空の蒼さを 見つめていると


2007年6月

6/30

 わっ。…もう月末ですか。

 

  間が空いたのはその間、悩み事をずっと引きずっていたから、というわけではなかったのだけど(解決というか決断したわけではなく、とりあえずは一瞬、先送りしただけなのだけど)、続いて買い物で暫く悩んでいたり、あるいはHDDレコーダーの残り容量が危うくなってきたたため、保存予定として視聴を後回しにしていた作品、例えばチャグム皇子やイサコ女王様などを一気に見たりしたことなどもあって… つい更新を放置していた のだった。仕事も(ここ数日を除くと)忙しかったし。

 現実逃避に、この先のライブを衝動的に予約してしまうのも相変わらずで。8/16と11/11の鈴木祥子のライブ、猫森集会2007のうち9/15のAプロ(ゲストが斎藤由貴)を、この先の予定に追加。

 

 見聞きしたものとしては。

 展覧会。6/24に「肉筆浮世絵のすべて」(後期)@出光美術館。6/27に「藤森建築と路上観察」@東京オペラシティアートギャラリー。
 お芝居。6/29に「THE BEE」(日本語バージョン)@シアタートラム。オペラ。6/30にパレルモ・マッシモ劇場「シチリア島の夕べの祈り」@Bunakamuraオーチャードホール。

 詳しく感想を書くかは分からないけど、一言だけ言えば、「THE BEE」「シチリア島」は、それぞれ行って良かった公演でした。

 

6/20

 ここ暫く、自分の中で(今後の方向性を)悩んでいることがあって、更新も停滞中。

 そんな中、年末の「ケルティック・クリスマス2007」だけは、とりあえずチケットを予約。行くのも恒例になっているし。…などと先のスケジュールを入れていることも現実逃避の一つだと分かってはいるんですが。

 

6/16

 暑い… この暑さの中、都内まで出掛ける気力はとても無いので、今日は地元の図書館に行っただけ。そんなわけで、先週行ったところから紹介(明日までですが)。

 

 虎屋文庫の資料展は初めて行った場所 で。予想以上に面白かった。無料だし、展示資料をまとめた44Pの小冊子まで無料でくれるし。赤坂見附から少し歩くけど、それだけのことは有りました。

 今回は「和菓子百珍」と、菓子に関する雑学集みたいなもので、色々興味深いものが紹介されていた(森鴎外の饅頭茶漬けとか) 。しかし、個人的に一番受けたのは菓子にまつわる様々なことわざの紹介。

 「牡丹餅」に関して、「棚から牡丹餅」というお馴染みのことわざに続いて書いてあったのが、「棚から牡丹餅は落ちてこない」。…確かに。真実過ぎて、身も蓋もないけど(^^;;

 

6/15

 「プラハ国立美術館展 ルーベンスとブリューゲルの時代」@Bunkamuraザ・ミュージアム。

 会場前半はヤン・ブリューゲルのような細密絵が中心。ちまちまとした小さな絵が苦手な人には余り向いてないかも。私は嫌いでは無いですけど。

 あと、当時の王侯貴族のコレクションを理解する意味では良いのかもしれないけど、「複製」作品がやたらと多い… そんな中で、ルーベンスの「聖アウグスティヌス」を見ると 、立派な出来というか、アウラが有るなと。向こうの美術館だと、巨大な絵が部屋の壁という壁を埋め尽くすように展示してあって、「…もう、良いです。」という気分に陥ることが多いルーベンスだけど、1枚だけ見ると やはり感心しますね。

 正直、地味過ぎというか、微妙な感じ。「ブリューゲルの時代」なら、ピーター・ブリューゲル(父)の「干し草の収穫」が有るのが本来の「プラハ国立美術館展」というもので、もし来ていたら、自分にとって今年最高の展覧会だったんだけど、まぁ、そんな規模ならBunkamuraではとても開催出来ないか(苦笑)。

 「バベルの塔の絵」に興味がある私としては、ちょっと不思議な形(割と四角い)のバベルの塔を描いた絵を見られただけでも、良かったですが。

 

 それにしても、パッケージツアーでの、プラハでのフリータイム時、「干し草の収穫」を見に、何故、国立美術館まで行かなかったのか、昔の自分を小一時間問い詰めたい(^^;; しかも、ムハ美術館なんて行ってたし。

 

6/14

 「アートで候 会田誠・山口晃展」@上野の森美術館。

 山口晃は、サービス精神に満ちた人だな、と改めて思った。12人の山口晃が出展している「山愚痴屋オリエンナーレ2007」なんて普通、やらないですよ。図譜中の、「すずしろ日記の新作」とでも言うべきアトリエ紹介漫画も、相変わらず期待を裏切らないし。ちなみに、「山愚痴屋オリエンナーレ2007」では私も、11番目の山口晃の展示「解読」が一番面白かったです。

 

6/13

 昨日、今日と、時間に余裕が有ったので、この夏のNHKの企画「失われた文明 インカ・マヤ・アステカ」より、BSハイビジョン版の第1話「密林の王国と湖上の帝国  〜マヤ・アステカ〜」と第2話「マチュピチュ天空に続く道 〜インカ〜」を見たりしていました。

 第1話では、マヤを今流行の「持続可能な」分権型の社会、アステカを拡大指向の中央集権型の国家と、いわば善玉・悪玉のように対照的に描いていて、「NHKの言いたいこと」はよく分かった けど(^^;; そんな単純に色付けして良いのかと。ちなみに、アステカの滅亡原因を、スペイン人の侵略そのものより、それまで圧政を強いていた周辺の国の民が、スペイン人に呼応して反抗したことも大きな原因といった説明をしていたけど本当? 公式サイトの3文明の共通点と相違点という欄はよくまとまっているけど、そういう話は特に強調されていないし。

 第2話は「世界ふれあい街歩き」ばりに、マチュピチュを紹介。こちらも、インカ帝国を全ての民が豊かに暮らしていた桃源郷のように描いているのはどうかと思ったけど、遺跡番組としてはさすがNHKという出来。3文明の中ではやはりインカが一番、自分に近いというか、琴線に触れるような気が。気のせい、かもしれないけど。

 

 ちなみに、私より少し上の世代はマヤに割と強い思い入れがあるようで(例えば、「上と外」を書いた恩田陸とか)、それは多分、少年マガジンでの、大伴昌司による大図解とか、あるいは「三つ目がとおる」といった、70年代のオカルト・古代史ブームでの刷り込みが大きいのではないかと。

 私自身もそういうイメージは多少残っていて、マヤ文明と言えば何か心にときめくものがあると、ずっと思いこんでいたのだが、実際に「マヤ展」とかを見に行ってみると、驚くほど何も感じないのだった(別の文明なんだから、当たり前と言えば当たり前だけど)。考えてみたら、密林とか蒸し暑いところは大の苦手だし(そういう問題?)。

 

6/12

 誕生日だから?1回休み。

 運転免許の更新に行ったり、細々とした買い物をしにいった位で、のんびりと過ごす。昔は誕生日というと、ぜいぜい言う位、慌ただしく働いて、自室ではっと気付くと、あっ、日付もう変わってる、みたいな一日というイメージだったので、こうやってのんびり出来るだけでも「良い一日」だったかも。…まぁ、ちょっと暑かったですけど。

 

 ここ数年、変わらないことをもって良しとする(振り返ってみた時に)ようなところが有ったのだけど、今年は自分の出来ることはやった上で、という但し書きを最優先にしようかと。結果はどうあれ、去年と同じだけの一年で終わらないことが、広い意味での今後の自分に繋がっていくことを期待して。

 

6/11

 エルンスト・ルビッチ「花嫁人形」「白黒姉妹」@有楽町朝日ホール。

 前者はルビッチ版「AIが止まらない」(嘘)。女性恐怖症の貴族の若者が、叔父からの結婚命令に、精巧なからくり人形を持参して何とかしようと、人形師の店で人形を買うが、実はそれは人形師の娘の方で…みたいな話。ウィットとかそういう以前の純粋ギャグの連続に笑う。馬車の馬を人が演じているところが特におかしくて。

 後者は対照的な姉妹のそれぞれの恋愛談。体格まで違うように見えるのだけど、実は1人2役なのか。凄いな。

 開場10分前に何とか辿り着いたけど、整理番号で400番。まぁ、辿り着けただけでも良しとしようと、後部正面の座席を見付けて座る。ちなみに、開場を待っている時、隣の列、300番辺りには蓮實先生が普通に並んでいた。ルビッチに来るのは当然だとして、いつも並んでいるのか。

 

6/10

 蒸し暑い…

 今月の日記を読む限り、全然そういう風には見えないと(自分でも)思うのだけど、それなりに憂鬱なことも色々と有ったりする毎日。なので、誕生日前くらいは極上の笑いを堪能しよう、と明日については、「ドイツ映画祭2007」から、ルビッチのコメディのチケットを前々から購入済。シネフィル的には今日のプログラムも見るべきだったのだけど、元々の目的がそういうことなので、明日だけ見ようかなと。

 実は誕生日に年休の予定を入れていたりするので、果たして明日、開演時間までに朝日ホールに駆け付けることが出来るか、やや不安ではあるけど。

 …そうだ。休みと言いつつ、誕生日の予定を(免許更新に行く以外)何も考えていなかった。とりあえず観に行きたい映画というと。「プレステージ」かな。

 

 Book。和田秀樹編 「ロシア史」山川出版社。

 他の国同様、ロシアの歴史も怪しい記憶しか残っていないので、通史を通読してみた。ロシアの元々の語源「ルーシ」がノルマン人の一派だったということすら、初耳だった。←無知

 それにしても、後進国の歴史というのは読んでいて悲しいものが。歴史にifは無いとはよく言うけど、ロシアの場合、どんな条件を設定しても、強権国家による支配というbad endから逃れられない気が。一言で言えば、ロシア特有の農奴制が後々、全てに悪影響を与えていくわけなんだけど、では、いつまで戻れば、違う選択肢が有ったかと考えても、どこまで遡っても これだという分岐点が見えてこない…
 

6/9

 展覧会消化日。

 「蒼海 副島種臣 全心の書」@五島美術館 →「大正シック」@東京都庭園美術館 →春季展「琳派―四季の“きょうえん”」@畠山記念館 →「ヴィクトリアアンドアルバート美術館所蔵 初公開浮世絵名品展」(後期)@太田記念美術館 →「和菓子百珍」展 その2@虎屋文庫資料館 →「開館40周年記念展 山種コレクション名品選」@山種美術館。

 時間的にはもう一つ位、回れそうだったのだけど、体(主に足)の方が限界だったので、6つ目で終了。こうやって一気に回るから、感想が追い付かなくなっていくんだよな…

 

 出掛ける直前に、今日が新国立劇場の「タンホイザー」の発売日だったことを思い出す。11月のドレスデン国立歌劇場の「タンホイザー」の前月なので、予習の意味で出来れば見ておきたい。とはいえ、家でネット予約していては、一日回るという計画自体が崩れてしまう… 仕方ないので、現地(上野毛)で電話予約をすることにして、そのまま出掛ける。

 10時前、上野毛駅を降りると、目の前がローソン。この際、ローソンで予約をした方が良いかと思ったのだが、Loppiを10時まで占有していると悪いかな、と油断したら、若い兄ちゃんに発売時間直前に取られてしまった(^^;; …まさか、こんなところで予約するような輩が他にもいるとは思わなかったよ。しかも、何のライブを取ろうとしているのか、諦め悪くだらだらと照会を掛け続けているし。ようやく解放された後、私も予約。

 まぁ、目的の席は取れたので、結果的にはOKだったんだけど、あの18分が無ければもっと良い位置の席が取れたのに…

 

 もっとも、10月については実は予定が定まっていないところもあって、この努力自体が水泡と帰す可能性も。

 リフレッシュ休暇という名の一週間休暇が今年は取れる筈で、この時期にその休暇でもう一回旅行に行くとすると、このチケットか、その先週のベルリン国立歌劇場の「トリスタンとイゾルデ」を無駄にすることに… 後者はせっかく取れたチケットだけに凄く勿体ないんだけど、でもスケジュール的にはそちらを切った方が色々と好都合。オペラはいつか見られるけど、旅行は行こうと思ってもそうそう行けないからなぁ…

 まぁ、その休暇を毎回のように旅行で使ってしまって良いのか、という問題も有って。もっと自分の将来?のために地道に使った方が良いんじゃないかとか。どうしたものかしら。

 

6/8

 昨日の日記を書く際に、NODA・MAPのサイトを見たら、6/22からの「THE BEE」の日本バージョンの追加席発売情報が。しかも発売日が6/8、と明日の話。一般発売時に日本バージョンを見事に敗北し、やむを得ず、後半のロンドンバージョンだけとりあえず購入していた者としては、これはチャンス。とはいえ、金曜の10時といえば言うまでもなく仕事中…

 ともあれ、本日11時に昼休みを取り、駄目元でぴあに電話を掛けてみたところ。休日分はさすがに売り切れだったものの、自分にとって一番都合の良い、金曜の夜を無事に確保。良かったけど、1時間経っても残っていたとは意外。急遽決まったのか、追加発売のメールが来なかったのが勝利の鍵だったのかも。あとは、月末の19時半までに、無事に辿り着けるかが問題…(でも、まぁ、三軒茶屋って割と近いし)

 

 予定外に早めに仕事が終了。今日が早く終わるとは全く予想していなかったので、どうしたものか少し悩むが、せっかくの機会を逃すのも勿体ないので、「パルマ展」@西洋美術館の夜間延長へ。本当は会期が短い「会田誠・山口晃展」の方にまず行くべきなのだけど、金曜はイベントデーとかで作者のギャラリートークが予定されているので混むだろうと。本人のサインが欲しいとかそういうわけでもないしなぁ…

 

 で、「パルマ展」の感想。

 ……う〜ん、玄人狙い? 充実しているけど、すっきりしないというか、余り楽しくはなかった。美術史的に新しい取り上げ方という意気込みは伝わるけど、相変わらず説明下手というか、説明不足過ぎ。

 反面、絵画の主題、つまり聖書や聖人の物語だけは詳しく書いてあったりして。そりゃ、どういう話が描かれているか誰でも分かった方が良いだろうけど、「パルマ展」でやりたいことってそういうこと ?

 大雑把に言えば、フィレンツェやローマを中心とした美術史で見た場合、ルネサンス、マニエリスム、バロックと美術様式の断絶と見え勝ちな流れが、パルマの画家を追っていくと、もっとスムーズに繋がって見える 、という主張を込めた展覧会だと思うのだけど、個々の画家についてアピールしたい特徴の説明とかは(図譜には書いてあるのかもしれないけど)会場内には殆ど無くて。

 美術館としては「見れば分かる」的な考えでいるのだろうか。あるいは「意見」を言うことに慎重なのか。しかし、その程度の情報量の説明しか出来ないのなら、地味で面白味の少ない展覧会と受け取られても仕方ないと思う。実際、華には欠けるし。コレッジョやパルミジャニーノが一応の主役なんだろうけど、決定的な1枚はなかった 感じ。

 今回最も強い印象を残すのはスケドーニの「キリストの墓の前のマリアたち」(このページでは「墓を訪れる三人のマリア」)。そのペンキ絵のような塗り方は特異。個人的に好きなタイプの絵かと聞かれたら、むしろ全く逆なんだけど(^^; 暴力的な性格からカラヴァッジョと似た生涯を送ったと、さきほどのサイトに書かれているのを読んで妙に納得。でも、確かに時代をいきなり飛び越えている革新性は感じ させられた。

 ちなみに。気になる人もいるかもしれないので言っておくと、グッズ売り場ではパルマハムも一応売っていた。あえて、あすこで買う人はそうはいないだろうけど。

 

 明日は(来月の旅行が近付く前の今のうちに)、現在開催中の展覧会(で行く予定のもの)をあらかた回っておこうかと。むー、5個以上の美術館を1日で訪ねる場合、どう回れば一番上手く行くのやら。こういう複数条件での最適解を瞬時に計算してくれる、高度な乗換案内のソフトとかが有れば良いのに。

 

6/7

 BS-2の「ミッドナイトステージ館」。いつの間にか、日曜の深夜から、金曜の夜(24:05〜)に変わっていたんですね。知らなかった。

 

 今週の放送予定は「昭和演劇大全集」の1本として、劇団夢の遊民社の「小指の思い出」。うわ、「昭和演劇」と言われると、凄い過去のような気がしてショックだ…

 ちなみに、夢の遊民社時代のビデオは、学生時代にレンタルビデオ屋で一通り見ているのだけど、「半神」と最後の「贋作・桜の森の満開の下」を除くと、いずれも舞台の映像化という意味では余り上手くなかった覚えが。この「小指の思い出」も、ビデオの映像より、元になった野田秀樹の「当たり屋ケンちゃん」という小説の方が遙かに面白かった(と当時は感じた)。今見直したら、違う感慨もまた有りそうだけど。

 しかし、今回見逃せないのは、今までに何回も放送されている「小指の思い出」ではなくて、何と1980年に収録した野田秀樹のインタビューや、当時NHKで収録された「二万七千光年の旅」のダイジェスト映像が流されるという前半の解説パート。どちらも僅かな時間のようだけど、 極め付けのレア映像なので、とりあえず録っておかなくては。

 

 Book。栗原成郎 「ロシア異界幻想」岩波新書。

  図書館でロシア関係の本を探していて目に入った本。ロシア+(個人的に関心がある)民俗学、ということで、旅行には全く関係ないけど(^^;;借りてみた。

 ロシアの民衆に広まっていた終末論的信仰を「鳩の書」という民衆宗教詩を通して説明するのが中心だけど、面白かったのはそれより、ロシアの農村で、家に住んでいるという祖先の霊の化身「ドモヴォイ」の紹介。大事すると良いことがある(一方、粗末にすると祟ったりする)、悪霊と守護者の中間位の存在らしいのだが、これってムーミンの冬の話に登場する「ご先祖様」と何だか似ている。

 ムーミンの世界はフィンランド(とスウェーデン)の(カトリック以前の)土着的信仰と地続きなんだろうな、とは昔から思っていたけれど、ロシアの民俗信仰とも実は意外と近いのかも。


 

6/6

 「ヘンリー ダーガー 少女たちの戦いの物語−夢の楽園」@原美術館

 

 展覧会自体は4月の半ばからやっていたのだけど、ようやく、水曜日の帰りに、見に行く暇が出来たので。

 ダーガーと言えば数年前にワタリウムでの展覧会を 見た覚えが有るけど、その時の作品群とは毛色が違う…と思っていたところ、受付で貰ったチラシに「拷問や殺戮といった残酷な情景も数多く描いたダーガーですが、本展は、少女たちが無邪気に遊ぶ楽園のイメージを中心に構成します。」とあるのに気付いて、初めて納得。

 前回と違うタイプの絵(コラージュ作品とか、「オズの魔法使い」を連想させるコミカルな絵とか)を見られたのは楽しかったけど、「非現実の王国」のイメージを紹介するという意味では全体像が伝わりにくいのでは? でも、久々にダーガーの絵の実物を見ることが出来て良かった。私だけかもしれないけど、あの色遣い(と画面構成)を見ていると元気が出てくるというか。

 ショップに寄ったところ、珍しく図譜は有ったのだけど細長い(上に1枚1枚が小さい)… 悩んだ末に、図譜(24千円)は止めて、代わりに「HENRY DARGER'S ROOM  851 WEBSTER」(株インペリアルプレス)という、ダーガーの部屋を撮った写真集(3150円)を購入。

 まぁ、ダーガーの部屋の写真が何かの役に立つかというと、恐らく直接的には何の役にも立たないのだけど、自分の中で忘れるべきではない「風景」として手元に置いておく意味は有るのではないかと思って。

 受付で貰ったチラシの内、もう1枚は、昨年日本で公開する予定がいつの間にか消えていたダーガーのドキュメンタリー映画のチラシだった。あれ、シネマライズに変わってる? しかも、「2008年 公開決定!」って来年じゃん。2004年制作 の映画を公開するのが何故、更に1年先送りに… まぁ、公開されるだけ良いか。

 

 ところで、会場の隅には、ダーガーがトレースした少女のイラスト(雑誌の切り抜き)なども。当時の米国の大衆文化のイメージ(主に少女)を、空想上の「王国」を表現する材料として彼は使用したわけだけど、彼のような人物が、もし現代日本の漫画やアニメを見て同じことをしたら、どんなものからサンプリングをして、どんな世界を作り上げたろうか、としばし妄想に走ってみたり した。

 ……だ、駄目だ、パロディしか思い付かない。「マリみて」キャラによるヴィヴィアン・ガールズとか。しかも、妙に似合っている気がするのがまた何とも…

 

6/5

 神奈川近代文学館から、チケットが来ました。

 といきなり書いても何のことやらですが、近代文学館の企画展として、「佐藤さとる コロボックル物語展」が8月に開催されることを、ひまわりさんの「小さな国へのみちしるべ」という、コロボックル物語のファンサイトの日記で先日知って、しかも、佐藤さとるご本人の講演会も8/4にあるというので、(佐藤さとるの物語で育った私としては)それはもう聞きに行くしか 無い!と、先週、さっそく郵便振替で送金していたのだった。

 で、一週間後に到着したチケットを見たところ、チケット番号がNo.168。

 今の段階では講演会の存在自体、知る人ぞ知るといった程度だろうから、まだまだ余裕に違いない、と思っていただけに意外。定員220人に対して、残り50席だ(No.1から採番しているとすれば)。う〜ん、そんなに(飛びつくように)熱心な佐藤さとるのファン層が150人もいるとはとても思えないですけどね… (誰の講演でも必ず来る)近代文学館友の会の常連枠?が150人分位有るとか?

 まぁ、チケットは確保済だから、その辺の事情はどうでも良いといえば良いのだけど。問題はむしろ、話題となる筈の昨年の最新刊をまだ読んでない(買ってない)ということで。早く読まないと。

 とりあえず、旅行までは「ロシア月間」の予定なので、その後かな。そういえば、7月はD.W.ジョーンズの新刊も出たりするんだっけ…

 

 Book。小町文雄 「サンクト・ペテルブルグ よみがえった幻想都市」中公新書。

 そんなわけで、ロシア月間。コンパクトな都市紹介として良かったけど、行ったことのない街の通りを描写されてもピンと来ない。もっとも、既に行った街について、こういう本を読もうとは思わないわけで…

 

6/4

 気のせいかもしれないが、今年は「水」をテーマにした展覧会が多いような…

 現在開催中の横浜美術館「水の情景−モネ、大観から現代まで」に続いて、今月からはサントリー美術館で開館記念展II「水と生きる」が開催予定だし、名古屋の徳川美術館では「"水”七変化−デザインされた水の形−」とかいうのをやっているらしいし。他にも茨城県近代美術館の7月末からの「水の情景展」とか、関西の逸翁美術館の夏期展「美術にみる水のすがた」とかいうものも有ったりするし。

 たまたま? それとも、その年々でコンビニで流行するフルーツが異なるように、展覧会についても、その年の流行りモノを前もって誰かが決めている、とか?

 

6/3

 藤原歌劇団「リゴレット」@神奈川県民ホール。

 舞台装置は余所の国の歌劇場のお下がり?らしいが、返さずに産業廃棄物として捨てた方が…と辛辣な意見を書かかれていた方がいたように、小学生が失敗した水彩画のように薄汚い黄土色の壁面。誰かのように段ボールを敷き詰めて壁でも作った方がまだマシというもの。

 オーソドックスとはいえ、ゴチャゴチャとしているだけの登場人物達のコスチュームも見苦しく、登場人物陣もタイトルロールはともかく、マントヴァ公爵をやるのはどう考えても10年早い、色気のない若い歌手。昼と言えば単純な光だけ、夜と言えば暗いだけ、の見難い舞台。演出と言う言葉を一切感じさせない、棒立ちの登場人物達。

 舞台上を見続けたいと思う要素が殆ど無かったので、殆どの時間、舞台ではなく、リッカルド・フリッツァの指揮の様子を眺めていました(^^;; 普段は指揮者が見えない席が多いので、こういうのも新鮮かと。というか、演奏はともかく、酷い舞台だった。演出と舞台装置だけでも、もっとマシにする方法は幾らでもあったと思うんだけど…

 まぁ、指揮者を除けば、元から期待はしておらず、11月のドレスデン国立歌劇場の公演(場所は同じ)で、現在持っているD席とF席のどっちにすべきか、事前に確認するのがむしろ今日の目的だったので。

 実際に見てみると、問題のF席(左端)でも舞台を見るだけなら大丈夫な様子。ただし、真ん中にあるD席の方が気持ちよく見られそうなのは確か。同じ3階席後方で20メートル位しか違わないのだけど、見た目は結構違う。まぁ、値段も1万1千円ほど違うけど。う〜ん、どうせ見るなら、やはりD席の方かな… 「タンホイザー」だから、公演時間も長いし。あ、そういえば新国立劇場の「タンホイザー」も10月にあるんだっけ…

 

6/2

 (広い意味での地元民として)一度は行かなくてはなるまいと思っていた横須賀美術館へ。GW中は大混雑していたようだけど、今は予想通り、静かな館内。それにしても。距離の割には、家からは行き帰りに時間が掛かり過ぎ… いっそのこと、時間が掛かる場所だと開き直って横須賀から船で行く方が楽しいかも。

 展示内容、特に「開館記念《生きる》展」の方については書きたいこともあるのだけど、それはまたの機会に。

 そういえば、先月の旅行(の残り2日)については、やはり先月の日記に書かないと収まりが悪いので、いずれ先月の方に追加するつもり。まだ書いていませんが。
 

 

 来月の旅行。ツアーの募集状況を毎日チェックしていたところ、14,5人だったのが、ここ数日で急に人数が増え、今日でついに満席の25人に。

 ロシアの場合、ビザ取得のため申込みの締め切りが早いので、締め切りまであと一週間だと思っていたのに(^^;; 勿論、こういうこともあろうかと、募集人数が通常の30人より少ない日(飛行機がそれしか確保出来なかったため)を元々選んではいるのだけど、本当に満席になるとはね。当たり前のことだけど、混んでいる観光地をツアーでうろうろするなら、人数が少ない方がスムーズなわけで。 

 7/29発だと募集人数が20人に減っていて(やはり飛行機の関係か)、そちらに移動しようかとも思ったけど、職場内での休みを今さら調節するのは難しいし 。20人前後が一般的なツアーの適正人数だと思うけど、ま、25人でも何とか許容範囲か…  某社の35人なんてどうなっているのやら。(「最小催行人数」が既に25人だったりするし)。

 

 ええと、書くべきことが色々溜まっているような気もするのだけど、それもまたの機会に。そのためにも、今月はもう少し、こまめに更新するよう努力しよう。

 

6/1

 時間的にはやや無理があったものの、帰りに「水の情景−モネ、大観から現代まで」@横浜美術館へ。

 横浜美術館に寄るのも久々… 品のないサブタイトルから余り期待はしてなかったけど、この美術館らしい視野の広い取り上げ方(と、予算の無い分、代替品でカバーする創意工夫)は健在で、それなりに面白い内容だった。着いたのが7時前だったため、映像展示を落ち着いて見る暇が無かったのが残念。

 作品の中では(普段、写真を見る習慣が無いこともあって)柴田敏雄のダムの写真とクォン・ブムンの雪国の海岸の写真が特に鮮烈だった。

 

 6月から7月上旬までは、自分の中で「ロシア月間」に決定。

 旅行先に関連する書籍を事前に少しだけでも読んでおこうという、いつものアレです。実際には、5月下旬から少し読み初めていたものの、公式?には今日からということで。ちなみに、ロシアは、今の日本では、人気が凋落する一方のようで、地理や旅行ガイド的にはヨーロッパは勿論、中東やアジアよりも遙かに本が見当たらず。まぁ、分からなくもないけど。

 そんなわけで、「ロシア月間」といいつつ、実際には、学生時代以来、全く読んでいない、ドストエフスキー再読月間になりそう。「カラマーゾフの兄弟」の新訳がちょうど折良く刊行中だったりもするし(最終巻が、行くまでに出そうもないのが残念だが)。今の読書ペースでは、「カラマーゾフ」と「罪と罰」ぐらいがせいぜいだろうけど…