9時半に残りの物を片付けようと思ってルーブルに行くと、何とclosedである(何かのパレードのためらしい)。せっかくの無料を損したと思うが、しょうがないのでポン ピドゥーセンターの現代美術館へ行くことにする。
テクテクと歩いていくとちょうど10時少し前で、開く直前である。出店のクレープを食べていると、ドアが開く。結構、ドドドっという感じで中に人るが、4階まで行く内に分散するので、美術館自体はそれほど混んでいない。ラッキーなことに、ここも日曜は無料である。
なるほど、国立だけあって質量共にたっぷりあって現代美術の苦闘(?)の歴史が良く分かるようになっている。但し、それぞれの作家の決定的な作品は殆どないようだった。後半辺りになると疲れてくるので、作家の努力というか知恵を 絞ったのが、単なるゴクローサンに見え、もっと楽しめるものを作ってくれれば良いのにと思う。そんな中で、動くものがあると誰でもつい喜んでしまう。ほとんど子供のおもちゃだが、しかし、そういうの でもないと、ポップアートだろうが何だろうが、 単なる自己満足に過ぎない。
センターを出てから、沼田氏にTelをする。今まさに忙しいところらしい。昼を浮かす予定が外れてしまったが、こういう時はこまめに補給と、近くのパン屋でフランスパン 1本のサンドイッチを買い、5分位掛かって、体の中に入れる。
さて、次はピカソ美術館まで歩く。しかし、足がだるく、絵を見ていてもすぐ腰を下ろしたくなってしまう程だが、その理由が分かる。寒さのせいである。腰から上はコートで保温されているが、足はジーンズのままだから、筋肉が 固くなったままということらしい。睡眠時間でカヴァーする他ないだろう。
美術館は、ピカソが一通りそろっていて、ピカソの歴史はちゃんと学べるようになっていたが、しかし、ピカソの展示はいつでも不充分という感じがする。というのも、ピカソの最大の 点は単に沢山の絵を描くPowerがあったということ(勿論、それが傑作かどうかとは関係ない)に尽きると思うからで、5千点位並べた倉庫でもあれば、見たという気もするだろうが、そうでもなければ、どうしても、何だか不充分という気がする。そしてそれは、(それだけ沢山描いた)ピカソの絵が1枚では不充分な所があるということなのかもしれない。
ピカソ美術館を出ると3時前。いくら何でも宿に戻るには少し早い。もう一つモローも見てしまうことにする。美術館にたどり着き、中の階段を登ると、あるわあるわ、余り広くない部屋の壁に、すき間がない程にモローの絵が並べてある。
しかし、全体の印象はうす暗く、何だかもうろうとして(?)パッとしない。こういうのがシンボリズムなのかとは思うが、昔のイメージと余りに違うので悩んでいると、水彩のケースを職員が開ける。これぞ、という感じ。非常に細密なラインと、ぽぅっとした色の塗り方は水彩画で最高に生きる。帰りに絵ハガキを買うが、絵ハガキも水彩画が多いようだった。
宿の近くまで戻ると、朝は開いていた市場や店が閉まっている。やはり日曜なのだと思い、近くのファーストフードでハンバーガーを買って、宿に帰る。ハンバーガーを食べた後、昨日買った「野ウサギのテリーヌ」を開けるが、コンビーフのような感じで少なくともマズくはなかった。明日、いくら替えれば 良いのか計算してみるが、良く分からない。
とりあえず、2万円替えて、余ったら本でも買うことにしよう。リコンファームの方は大丈夫だろうか。それがほとんど唯一の心配である。
・昼を浮かす …泊めることが出来ない替わりに、昼食を一回ご馳走しましょうと、沼田氏には言われた。単なる社交辞令だと理解するべきだったが、旅の終わりで、恥も外聞もお金も無い当時の私は、是非お願いしますと、当てにしていた。一食3千円は大きい
し。
・5分くらい掛かって …実話。とにかく固かった。アゴが痛くなるほど。でも、全部食べた。
・もうろうとして …すみません、つい。
写真:6 Paris