ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作品の感想 2005.4.23
「どんな人もこれを読まずに育ってはいけない、と本屋が教えてくれたものばかりです」
(過去の日記から転載しています
。★はお薦め度、というかジョーンズらしさ度)
大魔法使いクレストマンシー・シリーズの(今回の邦訳では)2冊目。この世界と別の世界を「行ったり来たり」するタイプのファンタジー。といっても、「この世界」自体、私たちの世界とは、魔法が学校で教えられている辺り、既に違っている。 ストレートに面白い本。同シリーズの「魔女と暮らせば」と似ているという話も聞くが、そちらはあいにく未読なので、既読の中では一番エンターテインメントな物語ではないかと。映画化されてもおかしくない、展開のメリハリと爽快なラスト。面白い本を読みたいと思っている少年少女が知り合いにいたら、プレゼントに最適の一冊。(本=プレゼント、と考える時点で、既にジョーンズの世界に染まっている) ところで、帯にもC.S.ルイスの「魔術師のおい」に捧げる、とか書いてあるし、連想させるところはあるので、「魔術師のおい」も再読。 確かに、設定、ストーリーで共通する要素は有るのだけど、これを同じだと言い出したら皆同じ様な。例えば、高橋留美子の「らんま1/2」の娘溺泉なんか、「魔術師のおい」の、世界のあいだの池の描写にそっくりだ… とは誰も思わないか。そうそう、ルイスはキリスト教的な価値観から、絶対悪を登場させているけれど、「クリストファー…」での善悪は、それほど絶対的なものではないというのが、大きな違いかも。 (補足) 作者が、「魔術師のおい」を意識して書いたこと自体は間違いないかと。amazon.com上の「The Magic of Narnia」でも、「魔術師のおい」はmy favoriteだと述べているくらいだし。ただ、オマージュであるにせよ、完全に新たな創造、と呼んで構わない出来なので、余り意識しないでも良いのでは、という話です。(2001.10.29) ★★★★☆ |
詳細な感想は後日。(とりあえず、読後のメモ↓) なるほど、前3作を統合する作品で、前3作の主人公も揃い踏みだ、って今までとは随分雰囲気が違うのは、書かれた年代が違うからか。 前の一歩引いた感じの文章も結構好きだったんだけど。
単体の作品では決して味わえない重層的な面白さを堪能。絶対、前3作をもう一度読まないと。こうなると知っていたら、それぞれの作品の印象は全く違ってくる筈なので。★★★★☆ |
その他短編等
魔法使いに関するアンソロジー。著者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ他、という割に、ジョーンズ作品は、既刊「魔法がいっぱい」の「キャロル・オニールの百番目の夢」だけなので、 彼女の作品を求めるだけなら(翻訳を比較してみるつもりでもない限り)敢えて買う必要はないかと。 |
ダイアナ・ウィン・ジョーンズの短編「リトル・ドット」を掲載。一言で言えば、「猫がいっぱい」。★★★ |