空の蒼さを 見つめていると


2007年8月

8/30

 今月ずっと考えていたのが、秋休みの使い方について。そして、その結論。スイスに行こう。

 

 いや、そもそも秋休みなんて制度自体、無いのだけど、5年に一回貰える、一週間(5日間)の休暇を、この10月に取るつもりでいるので、(自分の中では)秋休み。長期の休みだからといって、旅行ばかりではなく、そろそろ、もっと地に足の着いた?使い道をすべきではないか、とも真剣に考えたのだけど、結局、いつものように、旅行に行ってしまおうと決意。いつまで行ける(暇がある)か、分からないし…

 行くとしても、どこに行くかが問題。今までの美術館巡りの延長線上で言えば、ヨーロッパ内は有る程度、回れたので、次は(いい加減)アメリカかなと。念願のエルミタージュも訪ねたし、ボリューム的に次に外せないのは、(タイムトラベルは楽し♪な)メトロポリタンミュージアム。2003年から密かに続けてきたレオナルド・ダ・ヴィンチ探訪ツアーとしても、イタリア→英国→ドイツ→ロシアと来て、(忘れかけたルーブルを除けば)、残すはワシントンの1枚のみだし。

 ということで、ニューヨークのガイドブックを買ってきて眺めていたりしていたのだが、気分がどうも盛り上がらず。メットといった美術館は確かに見たいが、アメリカに行きたい気が未だ起きなくて…

 そんな折り、暑さを避けるように入った本屋でふと目に留まったのが、スイスのガイドブック。秋のスイスというと、季節的にもう無理かなと思いこんでいたのだが、服装さえ気を遣えば、割と何とかなりそう。実は美術館巡りという観点からも、スイスは一度は行きたい国だったので、気候的に大丈夫なら、むしろオフシーズンの方が、何かと便利。

 色々理由はあるものの、この決定には、今年の暑さが大きく影響しているのは間違いないところ。涼しいところへ行きたい!という無意識の叫び?

 しかし、実際に行くのはあくまでも10月(前半だけど)。向こうに行った後、(特に山の上で)何でこんな寒いところに行こうと言い出したんだ、とかプルプル震えながら自分に逆ギレしてないと良いけど(^^;;

 

8/26

 暑い時は外へ!ではなくてインドアな私。には珍しく、海へ行ってきました。

 と言っても、船に30分位乗っただけですが。横須賀の三笠桟橋から出発して猿島・観音崎航路で観音崎へ。元船乗りによる海の絵である「アルフレッド・ウォリス展」を見に行くなら、勿論(?)、船で美術館まで行くしかない!ということで。

 桟橋は思いの外、人で溢れていたけど、観音崎行きの人を優先して乗せていたので問題無かった。30分とは言え、久々の船旅(ロシアでの、夏の宮殿への船は外に出られなかったので、カウント外)、結構、楽しかったです。横須賀美術館に行く人には(若干、時間とお金の無駄遣いだけど) かなりお薦め。

 

 「アルフレッド・ウォリス 海に生きた素朴画家」@横須賀美術館。

 そんなわけで、ウォリス展を見るのには最高な美術館で。人生の晩年になって絵を描き出す、ということの意味は何だろうと思いながら、見ていた。

 一つ一つに大きく優劣が有るわけではないのだけど、チラシの表紙にもなっている「青い船」の前では、はっとした。それがこの絵が展示作品の中で一番優れているからか、単にチラシで見慣れたからか、それとも、テートブリテンに行った時に眼にした絵だからか(この絵を見たかどうかは一切記憶にないのだけど)、それは幾ら考えても、よく分からなかった…

 ところで、「画家」アルフレッド・ウォリスを「発見」したのは、セント・アイヴスを訪れていた画家のベン・ニコルソンやクリストファー・ウッドだそうなのだが、そういえば、3年前、ベン・ニコルソンの展覧会を見たのは、神奈川県立近代美術館葉山館だった。確か、葉山館の開館記念展として。コーンウォールからこんなにも離れた極東の一半島に出来て間もない2つの美術館で、この2人の展覧会を開催した(どちらも巡回展だけど)というのは、ちょっと不思議な巡り合わせのような気が。

 

8/25

  旅行の後から、右手人差し指と中指の間が炎症を起こして、一向に治る気配がない(乾くと、バリバリとして痛い)ので、地元の皮膚科へ。

  診断には定評があるところだけど、土曜は混んでいるのが難点。診療開始の9時に着いたら、既に20人待ち… で、30分待って、見て貰うと、一目で結論(笑) 汗疱ということで、薬を貰う。そういえば、こういう症状自体は毎年なるな…(ここまで酷いのは今年初めて)。このまま、帰宅するのも勿体ないので東京へ。

 

 「大鉄道博覧会」@江戸東京博物館。

 江戸東京博物館といえば、以前「美しき日本−大正昭和の旅」で、観光という切り口から、近代日本の変化を多角的に描いて見せた博物館。今回の展覧会についても、ただの鉄道アイテム展では終わらないだろう、と結構、期待していたのだが… そういう意味からすれば、余りにも薄味過ぎる内容で、車両模型や車体(の一部)、あるいは車両番号の命名規則といった、車両にまつわる展示が大半だった。

 これが、テツの、テツによる、テツのための展覧会だとすると、テツの人達にとって、鉄道とは要するに車両なんだなと。

 私からすれば、鉄道とは人や物が移動するための「手段」であって、その「手段」によって社会がどう変わってきたのか、という点に関心が有るのだが、テツの人達にとっては鉄道それ自体が「目的」で、関心もそこで完結している、ということかと。だから、30分以上居ても見るものがないと思う私の方が、ここでは間違っているのだ ろうと思った。

 しかし、主催者のうち、博物館的には、本当に満足?(博物館の中の人にテツの人達がいた、ということかも)

 ところで、首都圏(通勤圏)の拡大の説明で、展示していた地図の南側が大船駅で切れていたのはやや心外。良いなぁ、主催者の人達は。それ位が今の東京の通勤圏だと思い込める生活を送っていて。

 

 売り場は鉄道関係の本や模型等でいつになく盛況。見ていたら、「鉄道むすめ」なるフィギュアが(その道の人には今さらだろうけど)。

 …なるほど。鉄道 X 萌って、言われてみれば、市場として充分成り立つ大きさかも。出しているのがTOMYTECだったのは、小さい頃、トミーのプラレールで遊んだ者としては、ちょっとショックだったけど(^^;;

 サイトを見ると、外川つくし「限定たいやきver.」とか、更に突き進んでいる様子。この分だと他にもありそう、と思ったら、「バスむすめ」についても、同社からシリーズ化の予定があるらしい。あとは…、「空むすめ」とかどうだろう。 いや、それではスカイガールズ?

 

 「京都五山 禅の文化展」@東京国立博物館。 お金を払って見に行くほどの関心は無かったけど、国博パスポートが残っていたので。

 しかし、Let's  ZEN !って。大瀧詠一じゃあるまいし。座って踊る、名付けてTHE ZEN。とか言いそう(^^;;

 末期の筆、遺偈って、要はダイイイングメッセージだよな、などと罰当たりなことを考えながら、見ていたので、言えるほどのことは無し。「日本の禅(文化)って意外とビジュアルなんよ」というのが、主催者からのメッセージだった気はするけど、その分、ビジュアルじゃない禅は置いてけぼり、だったような気も… まぁ、Let's ZENだし。

 売り場では「天龍寺限定ハローキティストラップ」が目を引いた他、檜で作った握り仏もちょっと気になった。健康+宗教の組み合わせは今の時代、結構行けるかも。あとは、エコを付け加えて…

 

8/24

 新美術館って、地下鉄乃木坂からの直通通路(6番出口)が出来ていたんですね。雨でも全く濡れずに辿り着けるわけで、超便利。

 

 「日展100年」@新国立美術館。

 「新国立美術館」と銘打ってはいるものの、英語では「THE NATIONAL ART CENTER」。要するに国立の「貸しギャラリー」に過ぎないこの施設にとって、日展は今後、安定した集客数を見込める、最重要の得意先であり、便宜を図っておきたい団体。一方、日展としても、設立100年(といって100年前に始まったのは「文展」だが)である以上、ここは一つ記念イベントを派手にやって結束を固めたい。

 そんな大人の事情は、始まる前から、よく分かっていたし、そういう理由で回顧展を開くこと自体は別に悪くはない、と思うけど。

 …何を見せたかったんですか、これ。

 「名作」を集めるなんて、今の時代から振り返ってピックアップすれば、誰にでも出来ること 。むしろ、「名作」から埋もれた作品だけで構成する(例えば、東京と京都の国立近代美術館所蔵作品は禁止しばりで!)とか、今やる意味を何か感じさせて欲しかった。

 それでは人が来ないというのであれば、誰でも一度は思う、あの疑問をこの際、思い切って、やってみたらどうかと。

 「決戦! 日展 VS  院展」

 日展、院展とも元々の団体から今の団体まで、歴代の名作、傑作をそれぞれ並べ上げて、どちらが近代日本美術に対して、より多くの実りを挙げてきたか、をアピールする展覧会。勿論、決戦というからには判定しないとつまらない。NHKのお得意の番組構成に倣い、赤白対抗として、専門家にも評価して貰う他、観客に入り口でタマを渡して出口でどちらかの箱?に投票して貰う。一週間に一回位、中間結果を発表すれば、恐らく両団体とも盛り上がり、 負けてはならじと、リピーター?が急増。凄い売上げを記録するに違いない。 …負けた方から、凄く恨まれそうではありますけど。

 まぁ、そんなことをしたって本来、判定なんて出来るわけはないのだが(^^;; 日展という大規模な団体の存在意義(マイナスな部分も含めて)を曖昧にしたまま、過去の「名作」を適当に展示するだけの本展の退屈さと比べたら、明らかにマシ。

 もっとも、展覧会としての面白さを別にすれば、まとめて見られる有りがたさは勿論あって。日本画はやはり大正時代が一番力があったんだなと改めて感じた。だから、一番迫力があるのは「帝展」のコーナー。堂本印象の「訶梨帝母」の次に、石崎光瑤の「燦雨」が並んでいる辺りは興奮してしまう。次の年にはどんな作品が出て来てもおかしくなかった、と思わせる自由奔放さ。

 

8/18

 今日は休養日の予定だったけど、久々に「暑くない」昼間だったので、行こうか悩んでいたアートコレクション展へ思い切って。

 

 「第13回 秘蔵の名品 アートコレクション展」@ホテルオークラ東京アスコットホール→「大倉コレクション アジアへの憧憬」@大倉集古館→「花鳥礼賛」@泉屋博古館分館。

 残り2つはアートコレクション展のチケットを買うと入場無料になるので、3つなら得かな、という貧乏根性から。内容も大体、そんな感じだった(「花鳥礼賛」は京都で見ていたので、新たな発見はそうなかった)。

 

 再び、図書館へ。着々と?「〜月間」準備中。つまりは、他のことは現実逃避中。

 

8/17

 家の周りでは、昨日の夜からツクツクボウシが、蝉の声に加わりました。…まだまだ暑いけど。

 

 「インカマヤアステカ展」@科学博物館。

 思っていたより(解説展示が)きちんと充実。いや、ほら、NHK主催のこういう展覧会って、映像で水増し、というイメージが強いので。ガッチャマンな「ワシの戦士像」といったメインの展示以外にも、そっけなく展示されている小品の中に、「クジラ人間」とか、地味にめちゃくちゃ面白い造形物が展示されていて油断出来ない内容だった。

 しかし、会場の最後に置かれている色々な(人とか犬とかの)ミイラに、これって、結局、こういう展覧会なのかなと思ったり。時期も夏だし。昔の科博にあった(今もあるだろうけど)ミイラと違って、穏やかな姿で、恐くはないんですけどね。(とはいえ、グッズ売り場でのいわばイチオシが、ミイラ親子のミニチュアフィギュアというのは、どうなんだろう…)

 

 ところで、(前から書いているけど)どうして、日本人がこうもインカ・マヤ好き(と多くの人が思っている)なのか、よく分からない。きっと、子供時代における何かの刷り込みではないかと思うのだが…

 少し上の世代(恩田陸とか)だと、やっぱり手塚治虫や少年マガジンの特集。20代後半までだと、「ラピュタ」(の空中都市)辺りが意外と無視出来ないような。しかし、私くらいの年代だと、ぴったりこれだ、というものが思い付かない。う〜ん…… あ!もしかしたら、「太陽の子エステバン」なのでは、という気がしてきた(^^;; アディオス・アスタレーゴ!

 

 ともあれ、個人的には(インカ・マヤ熱は)数年前から割と醒めてしまっているので、展覧会も、一時間弱でさくっと一回りしてしまった。時間が余ったので、初めて地球館の「シアター360」に寄ってみる。この手の映像体験は筑波万博で止まっているので、単純に面白かったです。今の子供たちは、こんなものが無料で見られて良いですな(逆に、今どきの子供はこの程度では感心しないのかもしれないけど)。

 

8/16

 鈴木祥子Live@南青山MANDA-LA。

 6月に発売したベストアルバム「SHO-CO-JOURNEY 」のレコ発ライブということで、「今日は全部やります」と、何と3時間にも及ぶ長時間ライブ。懐かしい曲が多く聴けて幸福。最近まで足の骨折で松葉杖生活を送っていた そうなのだけど、それを全く感じさせないエネルギッシュなライブだった。

 外苑前で花火大会がある日だったらしく、会場まで急いでいた18時前、駅周辺が既に混んでいたので、帰りは見物客とぶつかって大変だな、と恐れていたのだけど、出てみると、22時を とうに過ぎた街はもはや静かだった。それはそうだよな(^^;

 

 鈴木祥子といえば、ここ数年、ベスト盤ばかり続いて出ているので、今回の「SHO-CO-JOURNEY 」(amazon)も 、正直もう良いかな、と実は未だ購入していなかったのだけど、直にその歌声を聴くと、買っておかないといけない気に。初期の曲はやはり名曲揃いだし。でも、(歌に力がある分)「ながら」で聴くには向いていないので、今の生活スタイルだと、結局、余り聴く機会がないんだよな…

 

8/15

 いつもは金曜の夜に寄っているBunkamuraザ・ミュージアム。改めて閉館時間を見たら毎日19時だった。それなら、早帰り日でも行けるな、ということで。

 

 「ルドンの黒」@Bunkamuraザ・ミュージアム。

 幻想系美術館としてのBunkamuraらしい、久々の展覧会(岐阜県美術館からの借り物だけど)。これら異形の怪物が、社会から背を向けた幻想の産物ではなく、例えば進化論といった当時の科学や哲学からの影響も有って生み出されているという視点は新鮮だった。これだけ の量をまとめて見たのは初めてで、その世界に引き込まれる。外が暑さにうだる渋谷の雑踏であることなど、すぐに忘れてしまったほど。

 黒のルドンに魅了されつつも、しかし、会場の最後の花の絵、あるいは売り場の(複製画の!)花の絵を見ると、それが複製であってさえ、こちらの方がより強いインパクトが有るのだった……

 それにしても、副題の「眼をとじると見えてくる異形の友人たち」って良いタイトルだと思った。そういえば、高橋葉介の漫画に昔、ちょうどそんな話があったような。

 

 8/17のBShiの金曜シネマで「激動の昭和史 沖縄決戦」が放映予定。

 「船が七分に海が三分」で有名な、あの作品ですね。生憎と未見だったので、この機会に必ず見ておかなければ。

 

8/12

 虎よ、虎よ!

 

 休日出勤の帰りに、「金刀比羅宮 書院の美−応挙・若冲・岸岱−」 @東京藝術大学大学美術館へ。

 暑い中、休日のどこかで、また上野まで出てくるのも億劫だし、この機会に金刀比羅詣でを済ませてしまおうと思って。

 金刀比羅宮詣でと言えば、4年前、実際に行って若冲の花や応挙の襖絵も見てきた(そして、石段で1368段も有る奥社まで、調子に乗って往復し、降りる時にふくらはぎが吊りそうになった)ことが。では、なぜ、今回の展覧会をわざわざ見に行ったかというと、現地で表書院を見た時、有名な水飲みの虎だけは(大阪で開かれていた「応挙展」に出張していたため)見逃していたから。

 ちなみに、「応挙展」はその後、半年ほどして江戸東京博物館にも巡回したのだけど、虎だけは東京まで来ずに、一足先に香川に帰ってしまっていたのだった。あの時の悔しさと言ったら…

 ところが今回は、虎の方から、こちらにやってきた! まるで、バター抜きでホットケーキを食べようと思っていた矢先、目の前で虎がぐるぐる回ってバターになったような好機の到来。そっくり来るなら、金刀比羅宮まで行かなくても良かったんじゃ…とは思ったけど、虎だけでも、と展覧会に行ってみたところ。

 ここからここまでは複製。ここだけは本物。ぱっと見、区別が付かない。Canonのインクジェットプリンター、凄え! …あれ? そっくり持ってきたんじゃ無かったの? 応挙が建物の間取りという3次元を利用して描いたバーチャルな空間を、複製中心に再現するという、何だか不思議に屈折した展示会場。まぁ、岸岱(がんたい)については元々が複製っぽい絵だから、複製でも全く違和感がなかったりするのだけど…

 つまるところは、やっぱり現地で見ておいて良かったなと。特に山水の間の滝の絵(複製)は、現地で見た時のワクワクするような立体感が全然、感じられなかったので。

 もっとも、鶴と虎の間だけは全て本物だったので、目的は十二分に達成出来た。水飲みの虎を初めとして、棒のような手足が可愛いです。

 

8/11

 明日は休出日なので今日は休養日。とはいえ、デュフィは割と好きな画家なので、↓だけは見に行くことに。でも、もの凄く暑いので、鎌倉まではさすがにバス。美術館へは歩いたけど、その10分が暑い…

 「デュフィ展」@鎌倉大谷記念美術館

 周りの山はミンミンゼミの大合唱だけど、中は冷房が効いていて心地良い。そして家(ここは美術館というより家だと思う)の中に掛けられた絵が全てデュフィ。夏の半日の過ごし方としては、結構、贅沢かも。音が聞こえてくるようなオケの絵も良いけど、空と海の青が目に涼しい海の絵が、この季節だとやはり一番素敵。

 お薦めしたいところだけど、点数が25点と少ないのと、ここまでが暑いのが難点。10時から16時まで(日・月休み)と、夏だと暑い時間しか開いてないし。まぁ、鎌倉まで来たら、ついでに寄っても良いのでは?

 

 (久々の?)気になる展覧会。

 「陰陽道×密教」@神奈川県立金沢文庫。

 金沢文庫といえば、最近でこそ運慶の仏像発見で知名度が全国区になった博物館だけど、元々、規模と言い、展示内容と言い、至って地味で真面目な施設。それがどうしたことか、「陰陽道×密教」って何のカップリングですか。「主な展示内容」も「権力者が好んだダキニ法の実像」とか「日本史を影で動かした謎のキツネ信仰」とか、どこかのオカルト系新書の目次みたい。

 でも、ダキニ法とかは、闇の?宗教史的にはよく出てくる(割にはよく分からない)、(怪しげな)好奇心を引くテーマなので、 忘れず行こうかと。講演会とかも本当は聴いてみたい位。

 

8/10

  最近は、金曜日だけは夜間延長している美術館が増えたのは有り難いけど、逆に言えば一週間の内、金曜しか延長していないのが大半。前の江戸東京博物館のように木曜とかも延長してくれると選択の幅が広がるのだけど(…まぁ、いつも空いていたから、土曜日になってしまったんだろうけど)。

 「水と生きる」(後期)@サントリー美術館。

 中期は見過ごした。応挙の滝の絵が今回の目的。暑い時にこういう絵を見て涼む、という発想は日本独自かも。バーチャルで良いんだよ、という感じ? 他には、広重の雨や雪の版画が目立っていた。

 「サーカス展」@損保ジャパン東郷青児美術館。

 地味だろうな、とは思っていたけど、多方面から色々努力して集めてきたラインナップで、思っていたより充実。あと、飾り付けが意外に凝っていて。会場の入り口や出口の他、外のエレベーターホールまでサーカスのテント風に全面ペイントしていたり、少しでも盛り上げようという心意気は微笑ましかったです。…でも、まあ、やっぱり、全体に地味だったけど(笑) 特に、日本人の作品は題材ほど楽しくは…

 今回の会場のスターは、何と言っても会場の真ん中に置かれた、カルダーの作品。確か、アザラシの曲芸。言われてみると、なるほど! というか、どこまでが作品? 周りのテント小屋?なケースがよく出来ていて、今回のためにあれを作ったとしたら、作った人のセンスは素晴らしいと思った。特に、割とチープな辺り(^^; 個人的には、これを見られただけで、この展覧会を見た価値は有った(←言い過ぎ)。

 

 今週は秋の旅行(予定)に向けて、毎日、色々と計画中。…これもまた、目の前の現実からの一種の逃避だとは分かってはいるのだけど。

 

8/6

 来週の日曜が休出日なので、その代休として一日休み。

 当初はどこか温泉でも行きたいな…などと思っていたが、ここ数日の余りの(蒸し)暑さにその気力もなく、午前中に市立図書館に行った他は、日中は(部屋から)どこへも行か ないまま。

 実は秋の休暇について、(旅行をするなら)ここが良いかな(というか、この時期でもまだ大丈夫かも)と、昨日、突如思い付いたので、その資料集めに。いわば、いつもの「〜月間」の始まりなのだけど、今回はまだ、本当に旅行に行くかすら、決めていないので、行き先 (候補地)は今のところ秘密。

 

 夕方、日が沈む前になって、ようやく散歩に。

 やや薄暗い雑木林の木立は、「カナカナカナカナカナカナ…」と蝉の声が頭上の周囲から降り注ぐ、まさに「ひぐらしのなく頃」な時間帯。しかし、それより、飼い犬の散歩をする人達で溢れる「犬時間」と化していたことの方が、むしろ恐怖で。正面から大きな犬が歩いてくる度に、何故か、こちらが道を譲らないといけないという…

 

8/5

 暑さにいつもの休日より早く(といっても8時位だけど)目が覚める。せっかくなので、午前中のうちに何かをしようと、展覧会を見に、鎌倉まで歩いて行く。

 結論。真夏の鎌倉は午前中であっても、歩くには向いていない。今さら、敢えて言うことでも無いんだけど。

 

 「生誕100年 鶴岡政男展」@神奈川県立近代美術館鎌倉館と、「生誕100年 斎藤清墨画展」@神奈川県立近代美術館鎌倉別館。

 前者は時代の熱さを抜きに、残された絵だけを今見ても、作者が込めた思いの殆どは伝わっていないんだろうなと思った。その中では(分からないながらも)パステル画には惹かれた。斎藤清は、版画展を昔、ここ(鎌倉館)で見て好きになったので、後者が 実は主目的だったのだが、墨画だったのか。…う〜ん、版画でのシャープさの方が個人的にはやはり、好み。

 

 NHKの「アニメギガ」のスペシャル「とことん押井守」。

 何というか、割と微妙な気分。前から思ってはいたのだけど、NHKでの妙な持ち上げ方は、何か気持ち悪い。今何故? とりあえず「自作を語る」だけは録り溜めした方が良いのだろうけど、分散していて何だか面倒。かといって、全部の作品を今さら録る必要は無いし、HDDもそんなに空いてないし…

 「世界ふれあい町歩き」のスペシャル「巡礼の道」。

 最近は殆ど見ていない当番組だけど、このスペシャルだけは出来たら見ようかと。いつか巡礼の道を歩いて、サンティアゴ・デ・コンポステーラへ行きたいと思っている者としては。

 

 昨日の佐藤さとる氏の講演会内容のレポート

 どうしようかと思ったのけど、昨日取ったメモを半日掛けてまとめてみました。前の天沢退二郎の講演会のレポートのように、こういうのは後々、残しておいた方が良かった、と思うことが多いので。…そういえば、(これから書くと言っていた)「オレンジ党」の新作は 一体、いつ?

 

8/4

 神奈川近代文学館で開かれた、佐藤さとる氏の講演会(インタビュー)。

 人前で話すのは苦手、と言いながら、飄々とした調子で、次から次へと面白い話が。一方、ファンタジーとは何かという問いに対しては、かなり昔に「ファンタジーの世界」(講談社現代新書)で説明されていた内容と、全くぶれがなくて、一貫している人だなと、改めて感心(当たり前かもしれないけど)。

 短過ぎて「非難囂々」だったらしい(私ももう少し余韻が有っても…とは思った)「天狗童子」の最後、4枚半のエピローグ部分については、40枚版を(同人誌で)今年出します、ということなので、ぜひ読んでみたい。

 サインを頂いてから、「佐藤さとる コロボックル物語展」も。

 絵本「おばあさんの飛行機」の原画が全展示。この話、絵本で読んだ覚えが余り無い。全集の1巻に入っていて、(コロボックル以外では)多分、最初に読んでいたからだと思うのだけど(小3の頃、全集を1巻から順に毎日借りていた記憶があるので)、マッチ箱のような孫の団地の絵だけ何となく覚えている。ってあれは全集の見返しだったっけ、それともやはり、絵本の中で?

 他にも村上勉氏の原画がコロボックル シリーズ中心に展示されていて、そういえば、と思い出したのだが、昔(私が小中学生だった頃)、毎日中学生新聞のイラストコーナーに、コロボックルのイラストを時々投稿している人がいて。村上勉のコロボックル準拠ながら、キャラとしても立っている、かなり上手いイラストで、実は割とファンだったのだけど、あの絵を描いていた人って、その後、どうなったんだろう? 漫画家になったのか(そして、私がその過去を知らないだけなのか)、それとも、そういう仕事には就かなかったのか。あれから、二十年以上経つけど、今も謎のまま。ぐぐってもさすがに出て来ないし…

 

8/3

 「アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌」@東京国立近代美術館。

  ポートレイトの中でも、自らの展覧会場を歩くジャコメッティの姿が、横にある歩く人の像そっくりで笑った。構図の繰り返しを見出すセンスは、本当に天才的。様々な国を撮って回った、その視線の在り方については、良くも悪くも、時代と密接に同調しているというか、今から見ると、単純に賛美出来ない気もするのだけど…

 

 常設展示。鏑木清方の「明治風俗十二ヶ月」の夏の画題として、かき氷屋の情景が。見ると、鰹削り(みたいなもの)で、氷を削っている! ガリガリ回すかき氷機って、明治の頃はまだ無かったんですね。

 あとで、wikiで調べてみると、このやり方が広まったのが明治二十年、手回し型の氷削機が普及したのが昭和初期とある 。なるほど、この光景こそ明治の新しい風俗だったのか。

 

 佐藤さとる「天狗童子―本朝奇談」。大山の天狗の話、と見せ掛けて?実は超ご当地小説だった(個人的に)。歩いていける(どこに?)というか。

 

8/2

 「キスリング展」@横浜そごう美術館(7/31)。

 同じエコール・ド・パリといっても、モディリアーニとは違い、どういう人物か、実は今まで全然知らなかったので、それを知っただけでも、今回の展覧会は貴重だった。作品としては、エコール・ド・パリの画家には割と共通して有る(気がする)甘さ、というか弱さが目について、若干、がっかりしたところも有ったのだけど。

 意外だったのは、静物と人物の力強さに対して、この人の風景画はかなりの素朴さ(←婉曲表現)。後半生ではフランドルの古典絵画を意識していたようなのだけど、それって、この人の個性(というか技術)とはあんまり合ってなかったのではないかと思わないでも。う〜ん… 静物画での、オレンジや林檎といった果物の凶暴な存在感は魅力的なんだけど、今まで思っていたほど凄い画家でも無かったというか…

 

 問題の、佐藤さとる「天狗童子―本朝奇談」は、今日の午後にようやく届いた。(明日の帰りに読むとして)ぎりぎりセーフ。ま。bk1ではもう二度と買わないけどな。

 

8/1

 7月の最後に、旅行に持っていった物について書こうと思っていたのだが、それはまた後日として。

 

 今週末の土曜日に参加予定なのが、神奈川近代文学館で開催される、佐藤さとる氏の講演会。

 テーマは(今まで読んでいなかった)昨年の新刊について、なので、そろそろ読んでおかなくちゃ、とbk1に注文したのが、7月29日、日曜日の午後。当日の19時には「出荷」メールが届いたので、いくらメール便でも火曜には届くだろう、と思っていたところ、今日に至るも届かないまま。

 確かに、サイト内の注意点には「最大で4〜5日」とあるのだけど、埼玉県から出荷して神奈川県内のポストに放り込むのに、何で4日も掛かるのか。恐らく最寄りのクロネコヤマトにはとっくに来ているのではないかと思うのだけど、先日もタイタンゼノンの宅急便を時間指定ぎりぎりに持ってきた位の配達所なので、普通の配達能力が崩壊しているのかも。

 ともあれ、講演会前に読まないと意味がない。明日届かなかったら、明後日、本屋でもう一冊買った上で、帰りの電車で読むしか。しかも、せっかくの新作を時間を掛けて読むことも出来ないという…

 bk1といえば早いのが取り柄というか、いつも、注文した夜の翌朝には届いていた位だっただけに、非常に裏切られた感が。bk1の問題というより、クロネコヤマト(の地元配達所)の問題という気はするけど、いずれにせよ、クロネコのメール便を使用している限り、今後、bk1では二度と注文しないと思う。残っていたポイントも使い切ったし。

 ちなみに、世間ではamazonのメール便の方が評判が良くないみたいだけど、amazonの(日通の)メール便が出荷日の翌々日の朝までに着かなかったことは1回も無いので、勢い、今回のクロネコの駄目さばかりが際だつ。今日来たのも、昨日出荷して今日の午後には投函、って普通、そんなものだよなぁ。