空の蒼さを 見つめていると


2001年4月

4/30

  休みを二日ほど使って(と言っても一日は寝ていた)、HPの構成を少し変更。

 色々手を入れている内に、開設当初から作ると言い続けては先送りにしてきた小野不由美Pageもいつの間にか作ることに…  このテンションがGW中も続けば、多分、大丈夫だとは思いますが。小論を一つ書くだけなんだし…

 

 4/28

 先月、ああ言った手前もあり、新国立劇場の6月公演「贋作・桜の森の満開の下」の電話予約に一応、チャレンジしてみるが、電話が通じる前にあえなく全滅(^^;  この際とカード会社の確保分に応募してみたけど、どうなることやら。当たったら当たったで、S席7,500円は出費が嵩み過ぎだし…

 

 午後は気を取り直すべく、鎌倉まで散歩。今まで行ったことのない美術館に入ってみる。

Art 日本の花・心の花 鎌倉大谷記念美術館 2001.4.28〜6.23

 鎌倉駅西口、紀伊国屋がある交差点を海側へ進み、標識に沿って約8分の、 とある谷戸の途中。今だと躑躅がちょうど花盛りの入り口を上っていくと、そこには瀟洒な煉瓦造り風の洋館が。という過程も含めて 楽しむところなのかと。

 絵を観るためだけなら、コストパフォーマンス低し。というか、700円は高過ぎ。花を題材にした、普通の日本画が幾つか展示して あるだけだし。画家は御舟以下、有名な人ばかりだけど。ルドンの花みたいに、観ることに真剣勝負を要するような気合いの入ったものはないです。 中では、上村松園鏑木清方の、人物を描いた2枚の掛け軸が一番印象的だった。

 特に清方は、和室の一装飾として床の間に飾られているのを遠くから眺める形で、山桜の下、禍々しいまでに紅い振り袖の娘が佇んでいる その絵の、物の怪の姫?というような派手派手しさに驚かされる。題材は「
道成寺」だから、これで正しいとは思うが。

 駅まで戻り、小町通りを北上。それにしても、この通り、来る度に、新しい煎餅屋だのコロッケ屋だの焼売屋だの ソフトクリーム屋だの饅頭屋だの豆屋だのが出来ていていつもながら驚く。しかも、皆、なぜか「元祖」とか「名物」とか平気で 名乗っているし。あそこで20年以上営業している食べ物屋って1割くらいでは?

 途中にある教会が、改装費を稼ぐために庭にテーブルを並べてコーヒーを売っていたので、寄って飲む。それにしても、1杯200円 のコーヒーを何杯売れば、改装費の足しになるのだろう? ちなみに、聖ミカエルの名が付いた教会なのだが、どこかのお気楽3人娘とは 勿論、何の関係もない。

 

Art 清方の情趣─春の巻─(常設展) 鏑木清方記念美術館 2001.4.20〜6.3

 俗世の混雑に溢れた、その小町通りから一歩入った所にあるのが、こちらの美術館。門の所にいた、 どこかのオジサンが「鏑木清方美術館。200円」といきなり呼び込みをしてきたので、思わず身を引くが、実は美術館の人だったらしい。

 拝観料、200円。感動的な安さだが、入ってみると納得。展示室が1部屋しかない(^^; 人によっては一瞬で見終わりそう。 尤も建物は意外と立派。入り口が二重の自動ドアになっていたり。この人の入りでは減価償却費も出ないよな、と思うが、実はここ、 市立の施設だった。そうか、さっきのオジサンも市の職員だったのか。

 清方はいわゆる美人画を得意とした画家。収蔵作品から2枚だけをテレカにして販売していたが、うち1枚は袴姿の女学生。 …なるほど、て何が(笑)

 などと書いていると、他のこと何も書けないんですが。どうしたものか。大体、書いていないままの展覧会もまだ一つあるし。

 

4/27

 「カリ城」DVDを買う。とりあえず、絵コンテバージョンの方を観たいだけなのだけど。「モンティパイソン」のインタビュー等のコレクションとか、「日本沈没」TVシリーズとか、考えてみると買わなくちゃいけないような気もするソフトも 目にしたような気がしたが、考えないことにして、店を去る。

 

 たまには、読んだComicsについて、簡単にコメント。

Comics 古賀亮一ゲノム3 ビブロス

 私は気に入った作品があると暫くそればかり読み返していることが多いのだけど、今月一番読み返したのは、何と言ってもこの「ゲノム」の1,2巻。ツボにハマリまくり、というか、何度読んでも、 パクマンの暴走振りが可笑しい。それだけに3巻発売、というのは何てタイムリー!なんだけれど、正直、前巻よりはちょっと弱いかも。 これでも充分面白いんですが、あの一コマ単位で話題をくるくる転換しつつ、暴走していく高密度なギャグ、という点では物足りないような。

 

Comics 丸川トモヒロ成恵の世界3巻 角川書店

 元々、自分のベースがSF方面にないせいか、今まではそれなりに良く出来たジュブナイル、 という程度の印象だったけど、前言撤回。かなり良く出来たジュブナイル、だと思います。あんまり違わないじゃないか、 と言われそうだけど。登場する全てのキャラクターに愛を注ぎ、それぞれの良さを発展させるエピソードを丁寧に描き続けている、 という点で、好感度up。

 

Comics 玉置勉強BLOOD THE LAST VAMPIRE 2000 角川書店

 表紙は雰囲気が出ていて非常に良いですよね。絵もこの作品には合っている と思うけれど、物語的にはちょっと消化不良のような… 押井守の小説版も北久保監督のアニメ版も、話の終わり方は割とダメダメだったので、これだけを 責めるのは酷かとは思いますが。

 

Comics 伯林しゅーまっは 秋田書店

 昔、とり・みきるんるんカンパニー」の秋田先生が、失敗したホムンクルスを食べて 処理していたのを読んだ記憶があるのだけど、失敗作は食べて処理、というのは少年チャンピオンにおけるマッドサイエンティストの 伝統なんでしょうか?(^^; それにしても、ガンダルフのイメージから、どうしたら、こんなキャラクターが生み出せるか不思議。 これでは、ガンダルフ違う、サルーマンや。

 

4/26

 職場には食堂がない。従って、私は外へ食べに行っているのだが、弁当を買ってきて(あるいは持参して)食べている人も結構いる。そのせいだと思うのだけど、…最近、出るんですよ、ここには。出るといえば、勿論、あれ。カサカサと音を立てるあれです。

 いや、別に「3mぐらいの大きさで口は耳まで裂けて」はいなくて(^^; ごく小さい数ミリの奴でしたが、見付け次第、即、排除。 しかし、見付ける度に僅かながら、ミリ数が上がっているような気が… しかも、この前なんか、机上のノートパソコンの中に 入り込んでしまうし(出て来る所を抹殺)。何とかせねば。あの一匹が最後のとは思えない… 志村喬口調で、ブツブツ呟いてしまう私。 とはいえ、自分の近辺だけコンバットとか置いてみても、根本的な解決にはならないような気がするし。

 あれだけは正直、本当に嫌いなんですよね、何故なんでしょう、ガンツ先生。遠い遠い過去に先祖が苛められた、そんなエマノンな深層の記憶でも持っているのかしらん?

 

Novel 川上弘美・山口マオ椰子・椰子 新潮文庫

 とある主婦の一年間の日記と、季節毎に一つずつの短編を収めた作品。 と言うのは決して間違ってはいないが、実際に読んだ印象とは全く一致しない。

 まぁ、例えば「夢日記」とでも言うと、多少、近いかもしれない。あるいは、
吉田戦車のマンガの世界にどこか似ている、とでも言うべきか。

 ベランダの鳥と話したり、町内会副会長でもある殿様とお茶を飲んだり、町内の縄文人街に遊びに行ったり、と奇妙と言えば奇妙 そのものなのだが、あくまで日常の一コマとして、淡々と暮しているその様子を、ちょうど茶飲み話で、「昨日、こういうことが あったんだけど…」と聞かされる感じ。勿論、あくまで茶飲み話なので、聞く方も長閑に、ふ〜んと適当に聞き流している、 という姿勢でちょうど良い。

 知人の山本アユミミとの小旅行を綴った、春の短編「春の山本」が中でも、ちょっと良いかな、と思った。

 ところで、この日記も、こういう調子で書いていった方が面白いような気がするんだけど、駄目でしょうか。

 

4/25

  そういえば、そろそろ連休だ、と今頃、何をするか、考え始めたりしている(←もう遅い)。この際、見に行く映画とかって 何かあったかな…?

 

BS ジョン・フォード静かなる男

 たまには、ちゃんとした「映画」を観ないとね。どこが良い、などと細かい分析をするのが無意味に思える、いわば全体が 映画の塊である、観ていてひたすら幸福な作品。本物を観てしまうと、「紅の豚」なんて紛い物は、燃えないゴミの日に捨ててしまえ、と言いたくなる。

 あの、「映画千夜一夜」でも詳しく語られている、ジョン・ウェインの濡れシャツには、ちょっとドキドキ(^^;;

 

Comics ゆうきまさみパンゲアの娘 KUNIE 〜少年サンデー

 ほいっ、新連載だね。ということで、久々にサンデーを買ってみました。 エキゾティズム、即ち異世界のダイナミズムの取り込み、を今頃、南洋に求めようとして大丈夫なのか、と、個人的には、初期設定にやや懸念。初回だけではよく分かりませんが。

 

Novel 野尻抱介ふわふわの泉 ファミ通文庫

 ぽんぽんと進むテンポの良さは良い感じ。でも、 そのふわふわストーリー?に、霧子ちゃんの話をあえて割り込ませる必要があるのか、書かれている内容だけだと、 納得しにくいんですが。…はぁ、元ネタがそうだからそう、なんですか?

 「ふわふわ一万倍の法則」という言葉の響きは、とてつもなく魅力的なんですが、作品自体の出来は一万倍まではいかなかったかな、と。

 

4/24

 「ここら辺って、昔、海だったんだよね」

 朝、駅まで歩いていく途中でいつもすれ違う、地元の学校へ登校する小学生達から聞こえてきた、会話の一節に、はっとする。

 確かに、この辺りは元々隆起して出来た土地で、小学校の頃、近所の小高い丘の崖面に貝の化石を見に行ったこともある。 当時の私は、自分の身の回りの世界に対し、もっと新鮮な驚きや感動を感じていて、そういう大きな時間の流れの中に「今」という場所を感じていた筈なのだが、今や、日常的な時間に埋没し切っている。…ここが昔、海だったなんてことも、20年以上、考えても見なかった。

 私達のいる世界はどこであっても、プリオシン海岸のように過去という時間の層の上に成り立っている。そのことに思い巡らすことが 出来る、そういう心の柔らかさを取り戻したい、とふと思った。

 

4/22

Comics 高千穂遙/細野不二彦「クラッシャージョウ」 MF文庫

 細野不二彦のデビュー作がこの「クラッシャージョウ」であるのは 割と有名な話だが、昔に単行本も出ているので、何を今さら、という向きも有るかもしれない。ただし、ファンとしては、 このMF文庫版も確保しておく必要はある。単行本初収録のエピソードが有ることに加え、彼の画風の変遷を確認する上で 興味深い作品となっているからだ。

スターダスト・ストーリー」…数年前、「まんがビデオ」(そんな物も有りましたか…)になった時、描き下ろした短編。単行本初収録。

セント・ジェルミの伝説」…十数年前、旧単行本のための描き下ろし。

宿命のパンドーラU世」…二十年前、本人のデビュー作。「まんがビデオ」にするに当たり、かなり加筆訂正を行っている。

 この3作品、見事に絵柄が全然、違う(笑) 特に「宿命の…」の加筆部分なんか、水と油、という位、違っているのが分かる。 しかし、デビュー作の絵が古くさいのは仕方ないとして、驚くのは、一番魅力的な絵柄が、十年前の「セント・ジェルミ…」の方だ ということ。あの「
さすがの猿飛」後半の霧賀魔子を描いた、繊細な描線。あの頃の細野不二彦の 洗練された絵というのは、サンデー系の絵柄のいわば頂点だったのでは無いか、と今にして思う。

 「スターダスト…」は、現在の例えば「
ギャラリーフェイク」と共通の絵柄。それは、大量の物語を手早く堅実に語るために選んだ線なのだろうが、反面、喪った物も 少なくは無かったことに気付かされる。今の細野不二彦の、職人としての作品も決して嫌いではないのだけど、当時の作品は、 描かれた一コマ一コマの絵までが本当に好きだったんだよな…

 

4/21

 どうやら、引用文のせいか、小野不由美関連で検索して来られる方もちらほら。しかし、皆、表紙だけ見て(多分、失望して) 去っていく様子(^^; いや、無理もないんですが。日記くらい眺めていってくれよ、と思わないでもない。

 

Novel 小野不由美黄昏の岸 暁の天 講談社文庫

 とりあえず、感想をようやく書きました。 ネタバレ、というか読了を前提とした感想なので、別ページ。

 どうでも良いことを少し補足。今作は割と、辻褄合わせ的なところの面白さ、だったかと。「
BACk TO THE FUTURE PARTU」のように、こっちではこうしてました、みたいな。 あとは国会答弁を連想? そういえば、呼称もアレだし。あと、あの冬官長は、私の頭の中では、菅野博之地球防衛企業ダイ・ガード」の百目鬼博士で決定(笑) いや、他にもハマるキャラはいそうですが、自分的にはこれで満足。 

 

4/19

 ところで、totoという売場の文字を見る度に、「オズの魔法使い」のドロシーが連れていた、灰色の子犬をまず思い浮かべてしまうのは私だけ?

 

Art 色をめぐる美術〜実り・収穫と宴の楽しみ〜 大倉集古館 2001.3.2〜5.27

 昼休みを有効利用して、近隣の美術館を訪ねよう計画、第一段。ここは 職場から、距離的には最短の美術館。しかし、徒歩で行くしかないというロケーションのため、時間的にはやや無理が。というか、 戻ってきたら既に1時。ああっ、昼飯食べる時間が…

 初めて訪ねたが、こじんまりとして割と良い感じの美術館だったかと。企画展は食に関わる美術、ということだが、花見等も含む 広い意味で捉えていて、全体として、新たな認識を得るとか、考えさせるとかいう展示では多分、無かった。

 実は、期間中、若干の展示替えがあるらしく、
横山大観の「夜桜」という大きな屏風絵が置かれていた代わりに、狩野探幽の「鵜飼図」が展示されていなかった。「夜桜」は、あっけらかんとしていて悪くは 無かったが、別にどうでも良い代物だし、探幽の方が観たかった気が。

 
殷元良の「鶉図」(1748年)というのがあった。この人は、琉球最大の画家、とのことで、 初めて聞いた名前、というか、私は琉球の画家の絵自体、初めて観たと思うのだが、流石に見事な作品だった。興味深かったのは絵に 「乾隆十三年」と書かれていることで、当時の琉球というのは中国の暦が使われていたことをここで知る。

 個人的に一番気に入ったのは、
並木瑞穂さやえんどう」(大正15年)。前田青邨に師事した人らしい。縦長の画面一杯に畑の莢豌豆の蔓の固まりを写実的に、しかしあくまでも端正に描いていて、 何でも美しく描いてしまえる、日本画というものの不思議さを改めて感じる。

 

4/18

 朝、目を覚まして、ふと枕を見たら、そこには、べっとりと血溜まりが広がっている、というスプラッタな光景が…

 昨夜、歯ぐきの出血が止まりきらなかったらしい。幸い、血が染み込んでいたのはカバーまでで本体にはさほど被害が 及ばなかったようなのだが(テンピュール枕は洗っては不可らしいので、染み込んでいたらお手上げだ)、もし私が麒麟だったら、 すっかり気分が悪くなってしまったに違いない。

 

Novel 小野不由美魔性の子 新潮文庫

 最新刊の「黄昏の岸 暁の天」を読めば、間違いなく再読したくなる一冊。今回、物の見事に こちらと辻褄を合わせているので、今更ながら感心してしまう。ただ、この作品を書いた時は、今回のディテールほどは 造り込んでいなかったのでは?とは思うのだけど。

 ちなみに、私が持っているのは「ファンタジーノベル・シリーズ」の初版(ちょっと自慢?)。もう、10年経つのか… 初読時は、 正直言って説明不足な感が否めないと思ったものだが、実はこの背後に、こんなに魅力的な世界が広がっているとは、本当に思いも 寄らなかった。

 再読して改めて思ったのは、私にとって一番しっくり来る作品、だということ。人の心の醜さと弱さの描き方が非常に納得出来る というか。この作品と「
屍鬼」が、小野不由美作品の中で、私にとっては一番大切な部分を占めていると思う。

 久々に読むと、他にも色々思い出す。「水の作家」としての小野不由美について、幻想文学の先達で、同じく水の作家として余りにも 有名な
泉鏡花(「夜叉ヶ池」等)と比較しつつ検討してみたいと思ったこととか。あるいは、漢文系文体の作家、中島敦の作品での、主人公の世界との違和感(それこそ「山月記」等)との相違点を考えるとか。そういえば、そういう意味での小野不由美Page の作成というのは、HPをそもそも作った時の目的の一つだった。すっかり忘れていたけど(^^;



 以下、雑談。十二国記というのは映像化するのは多分、不可能だと思うのだが(下手にアニメにすると、恐らく「アル○○ーン」 みたいな物になるような)、この「魔性の子」だけは、実写でぜひ見てみたいとずっと思っている。作るのは恐らく可能だと思う。 しかし、ラストが娯楽映画としては余りにもカタルシスを欠くかも。感情移入していたキャラクターが最後にああいう真実に直面 させられる作品だし(^^; TVドラマなら大丈夫かな。少年ドラマシリーズの一つということで、「
六番目の小夜子」に続いてやれば。ただ、特撮予算が足りないかもしれない。

 本編は実写はどう見ても無理だし、せいぜい人形劇くらいか? 「
三国志」みたいに。あ、もしかしたら、面白いかも。人形劇版十二国記。勿論、 人形は辻村寿三郎。何だか、猛烈に見たくなってきた(笑)

 ところで、「魔性の子」。中年教師・後藤のセリフについては
大林隆之介の声で読んでしまう、のは私だけではないですよね?

 

4/17

 前の勤め先にいた頃、虫歯で抜け掛けた奥歯を、歯医者に行く暇などとても無いので放って置いたら、その内、何と折れてしまった。痛みも無いので、更に半年放置していたが、そのままというわけにもいかないと思い、勤め先の近所で歯医者に通うことに。幸い、今はそれ位の余裕は有る。

 レントゲンを見た医者の診断は、歯ぐきに残っている分も抜歯するしかない、とのこと。何故、もっと早く来なかったんですか?と 訊かれるが、来れなかったから今に至るわけで。来週には問題の歯(の根本)を抜く予定なのだが、幾つになっても歯医者の麻酔、というのはある種、恐怖である。

 ところで、今の職場の周りはオフィス街だからか、やたらと歯医者の数が多い。その大半が普通の会社の勤務時間内での診察。 ということは、大抵のサラリーマンやOLは勤務時間内に抜け出して治療を受けている、ということ? 世間一般の常識では、 歯の治療とはそういうものなのだろうか。

 そんなわけで今も、口の中に血の味が消えなくて、ちょっとイヤぁな気分。

 

Book 都甲潔「旨いメシには理由がある」 角川oneテーマ21

 人の味覚以上に味を判定できる「味覚センサー」を開発した著者による、 センサーについての簡単な解説書。内容については、へええというレベルでしか分かっていないのだけど。味覚を感じる原理自体を 人工的な脂質膜を使って再現するということですね(多分)。

 興味深いのは、これを利用することで味の客観化、数値化が可能だと言うこと。将来的には、味覚センサーを利用して、 求める味の食品を人工的に作り出すことも可能になるらしい。

 今でも、ある種の組み合わせで別の味になるのを検証することは可能で、著者によると、有名な「プリンに醤油を掛けてウニの味」は、 確かにかなり近い味と言えるらしい。他にも、組み合わせの例が載っているのだが、見た限りでは結構??なものが多かった。

 「コーヒー牛乳=麦茶+牛乳+砂糖」、「みたらし団子=バニラアイス+醤油」、「チーズ=梅干し+牛乳」、「コーンスープ= ホットミルク+刻んだ沢庵」、「チョコミントアイス=チョコレート+歯磨き粉」、「水あめ=納豆+チョコレート」等々。

 コーヒー牛乳も、かなり近いそうだ。一回、やってみようかな。でも、水あめは絶対に試したくない(^^;

 他に何か組み合わせをご存じな方っていますか? ネットで探せば、こういうの、色々試している人って必ずいそうな気もするな。

 

4/16

 家の冷蔵庫を、前面に温度表示が付いた型のに買い換えたらしい。庫内温度を絶えずチェックすることにどれくらい意味があるのか、お茶のペットボトルを取り出すだけの私には今一つよく分からない。そういえばその話を聞いて何か思い出したような気がしたのだが。

 冷蔵庫、れいぞうこ… あ、れいこぞう。
岸田劉生の回顧展、そろそろ近代美術館へ観に行かなくちゃ。

 

Comics 川原泉「ブレーメンU」2巻 白泉社

 正直言って、絵的には辛い。昔はもっと柔らかな線だった気がするのだが…  でも、物語の語り方の上手さは健在。読んでいて、ほっとする。ところで、どうでも良いことなんだけど、インコ教と言えば確か 「かてーことゆーなよ」と唱える宗教では無かったっけ?(^^;;;

 

4/15

 親戚、というかその知人が亡くなったのでお通夜に参加。故人が好きだったという音楽が流される。アイネ・クライネ・ナハト・ ムジーク。

 帰り。日曜の夜のバスは何と9時半が最終だと初めて知る。やはり田舎だ。で、その終バスに乗る時、行き先表示が赤ランプで 照らされた「赤バス」であることに気付く。京急は今も、終バスには「赤バス」を走らせているらしい。なお、その一本前に 「青バス」が走っているかは不明。



 私は競馬には全然興味がないのだけど、皐月賞の出走表をふと見ていて、「ミスキャスト」という馬主のネーミングセンスは凄い、と思った。

 

4/14

 昨日は、さすがに「IN POCKET」までは無かったので、改めて地元の本屋へ。やはり、こちらは 甘い作品でしたか。専門用語で言うところの「らぶらぶ」?

 というところで、本来は「黄昏の岸 暁の天」の感想なり書評なりを書くべきなんでしょうが…  これって多分、誰が感想を書いても大体同じになる気も。だから、ではないけれど、もう少し気持ちと記憶を整理してからでも良いかな。

 とりあえず、読後の印象を簡単に言えば、書かれたところまでは満足だし、こういう進め方しか無いと言っても良いけれど、 ここまでで我慢できるわけは無いでしょう? 噂では年内に本編の続編が読めそうな話なので、それが真実であることを切に祈る、 ということかと。

 

4/13

 青森まで、出張。

 「もしかしたら、に出会う東京出張」(JR青森駅の立て看板に書かれた、JR東日本の広告コピー)

 ……「もしかしたら」って何やねん!と突っ込みたくなるのは私だけですか? 横に、微笑んだ若い女の子が描かれていて、 「もしかしたら」とは出張した男性が彼女に出会う、あるいは逆に、彼女が出張して出会いをする、ことが暗示されていると思われるわけですが、転勤ならともかく、数日の出張くらいで、何かが起きるんであれば、苦労しませんよ、東京で働いている人は(^^;

 あ、でも、これって青森←→東京間の回数券の宣伝でもあるのか。足繁く通え、てこと?

 などと、愚にも付かないことを考えるために青森まで行ったわけでは勿論ないのだけど。ちなみに、往復とも飛行機なので、JRは利用してません。

 実は、関東より北、というのは、高校の修学旅行以来、15年振り。あの時は、上野発の夜行列車を使って、青函連絡船に乗って 北海道まで行きました。今から振り返ると、何だか信じられないような交通手段。その時は秋だったので、青森駅は雪の中、では 無かったですが。



 そんなわけで、青森は実質、今回が初めて。桜の季節で無いのが非常に残念だったけど。温泉と地元の料理は一応、体験出来たので良いか。

 入った温泉は、浅虫温泉。単に暖かいだけ、という感じだったけど、お湯が出る、ということだけで、ここでは充分な気が。

 料理は、やはりホタテを中心に、ウニ丼とか、新鮮な海産物を食べることに専念。市内の寿司屋で「トド肉が食べれるのは 本州ではここだけ」の張り紙を見たけれど、流石に試す勇気は無し。でも市場を見るとクジラ肉も有るし、色々海の幸が豊かな土地であることは間違いないらしい。

 やたらと寒い風が吹き荒れる一日で、三内丸山遺跡を歩いていて凍えかける。ボランティアのガイドのおばさんの語りは、とても 熱かったですが。

 そうそう、風が非常に強い、ということで?青森市内を歩いていると、女子中高生のミニスカートの短さが目に付く。…ええと。 寒くないんでしょうか。一方、聞こえてくる会話は、「どこさ行ぐだ?」な調子。

 勿論、その合間を縫って??本屋を巡って十二国記の新刊を探す。しかし、やはり青森の本屋にはまだ届いていないようだった。 仕方ないので、羽田空港に着くや否や本屋を探して、買いましたよ、「黄昏の岸 暁の天」。電車でなくリムジンバスに乗って、そのまま読む。至福。帰ってからも、読み続け、 そのまま読了。

 

4/9

 わわっ、本当に載っている! というわけで、今月号の「メフィスト」を購入。久々の新作(十二国記での)なので、どきどきしながら読む。

Novel 小野不由美華胥 講談社 「小説現代 5月増刊号 メフィスト」 収録

 今週は、いよいよ十二国記の新刊が発売される週だが、それに先立って 外伝を読めるなんて、思っても見なかったです。

 一言で言うと、厳しい…… という感想。ここまで高い倫理水準が要求される世界ってそうは無いような。こういう方が、小野不由美 本来の世界にむしろ近いような気もして、私個人的には好きですが、辛口なので、人を選ぶかも。

 それにしても、同じ新作を二文庫で続けて出す形にするは、外伝を「メフィスト」なんて定価のえらく高い雑誌(1,400円です)に 掲載するは、講談社の燃える商魂は留まるところを知らず。いやまぁ、確かにこれ、広い意味ではミステリーと言えなくもない作品 ではあるんですが。

 ともあれ、本編待望の新作「
黄昏の岸 暁の天」発売まであと5日。お正月を待つように、指折り数えてしまうのは私だけではないと思う。

 

4/8

 てげてげ。

 ふるさと日本の言葉・宮崎(再放送)を見ていたら、宮崎県民の南国気質の話が。要は、大雑把で楽天的な性格らしい。この言葉も、 元々、「大概」から来ていて、適当な(テキトーな)、という意味。宮崎県出身のゲスト、赤星たみこによれば「Take it easy」。良いじゃん、宮崎。住み易そう。そうか、不死鳥なリゾート施設も、 そんな宮崎だから作ってしまったんだろう。きっと、てげてげな計画で。ちなみに「てげ……」だと「超……」という意味らしい。

 

Critic 樋口覚「日本人の帽子」 講談社

 以前、戦前の日本人は皆、帽子を 被っていた、と書いたが、同じように、帽子について着目した評論。帽子が単なる装身具、ではなく、近代の個人の確立と切り離せない ものであることを前提に、展開する「帽子哲学」。鷲田清一の「モードの迷宮」の帽子版、と言えば、分かり易いかも。

 ただし、筆者は文芸評論家らしく、内容は、近代日本の作家と、その作品に登場する帽子を主なテーマとした文芸評論に限られている。 特に、独自の「帽子哲学」を持っていた英国の思想家
カーライルから出発し、カーライルに影響を受けた漱石の文学における帽子について語る辺りは、文句無く面白い。本書の題名が 「漱石の帽子」でも良かったという気がするくらい。そして、漱石の帽子がパナマ帽ならば、弟子の内田百は山高帽、というわけで、百閧フ帽子の話も興味深い。 どちらかの愛読者なら、読んでみてまず損のない内容だと思う。



 しかし、かなりの力作だけに、若干気になる点も。まず、これは文芸評論という性質上、半ば仕方のないことだが、では何故、 戦後、帽子は廃れてしまったかという疑問の回答はなされていない。これは、社会学として、誰かがきちんと調査し、考察して欲しいものだと思う。

 問題に思えるのは、評論として書かれたにしては、著者の個人的信念が随所で断定的に語られているのが目立つこと。 慎重な文章など面白くない、というのが多分、著者のスタンスなのだろうが、やや思慮に欠ける、というか、勇み足過ぎる、 ような気がしてならない。

 例えば、洋画家の
小出楢重岸田劉生を比較して小出楢重の方が 芸術家として格段上であるという趣旨の文章には驚く。小出楢重の絵は、どんより濁った、一言で言えば、歴史的価値以外、 余り価値が無い絵画。少なくとも、世界的な市場で、値が付く作品でないことは確かだ。一方、劉生の絵は、今のような高額な値段が妥当かはともかく、強烈な印象を与える、今後も残る作品であることは間違いない。

 劉生については、5月の回顧展を観る時にまた考えるつもりだが、ともかく、そういった特殊な意見を常識のように折り込まれると、 全体の信頼性自体が揺らいでしまう。あるいは、それくらい自分の意見に自信を抱いていないと、文芸評論はやっていけないものなのか…

 

 「アルジュナ」のサントラ 、リピート中。私にとって、「アルジュナ」とはこのサントラを生んだことだけが記憶されるべき作品。

 

4/7

 湘南平に山桜を見に行く。昔ほど、華々しくない気がしたのは時期がやや遅かったせい? ともあれ、今年の桜見はこれで終了。 関東は、平安神宮みたいな枝垂れ桜の名所は無いからな。実は、来週末、青森への出張が決まっているのだけど、さすがに向こうでは まだ咲いていないだろうし…

 ところで、湘南平へは数年ぶりに行ったのだが、TV塔は、もはやここは錠前屋かという位、フェンスには鍵が鈴なり。世の中には 頭の悪いカップルがこんなにも存在するのか、と溜め息を吐いてしまう私の方が間違っているのだろうか。



 横浜で最近の新刊他、多少のComicsを買って、珍しく買ったその日の内にまとめて読む。安倍吉俊+gk「ニア アンダーセブン」2巻、細野不二彦「ギャラリーフェイク」21巻、六道神士「市立戦隊ダイテンジン」西川魯介「SF/フェチスナッチャー」2巻もりしげ「花右京メイド隊」3巻古賀亮一「ゲノム」1,2巻(新刊じゃないけど)辺り。でも、小田扉「こさめちゃん」のように、少し丁寧に読もうと思っている作品 ほど読めずに溜まっている。少なくとも、そろそろ整理しておかないと床が見えなくなってきた。

 

CDS 小滝詠一「冷麺で恋をして」

 発売日からは結構経っているのだが、初めて見掛けたので。言わずとしれた「A面で恋をして」のパロディーソング。元の「A面で恋をして」は「NIAGARA TRIANGLE2」の収録曲だが、このジャケットは「A LONG VACATION」のイラストの前面に、台の上に置かれた冷麺を足したもの。勿論、永井博。曲は、まぁ聴いて貰えば分かる、というか、それだけだが、それにしても、高田文夫の作詞、出来良さ過ぎ。

 「レーメンで微笑んで 炭火網の上で クルクルと踊るよカルビ」とか(^^;

 ただ、正直言うと、私は焼き肉屋の冷麺ってそんなに好きではなかったりするんだけど。最後は、 クッパかビビンバで締めることが多いし。

 

4/6

 実は、「羊たちの沈黙」をまだ見たことが無い私。今週BSで放送するので「ハンニバル」予習用にもちょうど良いかと思っていたのだけど、…すっかり忘れてしまっていた。

 と、明くる日気付いて、失意のあまり寝てしまったのだが(というか、前日、入社時の同期で数年ぶりに集まって飲んでいたら、 終電が自分の町まで辿り着く時間を過ぎてしまい、家に着くのにお金と時間がえらく掛かった反動で、単に眠かった)、今日になって 下の番組のどちらも録画を忘れていることに更に気付く。……。そのため?わざわざ、ここに書いておいたというのに。

 それにしても、専業主婦となった一人は子供を連れてくるは、男の同期はこの春、長女のお受験の面接に立ち会ったと言うは、 三年前に結婚した女の子は、最近一戸建てを買った(買ったのは旦那だが)と言うは、まさに十年一昔。……何か、私だけ全く変わって いない気がする、のは気のせい?

 

Comics 紫堂恭子決定版 ブルー・インフェリア」4巻 角川書店

 ついに単行本が出て、ようやくこの作品も完結。全体を通して作者が書こうとした物語自体は、流石に それなりに納得出来るものだった。が、作品としては、とりあえず終わった、というか終わらせたという感じ。どうも、登場人物が皆作り物めいた感じで、生き生きとした魅力に欠けていたような。巻末エッセイマンガ「ナナちゃんは女の子」は意外な拾いものだったけど。93年に描かれたものらしい。

 で、この後の紫堂恭子が何を描くかというと、…「
姫神町リンク 神KAKUSHI」って何? 第2回は「月刊少女帝国」5月号、 てことは既に第1回は描かれているのか、というより、そもそも「月刊少女帝国」という雑誌自体知らない。とりあえず、 「新感覚ご近所ミステリー」らしい。

 

 終電で思い出したので、青・赤が付いた交通に関わる言葉をちょっと紹介。なぜ、その二色かというと、 「あけ」までしか辞書を読んでないから(^^;

「赤電車」…終電。行き先の表示部を赤色の光で照明するところから言う。赤電。転じて、いつも夜遅く帰る人。「赤バス」という言葉も。

「青電車」…終電の一つ前の電車。赤電車と同趣旨。青電。転じて、最後から二番目の物。「青バス」もある (車体が青色だった東京乗合自動車会社のバスも)。

「赤切符」…汽車賃が三段階に別れていた頃の、三等の切符の俗称。転じて、人や物の下等な例え。

「青切符」…同じく三段階の汽車賃のうち、二等の切符の俗称。

「赤バイ」…戦前、警視庁で、大臣警護、その他追跡用等に用いた赤色のオートバイ。今の白バイに当たる。

 今、本当に「赤電車」な終電ってまだあるんでしょうか。赤バイにも、やや驚く。どれも今では知っていても 何の役にも立たない言葉だけど。

 

4/1

 桜見、ということで、太田川べりの桜と、保土ヶ谷公園の桜を見てきました(神奈川ローカル)。

 今まで楽しみにしていたNHK教育の各県の方言紹介番組「ふるさと日本の言葉」がついに終わってしまった。と残念に思っていたら、 これから毎週、再放送を行うらしい(^^) 時間は、金曜朝5:10から。…さすがに起きられません。録画を忘れないようにしなくちゃ。

 ところで、今年のNHKの同系統の企画は、どうやら食べ物みたいですね。総合、教育、BSで3種類もやるようだし。その中で、 地味だけど、何となく面白そうなのが「金曜アクセスライン ごちそう賛歌」。いや、 タイトルはあれですが、「各地の名産品の誕生秘話」とか、「一番の技を誇る職人を訪ね」とか言った言葉には、惹かれるものが。

 ロズウェルな、アメリカ製少年ドラマシリーズ?も、やや気になる…