空の蒼さを 見つめていると


2005年 1月

1/30

 「キットカット」は福岡弁。

 新聞の日曜欄に、合格ゲン担ぎ食品の話題が載っていて、先の「キットカット」も取り上げられていた。自分に言い聞かせるように「きっと勝つよ」と福岡弁で言うと、「きっと勝つとぉ」になるとかで、ネスレの九州地区の担当者が、受験生がこの時期、お守り代わりに買っていくことを聞き込んできたのが数年前。そして、数年間で口コミで全国に広まったのだとか。

 何だか出来過ぎのような気もしないでもないが、だから、(合格担ぎの意味での)「キットカット」は元々福岡弁、ということらしい。そげなこつ、ちーともしらんかったとよ(適当)。

 

 溜め込んでいる宿題の中から1つ。この2ヶ月間で見た幾つかの「魔笛」についての感想。「魔笛」のDVDを見ようと思った時の参考にでもして頂ければ。

 ところで、こうやって「魔笛」ばかり何枚も観ていたら、いつまで経っても、数少ない「知っている曲」が増えず、困ってしまうのだけど(当たり前だが)、今回気付いたのは、オペラの面白さは、同じ曲目について少なくとも2つの公演を見 て初めて分かってくるということ。曲目の持つ多様性、可能性が、現実に見えてきた時の面白さというか。

 だからこそ、有名な曲目でも皆、何度でも観に行くんでしょうけど。まぁ、お芝居とは元々そういうものか。

 

 というわけで。新国立劇場の4月公演「フィガロの結婚」を購入。残業や休出の無い土曜日を確保したので一安心。4月 は、私にとっては桜月間でもあるのだけど、その週末だけは桜より優先ということで。

 

1/29

 隣のオペラ劇場では、本日楽日の「マクベス」の当日席、ランク8(3,150円)席がまだ残っていた。昨年と違い、主役と指揮者の評判が良いだけに見たかったけど、そもそもここに来た理由は小劇場の方なので、「マクベス」の方は諦める。

 

Drama  「  新国立劇場 小劇場

 期待して、というより興味半分で行くことにしたので、バルコニー席で充分と思ったのだけど。前側ならいざ知らず、後ろ側だと、舞台は完全に真横。首と体を無理矢理ねじ曲げての3時間半以上、しかも前(横?)の客が体を前に出すと、半分も見えやしない。2千円安い位では納得出来ない程の酷さ。次回、小劇場に行く時は、バルコニー席だけは止めようと。

 という条件の悪さもあってか、退屈とはいわないにしろ、疲労感が強く残った。城の官吏達のダンスを初めとして、振り付けシーンは総じて面白かったけど。

 カフカの「城」を読んだのは、城のある街で働いていた頃よりも前、もう10年も昔になる。実は内容も殆ど覚えていない。あえて言うなら、服の話が出てきたら終わり、という程度?

 とはいえ、見ている内に思い出すだろう、と思っていたら、結局、最後まで思い出せず。しかし、読んだのはこういう話だったっけ?という違和感はやはり最後まで付きまとっていた。原作はもっとカラッとした、むしろ喜劇的な雰囲気の作品だったような気がするんだけど…(覚えてないけど)

 K役の田中哲司は演出家が最初から想定していただけあって、確かにカフカ顔。つまり、「ヒドゥン」「ツイン・ピークス」のカイル・マクラクランのように、その世界に間違って入り込んでしまったような存在感というか。マクラクランが「審判」のKを演じると聞いた時はむべなるかな、と思ったものだが、肝心な映画の方は評判にならなかった記憶が。

 飄々とした可笑しさを持ったマクラクランなら「城」のKも合っていると思うし、田中哲司も「審判」のKなら似合っている気もするが、「城」のKとは何か違う。怒ると恐い。こういう人物だったっけ…?(覚えてないけど)

 未完の作品ということで、どう締めくくるのか気になっていたが、それについては、正直、余り上手く行ってなかったような。あれを最後の言葉にする意味がどこに?

 

 ここまで自分の(かすかな)記憶と一致しないと、どうも落ち着かないので、この際、再読してみようかと。今のところはオレンジ党の戦いで忙しいし、他にも読まなくてはいけないものがあったりするので、いつ読めるかは定かではないけど。

 会場で貰ったチラシには、3月の「谷山浩子の幻想図書館VOL.3〜アタゴオルは猫の森〜」も。何故?と思ったけど、そうか、「城」の音楽が斉藤ネコ、という繋がりからか。

 

1/28

 帰宅時、駅からバスに乗って、…気が付くと、駅に着く寸前だった。いや、循環バスなんで、「振り出しに戻る」というか、寝過ごしただけなのだけど。本当に一周してしまったのは 生まれて初めて。睡眠不足?

 

1/27

Art 岡倉天心と日本美術院展  日本橋タカシマヤ店 2005.1.19〜2005.1.31

 院展系の画家大集合。という感じで、点数は多くて、賑やか。ただし、総花的で余り印象に残らないのは、この手の展示の宿命か。それぞれの画家の代表作、というわけでも 別に無かったし。400円(夜6時以降の料金)で、ちょうど妥当?

 一番印象に残ったのはやはり御舟。菖蒲?の花を金属的な青(油絵の具で言うセルリアンブルー)で写実的に描いた小品で、その研ぎ澄まされた描写は他と一線を画していた。

 院展の毎回の図録表紙の原画も十数年分、展示されていたけど、悉くやる気のない絵なのに苦笑。あれって、当番みたいなもので皆、やむを得ず描いているんだろうか。

 会場の最初は岡倉天心の紹介。天心は美術学校まで馬で通っていたそうで、乗馬姿の写真が貼ってあった。つまりはマイホース通勤? 明治の頃には結構いたんですかね、そういう人?

 

1/26

 昨晩注文した天沢退二郎の4冊は、今日既に到着していた。早っ。

 初版通りの表紙は微妙だけど、黒の背表紙にそれぞれ異なる色で書かれたタイトルが4冊並ぶ様は格好良い。しかし、4冊で1万1千円は、やっぱり高い… 「闇の中のオレンジ」なんて200ページも無いし。いや、それだけの「価値」は充分有ると思って、購入したわけだけど。

 

 3,4月の新国立オペラ劇場の公演「コジ・ファン・トゥッテ」「フィガロの結婚」のプレリザーブの結果は、「コジ・ファン・トゥッテ」の第3希望のみ当選。それは良いのだけど、当選した第3希望って3/21分だったのか。

 3/21というとアルタンの新作発売記念ライブもあるらしいが、今回はそちらはパスするしかないな。

 

1/25

 …風邪気味?

 今回のプチ菅浩江週間は自分の中では終了(残り2冊の感想はまだ書いてないけど)。昨年からの懸案事項だった天沢退二郎月間にいよいよ取り掛かるべく、bk1でオレンジ党シリーズ4作をまとめ買いしようとして、いつものことながら、bk1のページの余りの反応の遅さにぶち切れる。在庫さえ有れば、やっぱりamazonで買っちゃうよなぁ。

 

 冬目景「幻影博覧会」1巻。他ならぬこの作品の頃から、冬目景作品に対しての熱意が失せてきて、連載ベースで追い掛けるのも中断した(ので途中までしか読んでない)。とりあえず、初心?に却って、最初から読み直してみようかと。

 ちなみに、さすがに今ではリトグラフと言われても全く食指が動かないが、原画展と言われるとやはり気になる辺り、他の漫画家よりはまだ好きなんだな、と改めて思った。

 

1/23

 寒い… そのせいか、集中力と気力が続かなくて、今日こそ書こうと思っていた「魔笛」の感想も、「走れメルス」の感想も進まず。

 

Novel 菅浩江 「五人姉妹 ハヤカワ文庫 (Amazon/bk1)

 様々な題材を取り扱った短編集、なのだけど、割と似たようなテーマを繰り返し描いているという印象。その辺が興味深くもあり、また物足りなくもあり、という感じ。

 個人的に一番良かったのは、加納朋子の解説。解説としても丁寧な上に、加納朋子らしい文章にもなっていて、心に響く。本の解説というものは、やっぱり、これ位の文章でないと。

 

 Comics。小箱とたん「スケッチブック」1,2巻。何だろ、懐かしいというか、一昔前のセンス・描き方なんだけど、却って落ち着くというか、まぁそんな感じ。

 

1/22

 日本橋高島屋「岡倉天心と日本美術院 」展(1/19-1/31)。この面子なら、一応見ておきたい。

 埼玉県立近代美術館「椅子のデザイン」(1/19-3/27)。日本人にとって「座ること」が歴史的にどう変わってきたのか、というのは 実は秘かに関心を抱いていることの一つだったりするので、参考になりそうな気が。そのために行くかというと、微妙なところではあるのだけど。

 

 日経によると、今年は兵庫県立美術館にフェルメールが2点来る(春の「ドレスデン国立美術館展」の「窓辺で手紙を読む若い女」と秋の「アムステルダム国立美術館展」の「恋文」)のだが、昔から、フェルメールを目玉にした展覧会は、関西の方がむしろ多い気が。

 恐らくフェルメールは、数が少ない=貴重らしい=「見に行かな、損」という理由で、関西人の金銭琴線に強く触れる名前なのではないかと。「地域別、好きな画家ベスト10」とかを調べてみたら、結構、面白い結果が出そう。

 

  Comics。田山りく/及川雅史「のどかnobody」(Amazon) 。「温泉のビフォーアフター」という帯の掛かった本を衝動買いしてしまう辺り、 疲れているのかも(^^;; 蘊蓄+人情話系の話としてはまぁ普通で(温泉の改装を通して、というのは珍しいけど)、話自体は「薄目の温泉」という感じだけど、嫌みのない作画には好感を持った。

 

1/19

 気にしている人はもう既に見ているとは思うのだけど、ティム・バートンの次回作「チョコレート工場の秘密」のTRAILERが素晴らしい出来。

 おおっ。僕らのティムが戻ってきたよ! 「ビートルジュース」みたいな賑やかな楽しさに満ち溢れた画面。「ビッグ・フィッシュ」もそれはそれで良かったけど、彼に一番、期待しているのは、やっぱり、こういう作品ですよ。ダニー・エルフマンの音楽もノリノリで、耳に残る。 あとはとにかく、本編を早く観たい。

 ちなみに、昨日のキットカットに続いて、これもまたネスレ繋がりだったりするのだった。恐るべし、多国籍企業。

 

1/18

 今朝、乗った山手線は、キットカットの全面広告車両だった。受験生を応援するといった趣旨の。好評だった昨年に続き、という。

 どうやら。キットカットをめぐる受験生ジンクス(きっと勝つ?)がいつしか発生し、それを受けてメーカー側がキャンペーンを実施するようになった。そんなところだろう。

 そして、この電車に運良く乗れたら受かるといったジンクスも当然、囁かれたりしているのだろう。私が乗り合わせても仕方ないんだけど…と思いつつ、左右を見たら、どちらの若い女性も真剣にテキストを読んでいた(左は脱臼の種類、右は宅建)。私以外 、皆、何かの試験勉強中なのか。

 帰宅後、「花とアリス」以来、久々にサイトを訪ねると、確かに「きっと、サクラサクよ。」なる受験生応援ページが。ついでに調べてみたら、キットカットはここ数年、受験生の開運アイテムの定番らしい(gooのランキング)。

 何となく、「心配ないからね」と無責任な励ましをする歌が昔、流行したことが、遠い背景としてあるような。(それよりも以前の)私の頃は全然、聞いたことが無かったけど…

 広告車両の正式名称は「きっとサクラサクよ!トレイン」(JR東日本企画のニュースリリース)。全国14電鉄と、あちこちで走っている。でも、山手線で1編成、って故意に乗るのは結構、難しいかも。あと、このページの各電鉄 車体広告デザインの車体デザイン集って、その筋の方々のハートを直撃?とか、ちょっと思った。

 

1/16

Art グランマ・モーゼス展  Bunkamura  2005.1.2〜2005.1.30

 会場に入った時、最初に連想した名前は何故か、ヘンリー・ダーガーだった。

 古き良きアメリカの田園風景を描き、最後には誰からも知られるようになったお婆ちゃん画家のモーゼスと、少女達の扼殺場面を数多く含む空想物語の戦争画を、誰に見せることもなく死ぬまで描き続けたダーガー。

 共通点、アメリカの素人画家というだけじゃん、と自分でも思ったが、二人とも美術教育を受けたことがないこと、雑誌の切り抜きを大量に保管していて、それらを組み合わせて人物等を描いていたこと、そして描いていたのが「現実の風景では無かったこと」等、思った以上に、共通点が多かったのを知って、却って驚いた。

 そう、グランマ・モーゼスの「田園」は描いた当時、既に存在しない風景だったというのが、重要なのだと思う。アメリカ人にとってのユートピア。即ち、「どこにもない場所」への郷愁。

 ともあれ、絵としてはまさにウマヘタ絵なのだけど、田園風景の中に、「緑色」が何十色もあることを実感としてよく知っていた人にしか描けない「世界」だとは思った。あと、絵を描く前にやっていた刺繍での風景画が展示されていて、彼女にとっては、油絵が刺繍の代替物(刺繍するよりは確かに楽!)だったことも分かった。

 残念だったのは、ショップで販売していた関連商品が、アメリカの絵本作家の本くらいだったこと。ここは当然、カントリーメイドなグッズのあれこれを期待していたのに!

 

1/15

 「ハウルの動く城」のCM、というより「読売新聞のCM」だが、テニスを練習中のお婆さんが「私、18歳ですから」「魔女に魔法をかけられてるだけですから」と言った後、凄いボールを打つというTVCMには、TVを叩き壊したくなる程の嫌悪を感じる。

 歳を取ることの価値を全否定する、こういう醜悪な広告が平気で流されていることに、どうして誰も苛立たないのだろう?

 元といえば、映画自体にもそういう傾向があった。

 原作では、ソフィーが90歳になることは、誰にでも(ハウルにも)気兼ねなくズケズケ言える「自由な立場」を手に入れたことでもあって、物事の見方を相対化する爽快感として働いていたのに対し、映画では単に、心が老け込んでいることの象徴でしか無くなっていた。

  余り指摘されていないが、「ハウル」が今までの宮崎駿と明らかに異なるのは、主人公(ヒロイン)を導くやや年上のキャラクター(主人公の将来像)が全くいないこと。つまり、この作品には、主人公が「成長する」という方向性が存在しない。代わりにあるのは、歳を取ることへの強い拒否感。

 自分の年齢を痛切に感じるようになった監督自身の老いへの恐怖が、退行現象としてストレートに表現されているというか。素直と言えば素直。みっともないけど。

 しかし、高齢者に本当にエールを送りたいなら(監督にはそんな気は毛頭無いだろうが)、「ベルヴィル・ランデブー」のように、歳を取ってもプロフェッショナルで有り続ける格好良いキャラクターこそ、描いてみせるべき人物像だと思う。

 一方、読売新聞のCMに共感する高齢者がもしいるなら、その人はそれまでの人生に誇りと責任を持っていないのと同じ。「甘えるな、(貴方は)18歳ですらないよ」と言いたい。

 

 渋谷駅で読売新聞のポスターを見掛けて、CMをつい思い出してしまった… 寒い中、「グランマ・モーゼス展」と「走れメルス」を見に行ったのだが、その話は後日、ということで。

 

1/14

 職場で理不尽な話を聞かされて、些かむっとしたので、気分を切り替えるべく、年末に行き損なった「ベルヴィル・ランデブー」を観に行く。

 

Cinema   シルヴァン・ショメ ベルヴィル・ランデブー」  テアトルタイムズスクウェア

 凄く良かった。一言で言えば、婆ちゃん最強伝説映画なんだけど(?)、物語以上に、運転手のおじさんが紙巻き煙草を巻いて加える仕草とか、婆ちゃんが眼鏡をクイっと上げる仕草とか 、物語に直接関わらない一つ一つの仕草のディテールが最高! 全国カエル愛護協会の人以外なら、ぜひお薦め。3姉妹が特に格好良いです。

 あと、登場人物の内面を直接的には殆ど描写しないハードボイルドな作品である中、犬の内面世界が繰り返し描かれる辺りが、不思議な味わい。

 ところで、「ベルヴィル」なのに「ランデブー」と表記している件ですが、エンドタイトルの歌詞を見て、前者は地名という固有名詞で、後者は普通名詞だからではないか、と思った。

 いや、私は「ランデヴー」で全然構わないと思うけど、一般的には「ランデブー」。つまり、前者は「BELLEVILLE」という「外国語」の表音表記で、後者は「ランデブー」という「日本語」の表音表記ということかと。

 

1/13

 昔、「オーエス」という掛け声の語源について書いたことがあって、数年経った今でも、これに関連したキーワードで飛んでくる人は時折、いるのだが、今日の昼から何故か、 突然、数十件の訪問が。しかも、各自バラバラに検索している(様子)。

 ……う〜ん、今日って、何か有ったんでしょうか? 実は綱引きの日とか、オーエス祭りだとか(何だそれ)。

 

 先日のグイド・レーニの絵に関する検索については、ポストカード等を探して、という「理由」をお答え頂いた方が。なるほどな。でも、皆が皆、そうだとも思えないし。こちらも謎。

 

1/12

  帰りの電車。たまたま座れた席で、隣の人がずっと読んでいたComicsの単行本が、「めぞん一刻」だったのに、ちょっと驚く。…今さら何故? とはいえ、「まほらば」なら良いかというと、そういう問題でもないような…

 

 Novel。クリストファー・プリースト「逆転世界」。「魔法」も文庫化されるらしいし、この機会に読んでおこうかと。

 …なるほど、そういう話でしたか。という感想だけで終わってしまう私はSFに対する感受性が欠乏している? ところで、大友克洋による「ロボット・カーニバル」のOP・ED は、実はここから来ているような気がするんだけど、どうでしょう?

 

1/11

 「テリー・ギリアムのすべて」はベタ褒め過ぎて、得るところが余り無かった…

 

Art 生誕120周年記念 竹久夢二展  東急百貨店東横店  2005.1.2〜2005.1.12

 夢二には特別の興味は無いのだけど。近いから行ってみた、という。

  挿絵やら、表紙やら、絵葉書やら。あの「夢二式美人画」が沢山。好きな人には楽しい展示だろうけど、同時代の他の画家等との「比較」という意識が無い展覧会なので、何故、夢二が当時そんなに人気が出たのか、見ていてもよく分からず。

 ハイカラな趣味が有ったのも分かるし、カラフルな色使いが当時は新鮮だったことも窺えるが、言うまでもなく決して上手くない上に、かつ野暮ったい。例えば、同じ大正時代のグラフィックでも樺島勝一の「正チャンの冒険」公式?web)のように今見てもハイセンスな画面と比べれば、その古さは一目瞭然。田舎の (今では時代遅れの)気取ったお菓子の包装みたい。

 夢二の挿画は非常に人気があったらしいので、今で言う、ライトノベルの表紙で人気のイラストレーター?と無理矢理、「翻訳」してみたものの、どうもピンと来ない。あるいは、背景抜きに平面的な女性像だけの絵を描き続けた辺りは、アニメ調のフラットなキャラクター(だけ)を描く絵描きの先達、と捉えてみるべきなのだろうか。

 結局、私には夢二の良さというか、その絵が当時、世間に与えたインパクトが分からないままだったのだが、適度にハイカラで、しかも垢抜けていなかったのが、流行画家となった秘訣?

 

1/10

 京都国立近代美術館で、4/12から5/22まで「村上華岳展」を開催予定

 この頃の画家の作品をまとめて見る機会は普段無いので、その後の小林古経展(東京国立近代美術館でも開催)と共に、個人的には是非見ておきたい展覧会。とは言え、京都までわざわざ行くわけにも… あ、「曽我簫白」と同時期か。なら行くことはこの時期、京都に行くことは既に決定事項なので(^^;;問題無いや。

 

 昨秋の旅行の記録として、イタリアの美術館のon line予約方法のページを追加。極めて一部の方向け、な内容ですが、必要な人には多少役に立つかと。

 

1/9

 昨日の「ギャラリー・フェイク」。元々、原作を無難にアニメにするという企画だろうから、出来はまぁ、あんな程度かと。

 ただし、川澄綾子のサラには、それは違うだろ、という激しい違和感が… 一応、さる王族の娘さんなんだから、滲み出る育ちの良さが感じられないと。ちゃらんぽらん時代劇の大食らい娘じゃないんだからさぁ。気になった余り、思わず、こちらのドラマの同じ回を(お金を払ってまで)見てしまった。西村ちなみのサラ、これはこれでOK、だと思うのだけど。

 まぁ、原作既読者が見る必要は特に無さそうなので、次週以降は見ないような(…だったら、別にどうでも良いのでは?)。

 

 「監督テリー・ギリアムのすべて」。BS2、1/10深夜0:00〜0:58、というと今日の夜じゃなくて明日の夜か。

 テリー・ギリアムというと、「未来世紀ブラジル」の印象が余りにも強くて、というか「ジャバウォッキー」「バンデッドQ」を含むそれまでのイケイケ振りに比べ、その後の作品がどうも今イチだったりするので、次回作への期待度がかなり低くなってしまった(けれど、依然として気にはなっている)監督、という感じ。以前から店頭で見る度に、買おうか悩んでいたドキュメンタリー(amazon)なので、この機会に見ておこうかと。

 ちなみに、パイソンズのファンの方による紹介ページを見ていたら。弟がロス警察の警部をしているというのにちょっと笑った。

 

1/8

 神奈川県民ホールで、プラハ国立歌劇場の「魔笛」。

 昨日、1階席8列目と書いたけど、間違いでした。オーケストラピットの存在を忘れていたので、実際は3列目だったという。近っ。ビバ!オペラグラスの不要な席。

 いつもは「前方」、というか「下方」から(モノラルで)聞こえてくるオケも、当然ながら、目の前で(ステレオとして)聞こえてきた。もっとも、タミーノ役の人がパパゲーノに負けず劣らず中年のおっさんだ、とはっきり分かってしまう辺りは良し悪しですが…

 キャスト的には地方公演ということで、(多分)サブのメンバーだと思うのだけど、おっさんタミーノを始め、アンサンブルはそんなに悪くなかった (と思う)。

 テンポは割と早めで、余り悩まずサクサク進む、という感じ。休憩を除くと全体で2時間半も掛からない位。演出もごく普通で、凄いと思うところも特になかった反面、旋律の楽しさに浸ることを妨げられる部分もなく、普通に楽しめたという印象。

 今回、伝統的な演出の「魔笛」は見ることが出来たので、次に「魔笛」を見るとしたら、現代的な演出の方だな。

 

 というわけで、今月15日(土)のBS-hiの「ハイビジョンクラシック館」での2003年ロイヤル・オペラハウス公演(コリン・デーヴィス指揮)の「魔笛」は是非見ておかなくては。

 評判が良い公演なのに、日本盤のDVDが未発売。思い余って、この際、リージョンフリーのプレイヤーごと輸入盤を購入してしまおうかとさえ、考えていたところだっただけに、何ともタイムリー。とりあえず、 この夜の女王イメージを拡大)を見るだけでも、 一見の価値があると思うので。…怖いものみたさ、ていうか。

 

1/7

 毎日新聞社主催の展覧会予定にこの秋、「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」なる名前が。どんな内容かと探してみると、もう片方の主催者TBSビジョンにも予定が。

 ……う〜ん、手稿かぁ。ところで、その上の「フィリップス・コレクション展」。このルノワールの絵って、何だか、直に見たことがあるような… 画面中央の、頬杖を付いている女性の姿は確かに記憶があるので。いつ、どこで見たかは全く覚えていないけど。

 「フィリップス・コレクション展」で検索してみた結果、どうやら、それらしいのが、1983年に日本橋高島屋他で開催された「印象派と栄光の名画展」という奴。うわ、既に二十数年前の話になってしまうのか… 見たことを覚えていたことよりも、その方がショック。

 

 明日は、神奈川県民ホールで、プラハ国立歌劇場の「魔笛」。

 この前、ファミマでチケットを発券したら、思っていたより良い席(B席)だったので驚いた。え、1万円ですか? 多分、何か他のチケットを取り損ねた時、腹いせに衝動買いしてしまったのではないかと(覚えてないけど)。しかし、お陰で(端側とはいえ)1階8列目という、普段(天井桟敷が基本)からは考えられないような好位置。せっかくなので、楽しんで来るつもり。

 ちなみに、「魔笛」といえば、ここ一ヶ月、DVDで色々(3つほど)見たので、明日の感想と合わせて、いずれ紹介したいと思います。

 

1/6

 ベルギー象徴派展で思い出したが、先月、こういう本↓を店頭で見掛けて買っていたのだった。

 

Guide 千足伸行=監修 「すぐ分かる画家別 幻想美術の見かた  東京美術 (Amazon/bk1)

 こういう括りで、ハンディな案内書が出るのは珍しいような。

 近世以前が、ボス、デューラー、グリューネヴァルト、アルチンボルドの4人だけという人選はどうかと思ったが(少なくともアルチンボルドを入れる前にブリューゲルでは?)、メインの「象徴主義とその周辺」の章、即ち 19世紀末絵画の辺りは25人とかなり充実していて、名前自体初めて聞くような人もちらほらと。

 千足伸行の他、美術館の学芸員2人で書いている解説は無難な感じで、簡単な略歴だけでも参考にはなるものの(ヤン・トーロップがジャワ島育ちだったというのには、なるほどと思った)、 一部の画家を除くと、全体に突っ込み不足の感は否めない。

 (例えば、アンスター・フィッツジェラルドの妖精画について「後のディズニーの世界を予告しているようである」とどうでも良いことを書くより、本人の阿片吸引による幻想の影響が見られる、といった話を振ってくれた方が面白いのに、といった具合 )

 でも、こういう美術史傍流?の画家についての基本的な知識がなかなか得難い現状では、この手の美術が好きな者なら、とりあえず持っていても損はないかも。これを 読んだからと言って、何が「すぐ分かる」のかは、さっぱり分からないが…

 

 店頭の新刊では、この本にも登場するヴァルター・シュピースの伝記「バリ、夢の景色」(Amazon/bk1) もかなり気になったのだが、思い付きで買うには高かった。いつか、図書館で見掛けたら読んでみることにしようかと。

 

 Comics。おがきちか「エビアンワンダーREACT」1巻。おがきちかの既刊の中で、最も重要な作品だと思う(未完だった)「エビアンワンダー」の待望の続篇。この巻では必要な設定を消化するのが主目的、という感じで、正直物足りないけど、次巻辺りで一つの山場を迎えそうな気配。

 

1/5

 Bunkamuraのメールマガジンより要約。

 2005年4月15日(金)より6月12日(日)まで、「ベルギー象徴派展」を開催します。2月5日(土)からの前売券発売に先駆けて、2月4日(金)まで期間限定で超早割チケットを発売中! お値段は一般・大学生・高校生一律で600円!(当日券:一般1,200円、大学・高校生800円) (Bunkamuraチケットセンター、JR東日本の主なみどりの窓口、びゅうプラザ、チケットぴあ、ファミリーマート、セブン・イレブン、サンクスにて発売中 ※チケットぴあとコンビニは、Pコード 685-776)

 航空券のような早割チケット。良いですね、こういう取り組みは他でもやって欲しいです。もっとも、Bunkamuraの場合、会員特典でチケットが来る私には関係ないんですが 。って、改めてサイトを見たら、メンバーズクラブ自体、廃止予定? 4月以降の会員更新でチケット優先予約のみに変更ということは、チケットが来るのは、この展覧会が最後なのか…

 

 ベルギー絵画といえば、今年は「ベルギー・ゲント美術館展」も開催予定(鳥野さんの常設展とミュージアムグッズと展覧会情報1月2日)。ベルギーの幻想絵画は独特だから楽しみだな、と思った後、しばらくして、ゲント美術館て…あのゲント美術館のことか!とようやく気付く。まぁ、それでも、(もう一度)行くような気はしますが。

 日本で半年間も展覧会を開くのは、美術館が2006年まで改装中のためらしい。ボッシュ「十字架を負うキリスト」が来ない(聖バーフ 大聖堂で展示中?)のは残念だけど、当然か。

 この機会にベルギー観光局のサイトをあちこち見ていたら、こんな情報も。庭園美術館で4月から「ジェームス・アンソール展」。恐らく小規模な展示だろうけど、 これも楽しみ。

 

 Comics。おがきちか「Landreaall」5巻。すごく楽しい。「小さいのにでかい」五十四さんの出番が少ないのが気にならない位?今までで一番面白くなってきてます。

 

1/4

 年末に買い漏れたおがきちかの新刊2冊を帰りに購入しなくては、といつの間にか東口に出来ていた文教堂書店の渋谷店に寄ってみた。文教堂というと、昔よく利用した新橋支店の せいで、(サラリーマン向きの)使えない本屋、という印象だけど、渋谷店は思ったより広く、空いていて、Comicsもそこそこ揃っていたので一応使えそう…

 …おがきちかの新刊、2冊とも無いじゃん。前言撤回、やっぱり使えません。Book1stまで出た方が早いや。新刊コーナーにちゃんと平積みしていたし。それにしても、渋谷って、人口の割に、大きな本屋が無さ過ぎだと思う。ジュンク堂クラスの本屋が早く進出して来ないものか(駅から遠くないところに)。 文化会館跡地とか良いと思うんだけどな。

 

 Novel。今野緒雪「マリア様がみてる イン ライブラリー」。そういえば、私も高校2年の時、「図書委員」として「らいぶらりい」なる図書新聞を月刊で発行していたような記憶が… 

 

1/3

 昨日に続き、過去日記の再読。結局、最初(1997年)まで辿り着くのに、正月三が日を費やした。

 ここ2年は文章が冗長とか、テクストとして一番面白いのは2001年〜2002年の辺りだとか、時々文章がいきなり暴走する癖があるとか(^^;; 今まで意識していなかった傾向が読み取れて面白かった。

 しかし、読み返してみると、2000年頃まで仕事がほとんどいつも崖っぷち状態。日記にはごく表層的な部分しか出て来ないが、内情を知っている自分自身で読めば気の毒になるほど追い詰められていたのがよく分かる。とはいえ、書かれている日記の調子自体は割と明るくて。まるで楽しい日々だったとつい誤解してしまいそうになる。

 当時の私にとって、そうやって、不毛な「現在」を書き換えていくことが、日々の「努力」であり「救い」だったのだろう。そして、(今振り返れば)「色々あったけど悪くない日々」として思い出すのだから、その努力はようやく報われたと言えるかもしれない。

 あの時代には戻りたくないけれど、あの頃の日記に書かれた自分(今からは想像出来ない位、ハイテンション)がいたからこそ、今があるというか。

 では今、どういう文章を書くことがこれから先の自分に繋がるのか、というのは未だ答えが出ないのだけど。とりあえず、過去日記を読んだ教訓として。(内容はともかく)文章は簡潔に、 を今年の目標とします。

 

1/2

 明けましておめでとうございます。

 年が替わったのを機に、ふと思い立って、過去の自分の日記を遡りつつ読み返していたところ…2日経っても、まだ終わらず(^^;; 

 新しく何かを書く暇が無いので、今日の昼、近所で撮った富士の写真2枚でも。まさに晴天好日な一日でした。