空の蒼さを 見つめていると


2006年7月

7/30

 三の丸尚蔵館の「花鳥−愛でる心、彩る技 <若冲を中心に>」の第4期、大倉集古館の『「随身庭騎絵巻」と男の美術』展に寄ってから、東高円寺のヴァーシティホールへ。

 参加したのはnet radio「ウィッチブレイディオ」の初公録。能登さんの歌う(恐い)童謡が、生で聴けたことだけで満足です(^^;;

 

 この秋以降の大型展覧会の公式サイト、あれこれ。

 ・ベルギー王立美術館展 公開前から、詳細な展示作品リストが掲載されているのが嬉しい。というか、他の展覧会も本来、そうすべき。

 ・大エルミタージュ美術館展 「大」なんて付けると中身が地味だとバレてしまいますよ! 借りられたものに無理矢理、テーマ(「都市と自然」)を設定してみました、という感じ。

 ・クリーブランド美術館展 最近知った展覧会。「充実した日本美術部門などを含め、今日そのコレクションは全米有数」なら、日本美術を借りてきて欲しい。こんな退屈なラインナップじゃなくて。

 ・オルセー美術館展 面白味は無いけど、上記の2つと比べると、さすがに本家 の貫禄というか、作品は充実。

 ・「異邦人(エトランジェ)たちのパリ 1900−2005」 新国立美術館の最初の大型展は、ポンピドー・センターからのレンタル展。有効かつ無難だけど、自分たちの視点で何かを示そうとの意気込みが感じられず、失望。 あと、今どき、異邦人と書いてエトランジェとルビを振ることが出来るセンスには、失笑。

 

 この中で一番受けたのが「クリーブランド美術館展」での「レディースデー」の価格設定。

 「一般:1300円⇒1000円」はともかく、「4歳〜中学生:500円⇒300円」って! こういうのを滑稽だと気付く常識が無い主催者に何を言っても仕方ないのだけど。というか、そこまで平等に徹底することで逆に「レディースディー」なる制度の不平等性(憲法第14条に違反している)が明白になっている、というべきかも。

 

7/29

 この秋のアーノンクール指揮ウィーン・フィル公演の内、11/13のC席を購入。

 まぁ、この組み合わせなら誰もが11/11の土曜日、しかもモーツァルト3大交響曲という夢のようなプログラムを聴きたい!と思うところだけど、残念ながら10秒位の差で間に合わず。

 でも、11/13も第39番は演奏するし、ベートーベンの7番も聴いていて盛り上がる、個人的にも好きな曲なので、これはこれで楽しみ。P席と裏側だけど、横よりは聴き易そうだし、指揮者の顔も見えるわけだし。

 10時10分迄には全公演全席がsold out。オペラだと通常、安めの席と一番良いS席の一部は一瞬で無くなっても、同じく高いA席とかは暫く残ったりするわけですが、クラシックファンの気合いの入り方は凄えと驚いた。ファン層の裾野の広さの違い? あるいは4万円台が分水嶺? そんな中、11/13のC席が買えただけでも(チケット取りの)幸運の女神さまがまだ私に付いているらしい、と感謝すべきなのかも。

 とはいえ、演奏会を聴きに行く、という習慣が無いものだから、誰も歌わないのに1万以上も出す、というのに凄い罪悪感を感じてしまう(^^;; …あの、私の行動、間違ってないですよね?<誰に同意を 求めてる?

 

 その次に「没後50年 溝口健二 国際シンポジウム MIZOGUCHI 2006」の前売りも購入。貴重な休みを取ってまで行くべきか決心が付かず、発売日の今日までずっと悩んでいたのだけど、チケットだけはともかく買っておいた方が後々(行きたくなった時に)後悔しないだろうなと。言っては何だけど、こちらは2,300円と、行けなくても諦めが付く値段 なので。

 と思って、ウィーンフィル公演との格闘を終えた(今回はYahoo!チケットで購入。ぴあ本体だと多分負けてた)10時10分過ぎに、こちらの前売りを買ったら、(入場 時の順番となる)整理番号がまだ一桁だった。

 …うわ、マジ? これは行かないと勿体ない…ような気がしてきた。どうしよう、私の1日だけの夏休み(←本当)を朝日ホールの中で費やしてしまっても良いのだろうか。しかし、エリセも来る予定だしなぁ…

 

7/28

 というわけで。観てきました>細田守「時をかける少女」。

 って昨日と全く同じ書き出し… はっ、まさかタイムリープ? なわけは勿論無くて、もう一回観に行っただけですが。

 感動冷めやらぬまま映画館へまた足を運んだ。というより、「若冲と江戸絵画展」夜間開館の2回目(これも繰り返しだ…)に行くつもりが、行っても1時間しか見られそうもないので、こちらの2回目を優先したというのが本当。まぁ、「時かけ映画」は2回は観る、のは基本でしょ?

 もやもやしていた部分も2回観ると、かなり納得出来てスッキリ。特にタイムリープの方向と回数については「B館」MANGA NEWSのKoujiさんが作られた時間軸表(労作ですがネタバレなので注意)の通り、「正しい」ことが分かって納得。ただし、そうだとすると、 その分、一カ所、大きな矛盾が残る(残している?)ことも分かった。まぁ、論理の整合性よりは感情の一貫性を大切にした作品なのだろうけど。

 個人的には、あの絵に色々引っ掛かるところが有るのだけど、話の展開に触れずに書くことは難しいので、後の方が良いか… ちなみに、あの部屋は企画展示室2(向かって左 )なので、ああいう展示(注意書き)がされることは実際にはあり得ません。

 ところで、感想としては1回目はそつの無さに物足りなさも少し感じたのだけど、2回目は情報量の過不足の無さが逆に心地良かった。まぁ、これで大体、満足したので、後はDVDでも良いかな…

 

7/27

 というわけで。観てきました>細田守「時をかける少女」。

 傑作、ではないかもしれないけど、瑞々しい秀作。少なくとも、もう一度くらいは観に行ってもいいかも。

 木曜夜だというのに、8割の入り。全体的には(通常のアニメより)クールな?感じの2,30代の観客が多かった中、上映後も感動で涙が止まらないまま、席を立てずにいる高校生?の女の子数人のダイレクトな反応がなかなか新鮮で、良かったです。

 

7/26

 「時をかける少女」って、東京でも単館(テアトル新宿)しか公開してないとは思わなかった。やっぱり、平日夜に行くべきか…

 

 昨年夏の旅行記、7/11分をup。ある意味、この日が最も「旅らしい」面白い日だったかも。あくまでも、後から振り返ってみれば、の話ですが。ちなみに、この後の更新目処は未定。

 

7/23

 平日、何かを見に出歩いていると、週末がどうしてもRD-X5に録画していた分の消化デーになってしまう。…まぁ、それでも一週間分全部の消化は出来てないんだけど。

 

 一向に進まない昨年夏の旅行記だが、ようやく向こうでの初日7/10分をup。

 大して何もしてない(バスに乗ってただけの)一日なのに、何故かここで一年止まっていたのだった。

 

7/22

 今日はそれほど暑くなかったので、「エドゥアルド・チリーダ」@神奈川県立近代美術館鎌倉館と「アルベルト・ジャコメッティ −矢内原伊作とともに」@同葉山館のハシゴ。あと、ついでに鏑木清方記念美術館の「鏑木清方と烏合会」展も。

 ジャコメッティ展は(いつも閑散とした葉山館にしては)凄く混んでいてジャコメッティ大人気?と驚いたが、本日、それに関連したイベントで小林康夫・松浦寿夫両氏の鼎談があったせいらしい。

 感想は…補完することを考えるだけで段々、気が遠くなってきたけど、とりあえず後日、ということで。

 

 明日のトップランナーは束芋。そういえば、原美術館にもそろそろ行かないと。新作「ギニョラマ」は夜間のみ公開らしいので、行くなら水曜の夜かな。

 

7/21

 鈴木祥子ソロライブ“solo”@Shibuya O-EAST。

 何か割と緩い感じのライブでしたが、まぁそれはそれで。鈴木祥子の歌声を久々に聴けただけでも良かった。

 後半では、坂本真綾への提供曲「風待ちジェット」なども。じつは「夕凪LOOP」以降の坂本真綾のCDって(恐くて)買ってないんだけど。鈴木祥子提供曲を聴くという観点から買ってみようかな。


 

 Googleマップでの日本のサテライト写真が全般的に更新されたということなので、改めて色々と検索してみる。

 以前見た時は自分の住所の辺りだけ、他と比べて明らかにピンぼけとなっていて、それは、コメリカ軍(笑)が大昔に接収したまま今も返却しようとしない地域に隣接しているからなのか?と、その政治姿勢にいたく不信を覚えた、というか、使えねぇ!と思ったため、サテライト写真については殆ど利用していなかったのだが、今度の更新時では(それともずっと前からかは知らないが)その手のタブーは廃止されたようで、横須賀軍港だろうと皇居上空だろうと、ちゃんと表示されるようになっていて感動した。手始めに渡月橋とか、金閣寺とか、京都の観光名所を片っ端から入れて遊ぶ私(笑

 今住んでいる家も今度は屋根の色と形が分かるくらいの解像度で表示される。別にリアルタイムの写真では無いのだけど、何かこう、上から見られている(誰に?)気分に。

 自分の住所の近くでは、周辺の丘陵が緑というより茶色いので、冬季に撮った写真らしい。と周囲の様子を色々と眺めていたら、西の丘の辺りが、草原だった辺りは造成され掛けているが、その横の丘陵自体はまだ残っていることに気付いた。

 その丘陵は昨年後半から今年に掛けて乱開発が進み(環境保全が常識となった今の時代に!)、今も毎日、その丘(と木々の緑)が消えつつあるのがこの2006年の「現実世界」なので、Googleマップで上空から見ることが出来るこの景色は2005年の初め(に撮影した写真)と推定される。ネットにだけ保存されている1年前の自分の周りの世界。

 舞浜サーバーはそんなに遠い未来の話じゃない、ような気がしてきた…

 

7/20

Cinema   小田一生 笑う大天使」  渋谷シネ・アミューズ

 「笑う大天使」に限らず、川原泉の全作品に今まで少なからぬ影響を受けてきた者としては、まぁ観ないわけにもいかないでしょ、ということで。

 ええと… 既読者としては、原作との差異も含めて(というか差異の大きさに)、割と楽しめました。

 主役3人の内、上野樹里の史緒と平愛梨の柚子はイメージ的にはかなり良かった(除く関西弁)だけに、登場人物のファッションや振る舞いが全然ノーブルじゃなくてお嬢様学校には見えないのと、映像センスがTVドラマ並なのと、脚本の作りが甘くて原作の良さを余り上手く再編集出来ていないのが勿体ない…

 あくまでも既読者が突っ込みを入れまくりながら観るべき映画? でも、出来はともかく、観ていて嫌な気分にはならなかった(監督が原作を好きで作ったことは分かる)ので良しとします。

 

 「観用少女特集号」を注文するついでに(送料を0にするため)一緒に頼んだ火浦功「高飛びレイク」がようやく届く。

 …分厚っ。ノベルス版なのに692Pって、京極夏彦ですか。通勤時に立ったまま片手で持って読むのは辛そう。

 

7/18

 Novel。アーシュラ・ル=グウィン「帰還」。

  ここからは読むのは全く初めて。賛否が(というより、3巻で終わってさえいれば…といった強い嘆きが)有るのは知っていたけど、聞きしにまさるつまらなさだった。本当に。

 フェミニズムの立場からアースシーの世界を捉え直す作品を書かなくてはいけない、と3部作を書いた後の作者が考えたこと自体は分からなくもない。分からなくもないが、どうしてフェミニズム文学って、こうも貧しい内容に終始するんだろう。ル=グウィンでさえも、こういう小説を書いてしまうことに驚きを覚えた、というのが最初の感想。

 ゲド信者というほど、3部作に思い入れが無いので(数十年間、一度も読み返さなかったわけだし)、作者が書きたかったのなら、それはそれで良いか、と一応は思ったのだけど、ネットで他の人の感想をぱらぱら眺めて本作を絶賛しているものを見ると、もの凄くムカっと来てしまった。ので、やっぱり、「この本は好きになれない」ことが分かった。というか、「この本を好きだという人は好きになれない」ことが分かった。

 私の好き嫌いはともかく、こういう作品なら、アースシー以外での物語として書くべきだったんじゃないかと。今更、方向転換するには無理が有ったのでは? 元々保守的な(価値観で描いた)世界なんだし…

 

7/17

 昨日に同じく。 

 ドイツ映画祭2006の今年の目玉企画「ルビッチ再発見」より、「 男だったら」と「山猫リシュカ」を観る。

 後者は凄かった。表現主義的な、雲形定規のような家具。プリクラの背景みたいな、○やギザギザや斜め線などのフレームで区切った画面。高密度なギャグの連射と風刺描写の数々。

 単なる娯楽作品としては色々な意味で明らかにやり過ぎだと思うが、こんなとんでもない作品を作っていたとは! 改めてルビッチ恐るべし、と思い知らされた(勿論、とことん笑わされた)。

 

 

 「没後50年 溝口健二 国際シンポジウム MIZOGUCHI 2006」なるものが8/24に開催されるらしい。小津の生誕百年記念に開催された「OZU2003」(当時のレポート)の溝口版ですね。

 う〜ん、どうしよう… 平日なのだけど、元々8/25辺りに一日、休みを入れる予定だったから、それを8/24に振り変えれば、休めなくはない。しかし、(現存する)大半の作品を観ていた小津と違って、溝口は(恥ずかしながら)余り観ていないからなぁ。若い?時は戦後の格調高い時代劇がどうも苦手で… 戦前の「祇園の姉妹」とかは凄いと思うんだけど。聴くだけで終わってしまうのなら、行くだけ無駄?

 でも、悩んでしまうのは、多彩なゲスト、特にヴィクトル・エリセが溝口について語る姿を直に見られるのなら… という辺り(←ミーハー)。

 実は小津の時もエリセは来日予定だったのだけど、映画制作が入って急遽来られなくなったという経緯が有って、だから今回こそは、という気持ちが強くて。

 本当は、シンポジウムよりも、この機会に恵比寿ガーデンシネマで開催される19本連続上映の映画祭に通った方が得るところが大きいと思うんだけど、開催が9月?  9月だと旅行の準備で忙しい上にオペラの予定を詰め込んでしまったから無理だな… せめてNHKのBSでの12本連続放送(8/26〜)を録っておく位か(でも観る暇は無い…)。

 

7/16

 ルビッチ、ルビッチ!

 ドイツ映画祭2006の今年の目玉企画「ルビッチ再発見」より、「陽気な監獄」と「牡蠣の王女」を観る。

 普段は映画の指定席など絶対買わないところだけど、ルビッチなら見逃せない、と今日明日の両プログラムは指定席を確保して、前から楽しみに待っていたのだった。

 言うまでもなく、凄く楽しい作品だった。後の洗練されている作品と比べると、くどい位にコテコテな笑いなのだけど、ドキリとするような艶笑のセンスはルビッチならではのもので。

 後者では娘の寝室を鍵穴から覗くという些か不謹慎なギャグが繰り返される(その度に「状況」が異なっている)のだけど、このギャグの前提として、ヘイズ・コード上の制限が未だ存在しないことに、新鮮な驚きを覚えてしまった。ヘイズ・コード制定以前、という前にドイツ時代の作品だから 、当たり前と言えば当たり前なのだけど。

 

 その後は渋谷に移動して、VHオープンハウス@DUO(の19時開始の回)。

 新居昭乃の、春のユーロツアーの報告会というか、近況報告というか、そんな感じのまったりイベント。ミニライブも有ったし、こちらもとても楽しかった。

 

 私にしては珍しく非常に充実した休日の使い方という気が。…その分、旅行記を書く暇とかが全く無かったりするのが、悩みどころではあるのだけど。

 

7/15

 本当は、今日は鎌倉の近代美術館→葉山の近代美術館と回る予定だったのけど、余りに暑いので、挫折。

 唯一、図書館へ行って「ゲド戦記」の4巻を回収。あと、ふとひらめいて昨日の映画の原作「タイドランド」を探すと、驚くべき事にあった。余り面白そう、でもないけど、どれくらい原作に忠実だったのか確認したくなったので、一緒に借りてみた。ちなみに、一番気になっていた点、人称については原作は一人称だった。

 

7/14

 蒸し暑い… 余りに暑いので、気分転換を図るべく、非日常系の映画を観て帰ることにした。テリー・ギリアムはここ数作観てないけど、「ブラザーズ・グリム」(当然観てない)よりは「らしい」ようなので。

 

Cinema   テリー・ギリアム ローズ・イン・タイドランド」  恵比寿ガーデンシネマ

 まぁ、何だ。気分転換には確かになったので(夜になって気温も少しは下がったし)、目的自体は果たせて良かった。

 でも、それ以上のことを期待すると、何か違う、という感じかも。終わった後、皆、割と無言で席を立っていた(^^;;

 とりあえず言えるのは、日本の配給会社の売り(原題は「TIDELAND」)とは違って、「アリス」を意識しても意味が無い話だということ。ここで既にやや騙された、という感じがするわけ だが、それはそれとして、それなりに奇妙な物語を最初から最後まで抑揚を付けずに語っている映画で、退屈とまでは言わないにしろ、ほとんど盛り上がらない。

 全作品を観てないで言うのもあれだけど、テリー・ギリアムって、映画監督としては下手というか、演出の才能が根本的に欠けているんじゃないかと。「ブラジル」は今にして思えば脚本の力だったのかも(あと音楽の力)。

 「アリス」というよりは、テリー・ギリアム版「ミツバチのささやき」。というと、凄く面白そうに聞こえると思うのだけど、余りそうではなかったのが非常に残念。

 でも、主人公の少女が凄く上手かったのには感心した。テリー・ギリアムの表現レベルには勿体ない位?

 

7/13

 Comics。川原泉「レナード現象には理由がある」(白泉社)。

 入手するのが遅くなったが、川原泉の新刊が読めるのは幸せな限り。といっても、2年前に今回の短編4作のうち、前半の2作を収録したミニ本「ドングリにもほどがある」を「メロディ増刊」の「まるごと川原泉第1号」の付録で読んだ時は、登場人物達が自信を失っているさまが非常に気になったので、今回読むに当たっても相当に不安だった。

 しかし、最後の作品、川原泉初?のBL漫画(笑)の「真面目な人には裏がある」では、今までのあの冷静なヒロイン像が復活していたので安心。太い点目の表情というのも、川原泉の世界では初めて見るような気がするけど、そういうキャラと合っていて良かったし。やはり、川原泉の作品ではこういうヒロインが一番魅力的ですよ(「ホスト部」の藤岡ハルヒの冷静さってどこかに既視感が有ると思っていたけど、川原泉のヒロイン像とちょっと だけ似ていたから?と今気付いた)。

 残りの「あの子の背中には羽がある」は今時、そう来たか、という感じで。昔から年の差のあるカップル(主におじさんと少女)の淡い恋愛をよく描いていた川原泉だけど、年の差はそのままで、おじさんの方を高校生まで下げてきたとは(当然、少女は小学生に)。まぁ、それはそれで、…良いか。(本当に?)

 ちなみに、今回一番受けた小ネタは「真面目な人には…」の「ホモびと」という表現での「ほーもびと〜、こぞーりーて〜」。えー、だから何?って感じだけど、ま、それはそれで。

 

 あ、思い出した。BLといえば、既に「メイプル戦記」に、ある意味ベストカップルな二人がいましたね。さすが、世間のマイノリティに暖かな視線を注いでいる川原泉。ブームが来る遙か昔から、自然に描いていたのか。

 

7/12

 Novel。米澤穂信「犬はどこだ」(東京創元社ミステリ・フロンティア)。

  最近(2005年)の作品ということで、期待に違わず面白かった。まぁ、二つの事件が同時進行というところは無理があるというか、さすがにご都合主義的な印象が拭えないのだけど、今までの作品が、余りにどうでも良い(本編と無関係な)トリビアな謎を解くことに熱中していたことを思えば、これくらい全てが関係がある世界の方が読んでいて幸福。

 ところで、この苦さは私の個人的な記憶の中では、たがみよしひさの一部の作品と少し近いかも。…あ、たがみよしひさが漫画化したら、面白くないですか、この作品? 日常は3等身キャラでもいけそうだし。

 

7/11

 クロネコヤマトのブックサービス(朝日ソノラマからリンクされてた)で注文したネムキ7月号増刊「観用少女特集号」がようやく届く。

 同時に注文した火浦功「高飛びレイク【全】」が出版社への取り寄せになって、発送が遅れたらしい(しかも、結局、別送に)。amazonだと24時間以内に発送なのに… まぁ、そちらは急いでないから良いけど。

 

 Novel。アーシュラ・ル=グウィン「さいはての島へ」。

 あー、(何となく)覚えてたけど。覚えてたのとは違う(泣

 自分の中では凄い話だった、という強いイメージが残っていたんだけど、う〜ん、意外と普通の作品だった。あれかな、小学生という、人は死ぬということを初めて意識した時期に読んだということが、印象の強さに繋がっているのかも。あと、当時は間違いなく若者のアレンの立場で読んだと思うのだけど、今読むと大人のゲドの視点になるので、その辺も影響しているとか。

 この話を原作に忠実に映画化したら、教条主義的なメッセージと単調な展開で、割と退屈な作品になると思われるので、ジブリ映画では色々な事件やら災害やらを織り込んで、派手にしているんだろうなぁ。

 こうして振り返ると、2巻目が一番出来が良かった。2巻目がいきなり「外伝」スタイル、という思い切りの良さも格好良いし。ゲド本人も一番魅力的だし。

 もし3巻までがもの凄く良かったら、昔の通り、ここで読むのを止める、というのも一つの選択と思っていたけど、この程度なら、次にどんな話が来ても耐えられそう。なので、残りも続けて読んでしまおうかと。

 

7/9

 ロンドンのテロから一年ということは、その直後に出掛けた英国旅行からも一年。

 

 というわけで、今こそ旅行記を開始!と思って、この週末、部屋に閉じこもっていたわけですが、一年という時間の影響は大きくて、全然進まない。

 それでも、始めた以上、今日は「昨年の7/9」分をup。(1日目は向こうに着くまで、だけなので、別に面白くもないですが)。

 本当は一週間掛けて一年遅れで毎日更新をしようと目論んでいたのだけど、一年間書けずに放置していたものを一回の週末だけで何とか出来る筈もなかった。一応、この先も継続予定。軽めでも良いから最後まで早く辿り着きたい。そろそろ、今年の旅行の予定も真面目に立てないといけない時期になってきて、昨年の旅を振り返っている暇は余り無いので。

 

 今回ショックだったのは、写真だけは昨年upしておいたんだよな、とリンク先のフォトアルバムを確認したら、自分のフォルダが全て削除されていたこと。

 うわー… そういえば、最近、編集してなかったけど。勿論、ローカルで持っている写真ばかりなので、他のところに再upは可能だけど、写真毎に名前を付けるのには、凄い時間が掛かった覚えが。スペイン旅行篇とトルコ旅行篇が特に…

 仕方ないので、とりあえず、英国旅行の写真だけは別のところに再アップ。写真を上げただけで、名前とかは付けてませんが。

 

7/7

 昨年の、あのロンドン地下鉄テロから、もう一年が経ってしまったんですね…

 

 混む前に、まずは1回。ということで、東京国立博物館の「若冲と江戸絵画展」の夜間開館へ。

 時間さえ許せば、金曜夜は毎週行きたい位だけど、少なくともあと1、2回は見に行くつもり。こういう機会に、日頃不足している(シュークリーム分ならぬ)江戸絵画分をせっせと補給しておかないと。

 

 感想は後日。とりあえず、「今日の東博」の感想としては、20時に平成館を出たら、満開のクチナシの甘い香りが強く香っていたのと、正面の池で蛙がガーガー鳴いていたのが印象的でした。…って、そういうことはどうでも良い?

 

7/4

 電車の座席でゲド戦記(2巻)を読み終えた後、ふと目を上げたら、真っ正面にあったのが、「ゲドは言う」とかいう読売新聞の広告だったので、ちょっとびっくりした。

 

 Novel。アーシュラ・ル=グウィン「こわれた腕輪」。

 ああっ、これか。覚えてなかったけど、覚えてたよ!(意味不明)。

 2巻はこれまたパターンそのもの、な展開ではあるけれど、今読んでも、格好良いですな。ラブストーリーとしても普通に読めてしまう(何て言ったって、迷宮に囚われている少女に、自分を救い出してくれる男の人がやってくる話なので)。「忘却の旋律」の迷宮話って、そういえば、これが元ネタだったりするんだろうか。まぁ、クレタ島の話から直接来ていても不思議ではないけど。

 

7/3

 この前の「ネムキ増刊 観用少女特集号」をずっと探していたのだけど、見つからない。考えてみれば、「ネムキ」ですら余り見掛けないのに、その増刊号を探すなんて相当に難しいに決まっている。

 ということで、朝日ソノラマのサイトから直接、クロネコヤマトのブックサービスで注文してしまった。1冊だけだと送料が掛かって勿体ないので、火浦功の「高飛びレイク【全】」と一緒に。どうせ、これもいずれ買わないといけない本だったので(ハヤカワ文庫の3冊を持っている者としては1500円は高いけど)。

 

7/2

 ベッリーニ大劇場「ノルマ」@よこすか芸術劇場。

 よこすか芸術劇場はいわば地元、なのだけど、利用するのは今回が初めて。サイド席は舞台の半分(奥側)が見難いというのはサイトにも書いてあるし、電話予約する際にも言われたので覚悟はしていたのだけど、4Fのサイド席に座ってみて、驚愕した。舞台の奥とかいう以前に、目の前の手すりが邪魔で、前が全然、見えない…

 というのは、元々の手すりの他に、金属製の手すりが、丁度、座った人の目線辺りとなる高さにもう一つ設置してある。劇場の元の設計者の意図とは別に、消防局の指導か、高所恐怖症の観客のクレームか何かは知らないが、後から余計な手すりを付け加えた格好。本当、酷すぎ。そうするしか安全上、無理というのなら、そんな席はそもそも販売すべきではないと思う。まぁ、幸いなことに、中央の席の辺りもかなり席が空いていたので(以下略

 この前の「夢遊病の娘」が初々しいバカップルの痴話ゲンカだとしたら、「ノルマ」はどろどろした中年(でも無いのだろうけど、本当は)カップルの不倫関係の清算話。

 ガリア地方の巫女と敵対するローマ将校の恋愛という物語は19世紀のケルト復興ブームの一環?と思ったけど、1830頃というと単にエキゾティズムを満足させる設定、というだけか。なまじ、ケルト的なことに多少の興味があるだけに、この物語を受け入れるのにはかなり無理が有って。しかも、ノルマ視点なら「悲劇」かもしれないけど、一般民衆(コーラスの人達)の立場で見たら、こんなに愚劣な結末は無いと思うし。

 つまりは、この物語は個人的には駄目だった。テオドッシュウのノルマは確かに表現力豊かで良かったのだけど、そういう無理やりな物語を超えるまでの魅力とまでは思えず。まぁ、あの強靱な声を地元で!しかも安い値段で聴けたのだから、それはそれで良かったとは思うが。ところで、テオドッシュウのカーテンコールでのお辞儀は毎回、やけに時間を取るポーズだった。横綱の土俵入りとかそういう感じ?

 

 減った分は元に戻す。というわけでもないけど、来年1月の、今度はドニゼッティ劇場の「ランメルモールのルチア」を購入。

 正直言って、来年の1/12(金)が残業せず東京文化会館に直行出来るのか、全く不明なのだけど、安い席なら今からで無いと手に入らないので(今回購入したC席までは発売開始後3分で完売した)

 

 ともあれ、先月からのオペラ月間は一端、これで終了。次回の「月間」は9〜10月の予定(5作品)。その頃に予定している旅行で、1回くらい本場のオペラとかを観たいな、とも思っているのだけど…

 

7/1

 …ああ、もう7月とは。

 蒸し暑い中、出掛けるのは気が進まなかったのだが、三の丸尚蔵館の「花鳥−愛でる心、彩る技 <若冲を中心に>」の第3期が終了間近なので、見に行く。

 このところ寝不足なので、行きの電車で1時間眠り、東京駅から三の丸尚蔵館まで往復して、また帰りの電車で1時間眠り、地元の図書館に寄った後、家に帰ってから、また眠った。何か、「不思議の国のアリス」のヤマネ並に眠りこけていたような一日。

 

 東京駅の近くでイタリア料理店の表の壁に、映画「カサノバ」のポスターが貼ってあった。

 あっ、これって一昨年の秋のイタリア旅行で、ヴェネツィアに泊まった時、サンマルコ広場を占領してロケしていたあの映画ですよね。…って、そういえば、あの時の旅行記って結局まだupしてないから、そんなこと言っても、誰も知る筈がなかった。

 そうか、今、公開中なんだ。最近、映画、全く観てないからなぁ… 監督はラッセ・ハルストレムなのか。題材と合ってない気がするんだけど…