空の蒼さを 見つめていると


2002年4月

4/30

 TAGROの新刊の内、「マフィアとルアー」の方は、幸いにして地元の本屋で発見。でも、帰宅後、まず読み出すのは、氷川へきる「ぱにぽに」2巻… マホ。

 

 そろそろ柑橘類のシーズンも終わりかな。

Fruits 「アンコール

 名前の由来は、アンコールワットとかその辺から来ているのかと思ったが、食べるともう一個手が出るという意味らしい。ひねり無さ過ぎ。伊予柑とオレンジの中間くらいの味で、かなり甘め。だから、もう1個くらいは良いけど、そうそうは食べられないような。

Fruits 「ニューサマーオレンジ

 「日向夏」の愛媛産のブランド名。実の外側の白い部分も少し残して剥くのが、日向夏の正しい食べ方らしい。つまり袋が固くないので、一緒に食べられるということ。味は、爽やかな酸味が強くて美味しい。個人的にはかなり好み。

Fruits 「河内晩柑

 和製グレープフルーツとして売られている。そう言われればそんな感じ。但し、文旦系のため、種は多い。グレープフルーツではなく、あえてこれを選ぶ意味は、余りないかも。

 

4/28

 連休だと却って、人のいる場所に出たくない=出歩かないのだけど、TAGROの2冊の新刊だけは急いで買いに行かなくては。

 

 連休の時期の花、といえば、ツツジ。ただし、私は、ツツジという花は余り好きではない。

 斜面一杯に咲いている様は、確かに驚くものの、…だから何なの?と言いたくなる。一つのまとまりとして完結しない、とりとめのなさ。同じ花が続くだけなのに、花が咲いている限り、その涯まで見ないと落ち着かない気がするのも、どうも嫌。

 そういう、ツツジの山の空気を、一番良く描いている作家といえば、(私が知る限りでは)やはり、鏡花。

 

 「龍潭譚」という短編がある。幼い子供が迷子になり、山中に迷い込んで人外の女性の保護を受けた後、家に戻ってくる… という「高野聖」の原型的な、いかにも鏡花的な作品だが、 導入部の躑躅の赤さが非常に印象的な小説でもある。

 『行く方も躑躅なり。来し方も躑躅なり。山土のいろもあかく見えたる、あまりうつくしさに恐しくなりて、家路に帰らむと思ふ時』見掛けた綺麗な虫(斑猫)を思わず追い掛け てしまい、 追い付いて打ち殺した後に、 ふと我に返ると。

 『心着けば旧来し方にはあらじと思ふ坂道の異なる方にわれはいつかおりかけ居たり。丘ひとつ越えたりけむ、戻る路はまたさきとおなじになりぬ。見渡せば、見まはせば、赤土の道幅せまく、うねりうねり果てしなきに、両側つづきの躑躅の花、遠き方は前後を塞ぎて、日かげあかく咲きこめたる空のいろの真蒼き下に、佇むはわれのみなり。』

 呆然とした子供が、周りを「見渡せば、見まはせば」躑躅の花がどこまでも続いていて、その中に一人立っている、という光景の鮮烈さ。子供をすぐ上から捉えていたカメラがずーっと上方に引いていくと、画面一杯に躑躅の赤がどこまでも入ってくる、そういう映画的なイメージ。

 

 ついでに、豆情報。辞書に「つつじのひたしもの」という言葉が。どうやら、あの花は食用になるようで、昔の人は「花を熱湯でさっとゆがき割り醤油にひたして食べ」たらしい。文例として、芭蕉の手紙が引かれているので、少なくとも、芭蕉は食べたことが有る様子。…ツツジ のおひたし、余り、想像出来ないけど。

 なお、それは豆情報やなくて、花の情報や、というのは却下。

 

4/27

 NHK教育「未来への教室」。ディック・ブルーナだったので、観てみる。ブルーナとは勿論、あの「うさだ」、じゃなくて「うさこ」、つまりミッフィーの絵本の作者。

 勿論、などと言っても、五味太郎「絵本を読んでみる」を通して位しか、ブルーナの絵本を実際に読んだことはないのだが、そんな私でも、なかなか興味深い内容だった。本人によると、あのシンプルな画面(ブルーナ・カラーとも呼ばれる、2年を掛けて!選び抜いた6色だけで構成された画面)は、実はマティスが晩年に行っていた切り絵の手法に、強く影響を受けているのだという。あとは、何故、必ずハッピーエンドにしているのかという問いへの答えとか。

 あの絵本のように、穏やかで暖かい人柄が印象的だった。次週、あの絵についての話が続くようなので、それも観るつもり。

 

4/26

 雪舟展。京都展でJR西日本が協力していたように、東京展ではJR東日本が協力しているわけだけど、東日本のポスターでは、あの「見逃せば、次は50年後。それまであなたは待てますか?」は使ってない様子。やっぱり、あれは、対関西人用のコピーだったのか。

 

Art 没後500年 特別展 雪舟  東京国立博物館 2002.4.23〜2002.5.19

 京都では凄く混んでいたこの展覧会。迷った末、朝一番は止めて、穴場と思われる金曜の夕方6時過ぎに行く。狙い通り、並ばずに入場。場内も「普通に入っている」レベルで、流れに沿って、全部の絵を間近で観ることが出来たのは、望外の幸運だったと言えるかも。

 が、落とし穴はその後に。中国の画家までも、丁寧に観ていった結果、前半だけで、既に7時10分。わっ、あと50分しか! 山水長巻も見ずに時間切れ、は嫌だと、 後半は、残り時間を気にしつつ、見て回る羽目に。後半に傾斜配分すべきでした。山水長巻は結局、何とか2回観たのだけど、時間さえあればもう3回くらい並びたかった…

 絵から受けた印象を一言で言えば、太いマジックインキ(で書き殴ったもの)。線が滲んだり、下の机に写っちゃったりしたけど、…まぁ良いか、みたいな。

 そのアクション性の高さというか、ライブ感覚?は確かに面白い。「秋冬山水図」を初めとして、えらく無茶な絵も多いのだけど、それはそれでOK、に思えてしまうし。中でも、16メートルの「山水長巻」を実際に見るのが、やはり楽しかった。アトラクション体験、と言っても良い面白さ。

 そんな「山水長巻」だが、全幅を展示しているのは、4月30日までと、5月14日以降だけで、その間は半分のみの展示。代わりに模本との比較をするらしいが、初見なら全部見たいのが人情でしょ。というわけで、初見の方は早めに行く方がベターかと(最終週は殺人的に混むと思 うので)。

 

4/25

 職場に某大手生保の女の子が置いていったチラシの、いい加減な「心理テスト」(「人生楽しむ度」をYES/NOの分岐で4段階に判定する奴)をやってみたら、私は最低ランクの「人生楽しむ度25%」で、「重荷を負うて坂道を上るが如し」だとか。家康じゃあ有るまいし。

 というか、最後の質問は、「いろいろな分野の本を読む」だった筈。それがYESだと「楽しむ度」は25%で、NOだと50%? 逆でしょ? 一方、100%となるのは、「スポーツジムで汗を流すことがある」→「新聞の連載マンガは毎日見る」→「スケジュール帳は予定がびっしり」。

 お遊びとは言え、余りにも酷いステレオタイプ。少なくとも、このテストの制作者の「人生」が、凄くつまらないものでしかないことだけは、私にも「判定」出来る。

 

 NHK「にんげんドキュメント」は、桜守、佐野藤右衛門氏の話。

 今年の桜は早いですねと、NHKの記者が話し掛けた時に、(地球は全部、一つの時間で回っていて、虫も桜も同じように動き出しているのに)「桜が早いなんてそないなことあるかい。(そう思う)人間が遅れているんや」と答えている様が面白かった。 桜動説。

 

 梶原にき作画の、Comics版「東亰異聞」1巻。

 本来ならもう少し背景(というか、闇)を描き込んで欲しいと思うものの、これくらいの出来なら全体としてまぁ良いのでは、と思ってしまう辺り、私は、実はこの話にそれほど思い入れはないのかも。

 

4/24

 4月中、勢いでつい、あちこちの桜を見に行ってしまった反動もあり、GWは大人しく過ごす予定。というか、割と暇な予定なので、「二つの塔」の予告編のために、もう一度「ロード オブ ・ザ リング」ズを観に行こうか考えているのだが、果たして、予告編字幕も 、かなり凄いことになっている様子。今度は、「ゴンドールまで滅んでしまっている」んですって?

 確かに、ただ、手をこまねいているわけにもいかないような。「わしらが決めることは、あたえられた時代にどう対処するかにある」わけだし。考え方の一つとして、字幕改善署名活動。で、結局、予告編を観に行くかは、まだ悩み中。

 

 何となく唐突に出た感のある鶴田謙二版の「アベノ橋魔法☆商店街」。それは良いんですけど。あの、「Forget-me-not」は、いつ?

 

4/22

 歩き煙草を法律で禁止することを求めるNPOの活動がニュースで紹介されていた。半径15メートル以内で煙草を吸う人間がいると、喉が痛くなる私としては勿論、賛成。モラルなんてものは煙草を吸う人には期待するだけ無駄だと思っているので。

 とりあえず、煙草の投げ捨ては罰金刑、という辺りから始めたらどうか。携帯灰皿を持参しないで、外で煙草を吸ったら、則、5万円罰金。そして喫煙場所以外には灰皿を置かなければ、吸うという行為に大して、誰もが多少は神経を使うようになる筈。そう言いたくなる程、勤め先からJRの駅までの、オフィス街での歩き煙草の蔓延振りは酷いと思う。

 

Novel  乙一暗いところで待ち合わせ  幻冬舎文庫

 意外にも、キリキリ痛い方ではなくて、ふわっと暖かい方の乙一。確かに、今までの作品のヴァリエーションと言う気もするが、この作品での登場人物達は僅かながら今までの同系統の作品の人物よりも 一歩踏み出しているように思え、それが心地よい驚きだった。次にこの種の作品が描かれる時は更に一歩進んでいくのだろうか。

 などという感想はこの際、どうでも良くて。おずおずとした彼らが、思い切って踏み出す場面の素晴らしさは、この作者ならでは。

 

4/21

 周りの丘では、山藤が盛り。そういえば、今の時期から初夏に掛けて咲く花には、紫色が多いような気が。勿論、それには理由がある筈で、若葉が生い茂り、紫外線が強くなるこの時期に、虫の可視領域の中で一番目立つ色が紫色 (とその外側)である、ということではないだろうか。

 …もっともらしく聞こえたら済みません。紫→紫外線という連想での思い付きを、ただ書いてみただけです。

 

 ところで、この時期、毎年、その違いが気になる植物が存在する。

 一つは、ツツジとサツキ。いや、咲く時期が違うのは名前から分かるが、他にも違うものかと。調べてみると、サツキは、ツツジの中の一つだった。対立関係ではなくて、内包だったのか。他の違いとしては、ツツジは花が咲いてから新芽が出る、サツキは逆。サツキの葉の裏には毛が生えている。花の付き方が違う等があるらしいが、咲く時期で区別すれば結局、充分 ? それと、サツキの分布は、関東以西だけらしい。東北の人がこの疑問を持つことはないわけだ。

 もう一つは、アヤメと花菖蒲とカキツバタ。毎年のように、何かで違いを読んでは分かった気になるものの、翌年になると何も覚えていないことを思い出す、という案配。しかし、今回は覚えやすい見分け方を発見。育つ場所 でいえば、乾いた場所にアヤメ、湿地帯に花菖蒲、水上にカキツバタ、らしい。カキツバタは太田神社の池一杯に咲くイメージが元から有るので、あとは畑のようなところであればアヤメ、湿っているところならば花菖蒲、と判断すれば良い筈。

 分かったから何になる、というわけでもないけど。ちなみに、菖蒲というのは、花菖蒲とは全く別の植物なので、念のため。

 

4/20

 前日の夜から、高速バスで、弘前へ向かう。横浜・弘前間は「700キロを突っ走れ!!」、ということで、着くと、朝の7時半。

 早速、弘前公園へ。ここは以前からずっと、昨年「桜を救え」という本を読んでからは特に、一度訪ねてみたいと願っていた。言うなれば、ソメイヨシノの聖地と言うべき場所。外堀の桜の見事さにまずは圧倒される。盛りを2日ほど過ぎていたのが、やや残念だったけど、半月前に予定を立てたにしては2日で収まって幸運だったのかも。

 最古(樹齢120年)のソメイヨシノや、幹の太さが最大のソメイヨシノなどの歴史的な樹は勿論、園内の樹はおしなべて、幹が立派。ソメイヨシノというとどうしても、毒々しい、詩人の言葉で言えば「憂鬱」なイメージを私も今まで持っていたが、こうして立派に育っている様を見ると、決してそんなことはなくて、充分な広さの土地で、豊富な水と必要な栄養を吸収して成長した樹は、威厳こそあれ、毒々しくなど全然見えないことを、初めて知る。悪いのは土だったんだわ ! ナウシカのように、その新発見に強く感動する私。

 もっとも、東北随一の桜の名所である以上、花見のメッカであるのも言うまでもないことで、桜を見に来たわけではない花見客のビニールシートでそこかしこ、埋め尽くされていた。屋台が立ち並ぶ広場の中心には、仮設のお化け屋敷。ここが集合場所らしく、迷子や待ち合わせ等何かと、「…様、…様がお探しですので、お化け屋敷前まで来て下さい」とアナウンスが流されているのが、おかしい。

 で、その「お化け屋敷前」に行くと、呼び込みのおじさんの声がこれまた拡声器で辺り一面に響いている。

 「こわくないよ、笑える楽しいお化けさん達が一杯いるよ。こんなゆかいなお化けは滅多に無いよ。」 …どんな、お化けなんだか。

 午前中で、園内は大体回ったのと、暑くて(25度くらいあった)疲れたので、午後は桜のアーチの脇のベンチに腰掛けて、暗くなるまで、乙一の新刊を読んで過ごす。まさに乙一の世界そのもの、という話を堪能。こういう、おずおずとした手触りの話を書くと、本当に上手い人だと思う。夜桜を見てから、夜行バスに再度乗って、横浜へ。

 ところで、夜行バスは思っていたよりは良く眠れたけれど、コタツで寝た時のような窮屈さが。身動きの取れなさ、という点で。

 

4/18

 「Quick Japan」vol.42。楳図かずおと黒田硫黄のインタビュー。黒田硫黄の答え方は、思った通り、クレバーな人という印象。

 

 帰宅後、NHK教育「ETV2002 シリーズ私のB面」の、荒俣宏が、永年コレクションしている「福助」を語る回を見つつ、荷造り。 この週末は、弘前まで桜を見に行くので。明日、職場から、夜行バスへ直行する予定。

 それにしても、まさか、行く前に既に満開になってしまっている、とまでは予想していなかった。

 

 「十二国記」第2回を、ようやく見る。今回分については、(アニメ版の設定からは)まぁ、無難な進め方かと。

 

4/17

 ううっ、空気がベタベタ。気持ち悪い。海辺の町に住んでいながら、あの海風が苦手で、海岸とは出来るだけ縁のない生活を送ってきている、というくらい、私は湿気のある空気が嫌いなので、こういう日は精神衛生上、非常に悪いです。

 

 ところで、先日、この日記を細井さんの「SF系日記更新時刻」に加えて頂きました。

 …ほら、そこ笑わないように。その辺のギャップは、書いている自分が最もよく分かっているので。但し、まっとうな区分から何かと外れてしまい勝ちな日記であるという点に関して、存在していても一番、違和感が少ないアンテナ、ではある気はします。少なくとも、「漫画系サイト」よりは、納得出来るような。

 なお、「SF系」の方は、この日記への直リンクですので、クリック数を減らしたい方には特に、お奨め。

 

4/16

 春眠暁を覚えず。というか、週末の寝不足が、今頃になって後を引いている様子で、帰ってからも、意識を失うまで、あっと言う間。

 

Cinema 高山文彦 WXIII PATLABOR THE MOVIE 3 新宿東映会館

 ミニシアターですが、良いですか?と入場の際に聞かれたが、本当に、ミニだった。50席無い程。大きなスクリーンで観たかった…

 「廃棄物13号」を巡る外伝的な物語とは言え、「パトレイバーの劇場版」を名乗るに相応しいクオリティーの作品であるのは間違いない。脚本、演出等全ての面で、かなり良く出来ている、と言える。繰り返し観るに値する作品。

 しかし、傑作であると言うには何かが不足。それを埋めるために、ある種の特撮作品への強い思い入れが予め必要とされるような。私は残念ながら、例えば「怪奇大作戦」とかで育った世代ではないので、思い入れだけでは埋め 切れず、物足りない気分が残ってしまったのだが…

 ちょっと古い日本映画の情感を目指したのは分かるのだが、ラストの小道具とかの演出は、今さら古すぎるのでは? 様式美? 

 併映の「ミニパト」は第3話。ギャグとしては、第2話の方が出来が良かった。

 

4/14

 この2週間で溜め込んだ春アニメの整理日。録った物の内、とりあえず、7作品ほど見ました。

 

Novel 津原泰水 「蘆屋家の崩壊  集英社文庫

 単行本で読んでいる人からすれば、何を今更、なのだろうけど、「妖都」しか読んでいない者としては、待望の文庫化。

 巧い。本当に、巧い。「恐怖小説」というものの本質をよく理解している作家にしか書けない短編集。淡々とした語りが、恐怖と同時に、奇妙なおかしさをも醸し出している。作品毎に違った趣向が凝らされていて、どれも素晴らしいのだけど、私がアンソロジーか何かで一つだけ抜き出すとしたら、「猫背の女」かな?

 世界の「異変」に対する知覚、即ち「世界への違和感」を、最初に、口に銜えた歯ブラシへの違和感で感じる辺りの描写が、特に怖い。恐怖が外から来るのではなく、気が付いた時には、内と外の境界線を越えて、自分の身を浸している気持ち悪さ。

 なお、「恐怖小説」とはホラーのことではなくて、サキとかの、ピリッと怖い短編を指しているのですが、「怪奇小説」の方が適切? でも、それだと、何かゴシック・ホラーみたいだし。

 

4/13

 三春の滝桜を、見に行く。

 日中は半端じゃない混み方のようなので、思い切って、出来る限り朝早く行くことに。朝4時前起きで、かつ始発の電車を利用、という私としては生まれてこの方、まだ数回しか行ったことのない努力までした結果、朝8時40分には、桜の前に到着。観光バスが着く前には辿り着いた、と思ったが、駐車場には既に4台の観光バスが停まっていた 。

 半ばすり鉢状の斜面の中心に立っている滝桜を、正面の丘から最初に見た時、脳裏に浮かんだのは、モノリスの発掘現場。それくらい、周りの風景から独立した存在だった。

 満開になって数日経つので、さすがに色は抜けていたが、青空を背景に見上げると、まだまだ美しく、千年以上生きてきた樹の生命力を間近で感じることが出来て、それなりに満足。

 混み出さない内に、早々に撤退し、三春の町中の桜を、午前中掛けて訪ね歩いた後、帰宅。そういえば、三春は、あの雪村が住んでいたところらしい。町営の資料館に、複製画が置いてあった。雪村も滝桜を見たことが有るかも、とふと考えたが、実際には見ていない可能性の方が高そうだ。でも、 彼が水墨画を描いていた頃には、滝桜は既に樹齢五百年以上の大木として今と同じような花を咲かせていた筈で、それを思うと、あの樹の命の長さには改めて驚いてしまう。

 →再び、参考までに、滝桜の開花情報のページ

 

4/12

 帰りに、ドラッグストアーに寄って、耳栓を買った。

 

4/11

 女が三人寄れば姦しい、とは「姦」の字を説明する時に言われることだけど、少なくとも「おばさんが三人寄れば、やかましい」。

 というのを、行きのバスで改めて実感。4時間も乗るのでゆっくり寝て行く積もりだったのだが、後ろの席に陣取ったおばさん3人の、他人というものがこの世に存在しないかの ようなお喋りのお陰で、全く眠ることが出来なかった…

 彼女らがいない帰りのバスは平穏に過ごせると期待したが、今度は、隣席のおっさん2人の、仕事への愚痴で占められた会話に邪魔されてまた眠れず。

 公共の場所、特に交通機関の中では、「嫌煙権」に続いて「嫌音権」というものを確立すべきだ、と前々から、私は考えているのだが、無神経な人達がそれを理解する日は、私が生きている間には来ないだろう。新幹線に、余計な会話を禁ずる「禁音室」を設けたら、希望する人はかなりいると思うのだけど。山陽新幹線でその手の車両を試験的に作った話を聞いたことがあるような気がするけど、あれはどうなったんだろう…  大体、何でパーキングエリアの売店には耳栓が売っていないんだ!

 

 …それはさておき。

 高遠の桜は、満開は若干過ぎていたけど、風が吹く度に、まさに粉雪が降りしきるように、いつまでも降り続ける花吹雪も体験出来たので、ちょうど良い時に行ったのかも(←おばさん的思考)。ここの桜は、タカトオコヒガンザクラという種類で、小振りで、濃いピンクの花。

 何だか、歌舞伎の舞台背景に描かれるような花だと思った。艶やかだけど、絵の具で描いたような。だから、花吹雪も、まるで舞台上の紙吹雪のようで。

 これで、人さえいなければ素晴らしい場所なのだけど、勿論、そうはいかない。確かに一度は必見、だけど、人混みを考えれば、一見すれば充分? 遠いし。

 →参考までに、「高遠さくらまつり」のページ

 

 後記)そうですか、まだやっているんですか。東日本もやれば良いのに>JR西日本「サイレント・カー」

4/10

 未だに録画が溜まるばかりの春アニメですが、「あずまんが大王」は見ました。…微妙な出来。でも、冬の映画よりはマシだったかも。

 

Novel ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 「トニーノの歌う魔法 徳間書店

 クレストマンシー・シリーズの一冊。今度の舞台は、(パラレルワールドの)イタリアの小国カプローナ。長年仲が悪い、「呪文作り」の名家モンターナ家とペトロッキ家。両家の少年少女達が、騒動に巻き込まれ、そして活躍する物語。

 エンターテインメントのツボをよく押さえた、軽快に読み進めることが出来る上質の作品。ただし、全体にあっさりしていて、ジョーンズ作品としてはやや物足りない気がしないでも。

 

 ところで、一旦諦めた高遠の桜だけど、やっぱり一度は見ておきたいので、明日、休みを取って、見に行くことに。

 

4/9

 今日は、例の、十二国記アニメの第一回目。

 …とりあえず、見ている間中、色々と胃が痛かった(^^;; 向こうでの話が始まる来週からは、もう少し安心して見られる脚本・演出であることを希望。別物は別物 、なのは、この際、しょうがないので。それにしても、半ばオリジナルキャラの「杉本さん」の方が、どう見ても、陽子よりキャラが立っているのはどうよ、という気が。

 ところで、物語の始まりの際、あの水音が無かったのには納得出来ない。いや、気になったのは、どうせ私だけだとは思いますが。

 

4/8

 「ユリイカ」の4月臨時増刊号は、「指輪物語」特集。

 …みーはー。と呟きつつも、結局、一応買ってしまう自分が、情けない。

 内容的には、予想通り、玉石混淆。というか、映画化を機に、取り急ぎ、何でも良いから書いて貰った、という文章が多過ぎ。アーシュラ・K・ル=グィンとマリオン・ジマー・ブラッドリーのエッセイを訳したものは、割と良かったですが。特に、後者に伺われる、サムへの愛情。

 ところで、天沢退二郎と井辻朱美の対談で、前者が「十二国記」の話題を振ったところ、後者が未読と答えているのには、驚く。『それが、わたしは結構日本のものは読んでいないんですよ(苦笑)。』 ……井辻朱美でも、そういうものなのか(苦笑)。

 

4/7

 桜見を取り止めたので、当初の予定通り、橘いずみのインストアライブのために、横浜のTOWER RECORDSへ。時間待ちの間、映画を観ることに。

 

Cinema ロン・ハワード ビューティフル・マインド 相鉄ムービル

 悪くはないのだが、ロン・ハワードなら、今までの作品の方がずっとオスカーに相応しいような… 画面の自然な繋ぎ方と言った点で、今や数少ない「まともな映画」の心地良さを与えてくれるのは、いつもと同様だが、今回は、そつがない映画、で終わってしまった気が。

 予備知識0で観たので、「実はこの部分からこういう話」と知った時は確かにやや驚いたが、そこからは物語、演出共に予想の範囲内でしか無かったのが、残念。いっそ逆方向?へ向かった方が、映画的には、むしろ感動的になったのではないか、とさえ思ってしまった。

 ロン・ハワードの作品は、良い悪いという以前に、「好きな」作品になるのが常なのだけど、今回は、特に「好き」にはなれないな。別に「嫌い」ではないけど。

 

4/6

 ところで、桜を見に行く、というのは、何も弘前だけの話ではなくて。

 この週末、高遠の桜を見に行こうかと、かなり真剣に悩んだが、特急にせよ高速バスにせよ、家から片道5時間半は掛かる以上、朝6時半の電車には乗らないといけない、というのは余りにも辛い。少なくとも 今週の土曜の朝には実行不可能と思われたので、やむなく諦める。日曜なら何とかなると思ったが、天気の方が下り坂らしいし。

 しかし、来週末は、福島県は三春の滝桜でリベンジ、の予定。同様に遠いけど、新幹線が使える分だけ楽かと。交通費は高いけど。

 

 DVD「モンティ・パイソン・アンド・ザ・ホーリー・グレイル」。これは迷うことなく、まずは吹き替え版でしょ。

 でも他に、監督二人の解説音声や、その他の主演者の解説音声とかも入っているらしく、何度も見直すことになる様子。字幕も各音声に対応している他、「本作を好きでない、英語の得意な方 」は、シェークスピアの「ヘンリー四世:第2部」を読むことも出来るらしい(^^;;

 ちなみに、これは私が唯一、海外で観た映画。学生時代の旅行中、バルセロナで時間が余った夜に観たので、当然ながらスペイン語吹き替え。以前、ビデオで観た時の記憶で、台詞を脳内補完して観た覚えが。なお、その時 、周りのスペイン人には割と大受けでした。

 

 CD。気が付くと「NIAGARA TRIANGLE VOL.2」 のリマスター版が3月に出ていた。そう言えば、毎年1枚ずつ出すとか言っていたような… 来年は「EACH TIME」?

 

4/5

 本来ならば、対岸の火事のように眺めていられる状況では無いのだけど。(多分)幸いにして、今は傍観者。やや気が咎めるけど、仕方ないよな。

 

Novel 竹岡葉月 「東方ウイッチクラフト −神様はダイスを振らない−  集英社 コバルト文庫

 …またしても、微妙。脳天気なコメディと生真面目さの双方を志向した物語の描き方は、いっそ不器用といっても良いような。例えば、もっと突き放してしまえば上遠野浩平の様になって、それはそれで分かり易いと思うのだが。

 しかし、このシリーズにおける「魔女」が、一つの絶対的な価値を選択するのではなく、狭間としての「垣根」の上に立ち続ける「生き方」を指すように、今の場所でジタバタし続けるのが、この作者の良さなのかもしれない。だから、もう暫くは、その孤軍奮闘ぶりに付き合っていくつもり。その先に何かあるかは まだ分からないけど。

  ちなみに、このシリーズの感想。「−垣根の中の人−」 「−螺旋舞踊−」 「−願え箒の星に−」

 

4/4

 院展を初めて観に行ってみる。コンサバティブ?

 

Art 春の院展  日本橋三越 2002.4.2〜2002.4.14

 恐らく、こういう公募展は、定点観測のように毎年観ることで初めて、何か(前年より良いとか悪いとか)言えるのではないかと。もっとも、その場合、「今年も今一つね」という言葉が毎回繰り返されるだけ、 な気もするのだけど。

 「同人」の中でも偉い人?の絵は会場の一番中心の部屋にあるのに対し、「今回初入選」は、ブラウスやら全国和菓子やらを売っている催場の隣、要するに一番外側の壁に掛けられているのだが、熱意というか思い入れが伝わってくるという点では、それら初入選の方が遙かに面白い、と思ってしまうのは素人の感想? でも、偉い人の絵は全体に惰性に流され過ぎというのは、多分、事実。まぁ、春は、無料の展覧会だし、秋の方を見ないと駄目 かも。

 

 帰りに、丸善の前を通ったので、前から気になっていたことを調べてみる。

 あの「ホビットの冒険」で、瀬田訳では、ホビットを紹介する冒頭部分、ドワーフと比較するところで、ドワーフを「白雪姫の七人の小人」の例を持ち出して説明しているのだが、トールキンが本当にそんなことを書いているのか、という疑問。

 書かれた時代的には、ディズニー映画と多分、合うのだが、しかし、あの設定魔のトールキンが、ディズニーに引き合いにして説明を済ますというのが、どうも腑に落ちなくて、原作にも本当に存在するのか、確認しておきたかったのだ。で、丸善でペーパーバックを探し出して、冒頭部分を見てみると。

 …そんな説明は無い(^^;; あれは瀬田訳が、当時の日本の読者が少しでも理解しやすいように、「白雪姫」の小人と「ガリバー旅行記」のリリパットとの大きさの比較を付け加えてみた、ということらしい。長年の疑問が一つ片付いて、ちょっとスッキリ。

 近くに、ファンタジーの本が並べてあって、D.W.ジョーンズのクレストマンシーのシリーズも揃っていた。未訳の短編集「Mixed Magics」をつい買ってしまう。非常に薄い本なので、これなら、私でも読めるだろう、ということで。…それはまぁ、良いと思うが、まずは「トニーノの歌う魔法」を読む方が先なのでは?

 

4/3

 帰りに、横浜で降りて、この前予約したバスの乗車券を購入。ついでに、川井憲次のサントラ2枚をメイトで購入。

 

Novel バリー・ヒューガード 「鳥姫伝  ハヤカワ文庫 FT

 文章(あるいは邦訳)が今ひとつ読み進めにくいのが玉に瑕、なのだけれど、それでも読む価値は充分にある、久々にFTらしい、ユニークな東洋風?ファンタジー。中でも、物語の各構成要素がいわばジグゾーパズルのピースのように終盤、綺麗に組み合わさって、一つの解決へと至る手際は見事。

 この作品を含む3作のシリーズということなので、続きを読むのが楽しみ。

 

 そういえば。主人公の旅の伴侶であり、師となる老賢者リーカオは、R・A・マカヴォイの「ナズュレットの書」シリーズの、主人公の師匠ポウル(歳取ったショーン・コネリーが演じると似合いそうな人物)と似たところがあるような気がして、「世界のレンズ」を本棚の奥から掘り出して眺めたりした(実際の所、共通点は余り無かった)のだが、あれってFTでの邦訳が、シリーズ途中で放置されていなかったっけ?

 

4/2

 予約していた「WXIII PATLABOR THE MOVIE 3」のチケマガDVDを、ローソンで引き取り。

 「ロード オブ・ザ リング」ズに関するオマケDVD付きブルボンのチョコ&キャンディーが1箱300円で売られている時代に、定価4800円というのは、前売り券分を差し引いても、いくら何でも高過 ぎ。でも、結局、買ってしまっているあたり、1と1/2のビデオの頃から、進歩とか成長という概念がからっきし、無いような気がする私。

 とりあえず、2話目を既に観ている「ミニパト」のスタッフインタビューだけ再生。「WXIII」の方は、映画を見る前に余計な知識を入れたくないので、予告編以外、怖くて見られず。

 劇場では、週替わり同時上映の「ミニパト」を今週は1話目、来週は2話目と、何のひねりもない順番で公開中の様子。押井守本人の弁だと3話が一番面白いそうなので、 観に行くのはやはり3週目が狙い目かと。その週は弘前にも行かなくちゃいけないし、大変だけど。

 そうそう、両方とも、川井憲次のサントラは明日発売らしい。買ってこないと。

 

 いしいひさいち「文豪春秋」(創元ライブラリー)。いつものメンバーの中で、売れない鎌倉文士の広岡センセーを中心とした一冊。あの家にお手伝いさんがなぜいるのか、その理由が、初めて分かりました。

 

4/1

 当地では、桜の花はもう終わり。しかし、今年の私の、桜を求める旅は、まだ終わらない。前から一度訪ねてみたかった弘前の桜を、今年こそは見に行くつもりなのだ。

 交通手段は、夜行バスでの往復。いささか強行軍だが、平日に休みを取る必要も、宿を取る心配もなく、夜桜まで見て来ることが可能な方法としては、これしか思い付かない。それにバスだと往復2万円弱と、行くのが躊躇われるほど高い運賃でもないし。

 ただし、問題は、いつ行くか。例年なら、弘前の桜はちょうどGW頃。桜祭りも23日から。しかし、今年の開花予想日は15日と、例年より10日も早い。当初考えていた27日頃には、桜は満開をとうに過ぎている可能性が極めて高いような…

 悩んだ末、1週間早めた20日に着くことにして、予約を入れる。あとは、当日、雨でないことを祈るだけ。そして予想通りに開花して、満開近くになっていることを願うばかり。