10/ 9(火)

 頭が冴えないまま、朝になると共に国境駅lrúnに。

 ガランと広く、案内というものがどこにもないのであせるが、San SebastiánへはVía unoだと言われて何とか乗り換える。しかし、この普通列車が次々に停まる駅の名が電車から見えない(あるいは書いてない?)ので又困るが、ちょうど車掌が検札に来たので教えてもらう。こちらは綺麗な港町ということしか知らないので、他の町で降りるところだった。

 San Sebastiánの駅を出ると、太ったおばさんに声を掛けられ、dos milでどうだと言われたので、そのまま付いていく。少し高かったかもしれないが、最初の町で宿探しをしなくて良かったのは大変に幸せだった、と後でつくづく思う。宿でシャワーを浴び、Bancoで換金(70$、1日後にそれではとてもやっていけないことが分かる)、BarでCaféを初めて飲むが、いくらか聞き取れないという、以後毎日起こることも同様に、初めて経験する。 Mercadoでみかんを買う。これも又、ハムと果物の日々の始まりだった。

 この町は大変美しくて、余り似ていないけれど、この前もう一度見たばかりの「魔女の宅急使」を思い出す。しかし、港町だから何となく匂うし、バスクの人が連れている大きな犬のフンがあちこち落ちているし(勿論、誰もスコップとビニール袋など持っていない)、犬だと思うけど場所によっては小使臭い。そういうニオイを感じさせないのが宮崎作品の良さでもあり(去年は夏の暑さの中で涼しさを味わうために2回も見に行った)、限界だと思う……いかん、どんどん長くなっていく、このままではトリストラム現象(別にそんな言い方があるわけではないが、書けば書くほど、書きつつある時間と書くことを行っているその時間との間が開くこと)が起きてしまう。仕方ない、これ位で。

(4)Mercadoで安いのはみかん、高いのは桃
(5)San Sebastiánは非常に安全

 


・dos mil …2千(ペセタ)
・Mercado …マーケット、市場
・トリストラム現象 …小説「トリストラム・シャンディー」に因んだ、私の勝手な造語。
・非常に安全 …バスクの中心都市であるこの街では、時折、テロが発生している、とガイドブックで読んだ。


写真:1   Vasco, Cantabria, Madird, Toledo  観光案内:バスク  スペインの地図:small(日本語)  small  large


翌日
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