ぜうすの領域

 

 Y君は空が好きである。空の中でも雲がほとんど無い晴天快晴という奴、つまりは青空が好きなのである。だから秋の澄んだ空などは眺めるだけでも感動してしまう。空の色一つで感動できるのだから幸せな性格だなとY君自身も時々思うのである。

 いつから空を見上げる癖がついたのかY君にもよくわからないが、多分中学生になってからだろうと思われる。空を見上げることが一種の逃避的行動である以上、中学生というのもY君にとって(当然のことだが)余り楽しいことばかりでは無かったのだ。とにかく流れる雲のように行事、テスト、その他諸々と次から次へと押し寄せてくるのが中学校であった。Y君はいつも、忙しさに縛られている気がした。Y君はそれから放たれたい思いなどでよく空を見上げたのである。よく見ていると、空の色は季節によって随分変わるものであった。春の白くかすんだ青。初夏の緑がかった青。そして秋の高く深い青。Y君の三年間の思い出の上には、さまざまな空の色がかかっているのである。

 ───とまぁ、あどけない空の話であった。

 


 

 …実はこれ、中学校の卒業文集に書いた文章。文中のイニシャルをちょっと変更した以外は、そのまんま、である。そんなの今頃掘り返してくるなよな、ていうか、もう15年以上前なのに、その間、全然進歩が無いのはどういうわけだというか(笑)

 この文章の目的は、密かな悪意(普通、こういう文集に「当然のことながら楽しいことばかりではない」とか書かないでしょ)だったのだが、実際は単なる、負け犬の遠吠えよ〜、のような(^^; その前に内容無さ過ぎという気も。

 ちなみに、ゼウスの領域とは、空のこと。ポセイドンは海とか、そういうことなんだけど、もっと分かり易いタイトルにすべきだって。