空の蒼さを 見つめていると


2009年3月 / 先月(2009年2月)

3/31

 ここ数日、朝、目を覚ますと、外で決まってウグイスの鳴き声が。どうやら、家の庭か、近所の庭に毎日飛んできては鳴いているらしい。そんなことでも春を感じる今日この頃。けきょけきょ。

 

 今日の日経の文化欄の一面を使って、この秋に東京国立博物館で開催予定の「皇室の名宝−日本美の華−」展の紹介が。

 御物や、正倉院、三の丸尚蔵館、書陵部、と宮内庁関係なら何でも有りの展示のようだけど、中でも若冲の「動物綵絵」全三十幅と永徳の「唐獅子図屏風」が、展覧会の二大目玉、ということらしい。

 三十幅並べるだけでも結構な場所を取るので、個人的には他の作品を選択してもらった方が良かった気もするのだけど、主催者的には今どきの売れ筋は逃したくない、という ことなのかも。主催者といえば、博物館、宮内庁、NHKが主催なのは分かるけど、「特別協力」として日経と読売新聞が共に入っているのはちょっと変わった形での協賛かと。まぁ、色々と政治的な力関係が有ったり無かったりするんでしょうけど…

 それより何より、その次の特別展(2010年2月〜3月)が「長谷川等伯」ですって? 前々から予告していた京都国立博物館だけでの単独開催(4月〜5月)だと思ってましたよ。 近くで見られるのは有り難い話ではあるんだけど、でも、平成館って絵をじっくり見る場所では決して無いので、出来るなら京博の展覧会を見た方が良さそうな… あと、京都だけの出展作品とかも実は多そうな気がするし。

 

3/29

 ふと閃いて、鎌倉の桜を検索すると、この時期、垂れ桜なら咲いているところもある様子。昼過ぎは日差しも暖かかったので、散歩がてら回ってみた。

 安国論寺→長勝寺→本興寺→本覚寺。結局、いつも見慣れている本覚寺の垂れ桜以外は、今一つだったのだけど、家からの往復で1時間40分と、散歩するにはちょうど良い長さだった。本興寺の紅垂れは来週位だと思うけど、その時期になると、全てが満開になってしまうので、ここまで来る暇がない、という感じ。

 ところで、京都のような、色の濃い華やかな垂れ桜をこちらで殆ど見ないのは何故なんだろう? 暖かすぎて上手く咲かないとか?

 

3/28

 真冬並の寒さの中、会期終了間近の展覧会へ。

 

VOCA展2009」@上野の森美術館。 寒いとはいえ、外にあれだけ人が溢れているのに、中はそれほどでもなくて、ほっとする。

続いて東京国立博物館の常設展へ。今は2階は閉じているのだけど、特集陳列の「酒呑童子」が見たかったので。思っていた以上に、話の細部が凄かった! ぜひ書いておきたいけど、それはまた別の機会に。庭の桜も見たけど、一部を除けばまだ早くて。というか、今年は夜間開放はやらないの? 残念。

第28回損保ジャパン美術財団選抜奨励展」@損保ジャパン東郷青児美術館。 ついでに。色々な答えを聞かされるけど、そこに正解がない、という気分に。いや、幾つかは印象的なものあったんですけど。こちらに比べると、「VOCA」の作品は良くも悪くも今風に洗練されている、という印象。上から見た新宿御苑は人ばかり多くて、桜色にはまだ全然染まってなかった。

 そのまま、府中に直行すれば良かったのだが、ちょうど天気がよくなってきたので、今垂れ桜が満開らしい小石川後楽園に行ってみる。後楽園といいつつ最寄り駅は飯田橋。…う〜ん、何というか、割とチープ。垂れ桜の向こうに雪山のように東京ドームが見えるという光景は有る意味、レアなのかもしれないが、まぁ、入口で行列してまで入るところでも無かったなと。

山水に遊ぶ−江戸絵画の250年」@府中市美術館。

 寒さと外れを引いたことで、くじけつつあったが、府中まで。正直言って億劫だったが、しかし、行けば、行っただけのことはある展覧会で。想像した「西洋の風景」画とか、色々と変わったものが登場。色物以外では、簫白の山水画と、若冲の「石峰寺図」がやはり印象的。後者のゆるキャラユートピアな世界は何度見ても楽しい。個人的にはアバターがうろうろしているネット世界というイメージなんですが。

 二回目に行くまでに図譜の解説を読み込んでおこうかと。ちなみに図譜と双六はセットで購入。この双六が結構、面白いので、行った人はチェックしてみると良いのでは? 「一回休み」ばかりだけど(^^;;

 

3/26

 「源氏物語千年紀 石山寺の美」@そごう美術館。

  石山寺ではずっと集めているのか(あるいは画家に奉納されてきたのか)、「石山寺での紫式部」 の絵が沢山展示されていたのだけど、どうにもワンパターン。まぁ、本人と室内と川に映った月の三題噺とくれば仕方ない気もしますが…

 ちなみに、石山寺には昔一度、行ったことが有るのだけど、岩の多い(だから、石山寺なのか!)山寺だった、という以上の印象が余り無い…

 

3/25

 「東本願寺の至宝展」@日本橋タカシマヤ。

 東本願寺といえば、京都の中でも「でかい」寺の一つ。しかし、4回 くらい全焼していて、今のは明治期の再建らしい。というわけで、至宝といいつつ、今回の展示は明治時代の日本画 とかが中心。まぁ、本当に国宝級の至宝がごろごろ残っていたら、デパートの催場で展示出来るわけがないので、当然と言えば当然なのだけど、寺の規模が規模だけに、やや意外な気も。

 そんなわけで美術的には、かなり地味。その中では、一番のトピックは棟方志功の襖絵かと。一見抽象画のような、カラフルな襖絵。特段、棟方志功のファンというわけではない私でも一見の価値はあったかも。

 歴史的なものの展示も地味な面白さで(^^;; 再建の度に巨木を各地から運搬するのに切れない綱が必要で、そのために髪を奉納するのが信徒の中で行われたとか。髪を混ぜると切れないらしいのだけど、やっぱり髪というのは生々しくちょっと恐い。

 ともあれ、東本願寺と西本願寺が何故、あるのかとか全然分かっていなかったので、この機会に色々と(といっても、wikipedia程度だが)調べてしまった。なるほど、信長と戦争していた頃の内部分裂が元になっていて、西本願寺の方が秀吉に認められた穏健派の三男で、東本願寺の方が後に家康に復活させられた長男なのね。スンニ派とシーア派みたいなものか(全然違う)。

 

3/22

 激しい風雨。人に薦めといて何だか(^^;; 自分は出掛ける用事がないのを幸い、一日家で大人しく過ごす。

 

 再び、展覧会の感想を書くテスト。とりあえず、昨日の他の分から。

 「小杉放菴と大観 ―響きあう技とこころ―」@出光美術館。

 会期終了間際とはいえ、いつも以上に混んだ会場。そこまで有名な人とも思えないので、大観の名に釣られて来た? あるいは何かの招待券?

 そんなわけで、引き気味なところに持ってきて、「元々洋画を志したが、渡欧した際に日本(画)の良さを再発見して、以後は日本回帰した」という展示構成には、反吐を吐きそうな気分に。いや、小杉放菴その人に即して言えば間違ってはいないのだろうけど、司馬遼太郎 のエッセーじゃあ有るまいし、そんな陳腐なナショナリズムを得意げに語られても…

 彼の場合、元々、借り物だった(近代美術館にある小杉未醒時代の、シャヴァンヌのパクリ作品とか)「洋服」を途中で脱いだ、という程度の話なのでは?

 などと言いつつ、実は嫌いではないですが。>小杉放菴

 自らを「挿絵画家」として捉えていたという説明には納得。昔から、絵本のような絵、という印象だったので。展示作品では、牛の綱を手放した農夫の絵が一番良かったかと。酩酊から我に返りつつある瞬間のぎこちなさ。

 

 「筆の美」@五島美術館。

 中学までの習字を除くと、この歳になるまでまともに筆を使ったことが皆無の私には、筆の良し悪しなど全く分からないのだが、「知る」だけでも興味深い展示だった。まぁ、私が単に「無知」なだけですが。

 筆の作り方には巻筆と水筆が有って、今普通に見る水筆は日本では明治以降に作られるようになったとか、筆草(コウボウムギ)という筆のような植物があって、それで書かれた書があるとか。

 あと使用者が分かっている昔の筆が残っている例は殆ど無い、というのも意外。それだけ筆というのは身近な実用品かつ消耗品だったということかも(展示されていた中では家康の筆が一番古かった)。

 この世界も奥が深いらしい。しかし、弘法筆を選ばずともいうよな…

 

 「金氏徹平:溶け出す都市、空白の森」@横浜美術館。

 コレクションの特設展をやっていた筈、と寄ってみたら、企画展に化けていた。そのまま帰るのも消極的過ぎる気がしたので入ってみたのだが。

 そんなテンションの低さもあったとはいえ、まだ個展を開くまでの内容とはとても思えず。美術館の周りのモクレンが満開だったことがせめてもの救い。

 

 朝食時に、新日曜美術館の「中原淳一の世界」をぼーっと見ていたら、彼が世に出した雑誌のうち、有名な「それいゆ」ではなく、少女向けの「ひまわり」の説明に、世界の名作を(彼自身の手による)影絵のイラスト付きで紹介したページが出て来た。

 あの「ウテナ」での影絵って、なるほど、こういう少女雑誌のイメージが元になっているのかも、とふと閃く。いや、まぁ、直接の引用元は全然別のメディア(演劇とか)なのかもしれないけど。

 

3/21

 「小杉放菴と大観 ―響きあう技とこころ―」@出光美術館→「筆の美」@五島美術館→「金氏徹平:溶け出す都市、空白の森」@横浜美術館→「杉浦千里展」@かなっくホール。

 

 とり急ぎ、「杉浦千里展」だけは感想を書いておこうかと。というのも、明後日までで終わりなので。

 博物画なので、面白いことは間違いないだろうとは思っていたのだけど、予想以上!でした。普通に見ただけでも感嘆する、様々な甲殻類の描写は、(会場で貸してくれる)ルーペで拡大すれば、肉眼では気付かない位の細部まで緻密に描き込まれているのが判明して更に驚嘆させられる。「神は細部に宿る」とはまさにこのことかと。

 そして、これだけの画業が殆ど知られることなく、8年も前に、39歳の若さで亡くなっていた人がいたという事実にも嘆息。

 ちなみに、平成ウルトラマンのデザイナーの一人だったとのことなので、知っている人は知っているのかも。

 ともあれ、緻密な博物画に少しでも関心のある人(と甲殻類好きな人?)は何を置いても明日、駆け付けるべき展覧会。場所もJR東神奈川駅(横浜から一駅)に隣接したビルのギャラリーで、思ったより簡単に行けるので、是非。

 参考までに、地元ニュースでの紹介とか。博物画といえば誰もが想起する荒俣宏も(当然ながら?)、この展覧会について言及してますね。

 

 この一週間分に見聞きした他のものについては、明日、かな…

 

3/20

 休み。だけど、仕事(^^;; 家の周りでは、白モクレンが満開。

 

3/19

 「秋季限定栗きんとん事件」(上下)。

 

3/18

 「ラインの黄金」@新国立オペラ劇場。

 

3/15

 試験も終わったので、先月から行きたかった水戸へ。片道3,4時間掛かるだけに、自分としては、久々に小旅行の気分。

 駅前のファーストフードに入ったら、レジの女の子が思いっ切り、茨城弁だった。やはり、ここは小旅行で辿り着いた場所だと思った(^^;;

 

 「没後30年 安田靫彦展」@茨城県立近代美術館。

 安田靫彦のような日本画は、昔は余り興味を惹かれなかったのだけど、今見ると、その線の凄さにはっとさせられる。今の人には引けない、生気のある正しい線。図譜を買おうかと思ったら、既に売り切れだった。

 

3/14

 天気も悪いので、部屋で地味に片付け作業を続行。

 せっかくなので、榊いずみ(橘いずみ)の5月のチケットを購入したり、4月の「ワルキューレ」のチケットをヤフオクで落としたり。後者は平日の昼公演ということもあるけど、定価よりは4千円弱のディスカウントで確保出来たので、得をした、と言えそう。

 試験が終わって一週間経つので、日記の補完に乗り出しても良いのだが、テンションが一向に戻らず。

 

3/13

 来週忙しいと行く機会を逸する可能性があるので、Bunkamuraへ。仕方ないので、当日料金を払って入る。何だか負けた気分。というか、せめてtopカードを持ってくれば前売り料金で入れたのか…

 

 「20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代」@Bunkamuraザ・ミュージアム。

 ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館、つまりはデュッセルドルフの近代美術館のコレクション 。改装中のため、借りて来れたらしい。ピカソが多めなのを除けば、割とスタンダードな近代美術展。

 個人的には、ここの有名なパウル・クレーのコレクションから幾つか見ることが出来たのが嬉しかった。「ブラック・プリンス」とか川村美術館のクレー展などで見た記憶のある作品も有るんだけど、別バージョンなのか、何回も来ているのか? 今回の中ではやはり、ラクダの絵が一番、楽しかったかも。

 今後出てくるとめげるが、多分出て来ないので、次回からのミュージアム・フレンズ3回分を購入。2,300円なのでまぁ良いかと。あと、展示とは関係ないが、つい「忘れそうな天使」のクリアファイル(クレー協会の製品?)を買ってしまった 、実は割とミーハーな私。

 

3/12

  帰宅時の、最寄り駅からのバス。交通事故があったとかで、元々なかなか来なかったのだが、ようやく走り出した後、家まであと6分くらいの場所まで来たところで、ここから先は交通事故 で行けない、と停留所でもないところで(近付いてきた警官に)下ろされる。

 歩いて本来の停留所まで向かっていると、今降りたバスを含めて6台 もの(無人の)バスが、殆ど縦列駐車のように道の片側に続いて停止していた…

 交差点を曲がった後に恐らく車線を飛び出してきた乗用車とこちら側の(先頭の)バスが接触したのが元々の原因らしく、問題の乗用車が車線を跨ぐように道の真ん中で動かなくなっているために、来たバス、来たバスが全てそこで行き止まりになっ た、ということらしいが、6台と言うことは凡そ1時間半に渡って、「バスの墓場」状態が続いていたということで。

 自分の住んでいる住宅地が、まるでシュールレアリスムの絵画にでも変貌したかのような不思議な光景だった。

 (ちなみに乗用車の運転手は既にいなかった(病院に運ばれた?)けど、事件になるような事故では無かった様子)

 

 ふと気が付いたら、まだ3回分残っている筈のBunkamuraのミュージアム・フレンズのチケットが行方不明に。年末以来の片付け作業のために、却って、どこにやったか分からなくなった、不幸な事例。

 

3/11

 「ジョアン・ミロ展」@大丸ミュージアム東京。

 昨年の年間パス が2月で切れていたので、今年はもうやっていなかったらどうしよう、と思ったのだが、予想通り、2009年版を販売中だった。勿論、パスを購入して入場。これでまた一年、いつでも行ける。

 ミロ・ファウンデーションによる、シンボルの解説。なるほど、なるほど。こういうことは何となく思ってはいたけど、ちゃんと教えてくれる人がいなかったので、実はよく分かってなかったのだった。

 例えば、頭が三本髪で表現されている、とか今まで殆ど意識して見たことがありませんでしたよ。…オバQ?

 

3/10

 「上村 松園・松篁・淳之 三代展」@日本橋タカシマヤ。

 松園の描く着物の美しさは、それは比類がないというか。着物を知り抜いていた時代の人ならでは、なんだろうなと。

 

3/7

 終わりました>試験。

 ……まぁ、これが受かっていても、その次の試験(とその更に次の試験!)とやらが、3ヶ月周期でまたやってくるのですが(^^;;

 

 2,3週間振りに手に入った「日常」で、早速見に行ったものの感想(や先月後半の補完)は、明日以降にでも(出来たら良いなと)。ちなみに、行った先は以下の通り。

 3/5 「国宝 三井寺展」(後期)@サントリー美術館。←試験日の夜(^^;;

 3/6 「ルーブル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」@西洋美術館 ←年休を取ったので、夕方から行った。

 3/7 「日本近代洋画への道 −山岡コレクションを中心に−」@茅ヶ崎市美術館。「慈しみのまなざし 関合正明展」@神奈川県立近代美術館鎌倉別館。「伊庭靖子展―まばゆさの在処」@神奈川県立近代美術館鎌倉館。

 とりあえず、一言だけ言えば、笠間日動美術館から借りてきた「山岡コレクション」は(明日までですが)地味に充実しているコレクションで、川村清雄を3枚見るだけでも価値はあったし、「伊庭靖子展」は(知っている人には言わずもがな、なんでしょうけど)かなりお薦めの展覧会、ということで。 

 

3/1

 半日、試験問題を解いていて…(以下略)。

 もっとも、今回やるべきことは今日の段階で、もう済んだので、あとは試験を受けるだけで問題ない筈。まぁ、試験(3月5日)までは一応、復習を継続する予定だけど…