空の蒼さを 見つめていると


2004年10月

10/31

 替わりの液晶モニターをオンラインで購入しようと、機種を決め、サイトを選んで、確定の注文ボタンを押す、そのまさに寸前に、本当に接続可能なのか、急に不安になる。というのは、今の筐体のモニター出力は34pinもある変則的なもので、普通の15pinのものとは全然別。変換コネクターは有るのか、有ったとしても繋げて出力されるのか。

 今日一日、メーカーのサイト等を隅々まで読んでみた結果は、(正式には、今日、サポートに照会したメールの回答待ちだけど)、……全く駄目。

 要するに専用モニターが壊れたら、もう他のものには繋げられないので、全部最初から買い直せ、という思想に基づいて作られた機種としか思えない。だったら、2年で壊れるようなモニターを付けて売るなよと。あとはモニター自体の修理を受け付けているかだけど、製造終了機種だから期待薄。やっていても法外な費用を取りそうだし。

 有名なタイマーだけでは飽きたらず(保証期間の翌月、マザーボード内の音声出力が故障…)、どこまで人を苦しめますか、このメーカーはっ。

 まぁ、注文する前に気付いただけマシというべきか。でも、こうなったら、やはり買い直して縁を切らない限り、駄目というわけで。今年はパソコン関係は買い直す予定じゃ無かったのになぁ。

 

Art 生誕110年 速水御舟展 山種美術館 2004.10.29〜2004.11.23

 速水御舟のコレクションから約60点、って小さい物中心だとしても、あの狭いスペースに展示出来るの?と疑問に思っていたら、いつもの2部屋の奥に今回、もう1つ部屋が! そんなところに展示室があるとは、ちっとも知りませんでしたよ。ていうか、何で、普段は使わないわけ?

 御舟は14歳から絵を習い始めたのだそうで、瘤取り爺さんの話を絵巻物にした、17歳の時の習作が展示されていたのだけど、予想されるように、これが上手い。隅々まですごく丁寧に描いているし。部屋の中の皿の1枚、1枚まで。十代の内に、宮内庁買い上げ作が出るのも不思議ではない。

 ただし、もの凄く上手い画家、というイメージだけで、展示されている作品を眺めると、やや拍子抜け。「炎舞」のような一部の作品を除くと、決定的というほどの凄さは感じられず、 いつも「試行錯誤の途中」みたいな物足りなさを、むしろ感じてしまう。これ位なら描ける(描いた)画家は他にもいたでしょう、みたいな気もするわけで。

 そういえば、御舟は、路面電車に轢かれて足先を切断したという、昔聞いたエピソードがショッキングだったので、若くして亡くなったのはそれが原因かと、早とちりしていたのだけど、改めて年譜を見直してみたらそれは25歳の時の話で、亡くなったのは41歳、原因は腸チフスだから、全然、関係なかったらしい。

 しかも、その間には、欧州何とか使節に横山大観らと選ばれて、8ヶ月間もヨーロッパを漫遊していた位だし(往復にかなり時間が掛かったのだろうが)。今でも8ヶ月外国旅行している人なんてそうそういないのに。会場にもその時のスケッチが幾つか有っ た。イタリアの街並みとか、ギリシアの遺跡とか。新日曜美術館で御舟を特集する旨、会場に書いてあったが、その内の1枚「エジプト土人の灌漑」というスケッチの題名は、NHK的には絶対NGだろうから、この絵だけは取り上げないだろう、とか思ったり。

 そんなわけで、意外な一面は見れたのだけど、この程度?と思っていた最後の辺りで、黒牡丹の絵に辿り着き、これは凄い、と素直に思う。日本画で、牡丹の絵の歴代ベスト10を選んだら、間違いなくノミネートされるであろう傑作。これが40歳の作品。そう、御舟の本当の凄さは、まだこれからの人だった、ということにあるのではないかと。あと20年生きていたら、どんなに凄いものを描いたか、と思わせる。

 とはいえ、御舟が亡くなった昭和10年からの10年間と言えば、否応もなく報国絵画の類を描かせられるようになる時代なわけで(大観みたいに、進んで航空機購入費用のための絵を描く人間もいたわけだけど)、長生きしても余り良いことは無かったのかも。

 

 で、今日の新日曜美術館が、速水御舟の回。ゲストが村上隆というのに、やや意表を突かれる。まぁ、元々日本画の出身だけど。内容は、変化を求め続けた画家、というストーリーだった。とりあえず、こうやって放送されると、人がわっと行くわけで、あの狭い美術館だと、結構、混みそう。

 

10/30

 12月20日の鈴木祥子のLIVEチケットを購入。鈴木祥子の声を実際に生で聴くのは初めてなので、すごく楽しみ。

 というか、12月中旬は、アルタン(マレード)、鈴木祥子、大貫妙子と、私が大好きな声を持った人のライブに続けて行くことが出来るという、いわば至福の一週間なのだけど、一方、11月には今のところ何の予定もなくて、こういった機会はどうして平均してやって来ないのかと、貧乏性の私としては勿体なく思ってしまう。まぁ、11月の休日は、その分、他のことを進めれば良いんでしょうけど。旅行記の更新とか。部屋の整理整頓とか。

 

 冷たい雨の中、横浜美術館に「失楽園:風景表現の近代1870-1945」を見に行く。

 本当に、前回の続き、だった。展示スタイルも(良くも悪くも)前回同様で、少なくとも前回以上には力が入っていた。これについては色々書きたいことがあるので、感想は後日。

 

 今年の初め、モニターに線が入るようになった、と書いた覚えがあるが、その後も、症状は刻一刻と悪化する一方。努めて無視して使ってきたものの、最近では12本!もの横線が入ってしまっている状況に、流石にこれ以上は耐えきれない、と諦めて、液晶モニターを買い換えることに決める。

 現在、モニターのところからキーボード(PS/2)とマウス(USB)の端子を取っていて、本体にも繋げる所が残ってないため、同タイプでないと困るのでは?というのがずっと悩みだったのけど、USBハブというものが世の中にはあったのですね。知らなかった… いや、本当に。パソコンの売り場に寄る趣味も、情報を得る趣味もないので。というわけで、キーボードをUSB入力のものに買い換えたので、後はモニターを購入して繋げればOKかと。

 しかし、音声ボードの追加購入に続き、マウス・キーボード・ディスプレイと、気が付けば、本体以外は全て交換することになったわけで、この際、本体も替えてしまって、このメーカーと縁を切ると非常にスッキリするのだけど、今のところ、そこまでの必要は感じていないので、それは来年以降の目標。

 

10/29

 昼休み。昼のニュースで、今年の文化勲章や文化功労者を発表している様子だったが、結構広い休憩室の、TVから一番離れた席に座っていたので、音声が聞こえない上に、誰が映っているのかすら、ほとんど判別出来ず。ただ一人、井上ひさしが映った時を除いて(^^;; 特徴のある顔って、こういう時、便利。

 ところで、今回の受賞者の中で、個人的に一番違和感を感じたのも井上ひさしだった。貰う・貰わない自体は別にどうでも良いですが、作品と言動がいつまでも首尾一貫している方が作家の姿勢としてはスマートではないかと。大岡昇平のように。

 

TV ウィリアム・ワイラー 「ローマの休日

 今見直すと、その時代性について、色々と思うことも。というわけで、思い付いたことを後で、補記しておこうかと(予定)。

 とりあえず、発見したのは、別にローマの名所案内、という映画では(元々)なかったこと(どおりで、昔見たのに、ちっともローマの地理が頭に入ってないと思った)、脚本的にはかなり良い出来なのは間違いないが、撮影と編集、要するに映画としては特に優れているわけでもなく、まぁ普通の出来だったこと。

 

 Novel。西澤保彦「黄金色の祈り」(文春文庫)。読んだのは結構前。なるほど「夢幻巡礼」と同じ1999年の刊行か。ただし、こちらは「明るいわけでもないが、暗いわけでもない」「真鍮の色、黄金の鬱金の色」(小野不由美の解説より引用)。

 作者の自伝的な要素を持った作品。といっても、どこまで自伝的かというのは勿論、余り意味がないとはいえ、自分のカサブタを自らビリビリ剥がすような物語はひたすら痛かった。

 ちなみに、私も高校1年の時、ブラスバンド部員で、しかもテューバが担当で、ユーフォニウムの1年上の女の先輩と毎日、放課後、一緒に練習していたので、なおさら、嫌な感じでシンクロしてしまい、のたうち回りそうな思いに耐えつつ、読んでいた。…まぁ、 自分のことを「吾輩」とかいうような人では無かったですが。

 1年の時、というのは、3度の飯より楽器を演奏することが好き、という周りの人間との温度差にギャップを感じてしまい、2年生の5月の演奏会まででクラブを辞めてしまったからで、その辺の苦い記憶もシンクロするようなところがあってなおさら痛かった。終わり方としては、納得出来る作品だったんだけど、 すぐにでも再読したいかというと…

 

10/28

 来年の「ナポリ サン・カルロ歌劇場初来日公演」。一般発売日(12/12)でのE・F席のチケット購入は恐らく不可能に近いので、フェニーチェ歌劇場同様、Bunkamura会員発売日でのチケット確保を期待していたのだけど、会員発売日は11/6ですって? 次の休日出勤日じゃん…… がっくり。

 公演日自体に仕事が入ることは懸念していたけど、まさか発売日に掛かるとは。というか、11月で予定がある休日ってその日一日だけだったのに。上手く行かないものだ。

 

 Novel。西澤保彦「夢幻巡礼」(講談社文庫)。 西澤保彦作品については、そのトーンを「黒さ」の度合いで表現する言い方があるようだけど、真っ黒ですな、これは。いや、むしろ、真っ赤というべき? 

 

10/27

 寒くなると、何もする気が起きません。今月中にやっておこう、と思っていたことも色々有ったのだけど…

 

 Novel。梶尾真治「未来のおもいで」(光文社文庫)。

 カジシンらしい定番の「時かけ」モノとして既存の読者を裏切らない出来。なので、それだけで充分だとは思うけど、昔は細部までもっと丁寧に作り込んでいたような。 途中まで物語を引っ張る、ある人の消息なんて結局、投げっぱなしだし。その辺が、いかにも「光文社文庫書き下ろし」という感じの安さ(偏見?)。

 やや大雑把な話なのに加え、時を超えるコミニュケーションを限定する規則も曖昧なので、今一つ盛り上がりに欠けるというか。文中で言及されているジャック・フィニィのように、やり取り出来る「手紙」の回数は(入れ物の数などで)予め制限しておかないと。やっぱり、 遠足のおやつは3百円まで、時を超える「愛の手紙」は3回まで、が基本だと思うんですが。

 

10/25

 ちなみに、昨日受けたのは、これ。この手の検定の場合、受ける意図をよく、趣味と実益を兼ねて、とか言ったりするが、これはまぁ、恐らく、趣味と趣味しか兼ねてない(^^;;

 ボランティアの目安となるというのが一応の目的らしいが、少なくとも3級は多少でも美術好きなら普通受かるだろうという、世間で言うところの英検3級みたいなレベルなので、持っていても何の役にも立ちそうにない。大体、人に説明する暇があれば(説明しようというサーヴィス精神は結構あると思うのだが)、自分で見に行きたいわけで、他人のボランティアをしている余裕など正直無いのだが、参加型イベントとかの情報が入手出来たりしないか、という浅ましい魂胆と、ちょっとした好奇心から申し込んでしまったというのが、今回の経緯。

 東京会場で約700人、というのが多いか少ないかはよく分からないが、(自分のことは棚に上げて)こんな趣味の検定をよく受ける人がいるものだ、と会場でやや驚く。2,30代の、若めの女性が中心で、比率で言うと、3/4以上は女性。皆、何のために受けているのやら。皆が皆、ボランティア精神に満ちあふれて、とも思えないのだけど。

 問題は50問。その内、30問は間違えようのない問題(楳図かずおの作品でないものは次のどれか。1「AKIRA」2「漂流教室」3「おろち」4「まことちゃん」、とか)で、10問は半分は合うだろうという問題。残りの10問は、知らんわ、そんなん、みたいな問題だった。私は年代というものに日頃関心がない、ということがよく分かった というか。

 ともあれ、仕事と関係なく試験なんてものを受けたのは十年ぶりなので、それなりに面白かった(事前に一切準備しない「試験」は生まれて初めてだったけど)。もっとも、検定料を払ってまでやることか、と訊かれると…

 

 アニメ夜話。パトレイバーの回。う〜ん… 前回のアニメ夜話は録ったまま未見だけど、このぬるさを楽しむべき番組なんだろうか。

 

10/24

 9月に(魔が差して)申し込んでしまった某検定試験を受けに行ってました。帰りに「速水御舟展」。詳細については、いずれも後日。

 高校という施設に久々に足を踏み入れたのが新鮮ではあったけど(黒板に、試験範囲は「高瀬舟」、とか書いてあったり)、とにかく寒い一日でした。

 

10/23

 夕方の大地震。こちらでも揺れた位だからなぁ。で、下の「マティス」の再放送は間違いなく中止に。

 …「キル」も放送されなかったし、何かの番組を私が紹介した場合に限って、天変地異が起きて中止されるような気が。と言いつつ、自分用メモとして、またしても書く私。

 ・10/29 金曜ロードショー「ローマの休日」(デジタル修復版) 9:03〜23:24  日本TV
 ・12/1 「ヴァザーリの回廊〜ルネサンス500年〜」 21:00〜22:54 BSジャパン

 今さら「ローマの休日」でもあるまい、という気もするけど、実際に見てきた直後だと、ご当地映画として面白く見られるのではないかと。ちょうど「うた∽かた」が内容はともかく、丁寧なご当地アニメというだけで、地元民としては楽しめてしまうようなもの? 由比ヶ浜の海は海岸近くではそんなに深くないって、とか 毎回、突っ込みつつ。

 ちなみに、井上蒲鉾はさっぱりとした飽きの来ない味で、鎌倉の名物としては珍しくお薦め。定番は小判揚 です。…というか、何故、ここで突然、井上蒲鉾の話に?

 「ヴァザーリ…」は現地でも下からしか見ることが出来なかった回廊。映像で紹介される機会も滅多にないので、出来るだけ見たい番組。師走の月初に、その時間までに帰宅出来るは微妙だけど。

 

 イタリア旅行。これからは、旅行記完成までの果てしない旅?が始まることに。とりあえず、topページを作成(今までの「計画」のページを手直ししただけ)。

 旅行記の前に、美術館の感想だけ簡単に書くつもりで美術館のページも作成に着手。…したは良いけど、訪問した先の一覧を記入しただけで、既にぐったり(^^;; いや、一応、その後、下の方に、実際に書き出してみたのだけど、この調子で書いていったら、ちょっとやそっとじゃ、とても終わりそうもない予感。こんなことなら、旅行記を直接書いた方が早い?

 

10/22

 一ヶ月前に放映された「マティス 幸せ運ぶ“色彩の旅人”」が、明日23日の深夜1時45分〜2時35分に、NHK総合で再放送されるらしい。

 NHKらしい良質な番組だったと思うので、マティスが好きで前回見逃した方は是非。少なくとも、松任谷由実がゲストの次回「新日曜美術館」(マティス展の紹介)よりは遙かに見る価値があると思います。

 

10/21

 「OHP」(10/18)経由で知った、雁須磨子「どいつもこいつも」愛蔵版、2月発売予定、というのが私にとって、最近の一番嬉しいニュース。この知らせを何年待ったことか。

 

 Novel。清水マリコ「君の嘘、伝説の君」(MF文庫)。

 「ゼロヨンイチロク」が割と面白かったので、他の作品もチェックしてみたら、…ゲームのノベライズの人だったのね。まぁ、そちらはとりあえず置いといて。作者が言うところの「嘘」シリーズの一冊。この「嘘」という言葉が、この作者の世界のキーワードらしい。言ってしまえば「現実と虚構」ということなのだけど、より広い意味を持たせた「本当と嘘」という対比。

 で、この作品での「君の嘘」は、定番というか、ありふれているネタだけど、割と上手く決まっているような。もっと主人公を追い込んでホラーな調子を強めた方が面白いのに、とか思わないでもないが、このゆるい感じがこの作品の良さでもあるのかと。全体に物足りなくもあるけど、悪くはないです。

 清水マリコ「ネペンテス」(MF文庫)。

 ちょうど出たばかりの新刊。そういえば、近いうちに「ゼロヨンイチナナ」が出るとか、後書きで書いていたな、と思い出したが、それとは違う話だった。やはり「嘘」が好きな作者だけのことはある(^^;; まぁ、前作から続いて、あの子(と本当に言って良いかは微妙だけど)は出てきますが。

 一人の男子高校生を主人公にした短編連作。ところどころ、犬耳をつけた妹が「お兄ちゃん」と甘えてきたりするけど、そういう?話では(多分)無くて、方向性としては、暗黒系の乙一に若干近いかも。ただし、この作者の場合、風味的にはそうでも、結論的には割と健康的なのが、何となくジュブナイル的。どこか物足りない、と思ってしまう理由はその辺にありそう。

 嫌いでは無いんだけど、個人的にはもっと容赦ない位の方が… 私の好みとしては、第五話「a quirk of Fate」、第六話「減色症」辺りかな。

 あと、題名の「ネペンテス」とは食虫植物のことらしいが、何故、毎回、イメージを喚起しにくいタイトルを付けるんだろうか? 作者のポリシー?

 

10/19

 現在、東京では2つの美術館でピカソ展が開催中だが、東京都現代美術館でやっている方は、山手線の車内で広告を見掛けることが多い。

 余程のことでもなければ行かない交通不便な美術館の、しかも興味のないピカソなので、私にとってはどうでも良い広告なのだが、そこに書かれたコピーを見る度に、何か釈然としない気分になってしまう。

 「破壊と創造の巨人、ピカソ。初公開を含む絶頂期の名作160点、一挙公開!」

 いや、言いたいことは分かるけど。絶頂期、ってもっと短い生涯で、つかの間の栄光とその後の没落、といった人に使う言葉ではなかろうか? 大体、「ピカソの絶頂期」っていつの時代 なのよ? 知らないのは私だけ、かもしれないので「ピカソ 絶頂期」でぐぐってみたら、この展覧会のプレス記事と見た人の感想だけだった(^^;;

 …皆、良いように騙されてません? 主催者を問い詰めると、ピカソの偉大さは絶えず新しい表現を生み出していつでも絶頂期だったことだ、とか開き直りそうな気がするが。

 恐らく展覧会のタイトル辺りから思い付いたコピーなんでしょうけどね… でも、売り文句(だと思っていること)を詰めるだけ詰め込んだ、という余裕の無さと言い、全体に安っぽいコピーという印象(それに騙される人もどうかと思う)。まぁ、ここの美術館自体も割とそういう印象なので、その意味では、嘘偽りのない表現なのかも。

 

 Novel。今野緒雪「マリア様がみてる 特別でないただの一日」。

 どうでもいいことではあるんですが(またか)、このタイトルを見て、エットーレ・スコラを連想してしまった人って、この日本に、何人くらいいるんだろう?

 いや、エットーレ・スコラという名のイタリアの映画監督がいて、その人が1970年代に撮った映画に「特別な一日」というのがあってですね、第二次世界大戦前の、ヒットラーがローマを訪れた「特別な一日」に、一日だけ不倫をしてしまうある平凡な男女(マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレン 、って全然、平凡じゃないじゃん!)を描く、という芸術志向のメロドラマといった作品で、一応、スコラの代表作の一本とされているわけなんですが、同じマストロヤンニが出てくるスコラの作品でも「マカロニ」とかもっとベタなコメディの方が私は好きだな…  いや、それは更にどうでも良いことで。

 というか、言うまでもなく、紅薔薇姉妹とは、全然、関係無いわけですが(^^;; でも「特別な一日」といえば、やはりこの映画のタイトルからの引用のような気が。主人公、イタリアに行ったばかりだし(それは多分、関係無いです)。

 

10/17

 「ギャラリーフェイク」の31巻に「THE BEST」、新作の「CAT.WALKER」(日本文芸社)の1巻と、何故か細野不二彦ばかり3冊読む一日。

 「CAT.WALKER」は、かつて警察官だった過去を持つ、ペット探偵をやっている男の話。近作と比べれば、設定自体、無理が有り過ぎな「ダブル・フェイス」よりはマシだけど、「S.O.S.」ほどでは無い。要するにやや安めの内容? というか、「ダブル・フェイス」もそうだけど、普段は昼行灯だけど、やる時は凄腕、みたいなキャラは、細野不二彦に関しては正直、もう良いよ、って感じなんですけど。

 「ギャラリーフェイク」のベストは、描き下ろしが一編載っている以外、今までの再録なので、このシリーズが割と好きで、時々(定番の落語を聴き返すように)読み返すこともある私としては、余計に新鮮味が無いのだけど、まぁ、半分、作者へのご祝儀として購入。新作は、キューレター時代の若き藤田の話で、さすがに手堅い巧さ。

 一番、面白かったのは、巻末に付けられている、自選した各話への作者のコメント。第1話についてのコメントによると、「ギャラリーフェイク」は、美術モノをやらないかと編集者が持ち掛けてきた企画で、原案のシナリオさえ既に用意されていたらしい。「美味しんぼ」の美術版という感じで。なるほど、大手出版社の企画 というのはそこまで用意周到なんですね。

 で、作者は(「つみわら」のエピソードだけを残して)設定も物語も捨て去り、根性曲がりの主人公を作った、と書いているのだけど、それが「ブラックジャック」の美術版になったのは、どこまで意識的だったんだろう?

 私からすれば、初期から中期の細野不二彦は、(「オバQ」→)「ガンモ」、(「めぞん一刻」→)「ママ」といったように、古典的な作品やジャンルのリファインというか、再解釈を意識的に行ってきた漫画家だとばかり思ってきたのだが… 

 

10/16

 「走れメルス」。都合の良い日がいつか、色々考え過ぎたこともあって、チケットをつい取りそびれる。

 2ヶ月公演だから、日さえ選べばヤフオクで充分、プレミア付けずに入手可能だと思うので、別に困らないのだけど、それならそれで、昼まで寝ておけば良かった…とやや後悔。

 

 ここらで手を付けないと、今後の負担が増える一方なので、留守中の番組をせっせと消化。9月で終了した分も見てないけど、それは置いといて、改編分を大体、一周したところまで。

 …まずい。ここ一ヶ月近く、遠ざかっていたせいか、全てが妙に面白く感じてしまう(^^;; ひょっとして、暫く見ないでいたため、駄目人間度指数が却ってリバウンド?

 普段なら手も出さないゲーム原作系2本組でも、AICロボットアニメでも、普通に見れてしまいますよ? (まぁ、それでも許容範囲というものはあって、「双恋」「To heart」は予約から消しました) もっと、さくさく切る予定だったんだけどな。もう一周した辺りで何とかしよう。

 ちなみに、向こうで見た唯一のアニメは、イタリア語版「LAST EXILE」。夜、現地のMTV専門局をたまたま付けていたら、やっていた。ラヴィ役の人が結構イメージ通りで。斉藤千和、イタリア語上手いじゃん 、とか思ったり(違います)。でも、アルが普通のお姉さん声だったのには、ちょっとがっかり(イタリアの声優業界は萌え系までは未だ進化していない様子)。

 

10/15

 「赤鬼」日本バージョン。

 日本語だと会話が分かる部分、動きの細かい所が楽しめて良いよね、とは思った。

 後は… ロンドンバージョン、タイバージョンより良かったところは無かったような。いや、日本バージョンだけ見れば、これで納得したかもしれないが、続けて見ると、一番魅力が無かった。野田秀樹の「とんび」は魅力的だけど、それは言うまでもないことで。舞台のまとまり感が一番無かったというか。今回は、割と後ろの席で見たせいかもしれないけど…

 予想通り、野田秀樹一人芝居状態というか、そんな感じで。あとの人も動いて台詞は喋っているんだけど(当たり前だ)、印象に残ってないし。

 日本バージョンならではの「風景」が見たかったんだけど。ロンドンバージョンのような、ガラス瓶のシャンデリアが示すような、ハッとする瞬間に出会えなかったのが残念。

 

 今回の公演は出来たら、日本バージョン→タイバージョン→ロンドンバージョンの順で見たかった。興行的に難しいのは分かるが、結局、一番出来の良かったロンドンバージョンを(台詞が頭に入っている状態で)もっと、きちんと見たかった。

 それぞれの演出の違いと、それに関わらない作品自体の良さという2つの点で、今回の「赤鬼」3バージョン公演というのは、非常に刺激的な体験だったとは思う。ただ、値段が高過ぎ。3回で1万5千円位にしてくれないと。

 

 

 旅行の感想にそろそろ着手しようか、と思案中。今回は恐らく、文体的には、前回のオランダ・ベルギー旅行篇のスタイルが一番合っていると思うのだけど、あれだと完了までに相当時間が掛かる見込み(今年一杯とかそれ位)。

 一般的には、(前回とは違い)美術館の情報・感想が一番需要が有ると思うので、今回は通常の旅行記の前に、その部分だけ切り出して作ってみようかと。それだけでも一月位掛かるかもしれないけど。

 あと、写真も整理しないと… デジカメプリントの安いところも探さなくちゃ。

 

10/13

 日常への復帰、まだ遠し。

 8月以来の未読の本は、何から読み始めれば良いのか悩んでしまうし、9月末辺りから溜まっているビデオに至っては、どうやったら現在まで追いつけるのか見当も付かない有様。

 とりあえず、未読の山から適当に選んでリハビリ開始。川原泉「ブレーメンII」5巻と清水マリコ「ゼロヨンイチロク」。

 後者は、なるほど良き時代の「児童文学」の懐かしさを感じさせる文章で、割と良かった。 これって「図書カード」で図書館の本を借りていた時代の雰囲気だな、と思いつつ読んでいたら、後半、本当に図書カードが出てきたのには苦笑したけど。他の作品も読んでみることにしよう(だから、その前に、現在の未読分を…)。

 

10/11

 戻ってきました。

 ほとんど予定通り、見るべきものは見てきた、という感じ ? ちなみに、今年は(一部の方のご期待?には添えなかったかもしれませんが)何事もなく、至って平穏無事に終了。

 というわけで、とりあえず、今日のところは、帰国報告だけしておきます。

 

10/2

 直前まで風邪が治らなくて大変だったりもしたけれど、何とか、準備終了。

 というわけで、一週間ほど出掛けてきます。予定通りに事が進めば、こんな感じで。