朝、ご飯にみそ汁(!)を食べた後、しばらく、ぼーっと過ごすが(置いてあったビデオの「秋刀魚の味」を見ようと思うが、録画してある3倍モードが再生できないデッキだった)、いくら楽でも、これでは パリに居る意味がないと思い、昼を頂いてから、見ていない美術館の数を少しでも減らすことにする。
まず、グラン・パレのピカソ展。老年の作品が主だが、もう、めちゃくちゃでやはりピカソである。人間、年を取ったら性欲しか残らないのか(あれ?)。何と言っていいやら。 まぁ、これらの作品が日本で展示されることはほとんどないのだろう。
次、パレ・ド・トーキョーの現代美術館。館内に入るといきなり、色付きの蛍光灯とか下に並べた鉄板とか、芸術モニュメント(笑)が並ぶ。ものによっては私と同じ位の年を経ている、それらのカタマリを見ていると、これらの作者は造園技師にでもなれば良かったのにと思う。一つ一つ説明が付いているようだが(フランス語なので読めない)、それがどうしたと思ってしまう。大体、こんなもの邪魔になるだけじゃないか。1年以内にはなくなる材料で作れば 良いのに。
その手のものばかり見ていたので、いきなり普通の(といっても現代美術として)絵画が出てきた時、逆にどう見るべきか、しばらく調子が合わなかった。しかし、内容はそれなりに豊富で、特に、ここでボナールの有名な作品を見ることが出米たのは予想外という感じで、とても良かった。
外に出ると3時半、ついでに映画博物館も見ることにする。行くと、ドアが閉まっていて、人が座り込んでいる。どうやら4時に開くらしい。しばらく待っていると人が来て、その人のガイドに従って皆ぞろぞろ進んでいく。しかし、中が予想外に広いのと、そのガイドがけっこう詳しいようなので(やっぱりこれもフランス語なので全然分からない)、いくらたっても出口に着かない。1時間経過して、やっと表現主義(1920s)である。足がだるい。1時間50分後にようやく出口。「メトロポリス」のマリア以上におおっと言うものは無かったが、一応一安心である。出来ればシネマテークで1回見ておきたいのだが。
その後、夕食用のパテetcを買い(明日は休みだから、カン詰めの「野ウサギのテリーヌ」というのを、一つ買ったのだけど食えるだろうか)、元のhotelに戻る。ここで又3泊しなくてはいけない。天皇が即位するとかで、回り回って月曜までの3日間は向こうに泊まるわけにはいかないのである。しかし、そんなことで天皇をうらんでもしょうがないだろう。元々覚悟していた出費なのだから。
ところで朝、TVを見ていると「ピーターパン」をやっていた。ところが、英語吹き替えで音楽は入れ替えているし、OPも再編集して、日本語が全く出ない。スタッフもアメリカ人かフランス人か、その手の名前だけ(何のスタッフ ?)で、これが日本で作られたことを証明するものが全くない。これってどういうことなのだろう? おまけにドイツ語のchannelなので、トイツ語の字幕が付いている。しかし、あのバタくさい絵がこちらの感じに合うのか、すごくかっこ良く見え、すごい傑作に思えた。特に 力の入った回だったようでもあるのだが、見ていて思わずワクワクしてしまった。
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明日は休み …日曜日だとお店が閉まって、買えないので、缶詰めを買っておいた。コンビニは当時はまだ普及していなかった。
・「野ウサギのテリーヌ」 …缶に横向きのウサギのシルエットが描かれていた。
・回り回って …何でも、即位を祝うパーティのようなものが、在仏日本人の社会(というものがあるらしい)で開催されることになっていて、長尾夫妻がその世話役をすることになっていて、その間は自宅(アパルトメント)にも戻らない、というようなことだったと思う。地球の反対側のことで何でまた、とは思ったが、そんなことで本人を恨むのは、どう考えても、お門違いである。
写真:6 Paris