1st day
(今日の予定) 成田より11時45分発、ブリュッセル乗換、ブダペスト行き。
- 6時20分の始発のバスで家を出、大船7時7分発の成田エクスプレスで空港へ向かう。十年前、学生の頃、同じように家から成田空港へ向かった時は、成田エスクプレスなんて勿論、未だ無かったし、(荷物を予め空港まで送っておくという発想も浮かばない程)貧乏だったので、始発の電車に乗るべく、朝の4時にバッグパックを担いで駅まで歩いていくしかなかった。しかも、その日はたまたま、大型台風(「風速四十米」級の)が関東地方を直撃、土砂降りの雨が殴り付ける中、駅まで辿り着くまでで、まさに半死半生。へとへとになってしまった記憶がある。それを思えば、今回の旅行は、何というか気楽なもの。隔世の感、という言葉が浮かぶ。いや、確かに、世紀は変わっているわけなのだが。ちなみに、今回の天気は、曇り。
- しかし。それにしても、余りにもとろとろな運転に、もっと、こうシャキッと走れないのかと思う。通勤車両の合間を縫って走るため仕方ないのかもしれないが。ともあれ、うとうととしている内に、空港に着く。
- とりあえず出発階に上がり、旅行会社のカウンターを探す。今回の(といっても「前回の」が有るわけではない)旅行会社はHIS。今ではすっかり普通の旅行会社だが、カウンターとしては、出店のような事務机一つ。一つ隣には広々と空きまくっている某旅行会社のカウンター。この業界、新規参入者ほど、いつまでも差が付けられるような。JALに対するANA、に対するJAS、に対するスカイマークエアラインというように。カースト制?
- チケットを受け取り、わらわらと溢れる旅行者の後ろに並び、30分近く掛かってようやくチェックインと荷物預けを済ませ、集合場所に戻ると、他の人は既に集まっている様子。ということは、私ってば、最後の一人? …初日から遅刻してくる駄目な転校生の気分。第一印象、台無しである。パッと見には年輩の夫婦が多いようで、同年代はほとんどいない。まぁ、予想していたことではあったのだが、孤独な一週間を過ごすことになるような予感が。ツアーの人数は28人。ちょっと多すぎだと思う。添乗員が、案内や注意事項を述べた後、例えばストですとか予期しないハプニングがある場合も有りますが、その時はご協力下さいと言って、解散。
- 出発まで割と時間があるので、空港内の店を色々覗いて回る。なるほど、これが「日本の土産物」なのか、ってゴディバのチョコとか何故?という感じだが。「やらと」のコーナーで、小箱のヨーカンを一つ、いざという時の「メンチ」、即ち非常食として、買っておくことにする。とはいえ、向こうで食べ物屋が見当たらない状況というのは、凡そ考え付かないが。異国の地で食べる寅屋のヨーカンは一際美味しいかもしれないし。
- 飛行機は定刻通り離陸。ちなみにベルギーのサベナ航空で、便名は208便である。大昔の特撮番組で、空の上で消滅したのは確か206便だったか、といったことが頭をよぎる。もしかしたら、やや神経質になっているのかもしれないが、それにしても連想する方面が偏り過ぎである。スチュワーデスはベルギー人と若干の日本人で、座っていた近辺を担当していたのは、ベルギー人のマッチョなスチュワードだった。いや、別に良いんですけど。せめてスチュワーデスの方が…
- それにしてもエコノミーというのは、航空会社にとっての「経済的」というわけで、十把一絡げの存在なんだと思ったり。そう言えば、「十把一絡げ」。この言葉を聞く度に、十羽分の手羽先の唐揚げを思い浮かべてしまう、のは私だけ?
- 海外旅行超初心者としては、機内食がやはり新鮮で、間食に森永チョコモナカデラックスが出たりする度に、一々感動してしまう。ああ、ベルギー航空ということで、ベルギーワッフルも出ましたが。しかし、渋谷駅とかでお馴染みのマネケンのワッフルだったので、ややがっかり。ビールとかはちゃんと本国のSTELLA
ARTOISとかいう銘柄が出てきたのに。
- 映画は「SPY KIDS」とかいう、何だかよく分からない作品をベルギー語字幕で流していた。アントニオ・バンデラス主演だけど、むしろ子供達の方が主役のキッズ映画で、一昔前の、SFコミック絵本の映画化というか、何と言って良いやら… 金が(無駄に)中途半端に掛かっているような。ジャンプシューズを履いて、空を飛び回っちゃうような映画だというと、多少伝わるかも。後で、機内誌を見ると監督はロドリゲスだった。ああ、そうすか。日本ではもし公開されたとしても、2週間で打ち切りな感じ。
- あと気になったのは宇宙船及び宇宙進出に関わるドキュメンタリー番組で、これも日本語訳は無かったので内容は全然分からなかったのだが、NHKとかで放送すれば、SF系日記の方たちには凄い反響を呼びそうな番組だと思った。変なロケットが次から次へと出てくるし。途中、宇宙ステーションの下りで、突然日本のアニメーションが出てきて、そこだけ日本語のままだったので驚いたが、あれは誰が作った代物なのだろう。(実際のメーカーはしらないが)清水建設とかが、ステーション建設についてのPRのために制作した短編アニメに思えたが。で、アニメ自体の制作はサンライズとか。
- そうこうしている内に(と一言でまとめるには余りにも長い時間だが)、現地時間で夕方5時、ブリュッセルに着く。ここでもう一度集合。今回のツアー客の中で、家族が何組かいるようなのだが、その内の一家族、四人組が非常にトロいのが他人事ながら気に掛かる。こういう場所でも、他の人が通行する辺りまではみ出して立っていて気が付かなかったり。イメージとしては、鈍重な草食動物、進化の過程で肉食獣に喰われて絶滅していったタイプ。いや、絶滅されるのは一向に構わないのだけど、これから暫く一緒に行動するわけで、こちらとしては不安がよぎる。ともかく、早く脇に寄ってよ、と言いたい。あと、やたらと目つきの悪いじいさんがいるのも、気になる。あの半端でない目つきの悪さは、…元、国税局の官吏?
- ブリュッセルでは乗り継ぎまで暫く時間が有ったのだが、ここで買い物をしても荷物になるだけなので、基本的には何もせず。というのも余りに消極的な態度かと思ったので、小銭を換えて、BARでビールを飲んだりはする。横に置いてあったのはSEGAのゲーム機。ラストブロンクスにファインティング・ヴァイパーズ?
- それから、この乗り継ぎフロアには、瞑想用の小室が幾つか横に設けてあった。チャペル、モスク、シナゴーグ… なるほど、それぞれに対応するようになっているんだ。ところで、残りの一室の火のマークはゾロアスター教徒用、って訳は無いよなぁ。ええと、ヒューマン・カウンセリング、ですか。無宗教だけど、不安な気分の時は、ここに入れば良いということなのか。
- 乗換の飛行機が出る間際になって、添乗員からケータリング会社と荷物の移送会社のストで、次の飛行機では食事も出ないし、それより荷物が付いてこないことを知らされる。どうやら、今晩は荷物無し、らしい… まさか、本当にストがあるとは思わなかった。とほほ、である。ともあれ、パンとかを買っておいた方が良いというので、小銭の残りで、コーヒースタンドのハム&チーズのバゲットを買い、飛行機に乗り込む。
- 飛行機は、左2席、右3席とかなり小さい。大丈夫なのか、と思う。ストでゴタゴタとしていたためか、離陸も7時発の予定が45分程遅れる。隣席に座ったのは、先程の家族の内の夫人。色々と話し掛けられる。ゲイの人は同趣向の人を一目で見分けるというように(本当かどうかは知らないが)、類は友を呼ぶという奴で、そういえば成田で一人遅くなってしまったし、同じくトロい者どうし、とか思われているのだろうか、と暗澹たる気分に陥るが、初めての海外でハイテンションな夫人は、こっちの状態には構わず、話を続けるのだった。
- 曇り空でよく分からないが、暗い中を飛び続けた飛行機は、夜11時頃、ブダペストへ到着。日本の空港だと、どこも夜景の明かりが目に付くが、真っ暗な中、着陸、という印象。水も今夜の所は確保出来るか分からない、という話なので、飲み掛けの爽健美茶のペットボトルを片手に、ハンガリーの地に降り立つ私。
- 駅で両替をしようとするが、窓口のおばちゃんの処理能力を超えた人数が並んでしまったらしく、絶望的に進まない。こういう時、向こうの(といっても、どこかはよく分からない。トルコ系に見えたが)人は平気で横から割り込むし、日本人は良いように置いて行かれているし。
- という風に余り芳しくない精神状態の中、やはり荷物は来なかったことを告げられる。明日中には届く予定らしいが。代わりに、洗面セット?を渡される。洗面用具とTシャツが入っているらしい。同じフロア(手荷物受け取り場所)で、別の航空会社を利用したLook
JTBのツアー客が荷物を受け取って、外へ出ていくのに出くわす。そう、実は今回、同一内容、同一料金だったため、どちらのツアーにしようか、パンフレットを眺めながら、随分と(具体的には、喫茶店で10分くらい)悩んだのだ。結果としては、途中に出てくる食事の回数が2回多いこともあって、HISの方に申し込んだのだが、それがこのような結果を招くとは… 「食べ物に釣られた」結果だとか「因果応報」とかいう言葉が、異国の深夜の空港で、自分の頭の中をわんわん反響する…
- バスで、ホテルへ向かう。途中、ブダペストの街中を抜ける。印象としては、薄暗い。石の壁がオレンジ色の照明でぼんやりと照らされている。単色にほのかに浮かび上がる街路。そう、ちょうど映画「アヴァロン」の色調だ。市電も同じように走っているし。旧共産圏の都市の光は、皆こんな感じなのだろうか。ただし、街の真ん中に出、ドナウ河と鎖橋の向こう、ブダの丘の上にライトアップされた王宮が見えてくると、車窓はいきなり観光地の風景という感じで盛り上がる。
- ホテルに着く。ブダの南駅の近くらしい。今まで暗い中を走ってきただけにフロントの白い壁が眩しい。部屋で、先程の洗面セットを開ける。Tシャツはスイス航空のネーム入り。ということは、これはスイス航空のセットなのか。それを他の航空会社は買っているのか。色々不思議である。しかし、Tシャツもさることながら、靴下の方が欲しい気もするのだが。余り食欲は無かったが、勿体ないので、ブリュッセル空港で買ってきたバゲットをかみ砕く。そうか、こういう時こそ、本当はメンチの出番だったのかと食べ終わってから気付く。
to be continued.
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