空の蒼さを 見つめていると


2001年6月

6/30

 (6/27・28の分)

 北海道まで、出張。目的地は、小樽。小樽と言えば、寿司。というわけで、今回、飲み食いした物と場所。 

 寿司。宝寿司。ネットで事前調査して行く。おまかせ(10カン)、穴子、しめ鯖、イクラ、蛸、穴子+ビールで4800円。カリッと香ばしい穴子が絶品。 牛乳とアイスクリーム、雪印乳業記念館での試食。ビール、サッポロビール博物館での試飲。そんなんばっかりだ。あと、ウニ丼、札幌の寿司屋。

 

 ホテルの部屋で、BGMを掛けていると、今流れている曲に聞き覚えがあるのに、名前が出てこなくて悩む。暫くして、それが「Fly me to the moon」を大幅にアレンジしたものだということに、ようやく気付く。ああ、新世紀は、遠くなりにけり…

 で、後は、近所のコンビニで買ってきた「野望の王国」を読んで寝た。「ものすごうごついチャウチャウ」犬の姿には笑った。

 お土産は、空港内の売場で、生ハムに目が止まる。生ハム+メロンが脳裏に閃き、お買い得品の半額メロンと合わせて買って帰る。正直、期待はしていなかったが、腐っても夕張メロン(いや、腐ってるわけではなくて、食べ頃だった)、生ハムと食べると泣けそうになるくらい美味しかった。はぁ、幸せ。普段、夕張メロンなんか縁がないだけに、幸福感、倍増。

 

 などと、今や、TV東京の旅行番組のような有様ですが、高校の修学旅行で北海道へ行った時は、もっとナイーブな感受性で、周りを見ていたような気もします。ちなみに、当時書いた感想が、これ。文章自体はどうというものでもないけれど、上の文章よりは、書いた人物を信頼出来る気が。

 

6/29

 何もない金曜の夕方は、サントリー美術館の日。

 

Art 海と川と湖と 描かれた水辺の人々 サントリー美術館 2001.6.19〜7.29

 水辺を画題に取り入れた絵画を集めた展覧会。名所絵や、社寺の縁起絵や、釣人図や、果ては南蛮屏風とか。ただし、前回が、琳派の華、とでもいうべき展示だっただけに、今回の内容がえらく地味に感じられるのは致し方ないところ。

 数的には、広重の風景画が一番目立っていたような。大井川の渡しに代表されるように、今では見る影も無くなってしまった風景も多く、江戸時代からの風景の変貌について色々考えさせられるものが。

 一方、司馬江漢が同じく江戸時代に描いた、七里ヶ浜の風景は、逆に、余りにも変わっていないので、思わず笑ってしまった。こぢんまりと弧を描く海岸線の奥に江ノ島、そして、その向こうには富士山。

 そう、それは今でも、「コメットさん」で描かれている通り。…てそれは何か違うだろ。

 などと地元民の感傷はさておき、池大雅「陸奥奇勝図」や豊国「海女図」など印象的だった作品もそれなりにあったので、一応、満足。

 ところで、今回、展示替えは2回ある。ということは、7月にあと2回は来ないといけないのか…

 

6/28

 梅雨から逃れたい一心で出掛けた、北海道から帰ってきました。こちらにいたよりはどうやらマシだったらしいとはいえ、日中は思ったより蒸し暑く、昨日の夕方は雨まで降る始末<駄目じゃん。

 朝晩はさすがに20度位まで下がって、爽やかな空気を満喫したけれど、温度の上がり下がりが激しい方が、身体は疲れるような気も。

 

 ところで、トーベ・ヤンソンが亡くなっていたんですって!?

 たまたま、2年くらい前に「ムーミン」シリーズを読み返してみたこともあって、あの「ムーミン谷」には親近感を覚えていただけに、やや驚き。最近、刊行されている漫画版の方も読んでみようと思っていたところだったし。なお、シリーズでこの一冊、というのなら、やはり「たのしいムーミン一家」だとは思うが、個人的に好きなのは、「ムーミン谷の仲間たち」。非常に、味わい深い短編集だと思う(2年前の感想)。

 彼女の訃報を確認するついでに、調べてみたのだが、リンド・グレーンは90歳を超えて、今なお、元気らしい。何というか、さもありなん。

 

6/26

 最近、たまらなく蒸し暑い。もう耐えられない。この際、梅雨なんか無いところへ行ってしまいたい!

 

 というわけで。ちょっと北海道まで行って来ます。いや、1泊だけなので、本当に行ってくるだけですが。
 なお、休暇とかではなくて、仕事でやむなく出張するだけですので。そう、仕事なんです。仕方なく行くんです、ええ、本当に。

 

6/25

 昨日は、100%推測で、適当なことを書いたのを反省、今日は、書籍を元にちゃんと紹介しようと、前に立ち読みした本をBook1stまで探しに行く。定価3,800円に、暫く悩むが、ネタになるのであれば、厳選素材に拘るべきではないかと予定通り購入。しかし、厳選素材、で連想したのだけど、3,800円有れば、割と良い神戸牛のステーキ200gのコースを食べても、昼ならお釣りが来るよな… ひょっとして、私って、大莫迦?

 そんなわけで、今日の更新は、素材を贅沢に使用した逸品。仄かに漂う、ダメ人間風味が、素材の無駄遣い感を更に引き立てています。

 

Book 加藤芳夫+サントリーデザイン部 「なっちゃんの秘密 商品デザインは人間を見つめることから始まる 六耀社

 サントリーのアートディレクターとして、永年、新飲料の開発・宣伝に携わってきた加藤芳夫を中心としたスタッフ達が、いかにして様々なヒット商品を作り出してきたかを、本人らの対談を通して解き明かしていく本。題材は「BOSS」「なっちゃん」「茶」と自販機でお馴染みの物だし、内容も「商品はコンセプトで決まる」「一言で言えるコンセプト」へ「ギュッと突き詰めていく」と言った、業界的な視点からすれば、多分、当たり前のことなのだろうが、読んでいてなるほど、と納得させられる言葉が並んでいて、非常に面白かった。

 例えば、「なっちゃん」は、当時、流行っていなかったオレンジ飲料を見直せないか、という検討を進める中で、オレンジ飲料に対する人々の印象から、夏+遊び=夏休み、の思い出の飲み物、という共通項を見付け出し、その懐かしさを「夏休みに田舎に行った時に必ず会うイトコのような存在」というイメージに突き詰めていったという。それが、「なっちゃん」というネーミングとあのシンプルな顔のデザインになったわけだ。

 私たちは缶ジュース一つとっても、個々の味やパッケージではなく、トータルのイメージ、いわば「物語」を飲んでいることを改めて実感させられるが、そこまでは誰でも分かることで、では実際にどういうコンセプトで作った時に、人の心を掴むことが出来るのか、その試行錯誤の過程を検証してみせるのが、この本の興味深いところだ。

 その意味で、どうしても、ある種の自慢話にならざるを得ない、成功した飲料の話よりも、短命商品について、しみじみ(笑)反省しているページの方が、より興味深かったような。「マリンクラブ」「ごめんね」とか。

 それにしても、「DAKARA」の没デザイン集とかを見ると、デザインの重要性が確かによく分かる。正解、というものはやはりあるのだ。

 

 ところで。「なっちゃん」が「田舎のイトコ」という、架空の共感出来るキャラクターを背景に作られたことに話を戻すが、将来、CM業界は更に、架空の疑似体験を強化し、それによって、共感と共に商品を売り込む方向へ進化していくのではないだろうか。

 例えば。ある朝、ちょっと生意気な「妹」に「早く起きないと、遅刻しちゃうゾ」と起こされるのだが、元々、そんな「妹」などいない筈で、それは実は「鈴ちゃん」という新たな飲み物を売るための疑似体験の一つだった。というような恐ろしい時代が、いつ来ないとも限らない。

 …え?そんな時代なら、早く来た方が良い?

 

6/24

 たまには贅沢をして、良いお茶をゆっくり味わう、休日の午後。ちなみに、なんで休日に飲むかというと、平日の夜だと、何煎も飲めなくて勿体ないから。…結局、貧乏根性が抜けきれないのか、私。

 

Tea  レピシエ 478「凍頂烏龍春茶 極品 」 1950円/50g

 さすがに。フルーティーで爽やかな甘さ。まぁ、極品、として売っている物だから、そうであって、当然なのだけど。但し、そつのない優等生、という感じで、今一歩、何か足りないかな。

 というわけで、今日は、茶飲み話でも。

 

 サントリーが今年発売した中国茶に「熟茶」というのがある。森進一の「じゅく、ちゃっ、ちゃっ」という曲でお馴染みのアレだ。

 私が最初に飲んだ時、驚いたのは、これが烏龍茶ではなかったことだ。どろっとやや甘めのお茶。原材料を見ると、「後発酵茶」。要するに、黒茶、プーアール茶だ。なるほど、中国茶の世界でも、「渋い→旨い」という流れなのか、とは思ったもの、私の好みとは必ずしも一致しないので、実際に飲む機会はそう多くはなかった。

 しかし、本当に驚いたのは、発売後1ヶ月ほどしてから、第2段として流されたCMを見た時だった。常盤貴子らが、「熟茶は、プーアール茶でした」という新聞広告を見て、「先、言ってよ」と「嬉しい驚き」(サントリーの説明)をするという奴だ。

 思わず、「じゃあ、最初から言えば良いだろうが」と物を投げつけたくなったが、このCM展開をあえて取った、ということからは、大体、次のようなことが読み取れる、と言えよう。

 @サントリーは、新しい中国茶の味、としてプーアール茶を定着させようと考えた。
 Aプーアール茶のイメージとしては、健康に良い飲み物(プラス)だが、味に癖が有って飲みにくい(マイナス)に二分されている。
 Bしたがって、プーアール茶として売り出したのでは、今までのマイナスイメージから、敬遠されてしまう畏れが高い。
 Cまた、味にも工夫が必要である(アサヒの「プーアール茶」だと、実質、単なるジャスミン茶にして勝負を避けている)
 Dそこで、この際、プーアール茶という名前は隠して、とりあえず飲ませてしまえ。
 E味については、低温抽出で、旨味を強調すれば、トレンド(死語?)だ。
 Fある程度、認知に成功したら、CMを切り替え、今度はプーアール茶という名を前面に出す。
 Gその際は、健康的で良い飲み物だ、ということを前提に、プーアール茶で良かった、と飲んでいる人に感謝させる。
 Hこれで、烏龍茶と競合しない、もう一つの中国茶市場を作り出せる筈。スーパー部長、いかがですか?

 いや、別に私はサントリーに敵意を持っているわけでも何でもなくて。新しい市場を作り出そうとするには、少なくともこれくらい、穿った戦略を取る必要があるのか、と有る意味、非常に感心したのだ。

 勿論、第2段のCMを流したところで、こういうからくりは明白になってしまうわけで、何が「先、言ってよ」やねん、と少なからぬ視聴者から突っ込まれてしまう筈だが、サントリーのことだ。恐らくは、それすら念頭に置いて、この展開をしたに違いない。突っ込まれる要素を入れることで、とっかかりのあるCMにして印象を更に強めるのだ。サントリー、恐るべし。

 でも、先程言ったように、私の好みとはずれるので、いつも飲んでいるのは、キリンビバレッジの「聞茶」(CMは、面白くないけど)。

 

6/23

 とりとめもなく、買い物。本屋。高橋源一郎「日本文学盛衰史」、赤江瀑「虚空のランチ」、夏石番矢「超早わかり現代俳句マニュアル」(ひどい題名だ)、「茶道具の世界 唐物茶碗」。CD屋。My Little Lover「Topics」、DVD「魔女の宅急便」「エイリアン9」VOL.1。

 ついでに、今日のところは、悩んで買わなかった物。京極夏彦「ルー=ガルー」(重いから)。DVD「ウルトラQ」1,2、「モンティパイソン ドイツ版」辺り。というか、DVDの映画ソフトに関しては、未だ自分の中で、何をどこまで買うか、という線引きが出来ていなくて、何も買えないまま。

 

DVD 「エイリアン9」VOL.1 バンダイビジュアル

 期待は超えられる、ことはないけど、失望させられる、わけでもない、というところかと。

 とりあえず、作画は、キャラクターを生き生きと動かしていて、見ていて気持ち良い。それで元が取れたと思える人なら、良いのでは?

 ただ、今回は原作で言うと、1巻の作戦4までのエピソードに過ぎず、全体の1/6しか消化していない。あと2本で、あの世界観の風呂敷を広げて、それなりに畳むことが出来るのかが、かなり気になるところ。脚本は、この手の込み入った世界観の作品を一手に引受しているような村井さだゆきだけど、どうなることやら。

 あと、富沢ひとしのジャケット裏のおまけマンガには、割と笑ってしまった(本編を見てから読み直すと)。

 

6/22

 というか、「死に急ぐ奴らの街」、他の新刊の帯に書いてある「6月発売予定の5冊」に入ってないよ…

 (どうやら、デュアル文庫からの再刊は、未定になっているようです)

 

6/21

 新潟行き、3回目。ともなると、さすがに、話題にするようなことなど、もうないです。

 

 そういえば、前回、紹介した「NRE Train Shop」が、既に夏号になっていたので、割と期待して中を読んだのだけど。

 予想していた「アテンダント リカちゃん(夏服)」は無く、トートバッグだけが単品で売られていただけだったし、あの1/2サイズの駅長帽子も姿を消していた。売り切れた、とも考え難いので、商品としての無謀さにようやく気が付いたのだと思われる。

 そう、今回は各地の名産品中心に、健康食品等、通信販売グッズとしては割に手堅いラインナップで、思わず我が目を疑うような商品は無かったのだ。せいぜい、「かわいいミドリフグが2匹」入っているらしい「ミドリフグ飼育セット」くらいでしょうか。ああ、何だか、とっても残念だわ。

 

 帰ってきてメールチェックをしたところ、たまにしか届かない(話題が無いからだ(笑))火浦功MLで、「死に急ぐ奴らの街」が、何とデュアル文庫で再刊、とのニュース。というか、今日が既に発売日らしい。しかし、発見報告を聞かないところを見ると、順調に遅れている? さすが、火浦功本。

 細かいことだけど、「文庫版」の方の再文庫化、なんでしょうね、やっぱり。イラストは誰かしらん。

 

6/20

 「あずまんじゅう」

 という箱を、メイトで見掛けた。取り上げて裏面の原材料欄を見る。……本当に、まんじゅうだったのか。

 買うべきかしばらく考えてみた結果、どうやら私は、まんじゅうを買うほど「あずまんが」が好き、というわけではない、ことが初めて分かった。そうだったのか。もっとも、この「まんじゅうを買うほど」好き、という比喩で語ることが出来る作品、なんて他には思い付かないが。というか、普通、そんなまんじゅう、売ってないよなぁ。

 

6/19

 「上と外」5巻を読む。かなり整理されたように見えるので、次巻での完結は、さすがに大丈夫だろう。

 

Art 開館六十周年記念名品展 第二部 根津美術館 2001.5.25〜6.24

 昼休みを犠牲にして(以下略)、第三段。…実際のところは、時間的にかなり無理があった。

 目的は、(伝)牧谿の「漁村夕照図」(瀟湘八景図巻断簡)。私にとって、中国の水墨画は、殆ど意識して観た記憶すらない、空白地域と言って良い分野なので、今回は、余り高望みせず、牧谿とされる作品(3作品あった)を味わうことに集中する(時間も無かったし)。

 なるほど、筆にたっぷり水を含ませて描いた、霧の中の風景、というのは、いかにも日本人に好まれそうな美意識の表現ではあるよなぁ。近付いてみると、それほど天才的な筆致とも見えないのだが、離れて観ると、確かに、特別な品の良さというものを感じた。

 が、そういう印象が、国宝という予備知識抜きに得られるかどうかは、微妙なところ。水墨画については、良し悪しを判断するには少なくとも十年早い(十年後なら判断出来るかは疑問だが)。今日の成果として、今度、同様なスタイルの水墨画を目にしたら、牧谿みたいだ、と言うことが出来るようになった。というだけで、とりあえず良しとしよう。

 

TV プロジェクトX 「父と息子・執念燃ゆ 大辞典」

 辞書について書かれた、例えば石山茂利夫「裏読み深読み国語辞書」のような本を読むと、辞書編纂者という人達が皆、いかに超人的な情熱を傾けて辞書を作成してきたかというエピソードには事欠かない。これはまさにプロジェクトX辺りで取り上げるのに相応しいような偉業だと前から思ってはいた。それだけに、今日の、「広辞苑」を作った新村親子の話も、出るべくして出たという気はするのだが…

 辞典編纂者を取り上げるのに当たり、今さら広辞苑を選ぶのは、どうかと思う。確かに、初版が世に出た時の意味は大きかったようだ。しかし、それはスバル360が当時の家族に喜ばれた、と同じ歴史的価値であって、現在は、もっと優れた辞書が、数多存在している。今や、広辞苑は、ワンノブゼム(しかも、さほど重要でない)に過ぎない。

 そういう位置付けを欠いたまま、現在でも一番優れた辞書で有るかのような取り上げ方をする、ということは、一言で言って、悪しき権威主義以外の何者でもない。大体、OEDに対比される大辞典ということであれば、「日本国語大辞典」しか無いと思うのだが。(ちなみに、広辞苑は中辞典に当たる)

 

 たまたま、自分が若干、関心のある分野に関して、こういう杜撰な(それも意図的な?)取り上げ方をしているのを見ると、この浪花節ドキュメンタリー番組全体への不信感が増してしまうのも仕方がない(最近は大体、毎週、見てはいるのだけど)。

 例えば、今日の番組でも、今や優れた辞書は沢山出ている、しかし、あの時代に広辞苑が出た意味はまだ無くなっていない、みたいなまとめ方をするのなら、納得するのだが…

 

6/18

 ところで。気になる、といえば昔から、何と言っても、「この木何の木、気になる気になる」の「日立の樹」である。

 

 私も、あのTVCMを見る度に、あれはどこにあるのかとか何の木だとかを漠然と想像していた。どう見ても南洋だとか、葉っぱを見たところマメ科の植物らしい、とか。

 しかし、私の好奇心はCMを見ている時しか続かないので、漠然としたイメージを抱いたままで、今までの何十年という人生を生きてきた。きっとそのまま人生を終えるのではないか、とさえ思っていたような気もする。

 ところが、この前、ふと散歩の雑誌で、この日立の樹について取り上げている記事を見付けた。遠いので取材するのを断念した、などと書いている。場所はハワイ。取材費が出なかったらしい。記事を見ると、この樹についての公式pageまであるという。そうか、盲点だった。

 というわけで、早速、その「日立の樹ONLINE」を覗きに行く。

 ……ショックだった。いや、その樹が、モンキーポッドという熱帯植物であったこと自体は、ほぼ予想通りだった。問題は、「日立の樹」というものが、一種類では無かった、ということなのだ。昔のCMを見ると、第三代目はマンゴー、第四代目はバニヤンツリー、第五代目はカリフォルニア・オークと、てんでバラバラ。初代なんか驚くことに、アニメの木だ。

 そういえば、昔のCMで何だかガジュマルのような、水上の根っこらしき描写があった記憶もある。そう、確かにこれらの何代ものCMを私は見てきているのだ。しかし、どこかに「日立の樹」を仮託されるような、特別な種類の木が存在する、と私は何の根拠もなく、信じ込んでいた。京極夏彦が一時期盛んに取り上げていたような、世界認識上の予断に陥っていたのは間違いない。見ているものと認識しているものは必ずしも同じではない。

 それにしても、違う木々の映像を見ながら、全然、疑問を抱くことなく、一種類の「日立の樹」だと思い込んでいたとは。まさに、不思議発見。

 世界の姿は一つではない、とどこかの物語の誰かが語っていたような気がするが、その正否はともかく、日立の樹は一つではない。私たちの思い描いている世界は、こんなにも脆いものだったのか…、というより、単に私が注意力散漫なだけ、なのだろうか。

 

6/17

 この前から、気になっていたあの猫なんですが、本屋で「世界の猫」みたいな写真集を眺めた限りでは、「Oriental Shorthair」だったんじゃないかと。

 

6/16

 昨日、千葉の都賀というところに出張。駅前でラーメンを注文したら、墨汁のように黒いスープが。やはり、ここは醤油の王国なのか。

 

Novel 久美沙織丘の家のミッキー1,2巻 コバルト文庫

 何せ、14年振りではあるし。今さら読み返すのは、正直言って、恐かったんだけど。全くの杞憂でした。むちゃくちゃ、面白い!

 なるほど、面白い作品というのは、時が経っても、その面白さには変わりがないんだな、と感心。というか、キャラクター配置の面白さとかは、この時代の少女小説の方が充実していたような気も。この作品で言えば、何と言っても、友人の「うらら」。そうそう、こういう口は悪いけど、主人公を要所要所で支えてくれるような、親友(悪友?)で、主人公(読者)が憧れる、活動的なキャラクターが必ずいましたよね。

 それにしても。この作品は、私にとって、いわば地元小説。私はあいにく「湘南boy的青春」とはこれっぽっちも縁が無かったんですが(^^; それでも、当時の空気を感じさせるところは多々あって、それが非常に懐かしくて。先程の、古典は不変、というのとは矛盾するようですが、その時代でしか有り得ないもの、というのもまた有るのかと。

 大学の1回に、この作品を人から借りて一気読みし(その後に出た最終巻だけは自分で買って)、帰省してきた夏休みに、家から葉山のあじさい公園まで歩いていって(1時間で着きます)、森戸の海を眺めたりしたこともあったっけ(遠い目)。

 いや、それはともかく。この際、前のように一気に読んでしまいたい気持ちで一杯なんだけど、来月の発売は無いらしい。最終巻しか手元には無いし。次の発売日をじりじり待つしかないのか…

 ところで、今回の新装版のイラストは、竹岡美穂(竹岡葉月のお姉さんですね)。これが想像以上に、素晴らしいです。全く違和感無く、しっくり馴染んでいて、しかも爽やか。いなだ詩穂と「ゴーストハント」シリーズくらいの幸福な出会い。かつてのめるへんめーかーのイラストが好きだった人も、これなら納得では。

 

6/14

 有楽町の旧そごうの跡地に、ビックカメラが大きな店を出した、というので、ちょっと話題になったようだ。

 勿論、「ビック、ビック、ビック♪」のビックカメラである。あのCMソングは誰もが、頭に刷り込まれてしまっている歌詞の一つだろう。

 にも関わらず、私はある時、ふと気付くまで、その店名を「ビッグカメラ」と思い込んでいたのだ。ビックと聞こえても、意味はビッグだと信じていたらしい。bicと書かれたカードを見て、足下が崩れていくような衝撃を受けてしまった。というのは大袈裟だが、え?と驚いてしまったのは事実だ。

 ビック、カメラ。なぁ、ビックって、何や〜?

 そんな言葉、聞いたこともない。う〜む。あ!こんな風に困った時は、人差し指で、鼻の下をこすれば、万事解決。…て、それは、ビッケや!

 

 この永年の疑問に終止符を打とうと、当社のSiteを見たが、昭和53年に改名したこと以外は、分からなかった。採用情報のページで「若けりゃ、いいってもんだ」が合い言葉とあるように、よく言えば元気はつらつ、な社風らしいので、由来を考え込むような人は、社員には一人もいなそうだ、というのは窺えたが。

 

 まぁ、疑問だけで終わるのもどうかと思うので、私が推測した仮説を一応、述べておく。

 改名、ということは、業容拡大を狙ってのCI運動の一環。つまりは、顧客が覚え易い名前を巡って激論が何時間も交わされた挙げ句の、…恐らくは、しょうもない親父ギャグ、だったのではないか。

 「とにかく、もっとインパクトのある名前でないと。それもセールスポイントと直結した名前で」「セールスポイントは、当社の場合、やはり安さでは?」「安さと言っても色々有るだろう。」「安さ、暴発」「それじゃあ、他社の真似じゃないか」「なくらい安い、とかでは?」「ビックリするくらいとか」「そうだ、それだよ、ビックリカメラだ」「ドッキリカメラみたいですな」「わっはっは」「しかし、語呂がちょっと…」「では、ビックカメラでは?」「それはいいですな」「ビッグにも聞こえますしな」「一石二鳥ですな」「わっはっはっは」

 などという会話が、まだ昭和のある日、当社の取締役会で行われたに違いない。と勝手に思ったのだが。もし本当にそうだったら、ちょっと嫌過ぎだ。

 というか、真実をご存じの方、情報求む。

 

6/13

 観に行ったのは、多分、義務感から。とはいえ、何に対しての、かは自分でもよく分からなかった。日本のアニメに対して? それとも手塚治虫?

 

Cinema りんたろうメトロポリス

 観ている途中。色々思うことは勿論、あったのだけど。何も語らないことにする、というのが、私なりの優しさだと思う。

 ……だけど。一言だけ、やはり言いたい。「あんな知性のかけらも感じさせないロックなんて、ロックじゃない!」(泣)

 

6/12

 歯医者で、もう来なくて良い、と言われる。治療が終わるまで、もっと長いこと掛かると思っていたので、驚く。

 でも、こうして、一つのことについて完治した、と知らされるのは、ちょっと嬉しい。どうせなら、こうやって、一つ一つ「悪いところ」を治して、「健康な体」になっていけたら、良いのに、とか思う。何か、「どろろ」の百鬼丸みたいだけど。

 体中の「悪いところ」、48ヶ所を治して、普通の人間になりたい… て、48ヶ所も悪いところがあるのか? …何だか、有りそうな気もするな。

 


 それにしても。反省を繰り返してばかりもいられない。毎年、誕生日が来る度に、今年こそは変わらなくちゃ、と思う(だけの)、僕の心に革命を。

 

6/11

 明日は、誕生日。今年は、とりあえず穏やかに迎えられそうなのは嬉しいですが、さすがに、この歳になると、無為に歳を重ねていくことへの痛み、というものを強く感じます。出来る内に、出来ることをしておかないと…

 

Novel 竹岡葉月東方ウイッチクラフト −垣根の上の人− コバルト文庫

 宇宙移民時代の、少年少女のひたむきな姿を描いて、爽やかな感動を与えた、デビュー作「ウォーターソング」に続く第二作は、何と、うって変わって、ドタバタ魔女?コメディ。ひとことで言うなら、ええと…、そうそう!「二人袴コメディ」。…て、何、それ?

 こういう果てしなくおバカな登場人物&物語に、結構、向いているのか、水を得た魚のような、軽快感。今後はこのまま、おバカ路線を突き進んでいくのか? いや、これも非常に楽しいんですが、同時に、「ウォーターソング」的な作品もぜひ続けていって欲しいです。

 

 ちなみに、今週は「コバルト文庫」週間。続いて、十数年ぶりの!久美沙織「丘の家のミッキー」1,2巻を、再読予定(一緒に買ってきた)。 さすがに、今読むと、どうなんでしょう? 読み返すのが、……何だか、恐い。あ、わたし、いまドキドキしてる!? でも。こんなことで、くじけちゃ駄目よ!!

 あの…、いい加減、歳を考えて文章を書いた方が>私。こんな歳になるというのに、こんな文章を書いている方が、よほど恐い、ってば。

 

6/10

 「捨てる世紀から、活かす世紀へ」

 「なんかいろいろ難しいけど、リサイクルは大切だよね?」(『あずまんがリサイクル』) あるいは、「持続可能な社会を目指し」て「循環型社会の形成」が必要。(環境省の『環境基本計画』より)

 というわけで? 過去の文章置き場を手直しして、少しばかり読み易くする。pastとかとか、名付けている辺り。内容自体には、特に変更はないので、それをリサイクルと呼び得るのか疑問、という気もするけど。古いのもまだ再利用する、ということで。

 ちなみに、上記「計画」を実現するための「循環型社会形成推進基本法」や「資源有効利用促進法」というのは、廃棄物のリサイクルを図る法律。私の過去の文章…て、やっぱり、廃棄物の一種かも。リサイクルすべきかどうかは、ともかく。

 

Book 中村公一一番大吉!おみくじのフォークロア」 大修館書店 あじあブックス

 「呪いと占い」企画展を見に行った時、ミュージアムショップで購入したもの。企画展で、ネタ本の一つとして使用されたらしい。そうか、おみくじについては、最初からこの本を読めば良かったのか。

 さて、読んで分かったのは、日本のおみくじには、大別して、仏教系と神道系の二系統があること。前者は、元三大師みくじといわれているが、実は、中国の天竺霊籤という五言絶句のおみくじを輸入したものであり、後者は、歌占という、和歌を通して神の心を託宣(イタコのようなこと)する、日本古来の占いから来ているという。そういえば、漢詩のおみくじと、和歌のおみくじの2タイプが有りますよね。

 ところで、中国でおみくじが隆盛を迎えるのは宋代だそうだが、仏教系のおみくじ自体は、「梵天神策経」という経にまで遡る。これは、6世紀頃に中国で偽作されたらしいが、そのルーツを、更にインドへ遡ることが出来るかどうかは、まだ不明らしい。何だか、らしいばかりで、曖昧なのが残念だが、どうも、おみくじに関する歴史的な検証は、まだまだ不十分な水準に留まっている、ということのようだ。

 例えば、タロットを遡っていくと、どこまで行くのか、とか素人はすぐ期待してしまうのだが、世の中、そうそう全てが分かるわけではないというか。だからこそ、おみくじで、せめて将来の方向性くらいは占ってみよう、と思ったりするわけなのかもしれない。

 

6/9

 休日は、外に出ないと、とたんに書くことが無くなってしまう、というのは、考えものかも。

 

6/7

 職場で、近くの席の人と話していた人が、話の途中で笑い出した時に、聞こえてきたのは、何というか、「きしーしっしっし」というような、息が洩れるような笑い声だった。そう、あのケンケンの笑い声。

 実は、小さい頃、あの笑い声を、秘かに練習してみたことがある(しかも、上手く出来なかった)私としては、そのオジサンが非常に羨ましかったのは言うまでもない。でも、笑い声が全て、あれ。というのも、それはそれで、嫌だな。

 ちなみに、話の相手の声だが、これがまた驚くべき事に、ブラック魔王そっくり、…だったりはしない。いくら何でもね。

 

Comics 竹本泉てけてけマイハート」 竹書房

 なごむ。ところで、内容とは、あんまり関係ないんだけど、珈琲好きな人って、自分で淹れる方には向かわないんでしょうか。というか、喫茶店の味を超えるのは難しいのかしらん。紅茶の場合、自分で入れた方が、外で飲むより絶対、美味しいのだけど。うじゃうじゃ。

 

Comics 大井昌和ひまわり幼稚園物語 あいこでしょ!」 メディアワークス

 何となく、買ってしまった。思ったより出来は良くて、居候コメディとして普通に読める作品だった。が、しかし。浪人生の兄ちゃんが、住み込むことになった幼稚園の女の子(ヒロイン)の笑顔に対して、何だか、ときめいてしまった気がしたりもするような作品って、一体…

 これが、今どきの読者が望んでいるラブコメディ?なのか。というか、この作品の読者としての推奨年齢、て幾つなんだ? う〜ん、お兄さん、ちょっとめまいが。

  

6/6

 ヤングチャンピオン増刊の「チャンピオン.エア」。「エイリアン9」といえば、ドリル。いつもより、余計に回しております、な外伝だった。 …それにしても、「エイリアン対策係」(体操服)のコスプレ衣装って、一式いくらで売り出すつもりなんだろう? いや、別に買いたいわけではないんですが。

 

Art 琳派の華 酒井抱一展 出光美術館 2001.5.19〜7.1

 昼休みを犠牲にして(笑)、美術館に行こう計画、第二段。

 所蔵品の展示、ということで、数は少な目だったけど、多いと、時間内に戻ることが出来なくなるので、これくらいで良いのか。内容的には、風神雷神図の宗達→光琳→抱一の模写の説明等、琳派の継承という点を強調した展覧会だった。

 ところで、私からすると、抱一の絵の魅力とは、穏やかで知的な、全体的な趣味の良さにある。言ってみれば、このHPのような?

 …かどうかはともかく、だから、琳派として、という下りを強調しなくても良いのでは、というか、江戸琳派というのは、色々な流派が混合された絵画、という側面の方がより重要なのでは?という気もしたのだけど。

 それにしても、抱一の花鳥画は上手い。構図と言い、花や鳥の描写と言い、一昔前の日本画の最高のお手本、という感じ。

 

Book 日本美術史」 昭和堂

 という風に、最近、琳派等を意識して観ることを始めてから、改めて痛感させられたのが、日本の美術に対する、私の知識の貧弱さ。

 例えば、琳派という様式と、宗達、光琳といった人名は知っていても、どっちが古い人なのかも分からない。あるいは、もっと主流派の狩野派に関しても、学生時代を、京都で過ごしていた頃、普通の人よりは遙かにその作品を見たというのに、狩野〜と名を聞いても、誰が誰やら。つまりは、無知そのもの。威張って言うことではないけど。

 そうなった一因としては、当時の頃の私が、先入観を排除し、見たまま感じるのが大切と、あえて知識を求めず、昔の絵画や仏像や名庭と、無心に向き合おうとしていたせいも有る。…結果的には、ただ、ぼーっと見ていただけ、で終わってしまったが。

 とにかく、この際、最低限の知識は頭に入れておこうと、適当な概説書をずっと探していたのだが、なかなか見付からない。そんな中、ようやく見付けたのが、これ。レベルとしては、高校の教科書くらい。山川の世界史みたいな記述で、凝縮されているけど読みやすい。

 狩野派の歴史も確認出来たし、水墨画の流れとか、更に無知蒙昧な辺りも学べて、昨日の私より、少しだけ賢くなったような錯覚(^^;

 もちろん、最終的には、やはり、実物にどれだけ触れることが出来るかが全て、だけど。

 

 とはいえ、なかなか実物を眼にすることも難しいので、「俵屋宗達」「尾形光琳」「酒井抱一」「円山応挙」については、新潮日本美術文庫の画集を各々、購入。色彩の再現、という点では不安が残るもの、1100円というお手頃な値段といい、図版の多さといい、日本の画家については、これよりコストパフォーマンスが良い画集のシリーズは未だに出ていない気がします。

 

6/5

Comics ひな。1ねん3くみ桃ちゃん先生。」 角川書店

 …ある意味、凄い作品かも。例えるなら、「火の鳥 復活篇」?? 小さい頃、読んだら、もしかしたらトラウマみたいに残りそうだ、ってこれ、大きいお友達しか、読まないのか。

 

Comics 新谷かおる日の丸あげて2巻 ソニーマガジンズ

 物語、というかレースが始まり掛けた所で、いきなり「完」となったので、やや驚いた。バーズ読んでなかったからな。打ち切りだったのか…

 いや、新谷かおるといえば、かつて、少年サンデーでの「バランサー」という連載で、突然、主人公が替わってしまうわ、ハードボイルドなシリアス作品がおちゃらけコメディになるわ、出てくるキャラが8等身から3等身になるわと、どう見ても別の作品に豹変してしまった時の驚きは、こんなもんでは有りませんでしたが。

 

6/4

 先日、街を歩いていて、耳が横を向いている猫を見掛ける。ええと、普通の猫は、耳が前を向いていると思うんですが。ピンと後ろに反り返っているというか。ちょうど、二等辺三角形のラインが尖った耳の先まで延びている感じで、空飛びそうな?フォルム。えらい格好良かったですよ、あれ。舶来産の猫なんでしょうか。猫に詳しい方がいらっしゃいましたら、名前を教えていただけると有り難いです。



 ふと気が付くと、竹本泉「てけてけマイハート」と、ひな。「1ねん3くみ桃ちゃん先生。」を買っていたりする。…疲れているのかもしれない。はっ、そういえば、この2冊、割と似た方向を向いてません?

 

6/3

 過去の日記をずっと直していたのですが、結局、終わらず。疲れた。何で、こんなことをしているのだろう、段々、そう思うようになってきました。

 本当は、修正作業が終わったら、自分の生き方(大袈裟)の反省を兼ねて、最初から読み直そうと思っているんですが、いつになることやら。

 まぁ、以前と比べると、随分読みやすくなったとは思いますので(あくまでも、当社比です)、何かの折りにでも、見て頂けると面白いかもしれません。あんまり、時事的な日記でも有りませんので。



 それから、↑に「ひとこと」欄を設けてみました。別ウインドウで、アンケートフォームが開きます。伝言板やメールというのも何だしな、というような些細なツッコミとか、それから、訪問の足跡等を1回くらいでもぜひ残していって頂けると嬉しいです。どういう方が、ここに来て下さっているのか、我ながら不思議、というか、前から非常に、興味がありますので。

 

6/2

Art 呪いと占い企画展 川崎市市民ミュージアム 2001.4.28〜6.10

 感想が長くなりそうだったので、別ページに書いてみました。

 …我ながら、何なんだろう、これは。ともあれ、今年の文章の中では、自分的に一番の出来だと思いますので(本当か?)、ぜひご覧下さい。

 

Art 琳派の襲ね−雅のかたち− 畠山記念館 2001.4.1〜6.17

 絵画よりは、尾形乾山を中心として、やきものの方が多かった。乾山は、私の美意識とは、少しずれるのだけど。琳派だと、光悦の楽焼とかの方が好み。今回の展示だと、「雪峰」とか。

 

6/1

 最近、Comicsを読むペースが著しく落ちていて、そんなに短い間隔で単行本が出ているわけでもない作家の作品ですら、前作をちゃんと読まないまま、新作が出ていて困ることが非常に多い。今日も、「地球美紗樹」を見ては、「狼の瞳」をまだちゃんと読んでないことを思い出し、「テスタロト」の2巻を見ては、1巻を、第一話だけ読んだきり、床のどこかに置いたままだということを思い出す、という具合。

 …少し、集中的に未読分を減らさないといけないかも。

 

Novel 乙一きみにしか聞こえない CALLING YOU 角川スニーカー文庫

 私は、そんなに涙腺が脆い方ではない、と思っているのだけど、第一話で、いきなり、どうしようもなくやられる。途中で、話の方向性が大体読めるだけに一層、その線上を進んでいくことへの切なさ、とでもいうか。混んでいる電車だというのに、本当、危なかったです(^^;

 ただ、この本だけを取り上げると、引き出しが割と狭い作家、みたいに見えてしまう気も。そういう意味では、少し物足りなかったかな。

 第三話は、趣向としては面白いと思ったのだけど、こういう文体はさすがにぎこちない、というか、そのぎこちなさで、まず引っ掛かってしまい、物語に没頭出来なかったので、それほど思い入れが出来ないまま、淡々と読み終わってしまい、やや残念。