光客でごった返す朝市の通りを疾走したりもしたけど。

 

 ところで、高山は飛騨の匠の歴史を今に受け継ぐ街。ということで、お土産物屋に有りとあらゆる民芸品が並んでいる。多分、アイヌの木彫りの熊以外の全てのものが有るのでは?という感じ。

 ここで思い出すのは、やはり坂口安吾の「飛騨・高山の抹殺」という歴史エッセー。安吾の、古代史をタンテイする、という歴史への考察の中で、最も重要視された土地がここ飛騨で、彼は、匠の水準の高さ等から、ここに大和に対抗出来た位の強大な王権がかつて存在し、そして正史上、抹殺されたのだと推理する。

 勿論、安吾の持っていた古代史の知識は現在からすれば少なく、当然その推論は、今では余り根拠が無いのだろうと思う。が、本当に有ったかどうか自体はいわばどうでもいいことで、その想像力の使い方こそが魅力的なのだ。

 野田秀樹が坂口安吾の諸作品をモチーフに、手塚治虫の「火の鳥鳳凰篇」をテーマとして作った「贋作・桜の森の満開の下」でも、この地は大和を中心としたクニ作りから排除される、「鬼」の土地として登場する。

 この地の王は、その中心となる天武(天皇)に向かって、それでもこう啖呵を切る。王「待ちやがれいっ、ファーストエンペラー」天武「誰だ?」王「幸福な王の時代、ラスト村長だ」 とはいえ、ラスト村長の時代は終わりを迎え、周囲が全て包囲された中、主人公達だけが、残された丑虎の方角「狭き門=セマ鬼門」に向かって逃げていこうとする哀切な終わりが待っているのだが。

 

 ……地酒ソフトなるものを試したりしながら、そんなことをちらりと思い返す。とにかく、この土地の観光地度というか、土産物屋の充実ぶりは確かに特別なものがあり、安吾ではないけど、大きな王権があったところは得だな、とか思った(そういう問題か?という気もするが)

 帰る直前、今まで何度となく行われてきたジャンケン系?レア物争奪戦に初めて勝ち抜く。神社で引いたお神籤で「争い事」に「充分、勝機有り」と有っただけのことはある(笑) 帰りは、「life」を聴きながら、大人しく寝ていた、多分。帰り着いた後、夜半を過ぎてから仕事を始める。しくしく。

 ともあれ、かくて一泊二日の小旅行は幕をとじ…って前月も書いただろ、それ。

 

9/9

 こういうことはそうそうないのだが、三週続けて、週末は旅行。しかも、今日は集合が新宿8:15ということで、朝起きるのに苦労する。疲れが溜まっている週末に、3時間しか寝ないで起きるのは辛い。好きで、した苦労だろうが、という某監督お得意のセリフを言われればその通りだけど。



 ちなみに、今週の旅行は、一言で言えば、「すまき合宿」。世の中にはそういうもの?もある。ということで、不明な人にはあえて説明はせず。


 目的地は飛騨高山だというのに、新宿を出たバスはいきなり事故渋滞に巻き込まれ、3時間経っても八王子を抜け出せない有様。勿論、最終的には何とか、辿り着けたのだけど、それは出発から9時間も経過してのことだった…



 さて、ここはイベント日記を書くところではないので?それ以後のことは割愛、他の方の日記を参照して下さい。とりあえず、温泉についてだけ書いておくと、弱アルカリ性の温泉だった。前から疑問なんだけど、温泉のphの違いって効能とか、肌とかにどう影響が出るんでしょうか?

 部屋で(今回の目的の一つでもある)新譜「life」をCDplayerでさっそく繰り返し聴いている内に、自然と意識を失って一日が終わる。

 

9/6

 「アニメスタイル」第2号をようやく買う。編集長が小黒祐一郎だけあって、痒いところに手が届く雑誌。とりあえず押井守のロングインタビューを読む。相変わらずだというか。

 …あっ、「御先祖様万々歳!」のDVDーBOXが11月3日に発売と書いてある! 29800円で予約締め切りが10月6日と。この「ご先祖様」ともう一つ、押井守が解説を書いている「プリズナーNo.6」のLDセットは、発売当時に買っておかなかったことを、非常に後悔した作品だけに、今回のDVD化は非常に喜ばしい限り。なお、前のLD(ないしVT)を持っているマニアな方も、「インドラ」パイロットフィルムが収録されるらしいので、要注目。

 そういえば、前に注文した「犬狼伝説」愛蔵版、8月末発売予定だった筈だけど、未だに本屋から連絡無し…一体、いつ発売に?

 

9/3

 必要に迫られ、リコーダーを買いに行く。バロック式とジャーマン式? どうやらジャーマン式の方が学校で習った運指らしいので、素直にジャーマン式にするが、置いてあったアルトリコーダーはバロック式だけ、ということは多分バロック式も覚えたことが有る筈… う〜む、思い出せない。

 リコーダーのついでに、「BUENA VISTA SOCIAL CLUB」と椎名林檎の「その弐」のDVDと、岩本隆雄上遠野浩平の新刊を買って帰る。

 帰って早速、リコーダーの練習。どれみどみどみ、れみふぁふぁみれふぁ… 何だ、覚えてんじゃん(笑) これなら、「課題」もまぁ問題ないかな。

 

9/2

 目を覚ますと、夜景の代わりに、今度はくっきりと新宿の方まで見渡せる、関東平野の風景。

 再び感心すると同時に、同じアングルで、カタストロフを迎えた風景を思わず幻視してしまうのは、地平線まで見渡せる都会の風景=廃墟的な状況、という不謹慎な刷り込みがされているから? もっとも、例えばそんな地震があった場合、このビル自体がどれくらい無事なのかはよく分からないのだけど。



 横浜を出て、せっかくの休日に非常に遺憾ではあるのだが、10月の試験の直前講習というものをそのまま受けに行く。会場に入ると皆、真面目に聞いているのでやや驚く。いや、私も午前中はちゃんと聞いていました。午後はところどころ、ですが。

 場所は水道橋で、お昼は、猛暑の中、適当に歩いて見付けたとんかつ屋で食べたのだが、ふと見ると店内にあの柳沢きみお先生の20年前の色紙が飾ってあってそれこそ驚く。ていうか、このとんかつ屋の話、既に誰かが書いていたような気も。

 帰ってからは少しばかり日記を付け、銭湯アニメを少しだけ見て、寝る。

 

9/1

 …などといいつつ、今週末も何故か旅行。もっとも、社内旅行なので、会社から横浜のホテルに直行し、ご飯食べて、泊まるだけなのだが。



 ホテルはランドマークの上。よくアニメの魔法少女が呪文を唱えながらグルグル振り回す魔法のステッキ(のミニチュア)みたいな鍵を受け取って部屋へ。62階と言うことで、流石に、普段見たことのない夜景が眼下に広がる。昔泊まったインターコンチがあんなにも下に。

 しかし、疲れていたので、70階のバーで飲んだ後、部屋に戻ってくるなり意識を失う。どこで泊まろうとこれでは同じ気がするが、ホテルというのは元々そういうもの?