ルーブルの日。朝食は16Fということを考えると、そう安くはないが、ともかくフランスパン1本と紅茶とミルクが出てくるので、食べられる物は全部食べることが肝心だと、バター2個とパン1本を食べてしまい、何とか体が持つことを 祈る。
ルーブルに着いてピラミッドを降りる。極めて現代的合理的な建物であるのに驚く。しかし、案内図を見ないと、自分がどこにいるのか、よく分からない。我々はどこから来てどこへ行くのかと思ってしまう 。
とにかく、古い方から片付けようと、メソポタミアの方から見ていく。しかし、30分以上歩いているのに、ハンムラビ法典以外、知っている物が出てこない。おまけにガイドブックの編集と実際の表示順が一致していないので、自分が今どこの物を見ているのかさえ、よく分からない。エジプトに入って少し状況が良くなるが、それでも有名な物と気付かずに通り過ぎた作品も多い。
しかし、よくもまぁ、これだけ沢山の物を引っぱがしたりして取ってきたものだ。その意欲たるや、相当なものだ。しかもそれを観光資源にして外国人に見せるという。さすが大盗人ルパンの国である。
2時間30分後、ミロのヴィーナスとニケまでたどり着く。この際、彫刻は全部見ちゃえと、更に1階フロアを一番先まで歩くが、空腹のため集中力はほとんど0でミケランジェロ以外何も覚えていない 。
仕方ないので、館内のカフェでエスプレッソとフランスパンのサンドイッチを頼む。この一番安い組み合わせで23F、600円である。しかし、こんなものでもないよりマシで(他に外で買ったサンドイッチも、そこでこっそり食べてしまった)、後、何とか持った。
なるほど、ダヴィッド、ドラクロワ、アングルetcはさすがに数が多い。数が多いと言えば、確かに全体の数は多い。有名でない作品など並べられるかぎり並べてしまえとばかり、つめて掛けてある。しかし、全体として受ける感動は低い。ごちゃまぜコレクションの宿命か。
ともあれ、意外なことに5時間後には大部分の絵画を見終えてしまっていた。後は工芸が一翼の2階、絵画もその3階にある分だけだ。大体、あと半日、日曜日に来れば済むだろう。こんなものかと思うが、こんなものでも見ることが出来て良かった。
ところで、絵画の目玉は何と言ってもモナリザということになるのだろう。とにかく、これだけはガラスケース入りの特別扱いなのである。正直言って、これがそんなにすごいかどうかは分からない。ただ、眺めていると 、やっぱりあの微笑が何なのか段々分からなくなってくる。そうして、なかなか立ち去ることが出来ない。だから、やはり名画なのか。しかしモナリザの場合、名画だから名画に見えるというトートロジーが行なわれているような… よく分からない。
明日は電話を2本掛けなくてはならない。それによって、パリでの私の行動が少なからず影響を受けることになるのだが、どうなることやら。大体、私はパリでの電話の標準的な掛け方自体 、知らない(大体、いくらかかるとか)。どうなることやら。
・ モナリザ …「その後のモナリザ」については、後日、展覧会を見る機会があった。
写真:6 Paris