4th day
(今日の予定) 午前中、ウィーン市内観光、午後、自由行動。
- 5時45分、モーニングコール。朝早く出ないと、予定の市内観光を回り切れないためらしいが、…早起きは苦手だ。
- 朝食。料理が置いてある部屋は、元々、このホテルがフランツ・ヨーゼフ皇帝の迎賓館だった時代に、舞踏会用のホールとして使用されていた場所らしい。が、だから何だということもない。欲張って色々取っている間、頭上から巨大なシャンデリアが落ちてこないか、やや不安になるくらい。杞憂? さすがに、ここでは「生野菜まるごと」は無かった。各テーブルに既にコーヒーポットが置かれている辺り、ここはやはりコーヒーの街なのか、と思う。
- 廊下のカーペットには、そういう歴史を踏まえてか、双頭の鷲が織り込まれている。言うなれば、葵の御紋が床に描いてあるようなもの。ハプスブルグ自体は既に歴史的な存在に過ぎないとはいえ、人が踏むような所に良いのか知らん。それともこちらでは、そういうのは問題とされないの? ともかく、踏まないことには廊下の行き来が出来ないわけで、紋章をガシガシ踏み付けながら歩く。ガシガシ。
- 7時半にバスで出発。最初にもう一つのホテルに向かって4人を拾う。一緒に、今日のガイドが乗ってくる。日本人の、中年の男性。話の端々で皮肉が炸裂。ウィーンに住むと、人は皮肉屋になるのか?
- 例えば車窓のトルコ大使館を指して。前は警備兵が2人いたんですが、玄関でテロによる爆発が起きてからは、今は1人で立っています。犠牲者は少ない方が良いということになったんですね。とか全編そんな感じ。
- 金ピカなヨハンシュトラウスの像に寄る。これがなぜ観光名所なのか私には良く分からなかったのだが、上野の西郷さんみたいなものなのか。ちなみにガイドによれば、元々はブロンズだったのだけど、修理に出して戻ってきたら金メッキに化けていたとのこと。何だか、池に落とした鉄の斧が、金の斧になって戻ってきたような話である。
- バスで、リングをぐるっと一周してから、ホテルへの道を戻り、シェーンブルーン宮殿で下車。曇り。涼しい。恐らく20度以下。長袖にジャケットでちょうど良いくらい。
- 「これよ、これ。これこそが私の求めていた空気なのよ!」 前に出した両手を組み合わせ、(キリスト教の)お祈りをする格好で、斜め上を見上げて、天上の神様に感謝するようなポーズを、俯瞰で描写。光線は上方から、セリフは吹き出し内ではなくオフで処理。…って、何故、自分の心理を、マンガの絵コンテ風に思い浮かべなければいけないのか、私。
- 時間調整のため、庭を少し散歩。とはいっても、やたらと広大なので、花壇のある部分だけを30分で往復。宮殿内は、指定された時間に、先のガイドが一部屋ずつ案内。一遍に入ると、床が抜けるとかで、各部屋毎に1グループずつ順番に進むのでなかなか進まない。室内の装飾はやはり宮殿ということで、金掛かっているなぁ、と頭の悪い感想しか浮かばない。
- 途中、確かゴブラン織りの部屋で、猿が人々の頭を掻いている絵が掛かっていた。オランダ地方の当時の芸、というか風習を描いた物らしい。つまり、あの辺は低地で、水が貴重だったため、滅多なことでは頭を洗わず、だから皆、頭が痒くて仕方がないので、広場で猿に掻いてもらうという商売が成り立っていたのだという。…フケツ(声:長沢美樹)←古い。しかし、掻くことにかけては、やはり、敵もさるもの、引っ掻くもの、ということなんでしょうか。
- 外に出ると、いろいろな国のバスが止まっている。個人的に一番受けたのは、中国人向けの観光バス。その名も「熊猫旅行社」(Panda
Reisen)。
- 昼食は市内中心部に戻って、レストランで、シュニッツェル。そうそう、このパリッと揚げた薄い肉が美味しいよね、この豚肉の甘さが、って、これシュニッツェル(=子牛のカツレツ)、じゃないやん(笑) 「牛を喰わせろ」と書いた看板を掲げてデモ行進したくなる。
- ガイドは、ここでお別れ。その前に突然、横須賀の人はいますか?と訊くので何故かと思ったら、年末、横須賀の私立高校の演奏会でのメサイアで、バリトンのソロを歌いに行くとのこと。チラシを貰う。なるほど。やぁ、ガイドさんは、オペラ歌手の人だったのですか(声:故・塩沢兼人)←合掌。ちなみに副業?のガイドについてもこちらのガイドの国家資格を取得しているとのこと。どんなんだろう、ガイドの国家試験って。
- 午後は自由行動。せっかく、ジョナサン・キャロルが住んでいる筈のウィーンに来たからには、彼の本を(読めなくても)買って帰りたい、と思って、本屋を探したのだが、今日は土曜日。レストランを出たのは午後1時過ぎだが、本屋はもう閉まっている…
- ショーウインドーの中に、キャロルのドイツ語読みではないかと思われる本もあっただけに非常に残念。いや、ドイツ語版なんか絶対に読み通せはしないけど(私にとってのドイツ語の本とは、学生の時、テキストに指定されたので、やむなく試験前に、日本語版と見比べつつ読んだ(つもりになった)「MOMO」くらい。勿論、試験は日本語訳の方の記憶で何とかした)、記念に欲しかったよなぁ。がっかり。
- 地下鉄と市電で、ベルヴェデーレ宮殿を目指す。筈が、間違えて反対方向に乗ってしまったり、あるいは一つ手前で降りてしまったりで、ドタバタ。今日の最後の目的地、美術史美術館が6時閉館だということを考えると、遅くともそこには4時過ぎ迄には着いておきたい。ということは実質、残り2時間半くらいしかない、という極めてタイトなスケジュールなのに。
- ところで、こちらの市電や地下鉄は、車両や駅の入り口に切符の刻印機というものがあって、最初に、一回券や一日券を、機械に入れるだけで済む。あとは、入り口、出口とも素通り。自動改札機なんてものは存在しない。非常に便利。勿論、車掌による抜き打ちの検札は時々、されているようだが、このシステムで成り立っているということは、皆、きちんと切符(あるいは定期)を買っているということなのだろう。私は、別に西欧礼賛論者ではないが、この件だけでいえば、明らかに日本より、こちらの世界の方が、市民生活の成熟度が高い。
- 自動改札機が出来たから、通勤の渋滞が緩和されたなどと、某国家的放送局が、得意げにナレーションを入れる番組を流す国では、およそ可能だとは思えないが。その前に、こういうモラルがどうして構築できないのか、一度、文部科学省辺りで真面目に検討したらどうなのか。
- もっとも大昔訪ねたパリでは、メトロの入り口は自動改札で、しかも多くの人が、そのゲートを飛び越えているのを目にした記憶がある。大雑把に言って、横断歩道の信号機が赤の場合、ゲルマン系の人は「車が走っていなくても、信号を守る」が、ラテン系の人は「車が走っていても、信号を守らない」という笑い話があって、その辺の気質の違いなのかもしれないが。日本人は昔はゲルマン系と同じ、と言われたらしいが、最近では後者の方だろう。
- ともあれ、2時前、ベルヴェデーレの、今はオーストリア美術館の一部として使用されている上宮にようやく到着。目当ては、勿論、クリムトのコレクションである。
- クリムトは、初めて、その作品をきちんと見たような気が。モネのような印象派風の風景画も描いていて、その繊細なタッチと色使いも良かったのだが、やはり、あのゴージャスで大胆な人物画に圧倒される。正直に言うと、見た瞬間、まさに加山又造だっ、と思ったのだが、それはちょうど、ジョン・ウーの映画を観て、伊藤明弘みたいだと思ってしまうのと同種類の過ちである。
- クリムトの人物画は、時間の流れが止まっている空間に、人が立っている、という感じ。その意味で、もともと日本画的な世界ではある。但し、その更に外側では、時間は非常に早く流れているような二重性。自分の体験している映像の中で一番、近く感じられるのは、FFのラスボスとの戦闘シーンの背景だった。な、何故? ともかく、名画を前にして、そんな記憶しか再生出来ない自分が、我ながら余りにも情けない。
- 情けないと言えば、もう一つあって、学生時代、大学の近所に確か「西むら」とかいう、ちょっとお洒落な感じのお好み焼き屋があった。「お洒落な」というのは、壁に何故かクリムトの金色の絵の小さな複製が掛けてあった、ということなのだが。いや、別に壁にクリムトを掛けようが、フランシス・ベーコンを掛けようが、(後者の店では食が進まなそうだが)一向に構わないとは思うが、お陰で、今でもこうやってクリムトの絵を見ると、ついお好み焼きを思い浮かべてしまう、という条件反射が、私の脳のシナプスのどこかに焼き付けられていたことに、初めて気付く。クリムトを前にして、FFとお好み焼き… それにしても、「西むら」、一回しか入ったことなくて、味なんか全然覚えていないというのに。
- 美術館を出て、ベルヴェデーレの庭を下の方へ下っていくが、こういう時の庭は、まるで「鏡の国のアリス」のように、歩いても歩いてもなかなか端まで辿り着かず、下の出口に着くと既に2時半。朝が早かったせいか、無駄に歩き回っていたせいか、段々疲れてきた。とは思いつつも、心に鞭を売って、次の(同じくクリムトの有名な「エミーリエ・フレーゲ」がある筈の)市立歴史博物館へ歩を急ぐ。
- 市立歴史博物館。沢山置かれているウィーンの歴史資料を見る暇など勿論、無く、早足で館内を歩き回る。1階、違う。2階、無い。3階、絵はあるけど、無い。シーレとかならあるのに… おかしいな。目当てのクリムトが見あたらないので、館員らしきおじさんに訊くと、「ケベック」と答えられる。「カナダ」。ほえ? カナダ? 何と、「エミーリエ・フレーゲ」は今、カナダの美術館に貸し出されている、ということらしい。ここまで駆け足で上がってきた私の努力は何だったの… 思いっきり、力が抜ける。
- 落胆した足を引きずるようにして、更に次の目的地、ゼツェッシォン(分離派館)へ向かう。ここには、クリムトの非常に有名な三面壁画?「ベートーベンフリーズ」がある。3時15分、金色のタマネギみたいな飾りが載っているゼツェッシォンへ到着。絵の中の魔物が、モーリス・センダックの「かいじゅうたちのいるところ」のようで、本来は恐ろしい場面なのかもしれないのだが、ユーモラスに見えてしまった。
- 4時前、美術史美術館に何とか、辿り着く。特別展でエル・グレコ展をやっているためか、割と混んでいて、入場券を買うのに少し並ぶ。入って、正面階段の壮麗さに感嘆するも、もはや動けず、2階真ん中の、吹き抜けのホールに設けられているカフェの空席にペタンと座り込んでしまう。
- アイスカフェを注文。アイスコーヒーに、ホイップクリームとアイスクリームが乗っているもの。アイスフロートといえば近い? 20分くらいするとさすがに復活?したので席を立とうと思うが、なかなかウェイトレスが席まで回って来ない。もしかしたら、閉館までこのまま?と不安に駆られるが、何とか勘定を済ませ、4時半から収蔵絵画の観覧を開始する。
- 入って正面のレンブラントを見てから、まずは、何よりもフェルメール、と探し回るが、どこにもフェルメールは無かった。ずっと修理中、らしい。あああ…
- 時間もないので、ほとんどの絵画は、上野動物園に最初にパンダが来た時のよう
な見方(「止まらないで見て下さい!」)で済ませる。ところどころ、あのだまし絵のアーチンボルドとか、花のブリューゲルとか、華麗なヴァン・ダイクとか、有名どころ?だけ、立ち止まって眺めるくらい。そして、西翼の最奥部、ブリューゲルだけの部屋についに辿り着く。
- さすがに、興奮する。一つ一つ眺める。どれも、一目では見尽くせない作品だが、やはり何と言っても「バベルの塔」に一番惹かれる。
- 「バベルの塔」。大きな絵だが、周知のように描写は非常に細かい。皆、思わず顔を近付けてみようとするが、その度に、警報装置のブザーが鳴り響く。あまりにしょっちゅう鳴っているので、ほとんど警報の役には立っていない。こういう時こそ、「このようなこともあるかと思って密かに用意して置いた」単眼鏡の出番である。
- そのままでは見えない物(例えば、背景の大地に点のように立っている人の姿)が単眼鏡を通すと、突然見えてくるのは、何とも奇妙な体験だ。倍率を上げれば上げるほど、より一層細密な世界、というのは、まるで「フェッセンデンの宇宙」を思い出させる。ブリューゲルはこの絵を描くことで、もう一つの世界を創造しようとしたのか。ならば、彼は、「神」を目指したのか。そして同じ視線で、塔全体を眺めている私たちも、「神」の位置に立っているというのか。
- 「予め滅び行くもの」、という言葉がふと浮かぶ。カフカの掌編に出てくる街のように、朽ちゆくことを運命付けられた建造物? 「箱船を、取り壊すのさ」。バベルの塔を主題の一つとした、遠い異国の映画の1シーンがフラッシュバックする。
- 今こうしてこの目で確かに見ているのに、隠されたものがあるわけではないのに、この絵の本質に少しも近付けない。というか、見れば見るほど、遠ざかっていく気がする。
- もう1枚のブリューゲルの「バベルの塔」を前に見た時、感じたように、「バベルの塔」については、もっと深い知識の下に、きちんとした理解をする必要を改めて感じる。勿論、2枚のブリューゲルの絵をどう理解するかが、その中でも最重要課題。これは帰国してからの、自分への宿題ということにしておこう、と思う。
- 「雪の中の狩人」。タルコフスキーの「惑星ソラリス」の中で、この絵のアップが登場したことを思い出す。確か「図書室」?のシーンで、壁にこの絵(の複製?)が掛かっていて、バッハの「コラール前奏曲」がバックに流れていた。あのシーンはどういう意味で挿入されていたのだろう。主人公の記憶からの連想? ノスタルジー? よく分からないまま、もの悲しいシーンだと感じたことは覚えている。今度、ソダーバーグ監督が作るというリメイク版では、あのシーンは再現されるのだろうか、あるいは他の絵が登場するのだろうか?
- ブリューゲルの部屋を後にして、カフェのあるホールまで戻り、今度は、(更に急ぎ足で)東翼の南欧絵画を一周。立ち止まったのは、ラファエロなど、ごく一部だけ。しかし、ヴェラスケスだけは勿論、別。マルガリータ王女を描いた3枚を含む、彼の4枚の作品については、出来るだけゆっくり眺める。十年前、プラド美術館で「ラス・メニーナス」等を見た時からの夢=残りのマルガリータもいつか見てみたい、が本当に叶うなんて、感無量。
- ヴェラスケスの絵は、ブリューゲルとは正反対に、絵からある程度、離れた時に初めて、あの圧倒的なリアリティを持った世界が見えてくる描き方がされている。近付くと、色絵の具の固まりにしか見えないのだ。多分、画像の再現という点では、液晶画面の表示方法のように、ヴェラスケスの方が、現代には近いのだと思う。どちらの絵も、見ている方としては魔法のような、としか言い様のない作品なのだけど。
- 続いて、特別展のエル・グレコ展も、一応、ぐるっと回る。これだけでも、十分満足出来る、充実した展覧会だった。但し、エル・グレコに関しては、大昔の上野での展覧会、それに、トレドの街で、そしてプラドと、主立った作品は何回も見ているので(しかも同じテーマ、似たような構図で何回も描いている作家なので)、目の前の絵がかつて見たことがあるのか、無いのか、もはや良く分からず。←駄目じゃん
- 最後に、ブリューゲルの部屋に戻って、今度はただぼんやりと閉館時間近くまで、彼の絵を見て過ごす。
- 美術館はやはり6時に追い出される。時間前になると、ミュージアムショップ等では、もう人が近付かないようにしていて何も買えなかったのだが、この辺の感覚はやはり日本人とは違う気がする。日本人だと、閉館時間までは同じサービスを提供するのが当たり前だと思うのだが、こちらの人は、閉館時間が来た時点で仕事を完全に停止するのが当たり前で、そのためには、残り時間が少なくなればもう新たな接客はしないという感覚。どちらが正しいというものでもないだろうが、私は日本人なので、正直、ちょっとだけ頭には来た(「バベルの塔」のポスター買い損ねたし)。
- 空はまだまだ明るいので、市電を乗り継いで、フンデルトバッサーハウスまで行ってみる。この秋、開館するらしいジブリ美術館が、外側のデザインを考える際に、非常に参考にした(←婉曲表現)ことで、日本ではごく最近、知名度が上がった建物である。残念ながら、建築上、この建物がどれくらい構造的に独自性を持っているのか、とかはさっぱり分からないのだが、とりあえず、外見だけでも、随分とイカしている。あるいはイカレている。一階に、売店があって、建物の絵葉書やポスターが売っているのだが、写真だと更に、どう見てもおもちゃでしょう、みたいな感じ。レゴブロックで作ってみせたアパート? 凸凹だし、色も沢山混じっているし。でも、こういう建物が19世紀的な古風な建築物の合間に、割と平然と建っているのは、ウィーンらしい、のだろうか。
- 個人的には、ここで写真を撮っている時に、指先のササクレから出血し出したので、やや焦った。親不孝?
- まだ夕方。なので、この際、あの観覧車に乗ってみることにする。ここからだと、歩いて行けないこともないので。プラターに着くと思っていた以上に、鄙びた遊園地。「花やしき」的というか、老夫婦がジェットコースターに乗っているような遊園地で割と良い感じ。
- 観覧車もだから、さぞ寂れているのだろうと思ったが、下まで行くと、乗るための行列が出来ているのを目にする。実は、今でも大人気? ちなみに、目の前の屋台風の、土産物屋の屋根には幾つも黄色鼠のぬいぐるみが吊されていた。こちらも人気なのか。
- 行列して観覧車に乗り込む。ちょうど日の入りの時刻で、窓の外に夕日に染まるウィーンの街並みが見下ろせた。ここでは「鳩時計…」と呟くのがお約束らしいが、どうせ「ジオブリ」での高見ちゃんバージョン位しか思い出せないので、オーソン・ウェルズを気取るのは止めておく。
- 一旦、ホテルに戻ってから、近所のレストランに出掛ける。ここは、牛スープが有名なところらしいので。そう、もはや、牛、牛…と頭の中は、牛肉を食べることだけで一杯。
- が、行ってみると真っ暗なお店。…夏休み? 仕方ないので、ガイドブックを捲って、適当に庶民的な感じのところを探し、町中へ出掛ける。スムートニーという名のそのバイスルは無事営業していたので、一安心。とりあえず、ハウスワインを頼んでから、メニューを貰って、眺める。英語なのだが、…ぜ、全然、分からん。シュニッツェルが沢山載っているようだが、付け合わせが違うのかしらん。
- ともあれ、牛を食べたいっ、というわけで、ここはグーラシュ(ハンガリー風ビーフシチュー、ハンガリーでは「グヤーシュ」)しかないでしょ。店のお姉さんに「グーラーシュ」?と訊くと、何とか通じたようなので、メニューから適当に名指したスープと併せて頼む。
- 暫くして、まず、スープがやってくる。ドミグラスソース風のスープで、中身は牛肉、タマネギ、ジャガイモ、カリフラワー、ブロッコリー。…これじゃ、グーラシュとおんなじにょ。
- …似たようなメニューを選択してしまったことと、一行前の言い回しが何故か浮かんでしまったことを、深く反省する。でも、前者についていえば、牛肉に飢えていたわけだし、まぁ良いのか。ところで、スープも、肝心なグーラーシュも美味しかった。満腹で満足で、店を出る。
- そのまま、更にホテル・ザッハーに寄ってカフェで、有名なザッハーケーキを食べる。まぁ、甘い物は別腹と申しますし。というか、ツアー料金の中に、ここのクーポン券も含まれていて、その券を貰った以上使わないと、という単なる貧乏根性。しかし、夜の11時前に一人、ケーキを食べにやってくるのは、かなり変な奴、のような気がしないでもない。
- クーポンを渡して暫くすると、ケーキとメランジュ(泡立てたミルク入りのコーヒー)が運ばれてくる。ちなみに運んできたのは、日本で言うところの?メイドさん的なコスチュームのウェイトレス。但し、年齢は4,50代で、「レベッカ」に出てくる、陰気な家政婦みたいな感じの人だったので、それ以上彼女について言うべきことは特にないです。
- さて、ケーキをぱくっと食べてみる。! 甘っ。ルノアールのココアより甘い! しばらく試行錯誤を続けた結果、このケーキは同量の生クリームで甘さを薄めることで、初めて何とか食べられることが判明。割と甘党な私にも、正直、やや辛い物(「からいもの」、ではない)があった。
- しかし、ウィーンの冬、鼻水が凍り付くような(もう少し綺麗な言い方は無いのか)外の寒さの中を歩いてから、暖かいカフェに入り、このケーキを食べると多分、非常に幸せを感じるのではないか。何となく、そんなことを考えた。
- 12時前、ホテルに戻る。長い廊下を経て、部屋に戻ると、ベッドにひっくり返る。ぐた。という擬音が聞こえるような気がする。明日は、今日より更に早いらしいので、荷物の片付けだけすると、即、寝てしまう。
to be continued.
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