7th day
(今日の予定) プラハ発。ブリュッセル経由で、成田へ
- 今日は、チェックアウト後、空港に直行するだけ。なので、海外での最後の朝は、ゆっくり起きる。朝食も今日はたっぷりと食べまくる。パン、フレンチトースト、パンケーキ、ワッフル。ソーセージ、ベーコン、ポテト、ゴーダチーズ、カマンベール、スクランブルエッグ、ヨーグルト、サラダ、フルーツ。…食い過ぎ? 普段、縁が無いものの中では、黒すぐり(Currenberry)のジュースが美味しかった。
- 十時前にロビーに集合。昨日の夫婦に会うと、マリオネット劇場の横で、民族舞踊をやっている看板を見掛けたので、そのまま入ってしまったのこと。相手を待たせたままでは無かったようなので、ちょっと安心。それにしても、そんなにもダンスが好きなのか、と改めて感心する。
- 間もなく集合時間になるというのに、添乗員がいない。どうしたのかと思っていると、集まっている人の中から、誰かが夜明けに、病院に運ばれた、とかいう話が洩れ伝わってくる。え〜と、いない人というと… あのじいさん?
- ようやくやって来た添乗員が、バスの中で簡単に事情を説明する。夜明けに心不全の発作を起こして、病院に運ばれ、とりあえず入院することになった、とのこと。家族全員というわけにもいかないので(7人の大家族だし)、奥さんだけが一緒に残ることにした。これから、どうなるかは今の時点では分からない。後ろ髪を引かれる思いではあるけれど、私たちは帰国することになります。皆さんも気になると思いますが、特にこのツアーはお医者様が多いので。今回のご主人と奥様もそうですが… 医者が多い。そうだったのか。全然、知らなかった。
- それにしても、あのじいさんが… 驚いたけど、いくら何でも、こういうことを望んでいたわけではない。もっとも、だからといって、同情する気も全然起きない。もともと、高血圧で心臓に問題があった人らしく、今回の旅行で不機嫌だったのも、体調が悪かったからかも、とは思うけれど、団体生活の中で、望ましい振る舞い方でなかったのは事実だし。しかし、医者ね、なるほど。人に頭を下げることなく、下げさせてばかりの人生を送ってきた人なんだろうな。
- とりあえず、怒りっぽい人生は、心臓に悪い。ということは、教訓として受け取っておくことにしよう。
- 空港に着く。ガイドが、観光客から聞いた話を総合する限りでは、宮崎空港に一番近い、とのこと。要するに、小さいローカル空港である。チェコCrの余りは使い切った方が良い、と言われる。もっとも、今や手持ちは、1千円相当もない。自分のために、カレル橋がプリントされた安いマグカップを一つ買うと、後は飴缶を買うくらいしか残っていなかった。
- 昼過ぎ、プラハの空港を離陸、来た時と同じように、ブリュッセルに向かう。車窓からは、途中、大きな川が何本か見えたが、地理の知識なんてものは私の記憶の中で、遙か遠くに過ぎ去ってしまったので、どれがライン川なのやら、全然分からないままだった。
- ブリュッセルで成田行きに、乗換え。当たり前だが、成田行きなので、日本人が多い。他の日本人の目が、えらく細く見える。orientalという言葉が浮かぶ。一週間、西欧人の中を旅しただけで、人の顔についての基準が、西欧人のそれに染まっていることに気付いて愕然とする。
- 機内で、久々に新聞というものを読む。朝日新聞の衛星版。帰国が8月15日だったので、首相が靖国神社を訪問するかで揉めている渦中に帰国かと思っていたら、いつの間にか、訪問していたらしい。というのは添乗員から既に聞いていたが(思わず、何故、私に黙って!と言いたくなった)、さすがに、朝日新聞。この衛星版、靖国訪問の話(あとは高校野球の記事が少しだけ)しか載っていない気がする。…日本で他に起きていることはないのか。
- 映画は「Heart Breakers」とかいうのを上映していた。吹き替えが付いていたので、見る。結婚詐欺を繰り返してきた悪女の親子の物語。いかにもハリウッド的な、大味なラブ・コメディだけど、適当に眺めている分には、悪くなかった。というか、最後のクレジットで初めて、親の方がシガニー・ウィーバーだったことに気付いた辺りで、いかに適当に見ていたか分かる。そうか、シガニー・ウィーバーって、胸が立派なんだ。いや、そういうことではなくて…
- 安定していた気流は、途中から乱れ始め、トイレに行こうと思っていた矢先に、点滅を繰り返していたシートベルトサインが消えなくなる。点灯中は、席を立たないで下さい、とアナウンスが繰り返されるので、しばらく大人しくしていたが、いつまで経っても消える気配がない。私は考えた。気流が乱れて、シートベルトサインが点いているということは、僅かながらでも通常よりは墜落する可能性が高い、ということではないのか。とすると、今行っておかなかないと、現状のまま、いきなり墜落して人生が終わってしまうことだって、有り得なくはない。トイレに行きたい、という気持ちだけを思い残して。上空1万メートルの空に、トイレに行きたいという未練だけを引きずって、彷徨い続ける幽霊。ああ、嫌だ。武士道とは、死ぬことと見付けたり、という。つまり、そういう情けない最期をいかにして避けるかというのが、肝心だということなのであろう。
- というわけで、用を足しに行ってから、安らかな眠りについた。眠る前に、プチ日記みたいなネタだな、と思った。
last day
(今日の予定) 成田着。帰宅。
- 朝、というのも感覚的には変だが、朝9時過ぎ、成田着。着陸後、暫く機内で待たされたので、帰国ラッシュ?とか思ったのだが、予定より早く着き過ぎて搭乗口が塞がっていただけらしい。空港内の手続きは割とすんなりと終了。チェコで土産物を買った分の、関税の払い戻しの受け取りもさくっと終わる。
- この際、楽して帰ろうと思い、成田エクスプレスに乗車。しかし、どうせ横浜止まりだし、快速に乗った方が賢明だったのでは?と切符を買った後で思い当たる。
- 久々の日本の風景(千葉の里山)や、田圃に立てられている漢字の看板を、新鮮な気持ちで眺めている内に、うつらうつらと眠っており、気が付けば、既に横浜着。とりあえず、ホームで、次の横須賀線を待つ。暑くて暑くて堪らない、というほど高温ではないが、蒸し暑い。またこの蒸し暑さの中で暮らさないといけないのかと思うと、ややうんざりする。
- 午後3時過ぎ。帰宅。辺りには、蝉の声。…そういえば、向こうには蝉はいなかった。日本に戻ってきたのだな、と思った。
Thank you for your reading to the last.
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