イタリア旅行 美術館の感想・個別篇 (途中)
・2004年秋(10月2日〜11日)の旅行で訪れた先
・各都市の各項目ごとに、ほぼ実際の訪問順に記載
<現在のところ、ミラノ〜ヴェネツィアまでの感想を記入>
<交通> メトロ(Linea1)のCAIROLIかCADORNAが最寄り駅。CAIROLIで下車すると目の前に時計塔。
城内には色々な分野の博物館。時間もないので、今回の目的はミケランジェロ「ロンダーニのピエタ」のみ。
「ピエタ」は奥の方にあるらしい、と敷地を奥へ進んで行ったら、向こうに凱旋門が見える場所まで来てしまい、これは違う…と引き返す。真ん中右の建物で尋ねると、ここが入り口とのこと。3Euro。無料じゃなかったの?と思いながら入場。
確かに「古代博物館」の一番奥に有った。ミケランジェロの祈りに満ちた遺作(未完成)を見ながら、人という字は互いに支えあって出来ている、という言葉を思い出す。
2階は絵画館。ほぼ素通りしてしまったが、フレスコ画の部屋を除けば必見というほどの作品は無かった様子。
<交通> メトロ(Linea1)のCADORNAが最寄り駅 ? スフォルツェスコ城の正面から適当に歩いて行って迷い掛ける。詳しい地図が無ければCADORNA経由で目指す方が無難かも (CADORNAからは徒歩7,8分)。
<条件> 観覧には事前予約が必要。私はWeekendafirenzeのサイトで予約購入(計8.04Euro)。→美術館の予約
10時35分。窓口でVoucherを提示。11時15分の時間入りチケットを渡され、11時に集合、と横の待合室を示される。
11時。待合室には日本人ばかり17,8名。時間になると横のドアが開き、チケットを機械に通して、「最後の晩餐」のある食堂の外の廊下まで進む。待っていると、他国の観光客が定員分まで(計25名)加わる。時間厳守は日本人だけの慎重さなのかも。 その後、ようやく食堂へのドアが開き、入場。
薄暗い部屋の中、前後2面の壁の絵のみライトアップ。片方が「最後の晩餐」。思ったより高い位置。
大きな部屋に25人(と監視役のおじさん1人)なので、落ち着いて見られる。ただし、照明?の発電機が横でグォーンと唸りを立てていて 、荘厳な雰囲気と言い難いのには、ちょっとがっかり。工事現場みたい。
持参した双眼鏡でクローズアップ。まずは使徒達の顔。そしてキリストの顔。様々な顔のドラマ。次に、手だけを眺める。やはり(手を描くことにかけては最高の画家だと前から思っている)レオナルドだけあって、手のドラマとして見ても大変に面白い。あとは全体、そして部分を肉眼で。最後はどうしてもキリストの表情に惹き付けられる。もう少しよく見えると良いのに…
てなことをやっている内に、あっと言う間に過ぎる15分。背面のモントファルノのフレスコ画は無視しても、時間不足。
未練を抱きつつ退場した先はグッズ売り場。レオナルドの画集が色々。でも画集ならTaschenのアレだろう、と思い、何も買わず。いや、あれも高いし重いしバカでかい(広げることが出来る机もない!)ので、とても買えませんが。
<交通> ドゥオーモ広場から歩いていけば絵画館まではすぐ。特に迷うことはない。
ただし、元司教座だけあって、物々しい入り口に、入って良いか迷う。売り場は1階の部屋、展示室は2階。7.5Euro。
一筆書きのように、複雑なルートで歩かされるので、最初に思ったより、見る部屋は多かった。
「楽士の肖像」。表情は固いけど、貴重なレオナルドの油絵の1枚。彼の機械?のアイデア図も幾つか展示されている。
ラファエロ「アテネの学堂」の等身大?下絵を、1部屋使って展示。前の椅子に1人、じっくりと腰掛けて眺める幸せ。未完成だけど、後にデパートのバーゲンセールのような雑踏の中、完成品を見上げた時より、遙かに素晴らしい体験だった。
ヤン・ブリューゲルの花の絵。ブリューゲルの「花」には実は大した絵が無いのでは、と書かれている方がいて、私も同感だったのだけど、その方がアンブロージアーナのだけは別かも?と想像されていた通り、今まで見た中では断然良かった。ルドンの花の絵に匹敵する位の妖しい華やかさ。この美術館での個人的ベスト。
カラヴァッジオの「果物籠」。傷んだ箇所もリアルに再現した静物画。結局、彼の絵で好感を抱いたのは、この絵位…
<交通> マンゾーニ通りをスカラ座から数分。館自体は奥まっているが、通りに旗が出ているので、すぐ分かる。
入って正面が売り場、右手の階段を上った2階が展示室。ロッカーは1階右手の図書室?の奥に有った。6.0Euro。
ポッライウォーロやボッティチェリを、インテリアの一部という感じで、自然に見ることが出来る雰囲気は、好感度大。
お金持ちの貴族のコレクションらしく、精巧な時計だけを集めた部屋とか、方位磁石だけ2百以上集めた部屋とかも有り。
アンブロジアーナ絵画館と同じデザインのステンドグラス。当時(っていつ?)人気を博したデザインだったのか?
<交通> スカラ座右横を、ヴェルディ通り、ブレラ通りと直進。十分弱で右手に、中庭に銅像のある敷地が見えてくる。
中庭を抜け、階段を上って、入った中に売り場。5.0Euro。展示室は中庭を取り囲む2階の部屋をぐるっと一周する形。
ロッカーは売り場の次の部屋にあるが、全て壊れていた… 東京都美術館の傘立て並。開館時間が長いのは良いけど。
マンテーニャ「死せるキリスト」がここに足を運んだ元々の目的だったので、興味深く眺める。
ヴェネツィア派絵画をまとめて見たのは今回初めてだが、私の趣味には合わないような気が早くもする。(私が期待するような意味での)宗教性というのが薄っぺらい「宗教画」ばかり。ティントレット位、ハッタリに満ちていればまだ納得するが。
ヴェネツィア派の部屋の隣の回廊に現代絵画のコーナーがあって妙な感じ。モランディが意外と沢山あった。しかも風景画とか人物画とか普段余り見ないジャンルまで。
ヴェネツィア派への失望とは逆に、まさに不意打ちを食らったのがカルロ・クリヴェッリ。こんな「邪悪」な聖母子像や聖人像があって良いのか!という驚愕。私にとっては、カルロ・クリヴェッリに出会った、ということがこの美術館 での最大の収穫だった。
ピエロ・デッラ・フランチェスカの絵まで来ると、あとはかなり気が抜けた感じ。ラファエルの若描きとかはあるけど。
アイエツの「口吻」という青い服の女性の絵は確かに目を引く。絵葉書も多く、美術館も大プッシュしている様子。
セガンティーニ「春の牧場」。どうしてこの絵は、こんなにも気持ちよく感じられるのか不思議。その前で暫く佇む。
ベッリッツァ「第4階級」。お約束だが、ベルトルッチの「1900年」のOPだ、と心の中でニヤニヤする。
途中、イタリア絵画も何だかなぁという気分に陥ったが、セガンティーニとベッリッツァで気分良くなって(単純?)退館。
<交通> 2004年10現在の施設は、サンタマリア・デッレ・グラツィエ教会(最後の晩餐)の、道を渡った反対側。
最後の晩餐の集合時間待ちの観光客(私含めて)向けの絶好のロケーション。とはいえ、僅かの時間でも利用しよう、と思うのは日本人位とみえ、日本人ばかりが目立つ館内。5.0Euro。
エレベーターで4Fに。入った時と違う壁が開くのでちょっと驚く。4Fは舞台美術の模型とか。
2Fは何故か蓄音機の部屋。ビクターの犬が沢山いた。
たった、これだけ…?と地上階まで降りると、実はそこがメインフロアーだったという罠。ヴェルディの自筆楽譜とか。
でも、余程興味無いと、5Euroを払うほどの価値はないかも。
日曜の朝8時半に行ったら、朝のミサ中だった。門のところで手荷物検査有り。
ミサ中ということで、広い内部をくまなく見るのは遠慮。
聖歌を歌っている若いお坊さんがすごく良い声をしていたので、何となく得した気分。
ファサードは現在もなお工事中。
最後の晩餐を見た後、寄る。こちらは昼のミサ中だったが、観光地に隣接と言うことで、観光客がお構いなしに、次から次へと入ってくる。
その中で、告解をしに次々に左右の箱に寄る信者達。あれは他人を気にするようなものではないのか。
こちらも後方からのみ、見学。
<交通> メトロ(Linea3)のMISSORIから徒歩圏内かと思ったが、思った以上に掛かり(15分位)、疲れた足で後悔する。
古代ローマの列柱が並んでいる様が淋しげで良さそう、と思ったのに、ようやく着いてみたら何かのイベント会場と貸していて、近所の住人で大賑わい。…………。しかも、列柱は修復中なのか、鉄製の柱と足組で全面が覆われてるし。
サンロレンツォ・マッジョーレ教会に行った帰り(更に10分)。一番近いメトロの駅がここS.Amrogioだったので。
着いたのは、6時半過ぎだったので、中には入れず。遠くから赤煉瓦の外観だけ眺める。
だから、「見た」わけではなくて、ただ「行った」だけというのが正解。
<交通> バスもあるようだが、駅前の真ん中の道を歩けば十分もせずに川の向こうに公園が見えてくる。道は平坦。なお、駅には右手に荷物預かり所があるので、ミラノ・ヴェネツィア間を移動する際、途中下車での訪問も充分可能。
礼拝堂は駅からだと公園を入ってすぐだが、公園南端の市立博物館まで一度、チケットを発券して貰いに行く必要がある。
<条件> 観覧には事前予約が必要。私は公式サイト↑で予約購入( 通常11Euro。私の場合、市立博物館が休館の月曜で、その分安い8.0Euroだった)。→美術館の予約
予約時のバウチャー(予約の画面)に、「私達は親切にも思い起こさせてあげます」とご丁寧?にも、集合時間1時間前には窓口に来いとか、5分前にはチケットを引換えた上で礼拝堂の前で待て、などと注意書きが書いてあるので、遅れたら大変、と余裕を持てる予約時間(13:30)にしたのだが、同じ組で5分前に礼拝堂前にやって来て、それから博物館までチケットを引き取りに走って、1分前に戻ってきた(^^;;アメリカ人のおばさん達もいたので、予約した時間より前なら、実際には大丈夫なのではないかと。まぁ、イタリアだし。
最初の部屋でビデオを15分見ながら、体温を冷やし、その後の15分で見学。
思ったより大きい部屋だった。その青い天井の美しさ、そして両側の壁画の人物達の視線の活き活きとした強さを、溜息を吐きながら食い入るように見つめる。画家だったら、こんな体験をすれば、きっと、絵を描きたくなるだろうに、と思いながら。
最後の晩餐以上に、15分が僅かに感じられる。ここでジョットの壁画を見られたことは、多分、この旅行での一つの頂点。
<交通> 街中の市庁舎の辺りからは少し奥のドゥオーモの右横。礼拝堂の予約時間まで時間があったので寄る。
12時半前、扉を開けたら、ちょうど管理人が昼の休みに出てくるのと鉢合わせしたが、そのまま入れてくれた。2.5Euro?
丸い天井一杯に輝くばかりのカラフルなフレスコ画。美的・宗教的に優れている、というよりはとにかく全面、盛大に描こうとした画面。世界が虹色に染まる臨死体験のヴィジョン とはこんな感じ?と思う。作者はジョースト・デ・メナブオイとのこと。
まぁ、わざわざパドヴァまで来たら、見ておくことをお薦めします。一見の価値は有ると思うので。
<交通> 公園内。市立博物館の隣。教会の横にはBarやお菓子屋も有って、礼拝堂の時間待ちにはちょうど良いかも。
第二次世界大戦の爆撃で、フレスコ画の大半が消失したとのことで、特にマンテーニャの壁画には、僅かに残された部分と横に展示してある元の写真が、被害の大きさをまざまざと感じさせられ、言葉を失う。ただ、静かに見つめるのみ。
すぐ近くのスクロヴェーニ礼拝堂が残ったことが、こうなると、奇跡のようにさえ思える。
サンマルコ広場の西側。ポスターが貼ってあるだけの階段を上った2階に売り場と入り口がある。博物館(ドゥカーレ宮と共通チケット)のみ(11Euro)か、含む特別展(15Euro)かと訊かれたが、迷わず後者を選ぶ。ターナー展だし。
「TURNER AND VENICE」 (2004.4.4〜2004.10.23)。
後で調べてみたら、テート主催で、ロンドン、フォート・ワース、ヴェネツィア、バルセロナと続く大型の巡回展だった。
来て初めて知った展覧会だけど、『ターナーの描いたヴェネツィア』の展覧会をヴェネツィアで見られるとは、なんて贅沢!
ターナーにおけるヴェネツィアとの出会いは元々有名らしいが、それすら初めて知った私(無知)。確かに、あの霞んだ風景画は牧谿同様、水気の多い土地を描こうとしないと生まれないよなぁ。しかし、あの時代に3回も来ていたは驚き。よほどヴェネツィアが気に入ったとみえる。
油絵も良いけど、景色の輝きが臨場感を持って伝わってくる水彩の数々が最高。これこそがターナーなんだ、とその素晴らしさを初めて本当に実感する。
夜景の美しさにも惹かれていたようで、明かりに照らされた夜の運河等を多く描いている。こういう風景画はターナーの頃にようやく生まれたのでは?(都市の夜景がそもそも存在することが前提だし)
非常に充実した展覧会が4Euro。安い。絶対に図譜を持ち帰ろうと思ったが、凶器のように重いので躊躇。伊語版30Euro。英語版40Euro。という値段はともかく。次の日、それでも買おう、ともう一度博物館に寄ったが、…やっぱり重くて断念。
今、ふと閃いてamazonで検索したら、英語版が有った。しかも15%offで24時間以内発送(笑)。買っちゃおうかな(^^;;
ちなみに「ターナーのヴェネツィア」とは大体、こんな感じの絵(ただし、実物はもっと魅力的)。
(常設展)
夕方の6時を過ぎて薄暗く、特別展で満足したこともあり、全体を足早に通り過ぎる。しかし思ったより広く(2階と3階)、結構、疲れた。美術館というより、あくまでも博物館。ヴェネツィア商人が世間をブイブイ言わせていた頃の人々の生活が多方面から窺える、という感じ。
カルパッチョの「ヴェネツィアの二人の婦人」には、これがあの有名な、と思った(有名な割には上手くないなぁ、とも思った)が、他は余り印象に残らず。
ボッシュの絵が有るらしい、という噂を聞いていたので館内をくまなく探したが、3階の一室で見たのは、ボッシュ風(模倣?)の絵が1枚だけだった。がっかり…
ヴァポレットのAccademiaで降りれば目前。って当たり前か。6.5Euro。50Euro札を出したら、朝早くだったせいか断られる…
ヴェネツィア派絵画をまとめて見たわけだが、総じた印象としては野暮ったいというかダサい。抑制という意識が無くて、画面が大きいから、沢山描いているから、凄いだろう、みたいなノリ。個人的には余り趣味ではないな、と改めて思う。
勿論、その中で比較的気に入ったものとそうでないものと有るわけですが。例えば、ヴェネローゼは、やはりどれもどうでも良かったけど(^^;;、ティツィアーノの「聖母マリアの神殿奉献」の画面を前にした時は足が止まった 。
個人的には、ジョルジョーネを見たことがここでの全て。有名な「嵐」は今さら意味を考えても仕方ないだろう、と思った程度なのだけど、「老婆」の凄さには圧倒される。単純な肖像画ではなくて、部屋の解説板にもあったように「時」の寓意を示した絵なのだろうが、ここまで容赦のない表現が出来たのは、他にはレオナルド・ダ・ヴィンチ位しかいないのでは?
2003年に修復されたばかりの「カステルフランコ祭壇画」は、こんなにピカピカで良いのかと、鮮やかな色彩にまず驚いたが、色彩だけでなく内容的にも完璧な美しさ。ガイドブックには載っていなかっただけに、嬉しい体験だった。
サン・ジョルジョ・マッジョーレ島へは、教会にあるティントレットの「最後の晩餐」を見に渡ったのだが、隣でティエポロの特別展をやっていたのでついでに。9.5Euro。帰国してから初めて、ジョルジョ・チニ財団という組織が運営する会場だったと知る。
「TIEPOLO IRONIA E COMICO」 (2004.9.3〜2004.12.5)
華麗な天井画の(というのも、こっちで初めて知った位)ティエポロが、こんなドーミエみたいな風刺画も描いていたんだ、と感心して見ていたが、ヴェネツィア在住の方による展覧会の感想を読んで初めて、ティエポロ親子各々の作品があったことを知る。…もっと真面目にキャプション読めよ>私。いや、親子で絵を描いていたなんて知らないし。
改めて↑サイトを見ると、本当だ、一人一人の説明が有る。ちなみに「TIEPOLO」のポスターをクリック→「Images
online」をクリックで開く別ウインドウで、展示作品の一部を見ることが出来ます。
サンマルコ広場の東側。入り口は運河側。コッレール博物館で購入したチケットを機械に通して入場。
実はヴェネツィアで最後に入った場所。だからヴェネツィア絵画にも全然不感症になっていたのだが、ここでどうしてそんなにも「大きい」のかだけはよく分かった。要するに壁が大きかったから。内容の出来よりも、その場所を絵で埋める、ということが最優先だったのね。「芸術」以前に「装飾」。銭湯の富士山の絵みたいなものか。
それにしても大きい絵が多すぎて、本当にどうでも良い、という気分に(^^;;
それら「大評議の間」等を見た最後の帰途で、何と、ボッシュ3枚を置いた部屋を通る! ドゥカーレ宮にボッシュがあるというのは本当だったのか。どれも大作ではないが、見飽きず去り難い。ヴェネツィア派の何百畳サイズの絵画よりも、私にとっては、ボッシュの絵の方が遙かに重要だと
再認識。疲れていたのが、ボッシュに会えた途端、元気になってしまう現金な私。
これもヴァポレットのSaluteの前。(アカデミア美術館から歩いたけど)
う〜ん、中央に飾ってあったイコンを除くと、パイプオルガンが鳴り響いていたこと位しか、印象に残っていない。…もしかして聖具室に入り忘れたとか?
サン・ジョルジョ・マッジョーレ島内。サンマルコ広場の東S.Zaccariaから82番に乗れば5分と掛からず。
ティントレットの「マナの収拾」「最後の晩餐」。行った時間(昼前)だと光っちゃって画面全体が見難く、少しでもマシな場所を探して内陣の中をうろうろとする私。もっと暗い日に照明(有料)を付けて見た方が良いのかも。
奥の鐘楼の宣伝があちこちに貼ってあり、辿り着くと初めてエレベーターが有料(3Euro)であると告げるやり方はどうかと思ったが、でも上からのヴェネツィアの眺めは確かに一見の価値があったので、ここまで来たら上ることをお薦め。
云うまでもなくヴェネツィアの中心。いつも行列しているが、待っていれば進む。 大きな鞄を抱えていると、入り口で拒否される(荷物預かりに預けてくるよう言われる)ので注意。
一番豪勢なのはパラ・ドーロということなので、1.5Euro余計に払って奥にも入る。
まぁ、何だ。この建物は俗っぽさの権化だと思う。ヴェネツィアという俗っぽい町の中心なのだから、理に適っているとも言えるが。派手なエキゾティズムを望むアメリカ人観光客に向いている町であり、寺院であるというか。日本で云うと「…大師」とか現世御利益系の寺院の活気。鳩も多いし。言うまでもないが、私の趣味とはかなり違う。
アカデミア橋とサンマルコ広場を繋ぐ3月22日通りの途中。
入ってみたけど、ヴェネツィアの教会の中では質素というか地味だった、という印象。
ヴァポットのS.Tomaからまっすぐ西へ。Basilica di S.M.Gloriosa dei Frariの裏。
ここでは何と言っても、切符売り場の男が釣り銭をごまかそうとしたことが一番の思い出(^^;; 7.5Euroに対し20Euro札を出したら、2.5Euroの硬貨の後に5Euro札を出して、私の20Euro札は素早く机の中にしまい込んだのだった。
勿論、すぐに文句を言って、正しいお釣りを回収したが、売り場の人間でも油断出来ないというトラウマが後を引いて、その後の日程において、50Euroとかの高額紙幣を交換するのに、かなりナーヴァスになってしまった。
だからというわけではないが、このティントレットの館には余り良い印象が無い。
ここで確信したのだけど、ティントレットって、今の世なら、スペクタクル志向のB級大作映画の監督だと思う。
派手なSFX使いまくりで、馬鹿みたいに沢山の群衆シーンを出して、だけど映画は大味というタイプ。いや、別に良いんだけど、「観客」をちょっと舐めてるよなぁ。まぁ、当時
の観客は充分に驚いたんだろうが。確かに、そのパワフルな創作姿勢は今でも凄いとは思うけど…
入り口は、広場(Campo dei Frari)の方にある。
ここを訪れたのは2日目の最後の頃になっていたので、ヴェネツィア絵画ももはやどうでも良くなってきていたのだが、ティツィアーノの「聖母被昇天」にはさすがに感動する。ティツィアーノにして「会心の出来」だったことが一目瞭然。体操競技の着地がピタリと決まったような、完璧に決まった構図。この絵の上昇する視線は(神への)栄光への架け橋だ
、という感じ?
→フィレンツェ・ローマへ(作成中)