空の蒼さを 見つめていると


2007年9月

9/30

 雨。しかしながら、買い物。手袋とか帽子とか、登山用品店に寄って、主に防寒方面のアイテムを買い足す。実際、どの位、寒いかよく分からないんですけど。ちなみに、チューリッヒだと、今日の東京と大して変わらないらしい。

 というところで、残り一週間を切ったので、机上で(というか日記上で)シュミレーション。書いてみると、必要なことを思い付くかもしれないし。とりあえず、最初の3日間から。

 

 10/6(土)。成田→チューリッヒ。

 この日、一番大変なのは、多分、06時24分の電車に乗ること(のために、朝早く起きること)。駅までは(バスがまだ無いので)歩いていかないといけないし。

 それさえクリア出来れば、今回は!台風も来なそうだし、飛行機は直行便なので、取り立てて問題はないかと。チューリッヒ着は15時55分予定。この日は駅の近くのホテルに泊まるだけなので、割と楽な筈。

 ということで、そのままチューリッヒ歌劇場にオペラを見に行こうかと検討。この日のプログラムは私の好きな「魔笛」で、しかも、DVDで観たのとは違う新演出で、写真を見ると、(多分)モノスタートスがテロリストになっていたりするので、かなり見たかったのだが、さすがに初日から無理は止めようかと。ホテルに着くのが17時位で、19時開演に間に合わせるのも割とギリギリで、帰ってくると23時台。次の日は朝から移動だし。

 それに、この日の内に、国鉄周りの用事も済ませておきたいので。パスのヴァリデートとか、3日目の氷河急行の予約とか。ついでに駅構内の様子も確認しておきたいし。ライゼケペックの窓口の場所とか。

 

 10/7(日)。チューリッヒ→サン・モリッツ。

 サン・モリッツに寄り道することになったのは、セガンティーニ美術館に行ってみたい、と思ったため。前にBSの「幻想美術館」でやっていて、惹かれたので。といっても、それだけでは勿体ないので、(風光明媚という話の)ベルニナ急行ルートで、アルプグリュムまで電車に乗って南下してみようかと。具体的にはチューリッヒ→クール→サメダン→ポントレジーナ→アルプグリュム。

 もっとも乗るのは「ベルニナ急行」ではなくて、普通のICのみ。ポントレジーナからアルプグリュムまでだと、45分しか無いので、それだけ乗っても仕方ないかな…と。アルプグリュムで昼食後、折り返し、サンモリッツへ。とりあえず、ホテルに寄ってから、セガンティーニ美術館に寄って(ベリー美術館というのもあるらしい)、後は街をぶらぶら。高級リゾート地らしいので、多分、疎外感を感じるだけだろうけど(^^;;

 ちなみに、サン・モリッツも坂の街だし、乗換も10/7,10/8ともに多いので、チューリッヒ駅で出発前、ライゼケペック(ファースト)で次の宿泊地、インターラーケンヴェストの駅まで思い切って荷物を送ってしまう予定。だから、10/6の夜の内に、サン・モリッツ一泊分の荷物を分けておく必要が。今までそういう形で旅をしたことがないので、何を入れておけば良いのか、ちょっと悩むところだけど。

 

 10/8(月)。サン・モリッツ→インターラーケン(ヴェスト)。

 月曜日はどこも休館。というところから、移動日がここになった。最初は、氷河急行をブリークまで乗って(必要最小限の乗換で)西側からベルナーオーバーラントに入るつもりだったのだが、荷物を送ることを決めたので乗換上等ということで。サンモリッツ→アンデルマット→ゲッシェネン→アルトゴルダウ→ルツェン→インターラーケンという4回乗換のコースの方が変化に富んでいて、面白そうかなと。

 サンモリッツ→アンデルマット間は一応、かの氷河急行に(せっかくなので)乗ろうと思っていて、この季節なら予約も大丈夫だろうと計算しているのだけど(クールからの氷河急行でも良いし)、万が一、どちらも予約が取れなかったら、アンデルマットまでは普通の電車に乗り、ルツェン→インターラーケン間はゴールデン・パスで時間を稼ぐ、という代替案も用意しているので大丈夫(という予定)。

 こうしてスイスの4大景観路線全て(のそれぞれ一部)に乗るという、鉄道に関しては割と欲張りなプラン。オフシーズンならではの楽しみというか。

 インターラーケン到着は(順調に行って)18時45分位の予定。既に暗い? 天気が悪かったりすると、荷物を受け取った後、ホテルまで行く(徒歩10分)のがちょっと億劫かも。…まぁ、何とかなるでしょ。

 

9/29

 寒い一日。この週末で荷造りをしないといけないのだが、する気力が湧かない… 困った。

 チケットも捌けなくて、困ったまま。先日書いた、10/14(日)15時からのベルリン国立歌劇場「トリスタンとイゾルデ」@NHKホール 、D席3階15列。定価26000円のところ、現在21000円で引き取り手を募集中です!

 

  (追記)チケットはやふおくで捌けました。当然、ディスカウントですが、先週出した分で何とかリスクヘッジ出来たし。旅行前の最大の懸案事項が解決(多分)して、ほっと一息。

 

9/28

 期末の忙しい一日だったけど、今月、西洋の絵画の展覧会に全く行けていなかった反動もあって、無理矢理、帰りにbunkamuraへ。

 「ヴェネツィア絵画のきらめき」@Bunkamuraザ・ミュージアム。

 先日のプラハ国立美術館のフランドル絵画展と似たような感じの展覧会。趣旨はよく分かるんだけど、本家の(ヴェネツィアのアカデミア美術館等で見られる)ヴェネツィア派の絵画と比べると…

 ポスターにもなっているティツィアーノのヨハネの首を持つサロメの絵は、覚えておく価値があるだけの絵なのに、全然、記憶にない。ドーリア・パンフィーリ美術館は一通り見た筈だけど、どうしたことやら。まぁ、あの時は、ヴェラスケスの「インノケンティウス10世」の印象が余りにも凄かったからな(言い訳)。

 

 もう旅行後までは展覧会に行く暇は無いだろうけど、その後の展覧会情報をチェック(現実逃避?)。今、平塚市美術館で開催中の「絵で読む宮沢賢治展―賢治と絵本原画の世界」。

 絵本の原画を見てもな…と食指が動かなかったのだけど、内容の詳細を見ると、『自筆の「雨ニモマケズ」手帳と、賢治が描いた水彩画5点は12年ぶりに展示されます。』と有るではないですか。

 賢治好きとしては「雨ニモマケズ」の手帳は、一度はやはり見ておきたい。行かなくては。

 

9/27

 旅行前にスケジュールの詳細をここに書いておこうかと思っているのだけど、期末の忙しいところに持ってきて、チケットを売るべく奔走したりしているので、ますます呑気に日記を書いていたりする暇が無くて。

 そういえば、先月以来のスイス月間というか、スイス関連書籍についても、行くまでに書く暇は無さそう。ええ、「ハイジ」を(中学生以来、初めて)読み返したりしてみたのですけど。

 

 Novel。加納朋子「ぐるぐる猿と歌う鳥」(amazon)。

 講談社ミステリーランドの7月の新刊として、刊行前から楽しみにしていた一冊。加納朋子の本はデフォルトで購入しているのだけど、時間も経ってしまったので、とりあえず図書館で借りて みた。

 村上春樹の小説みたいな題名に、奇妙なファンタジーっぽい話なのかと漠然と予想していたら、全然違った。正しい意味での児童文学。前の短編集「モノレールネコ」の表題作は、佐藤さとる作品へのオマージュみたいな短編だったけど、今回はむしろ、山中恒とか、そういう感じの主人公で、加納朋子作品としては 少し変わっている。

 と思っていたら、終盤で真実が明らかになる瞬間は、やはり加納朋子ならではの鮮やかさ、そして暖かさ。明るいだけの話ではないけど、非常に爽やかな読後感。期待通りの作品だった。あと、九州弁萌え。

 

 大判なだけの「海外ファンタジー小説」が面白い本だと思わされている今どきの子供達は、(自分たちの年代に比べて)本に恵まれているとは決して思わないけど、こういう本とさりげなく出会えるという点では非常に羨ましい。ミステリーランドは一応、全部読んでおくべきなんだろうな。

 

9/24

 今日は家に籠もって、準備とか。あと、日記。一気に書くのは止めよう。といつもながら思った。(9/14位から追加しています…)

 

9/23

 「陰陽道×仏教」@神奈川県立金沢文庫。

 ダキニ法の作法が記された文書等、その道の人にとっては貴重過ぎる位のコアな展覧会。あいにく、そのほとんどは読めないんだけど…、図を見ているだけでも面白い。

 中世以降、天皇即位の際に行われた密教的儀式「即位灌頂」が、ダキニ法そのものである、というのには心の中で「へぇ」ボタンを連打(←無知)。サントリー美術館の屏風展でも「灌頂」の儀式について述べられていただけに、なおさら驚く(あちらの「灌頂」はまた別かもしれないけど)。

 とりあえず、あとで何かの(一体、何の?)役に立つかも、と久々に図譜を購入。図譜は何故か、窓口ではなくて、併設の喫茶室「ともしび」で売っている金沢文庫。ともしびと聞くと、反射的に片仮名の曲が浮かんでしまう、割と駄目な感じの自分。特に、女子高生の足先だけのED映像が浮かぶ辺り。

 

 あとは、旅行準備を兼ねた、冬服調達の買い物(下見)。帽子と手袋は必須かな… あとは、どうしよう。本当は登山用品の店のウェアが万全なんだけど、フリース1枚で1万5千円とかするんですよ!

 

 一週間前に出したヤフオク(デビュー)の11/10のチケットが落札。やれやれ。しかし、問題は本命の?10/14のチケットを捌く目処が依然として立っていないこと。ということで、ここでも告知しておきます。

 10/14(日)15時からのベルリン国立歌劇場「トリスタンとイゾルデ」@NHKホールのチケットをご希望の方がいらっしゃいましたら、メール↑にてご連絡下さい。

 D席3階15列、定価26,000円のところ、23,000円(送料別)であれば、お譲りします。「2007年 随一のオペラ!」かどうかは知りませんが、上演時間が4時間位にはなるので、時間で割れば、そう高くはないですよ(…そういう問題か?)。ちなみに、デジポケでの譲渡なら、送料は不要ですので。

 

9/22

 暑い… 彼岸とも思えないほど暑い。

 ということと、NODA・MAP「キル」の先行予約が有ったこともあって、出掛けず一日、断続的に電話を掛け続けるが、繋がったのは19時を過ぎてからだった。…無駄に一日を費やしてしまった自分に腹が立ち、つい、かっとなって、溜め込んでいた「精霊の守り人」を8話分、一気に観てしまう。

 …それについては、あまり後悔していない。出来の良い作品だと、続けて見ても(精神的に)疲れないことが分かった。

 

9/21

 「BIOMBO/屏風 日本の美」@サントリー美術館。展示替え、第3期。

 

9/20

 何だか風邪気味。喉がかすれている。悪くならない内に治ると良いのだけど。

 

9/17

 この週末は前半がふらふら出歩き、後半が(旅行準備のための)引き籠もり、という色分け。

 昨日などは朝から晩まで一日中、PCの前にいたのだけど、電車や宿を一通り決めてしまうまでは、更新するどころではなかった。ようやく(とりあえず)落ち着いたので、この間のことも少しずつ、補完しようかと。

 

9/15

 昼に千葉まで行き、「都市のフランス 自然のイギリス〜18・19世紀絵画と挿絵本の世界〜」と、「若冲とその時代」を千葉市美術館で観てから、東京に戻り、中央線で三鷹へ。「怪獣と美術」@三鷹市美術ギャラリーを見る。その後、また新宿に戻り、19時から谷山浩子の秋恒例の「猫森集会2007」に。

 「猫森集会」は、毎年はCプロの「オールリクエストデイ」に参加しているのだけど、今年はAプロの「由貴ちゃんとにんじんポテト」へ。理由はまぁ、ミーハーだから(^^; いや、かつてのアイドル時代だって、じかに聴いたことがある、とかいうわけではないんですが。

 久々に見た(ドラマ等にはよく出ているらしいが)斉藤由貴は、すっかり主婦の貫禄に満ちていて、「MAY」はともかく、「土曜日のタマネギ」なんて、今の彼女が歌うと、台所の余り物でポトフを作る主婦の歌にしか聞こえない(^^;;

 あと、長年歌うのが夢だった、という曲が「そっくり人形展覧会」なのに、笑った。「白黒」で言えば、完全に「黒」派らしい。「ドッペル玄関」とかも楽しげに歌っていたし。

 

 ところで、今さら、な話なのだけど、「マリみて」の最新の短編集の中の「ドッペル階段」。

 ドッペルゲンガーから、いきなり思い付くには(夏の「怪談」と掛かっているとしても)不自然な表題。やっぱり、ドッペルゲンガー → 谷山浩子の「ドッペル玄関」 → 表題の「ドッペル階段」、という連想だと思うんだけど、実際のところはどうなんでしょう?(誰に訊いている?)

 

9/14

 世の中には、有給が基本的に「取れる」会社と、「取れない」会社の二通りが有る。そして、私がいる会社は後者の方。

 とはいえ、風邪を引いても休めない!わけではないのだけど、夏休みの5日(付与休が付くので実際は4日)と冬休み?の2日以外、病欠等の理由が無い限り、休み難い。せめて、半年に2日は他に有給消化日を取ることになっているのだが、それでも1年に取れるのは計10日程度。ともあれ、上期も間もなく終わるので、2回目の有給消化日として9/14は休み、と前々から宣言し、前日の夕方、引継ぎも全て終了したところで、初めて気が付いた。…既に2日取ってんじゃん。まぁ、今さら取り消すのもあれなので、特に理由もなく、休みを取ってしまった。有給であることには変わらないし。

 で、そういう貴重?な休みに何をしたかというと、映画館にヱヴァを観に行ったという(^^;; しかも、2回。良いのだろうか、そんな使い方で。

 

 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」@新宿ミラノ。

 2回観たのは、別に「面白かったから、もう1回」という衝動からではなくて、当初からの予定。結果的には、2回続けて観て良かったかなと。

 1回目観たときは、どうしてこうも、総集編仕様なんだろうと、凡庸なまでの編集に疑問を抱いていたのだけど、2回観ると(さすがに、有る程度は透けて見えるので)、多分、それは「故意」なんだろうなと思った。初めて観る人と、エヴァを観たことのある人では(描かれているものより、むしろ描かれていないものによって)見えるものが違う、「総集編のような」劇場版。…まぁ、初めて観る人なんているのか、とも思うけど。

 

9/13

 「BIOMBO/屏風 日本の美」@サントリー美術館。

 そうだよなぁ、サントリー美術館といえば南蛮屏風。だから、今回も各地から南蛮屏風を集めただけの展覧会なんでしょ? と実は余り期待していなかったのだけど。

 今年3月にリニューアルしたサントリー美術館にとっては、多分、今年の中で一番気合いが入っている企画展、でした。地味に豪華絢爛というか。

 特に「祇園祭礼図屏風」については、ケルン東洋美術館、クリーヴランド美術館、メトロポリタン美術館と世界に四散している屏風を一挙に里帰りさせて自館の分と繋げて見せるという、やりたくてもなかなか出来ないようなことをやっていて感嘆した。この日のために何年前から調整してきたんだろう。

 他にも平安時代から残る屏風や、「日月山水図屏風」といった貴重な屏風絵の展示は勿論、昔の絵に残る屏風の使われ方とか(江戸時代、亡くなった人の横には逆さ向きの屏風を立てることがあったとか)、総合的に屏風という文化をもっと紹介しようという、企画者の情熱が伝わってくる内容だった。淡々とした紹介が多いサントリー美術館としては珍しい感じ。

 惜しいのは展示スペースと保存の観点からか、展示替え回数が非常に多いこと。こういう時のための会員証とはいえ、毎週通うのは大変過ぎます。でも、せめて2週に一回は行かないと。あと、同じく保存上の理由からか、暗い展示が多いのもやや辛いところ。特に「祇園祭礼図屏風」などは細密描写なので、次回は単眼鏡が必須かと。

 

9/12

 今いる係がそっくり、10月から別の部に異動することに対する、部のお別れ(追い出され?)会。大人数での宴会時に決まって使用する会社の厚生施設なので、余り美味しくはないのだけど。帰って見れば、総理の辞めました発言(いや、有ったことは知っていたけど)。

 

9/11

 「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展」@ラフォーレミュージアム原宿

   う〜ん… 自分の中で、以前と比べて関心を惹かなくなっている、のをあえて確認しに行った感じ?

 

 来月の旅行の予定。

・10/ 6(土) 成田(午前・発)→→チューリッヒ(泊)。
・10/ 7(日) →クール→ポントレジーナ→<ベルニナEXP>→アルプグリュム→サンモリッツ(泊)。
・10/ 8(月) →<氷河EXP>→アンデルマット→ゲッシェネン→ルツェルン→インターラーケンオスト(泊)
・10/ 9(火) →ユングフラウヨッホ→ヴェンゲン→メンリッヒェン…クライネ・シャイデック→インターラーケンオスト(泊)
・10/10(水) →ベルン(泊)
・10/11(木) →バーゼル→コルマール→バーゼル→ベルン(泊)
・10/12(金) →チューリッヒ(泊)
・10/13(土) →ヴィンタートゥール→チューリッヒ(泊)
・10/14(日) チューリッヒ(昼・発)→
・10/15(月) →成田(朝・着)

 こう書くと、すっかり準備完了したかのようだけど、日程自体は一ヶ月前には既に出来ていた上に、実際に手配したのは往復の航空券のみ… そろそろ準備に取り掛からなくては。

 

9/9

 「凄いや、ウイニャイマルカは杉並区に有ったんだ!」

 というわけで? 某公録イベントで西荻窪まで行ってきました。…まぁ、ラピュタだって阿佐ヶ谷に有るらしいし(意味不明)。

 せっかく西荻窪まで(初めて)来たからには、帰りにあの「アテスウェイ」に寄ってみようかとも思ったけど、暑いので断念。まだ、ケーキを持ち歩く季節じゃないよね。でも、この辺りまで来るのは自分的には割と大変なので、午前中は練馬区立美術館に寄ってみたりはした。この機会でもないと、行かずに終わるところだった(行って良かったけど)。

 

 そういえば、ここ一週間ほど、美術館に行った記録を付けてなかった。

 9/1。(「椿姫」を観に行く前に寄ったのが)「仙香Eセンガイ・SENGAI」@出光美術館と「美術の遊びとこころ 「旅」」@三井記念美術館。

 9/8。「森村泰昌−美の教室、静聴せよ」@横浜美術館。9/9。「山口晃展」@練馬区立美術館。

 渋すぎる三井記念美術館以外はいずれも、誰が見ても「かなり面白い」展覧会だった(と思う)ので、感想も出来れば書きたいのだけど、「スイス月間」の方も進んでいないので、どうなることやら。そろそろ、電車の予約(一部)と宿の手配を始めないといけないし。あと、冬服も旅行に備えて買い直さないと…

 

9/7

 今回の台風は大変でした。といっても、大雨に濡れてとか、交通が止まって、というわけではなくて。

 交通が麻痺したら、午前中の人員確保に困るとかいう理由で、昨晩は会社のビルに泊まらされたので。

 厚生階にある畳の部屋の煎餅布団で寝たのだけど、冷房が効き過ぎて肌寒い一晩を送り、余り気分の良いものでは無かった。着替えがあるわけでもないし。勿論、今朝の交通は自分が帰宅していたとしても全く問題はなかった。

 まぁ、1晩位は良いけど、これが悪しき前例となって、台風が関東に来る度に一々泊まり込みまでさせられたら、たまったもんじゃない。植木等の映画じゃないんだからさ…

 ちなみに、会社内で泊まらされたことへの日当支払いの理由は「台風襲来に備えての前泊」だった。タコ型宇宙人でもやって来たような「襲来」という表現には少し受けたけど、肝心な日当代は1500円… 本当、食事代にしかならないわ。

 

 旅行の方はとりあえず、往復の航空券をスイスインターナショナルエアラインズで予約。やっぱり、直行便が一番気楽なので。

 これも、航空会社からのメールに3日以内に回答しないといけなかったので、いきなり泊まらされたことで、返事が危うく出来ないところだった。今日帰ってきて、ぎりぎり間に合ったから良いけど。

 

9/5

 旅行の話に戻ると。今回、スイスに行こうと決心したのには、前にも書いたように、8月がひどく暑かった、というのが一番大きな原因だとは思うのだけど、実際にプランを立ててみたら、思っていたより、すんなりと思い描けた、というのも大きかった。美術館が多いスイスに行こうかな?と(スイスについて殆ど何も知らない状態で)思い始めてから、僅か3日後には、基本的な日程が出来上がっていた位。

 例えば、美術館が有名なバーゼルの観光案内を見ていて、(一度は行きたいと思っていた)フランスの小都市コルマールにも近い(電車で45分)と知ったとか。あるいは、サン・モリッツのセガンティーニ美術館に行きたいけど他の都市とは離れているな…と最初思ったものの、考えを変えれば、スイスの鉄道の中でも風光明媚な路線を乗る始点としては、むしろ好都合だと気付いたとか。

 しかし、休暇を費やす旅行の行き先として選択するには、自分の中でのスプリングボードというか、思い切って背中を押すものが必要なわけで、今回、それが何だったかと言えば、ベルンのパウル・クレー・センターの存在。これが無ければ、敢えてスイスまで行こうとは思えなかったに違いない。

 そう、だから、分かり易く言うのなら、今回、スイスに行こうと思ったのは、そこにパウル・クレーの絵があるから。

 暑さに負けて涼しい風景に惹かれた、とかよりは幾分格好良い(と思う)ので、人に(秋にスイスに行く)理由を訊かれたら、そう答えることにしようかと。

 

 改めて振り返ると、パウル・クレー・センターのPR展みたいだった、大丸ミュージアムでの「パウル・クレー展」の主催者の思惑通りに行動しているのかも、私。

 というか、「ベルリンの至宝展」とか「ドレスデン国立美術館展」とか。展示内容が相当に物足りない展覧会を見た後で、実際に見に行ってしまった例って他にも、結構、多いような。そう考えると、ああいう(現地の質量からすれば殆ど詐欺みたいな)来日展も、内容が不十分であるがゆえに、広告的効果はかなり高い、ということなのかも。そうか、それが狙いだったのか(^^;;

 

9/2

 「ばらの騎士」チューリッヒ歌劇場@オーチャードホール。

 実は「ばらの騎士」は(も?)観たことが無かったので、ここ3日ほど、毎日1幕ずつ、以前にBSで放送した公演で予習していたのです。それも、チューリッヒ歌劇場の2004年の公演の奴。

 従って、当たり前と言えば当たり前なのだけど、事前に観たのと同じセット。演出も、ごく細部を除けば全く同じ、でした。キャストも大半は同じだったし。どうせ予習をするならば、違う演出を観ていた方が、驚きとか発見とかといった意味で得るところが多かった筈で、評判が良かったらしい6月の新国立での「ばらの騎士」が観られなかったことが残念。

 感想としては、昨日に続いて、本当に綺麗な演奏だった、ということに尽きるかと。洗練とはこういうことを差すんだろうなと思いましたよ。

 作品については「大人の作品」だなと。オペラというと、大抵、分別にかなり欠ける男女が主人公だったりするわけですが(まぁ、でないと燃えるような色恋沙汰も起きないし)、この作品では、そういう人達は実は脇役で、主人公はそれらを一歩、達観したところから眺めている(ことを自覚している)、というのが新鮮でした。

 この切ないまでの美しさはどこかで観たことがあるような。…そうだ、小津安二郎の晩年の作品にこれと似た感情を感じたことがあるかもしれない。時が流れていくことに対する、緩やかな諦観。

 

 この(多分、割と正統的な)チューリッヒの「ばらの騎士」に対して、11月に来日する「本家」ドレスデンの公演内容を比較するのが、今後の楽しみ。

 そして、貰ったチラシの束の中に、またしても「ばらの騎士」を発見! 見ると、神奈川県民ホールとびわ湖ホールの共同制作で、ベルリンのコーミッシェ・オーパーで初演されたホモキ演出を採用するとのこと。新国立でのホモキ演出だと、今回も段ボールかよ!みたいな印象(だけ)が強いけど、コーミッシェ・オーパーでのホモキ演出だと、向こうで見た「金鶏」も結構、ぶっ飛んでいて面白かったので、その演出だけでも、見てみたい。ということで、帰って早速、予約。まぁ、これには「洗練」とかは期待出来そうにないけど…

 

9/1

 いよいよ今日から、この秋のオペラシーズンが開幕(私の中での)。

 というわけで、スイス旅行(計画)の話は、ひとまず置いといて。…とはいうものの、今日観に行ったのは、奇しくも(スイスの)チューリヒ歌劇場の来日公演なのだった。

 

 「椿姫」チューリッヒ歌劇場@オーチャードホール。

 国内で観られる「椿姫」としては、ほぼ最高の水準だったのではないかと。特に指揮と演奏はさすがに素晴らしくて、「椿姫」が全編、こんなに美しい曲だったんだと、改めて感動しました。歌手も皆安定していて、エヴァ・メイのヴィオレッタも良かった。敢えていえば、舞台セットと演出だけは余り感心させられるものが無かったけど…

 ちなみに、今回の来日公演は(他の歌劇場と比べると)価格設定が割と良心的で、いつもと同程度の価格ながら、久々に2階席で観られたのも全体の好印象に繋がっているような。

 そんなわけで、自分の中では、昨年のMETの「椿姫」よりは遙かに上。あれはセットは豪華だったけど、調理済の冷凍食品を暖め直したただけ、のような公演だった。でも、今までの「椿姫」のベストはやっぱり、一昨年のフェニーチェ歌劇場の「椿姫」かな… 初めて観た海外の歌劇場の来日公演だったということも大きいのだろうけど、あの時の第3幕でのヴィオレッタは鬼気迫る位の凄さだったので。