11/14(水)

 だんだん押し迫ってきた。今日は待望のオルセーの日である。一日掛けて見ようという予定。今までの経験上、コートを預けるが、オルセーは駅を改造しただけあって、1階はそれほど暑くない。着たままにするべきだったかと思う。

 とにかく、オルセーはどの絵も見るに値する(サロン絵画 etc若干の駄作を除けば)。やはり、印象派以後(しかもキュービズム以前)がこうも分かり易いのは、同じパラダイムに乗っているという奴なのだろうか。

 1階のクールベ、モネ、ミレー、ドーミエ辺りだけでも超名画という感じなのに、上の階なんか印象派の傑作めじろ押しという感じで、ごく当り前のようにモネとかシスレー、ピサロ、ルノワールを眺めてしまう。本当はスケッチブックを持って、 1時間1枚位で模写すると良いのだろうなと思うが、そこは旅行者の定め、何となく印象を刻み込んで(あとは写真を撮ってみる)というのがせいぜいである 。

 でもゴッホの青も見ることが出来たし、日頃お目に掛かれないスーラとか、余り良い作品に会えないルッソーとか、その他、大勢の知らなかった絵を見ることが出来て良かった 。初めて、絵を見るためにパリに残ったというのが正しいことだったと思った。

 夕方、もう暗くなってからオルセーを出る。またしても2冊美術書を買ってしまった。いよいよ重くなる。

 夕方になると、さすがに風が寒く、あったかい家庭が待っていることの幸せをかみしめながら、メトロで帰る。9番線はいつも混んでいて座れない。

 夜はいかの煮たのと、ソーセージ。ごはんは偉大だと改めて思う(でも、ごはんなしでも平気だと思う)。

 改めて荷造り(荷減らし?)を続行する。もう、さすがに捨てられるものも底をついたようだ。しかし、2冊の「案内」はかなり重いもの、全体の感じは、来た時より大して重くなっていないようでもあり、このまま行ってしまおうかと思い始めている。

 但し、当然ながら、もうこれ以上本は買えない。従って、メビウスも、あきらめることになる(まぁ、そう欲しいという程ではなかったけど)。しかし、あと2日で450Fを使い切らなくてはいけない。少し、ぜいたくをすることとして、…しかし、そんなに使うだろうか? 残金の使い方というのは、いつでも難しいものである。

 


・大勢の知らない絵 …ここで挙げていない画家では、ピュヴィ・ド・シャヴァンヌが最も印象的だった。
・メビウス …漫画家のメビウス。当時は藤原カムイ等が真似した意識した作品を描くなど、知名度は高かったが、日本では余り売られていなかった。せっかく来たのだから、買い込んで帰ろうかとか思っていた。


写真:  Paris 


翌日
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