今まで表紙に載せてみた言葉

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「面白きことは良きことなり!」

〜森見登美彦「有頂天家族」
 

〜10/10/3


1/1〜8/18

こうして出逢ったのも、何かのご縁。

〜森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」

 


5/7??〜12/31

 せっかく思い立ったのです。思い立ったら決心して、
気がかわらないうちに、さっさと実行にうつしましょう。

         〜トーベ・ヤンソン「ムーミン谷の十一月」


9/18〜5/6

 「 本はいいよ。特に、どうしようもなく哀しくて泣きたくなったようなとき、本の中で登場人物の誰かが泣いていたりすると、ほっとするんだ。ああ、ここにも哀しみを抱えた人がいるってね。〜(略)〜
 小説なんて絵空事で嘘っぱちだから、現実に誰かが泣いているわけじゃないって我に返ることだってある。それでもやっぱり、ほっとするんだ。泣きたくなるようなことがあったら、試してごらんよ。長い人生、そんな気分になることだっていっぱいあるだろうからね。」
               〜加納朋子「てるてる あした」
        


7/18〜9/17

  ムーミンたちは、ホムサがいちどもいったことのない、そして、岸からでは見えない、どこかの島へいってきた帰りなのです。もしかすると、ムーミンたちは、その島に、ずっといたいと思ったかもしれないな、と、ホムサは思いました。もしかすると、ムーミンたちが、お話に作って、ねる前に、自分で自分に話してきかせるような島かもしれないんだ。
              〜ヤンソン「ムーミン谷の十一月」

 


7/8〜7/18

 
        「休暇にさ 宇宙旅行に行くとしたら どこがいい?」
        「それなら やっぱり 宇宙温泉でしょう」

              〜氷川へきる「ぱにぽに」7巻


1/2〜7/8



  「今やこんなことになっている私だが、誕生以来こんな有様だったわけでは
   ないということをまず申し上げたい。」
              
            〜森見登美彦「四畳半神話大系」


12/15〜1/2



      「十二月。世の中の人はみな忙しい。私も、いくらか忙しい。」

              
            〜川上弘美「ゆっくりさよならをとなえる」


11/1〜11/18



      ──だって……終わらなければ、始まらないもんね。

              
              〜清水マリコ「嘘つきは妹にしておく」


10/24〜11/1



 「でも、僕が感じる君の望みは、他人に答えを教わることじゃない」

              

              〜清水マリコ「ネペンテス」


10/11〜10/24

「そう。楽しかった?」
「はい」
大きくうなずくと、祥子さまは「よかったこと」と笑った。
「あの、でも『ローマ饅頭』も『フィレンツェ煎餅』も見つけられなくて」
              
      〜今野緒雪「マリア様がみてる チャオ ソレッラ!」


10/2〜10/11

「お土産は何がいいですか、って私がうかがいましたよね。そうしたら、お姉さまは」
                … 略 …
「ローマ饅頭もしくはフィレンツェ煎餅と」

      〜今野緒雪「マリア様がみてる チャオ ソレッラ!」


9/2〜10/2

「おろかしくもその生国を離れて、何かある理由、もしくはさまざまの理由によって外国におもむく者たちの、その理由なるものは、つぎの一般的原因のいずれかに帰することができるだろう─
身体的虚弱、 精神的愚鈍、もしくは 止むを得ざる必要。

      〜ローレンス・スターン「センチメンタル・ジャーニー」


7/16〜9/2

「久し振りだな…  花火…」
「夏は やっぱ これっすよ」

〜冬目景「イエスタデイをうたって」4巻


6/6〜7/16

「僕が知りたいのは、いつだって<スペース>の意味なのかもしれない」
 

〜加納朋子「スペース」


5/16〜6/6

「人生なんて、まるでお伽話。」

〜「ビッグ・フィッシュ」予告編


4/3〜5/16

「では、あたしと歩けば、どんな森も桜の森の満開の下ね。」

〜野田秀樹「贋作・桜の森の満開の下」


3/13〜4/3

『精神的に向上心のないものは、ばかだ』

〜夏目漱石「こころ」


2/1〜3/13

本当にありがたいわね。暫くの事 春になって」
「うん、しかしまたじき冬になるよ」

〜夏目漱石「門」


1/3〜2/1

『またいつか、誰が誰かの鳥になって。』

〜安倍吉俊「グリの街、灰羽の庭で」


12/31〜1/2

 カナ「鐘が止んだ、今年も終わりか」
 ラッカ「そうだ、最後に何が起こるの?」
 ヒカリ「街の壁が、この一年受け止めてきた全ての人の想いを空に帰すの」
 ラッカ「想い…?」
 ヒカリ「耳を澄ませて…」

〜「灰羽連盟」#12「鈴の実・過ぎ越しの祭・融和」


12/12〜12/31

 「何でもないことは流行に従う。重大なことは道徳に従う。芸術のことは自分に従う。」

〜小津安二郎


12/10〜12/12

   (小津の映画での登場人物は皆、快晴の日の朝に亡くなる話をした後に)

(蓮實)「そして小津さんが亡くなった朝もピーカンだったとうかがうと……。」
 厚田 「そうなんです。冬でしたけど、ぬけるような快晴でした。あの朝は。」

〜厚田雄春/蓮實重彦「小津安二郎物語」
 


11/15〜12/10

「もう三十だろう」
「そうです」
「三十になって遊民として、のらくらしているのは、如何にも不体裁だな」

〜夏目漱石「それから」


10/18〜11/15

 「ハイカラ野郎だけでは不足だよ」
 「じゃ何というんだ」
 「ハイカラ野郎の、ペテン師の、イカサマ師の、猫被りの、香具師の、モモンガーの、
 岡っ引きの、わんわん鳴けば犬も同然な奴とでもいうがいい」

〜夏目漱石「坊っちゃん」


10/16〜10/18

 「絶対に」伯母さんは言った。「何事に対しても、卑劣なのはいけません。嘘をつくのもいけません。無慈悲なのもいけません。この三悪は避けるんですよ、トロット。」

〜ディケンズ「デイヴィッド・コパフィールド」


9/23〜10/16

 『ほかの所は何を見ても東京の足下にも及ばないが温泉だけは立派なものだ。』

〜夏目漱石「坊っちゃん」


9/7〜9/23

 『人は、不幸らしく見えることに喜びを見いだして、せめてもの慰めとすることもある。』

〜ラ・ロシュフーコー「箴言集」


8/30〜9/7

 「十字架にのぼる」と「十字架をおりる」と題された二つの絵が、一瞬、ありありと見えました。

 ネロは立ち上がって、その絵のほうへ両うでをさしのべました。その青白い顔には、われをわすれたような、はげしいよろこびのなみだがかがやいていました。

 「とうとう、あれを見たんだ。ああ、神さま、これでもう、なにもいうことはありません。」

 とネロは大きな声でさけびました。

〜ウィーダ「フランダースの犬」


〜8/30

 照明!絵筆!アクション!

 それが、アムステルダム国立博物館のレンブラントの絵画の前で人々が抱く身震いするような興奮です。

〜ゲーリー・シュワルツ「夜警」


 ただはっきりとしていることはひとつだけ。
 自分は何なのか、と問いかけたときに、実に明快な答えが返ってきたということだけだ。彼女ははっきりとこう言った……

「──ばかっ!」

〜上遠野浩平「ぼくらは虚空に夜を視る」


4/15?〜6/12

  彼は始めて四方を見廻しました。頭上に花がありました。その下にひっそりと無限の虚空がみちていました。ひそひそと花が降ります。それだけのことです。他には何の秘密もないのでした。

〜坂口安吾『桜の森の満開の下』


4/5〜4/14

 一体どんな樹の花でも、所謂真っ盛りという状態に達すると、あたりの空気のなかへ一種神秘な雰囲気を撒き散らすものだ。それは、よく廻った独楽が完全な静止に澄むように、また、音楽の上手な演奏がきまってなにかの幻覚を伴うように、灼熱した生殖の幻覚させる後光のようなものだ。それは人の心を撲たずにはおかない、不思議な、生き生きとした、美しさだ。

〜梶井基次郎『桜の樹の下には』


3/31〜4/5

憂鬱なる桜が遠くからにおひはじめた
桜の枝はいちめんにひろがつてゐる
         〜略〜
遠く桜のはなは酢え
桜のはなの酢えた匂ひはうつたうしい
いまひとびとは帽子をかぶつて外光の下を歩きにでる
さうして日光が遠くにかがやいてゐる
けれど私はこの暗い室内にひとりで座つて
思ひをはるかなる桜のはなの下によせ
野山にたはむれる青春の男女によせる
         〜略〜
花見のうたごゑは横笛のやうにのどかで
かぎりなき憂鬱のひびきをもつてきこえる。
いま私の心は涙もてぬぐはれ
閉ぢこめる窓のほとりに力なくすすりなく
ああこのひとつのまづしき心はなにものの生命をもとめ
なにものの影をみつめて泣いてゐるのか
ただいちめんに酢えくされたる美しい世界のはてで
遠く花見の憂鬱なる横笛のひびきをきく。

 〜萩原朔太郎『憂鬱なる花見』(抄)


〜3/30

 
さて、この物語は、『二年間の休暇』という題名にふさわしいと思われるが、この物語から、つぎのようなことを教訓として引き出せるだろう。

 もちろん、どこかの寄宿学校の生徒たちが、ここに書かれたような休暇をすごすおそれは、たぶんないだろう。しかし─すべての子どもたちによく知っておいてほしいのだ−秩序と、熱意と、勇気があれば、たとえどんなに危険な状況でも、きりぬけられないものはない、ということを。

 〜ジュール・ヴェルヌ『二年間のバカンス』


1月 8日 曇

 松も取れたので、冬眠に入る。

〜川上弘美『椰子・椰子』


1月 2日 晴

 近所の原っぱに怪物が住みついたと聞き、見に行く。噂を聞いたらしい人が数人、うろうろしている。凧を揚げながら待っている人もいる。

 三十分に一回、住みついているうさぎ穴から「ゴー」という音と水蒸気があがる。

 龍の類のようだが、結局姿を見ることはできなかった。

 帰りに神社へ初詣に行く。

〜川上弘美『椰子・椰子』
 


1/1

「来年の春には、冬眠から、だれよりも早くおきることにしましょう。」

と、ムーミンママがいいました。

「そしたら、自分だけの静かな時間を、ほんのちょっぴりでももてて、

したいことができるもの」

〜トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の冬』
 


12/8〜1/1

『芸術が良いのは、文学でも音楽でも美術でも、

人間が感じているけれどモヤモヤしていてハッキリしないある感じを、

音や型や色や言葉でハッキリさせてくれるからだ』

〜有元利夫の1978年12月5日の日記


9/25〜12/8(…うわぁ、長!)

『本当に不思議なことは、日常のすぐ隣で起きる─そう思わないかい?』

〜加納朋子「沙羅は和子の名を呼ぶ」
 


9/1〜9/24

『あーあ この夏もなーんにも面白いことがなかったわ

なんか どひゃーっというようなこと おこらないかしら』

〜竹本泉「ねこめ〜わく」


8/25〜9/1

しかし、聞いて下さい皆さん!!

人生はこのくらいのてきとーさでいいんですよ!!

〜古賀亮一「忠犬ディディー」


8/12〜8/25

『いよいよ家路につきますと、家の中には黄色い明かりがまたたき、暖炉の火が燃え、夕食の支度が整って、かれの帰宅が待たれていました。そしてローズがかれを中に迎え入れて、椅子に座らせ、その膝に小さなエラノールをのせました。

 かれはほーっと一つ深い息をつきました。「さあ、戻ってきただよ。」と、かれはいいました。』

〜J.R.R.トールキン「指輪物語」


8/2〜8/12

「最後の岸に落ちる波は、長く、

失われた島に呼ぶ声は、快い。

その島はエレスセア。人間の見いだせぬエルフの故郷。

木の葉の散ることのない、とこしえの同胞の地よ。」

〜J.R.R.トールキン「指輪物語」


7/31〜8/2

「君の瞳に 映った僕に 乾杯!」


(「COWBOY BEBOP」、アンディの台詞より)


7/26〜7/31

“ History ”

「パブやゴミ箱と同じく、これはアイルランド中にいやと言うほどある。英国人にとって歴史とは

自分たちがいつもどのように物事をやってきたかを示すものだが、アイルランド人にとって

歴史とは、自分たちがいつもどのようにされてきたかを示すものと考える人もいる。この国は

驚くほど悲惨な歴史をもっていて、戦争、外国による占領、暴動、飢饉、宗教迫害、極貧、

そして時間通りに来ないバスと、何でもありなのである。」  by テリー・イーグルトン


7/6〜7/26

「さあゆこう仲間たちよ 住みなれたこの地をあとに

………………………… …………………………

さあゆこう仲間たちよ うずまきさかまく大海原を

残照輝く水平線のかなたへ 聞こえるだろう ほら

あれくるう風の中に 自由と愛のほめ歌が」

〜斉藤敦夫「冒険者たち」巻頭


5/7〜7/6

「どこに辿り着くかは問題ではないでしょう。そもそも辿り着くべき場所がある

わけでなし。昨日より今日、今日より明日と前に進むだけのことですから」

〜小野不由美「漂泊」


3/27〜5/6

「おやおや、考えてみれば、おらたちもまだ同じ話の中にいるっちゅうこってすだ。

話はまだまだ続いてますだねえ。えらい話というのはおしまいにならないんですかね?」

〜J.R.R.トールキン「指輪物語」


2/6〜3/27

「いずれにしろ、あんたはまだ、長旅に出るしたくができておらんからな。」

「いかにも、その通りです!」と、フロドは言いました。

「それはそうとして、どこへ向かっていくことになるのでしょう?」

「危険に向かって、行くのじゃ。だが猪突猛進してはならんよ。」

〜J.R.R.トールキン「指輪物語」


12/2〜12/24

こんな夜が、以前にもあったような気分だった。

いつだったかは思い出せないのだが、たしかに、以前にも、あった。

〜川上弘美「いとしい」


11/21〜12/2

今、空は悲しいまで晴れていた。そして、その下に町は甍を並べていた。

〜梶井基次郎「城のある町にて」


9/7〜9/10


「秋のどこに 夏休みに勝るものがあろうかー!!」

「くりごはん…」

〜「あずまんが大王」3


8/18〜9/7

「頭の中で白い夏野となつている」

 高屋窓秋


8/7〜8/18

「気がついたかい? 近頃ウィーンに来てる観光客のざっと二人に一人は
 日本人なんだ。どういうことだと思う?」

 〜ジョナサン・キャロル 「炎の眠り」


7/19〜8/7

「この前 知ったんだが

 夏休みというのは どうやら

 モンブショウとかいう奴の陰謀らしくてな」

〜小田 扉 「話田家」第4話


6/28〜7/19

「晴か嵐か、これを見て予測するんだ! ときどき、的中することもあるんだよ!」

 ムーミンパパが気圧計について 「たのしいムーミン一家」より


5/21〜6/28

あの青い空の波の音が聞えるあたりに

何かとんでもないおとし物を

僕はしてきてしまったらしい

透明な過去の駅で

遺失物係の前に立ったら

僕は余計に悲しくなってしまった

 谷川俊太郎・詩集「二十億光年の孤独」より


5/6〜5/20

──とても、きれいなところだ。

彼は意味もなくうなずいた。もう一度辺りを見渡して、

それから水を跳ね散らかして歩き始める。彼が歩くと、

花が揺れて、足下できらきらと澄んだ音がした。

〜小野不由美「魔性の子」


4/1〜4/8

耳男 桜の……花が咲くんだよ。

夜長姫 桜の森の満開の下へ行くんだね。

耳男 ああ、涯のない花の下へ。

夜長姫 あたしも連れてっておくれよ。

耳男 え?

夜長姫 あたしはお前と、もとい、お前はあたしと一緒じゃなきゃ、生きていけないのよ。

耳男 けれどもオレは、これから、ころがるように逃げていくんですぜ。

夜長姫 だからお前が、ころがるなら、あたしもころがっていくよ。

耳男 ヒメ様、それならお手を。

夜長姫 はい。

耳男 これからは、一目散に、永遠を下りつづけていくのですよ。

〜野田秀樹「贋作・桜の森の満開の下」


3/16〜4/1

「楽天的なまでに晴れあがった午後の空を見あげながら、なぜかイタリア映画が恋しくなる。

ふとそうした思いに誘われるけだるい午後というものが存在するのだ。フェリーニとかヴィスコ

ンティとかいった例外的な作家ではなく、ごく普通のイタリア映画への郷愁、これは映画好き

なら誰もが知っている心の動きだろう。しかし情報誌を拡げてみても、それはどうやら叶わぬ

望みであるように思われる。かなりの映画が見られるようになった東京に欠けているのは、

この普通の映画という奴なのだ。

そのとき情報誌のかたすみに、イタリア文化会館の催しの記事が載っているのに気がつく。

エットーレ・スコラの特集をやっているというのだ。これこそ普通の映画ではないか。」

〜1986年に書かれた、高名な映画評論家のエッセーの一節


2/25〜3/16

「私が身を投げて浮いている所を─苦しんでいる所じゃないんです─やすやすと往生して浮いている所を─奇麗な画にかいて下さい」

「え?」

「驚ろいた、驚ろいた、驚ろいたでしょう」

女はすらりと立ち上がる。三歩にして尽くる部屋の入り口を出るとき、顧みてにこりと笑った。茫然たる事多時。

〜夏目漱石「草枕」

漱石の作品のヒロインって、颯爽としていて
格好良いですよね。那美さん萌え、というか(笑)


2/11〜2/25

「ねぇねぇ私の事 日本中で何番目に好き?」
「もちろん一番さ」

「それじゃあ世界中では?」
「一番だよ」

「じゃあ宇宙中では?」
「うーんと そうだなあ」

「3番目かな」
(宇宙に一体誰が!?)

〜喜国雅彦「天国の悪戯」


1/20〜2/11

「いちばん幸せなのはお風呂に入っているときだ。

もうほんとうに幸せで幸せで、うっとりしてしまう。

もしも究極の選択というのを迫られたら─誰も

そんなのを迫らないだろうが─、いい映画よりも

いい本よりも、いい音楽よりもいい恋愛よりも、

私はいいお風呂を選ぶと思う。そういう性分なのだ。」

〜江國香織「絵本を抱えて 部屋のすみへ」


1/3〜1/20

「いきたいところに いけるのなら

いまいるところには いないでしょう

いまいるところを でられなきゃ

いきたいところは いけないの」

マザーグースより


12/31〜1/1

「今ここで、きみに言いたい。きみはいい顔している。

際限なく広がるこの美しい世界の、きみだってその一部なんだ。

わたしが心から好きになったものの一つじゃないか」

〜乙一「しあわせは子猫のかたち」


12/29〜12/31

「ここから一番近い、補給可能なポイントは、どこだ?」

「<塩の湖>のほとりに、エルブランカという都市がある。

俺なら、まずそこを目指すね」

「なぜ?」

「支店があるんだよ、かに道楽の」

〜火浦功「未来放浪ガルディーン 大豪快。」


12/24〜12/29

私たちきょうだいは、誰もサンタクロースを信じていなかった。昔から。

それは父と母が、そういうことを子供に信じ込ませる─あるいは、子供

がそれを信じていると信じることで安心する─趣味を持っていなかった

からで、我が家におけるクリスマスプレゼントには、かならず署名が

されていた。父より、とか、母より、とか、父と母より、とか。

 

だから、私たちはサンタクロースに手紙を書いたことも、枕元に靴下を

つるしたこともない。そうしてそれにもかかわらず、クリスマスは毎年、

なにかとても胸おどる、尋常ならざる一日なのだった。

〜江國香織「流しのしたの骨」


11/3〜11/23

気にするから

気になるのよ

気にしなきゃ

気にならないわよ

そう云うものよ

〜伊藤明弘「ジオブリーダーズ」6巻
…そう云うものかぁ?


10/28〜11/3

「久々に、人間の足になったという感じだよ」

〜今日行った外科で聞こえてきた、とあるお婆さんの治療後の言葉


10/22〜10/28

「笑いたいとき笑って 泣きたいときに泣く

別に夢はないけど それだけがわたしの望み」

〜鈴木祥子「わたしの望み」


10/18〜10/22

「…あれは天然か

重度の変態か……

天然の変態のどれか

だと思うのよね…」

〜雁須磨子「どいつもこいつも」


10/8〜10/18

「僕たちは、草に頬ずりし、風に髪をまかせ、くだものをもいで食べ、

星と夜明けを夢見ながらこの世界で暮らそう。そして、いつか

このまばゆい光の生まれたところに、みんなで手をつないで帰ろう。」

〜恩田陸「光の帝国」


9/30〜10/8

「違うよ─

それは一つのタイプであって

スタンダードではないよ」

〜榛野なな恵「Papa told me」


8/23〜9/15

「構造と力──っ」

〜イラ姫「最終シスター四方木田」最終回

…いやぁ、懐かしいというか何というか。


8/19〜8/23

1939年2月23日(木)

(前略)

*喰ひたいもの。かきフライ。天ぷら。蒲焼。すし。鯉茶。白菜で茶漬。アイスクリーム。

同年3月24日(金)

(前略)

水、水道の水、木の葉パン、ワッフル、どら焼き、鴬餅、南京豆の入ったおこし、きび餅、ビスケット、クラッカーにチーズ、お多福豆の甘納豆、ブランデーのきいたジャムのロール、カステラ、安部川もち、吉原殿中、その他。

*春うらら、凡そ喰ひたきものバかり

〜小津安二郎の戦時中(中国戦線従軍中)の日記


8/13〜8/19

太陽と大地と生物とを愛し、富を軽蔑し、乞う者には与え、

白人文明を以て一の大なる偏見と見做し、教育なき・

力溢るる人々と共に闊歩し、明るい風と光との中で、

労働に汗ばんだ皮膚の下に血液の循環を快く感じ、

人に嗤われまいとの懸念を忘れて、真に思う

ことのみを言い、真に欲することのみを行う。

〜中島敦「光と風と夢」


8/12〜8/13

本が好き。   

死ぬほど好き。

〜倉田英之「R.O.D」

…いや、それほどでは
多分無いんだけど。


7/30〜8/12

「論理に破綻はない。重要なのは、結果ではなく、

それを導き出した過程なのだ。」

〜井上夢人「風が吹いたら桶屋がもうかる」


7/29〜7/30

(紅茶の)テイスティングカップの説明書

香りを嗅ぐコツ

「口を開いたまま香りを嗅ぐと良く分かります。
プロは息を鼻から吸いながら同時に
息を吐くという高等技術を使います。」

…本当にそんなことが?>高等技術。

何だか某漫画の、「更に凄い食通」
=鼻から食う、を思い出すなぁ


7/9〜7/19

「あんた なんでアンテナないの?

宇宙人なのに」

「いーじゃん別に あんなカッコ悪いの

チョーいらないし」

「アンダーセブンだからつけられないとか」

「あっ バカにしたなー

まゆ子だってアンダー大学生のくせに」

「その言い方 やめいっ!!」

〜安倍吉俊+gk「ニア アンダーセブン」


7/1〜7/9

彼女は、じっと海を見ている。そして、ぽつりと言った。

「手を作れるかしら?」

「え?」

「猫の手よ」

こぶしを軽く握って、耳の横でくいくいと動かしている。

「猫の手? あれは、つくるんじゃなくて、借りてくるもの

なんじゃないですか?」

「つくっていただきたいの」

彼女は、きっちりと、くちびるを閉じた。

〜薄井ゆうじ「天使猫のいる部屋」


6/18〜7/1

「これから何処へ行くの」

「暗い森へ」

「暗い森を抜けて何処へ行くの」

「誰かの待つ家へ」

「誰が待っているの?

お母さん、おばあちゃん、それとも…」

〜映画「人狼」


6/12〜6/18

「ピーター、わたしはもう年をとったのよ。

とっくにはたちをすぎたの。

ずっとむかし、おとなになったの。」

〜バリ「ピーター・パン」


6/11〜6/12

「ピーターが最後にわたしに言った言葉は

『いつでも、ぼくを待っていてくれ。そうすれば、いつかの夜、

きみはきっとぼくのさけび声を聞けるだろう』って」

「でも、ピーターはわたしのことなんか、みんな忘れてしまったわ」

ウエンディは、にこにこしながら、そういいました。

それほど、おとなになっていたのです。

〜バリ「ピーター・パン」


6/10〜6/11

「君の名前は?」

「ウエンディ・モイラ・アンジェラ・ダーリングよ」

ウエンディはちょっと得意そうに答えました。

「あなたのお名前は?」

「ピーター・パン」

〜バリ「ピーター・パン」